ルトガー・ブレグマンのレビュー一覧

  • Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章

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    有名な「スタンフォード監獄実験」や「ミルグラムの電気ショック実験」が提示するセンセーショナルな性悪説は、実は捏造されていたという衝撃。

    人間の本質は善であることを筆者の独自調査で個別テーマを介して明らかにしていく手法で語られる上巻。これはこれで結論ありきで話を自分勝手に色眼鏡通して捉えているし可能性ないか?と疑ってしまうほど通説と真逆の結論を突きつけられる。この爽快感は、なるほど魅力的な。

    題材が有名なものであり、語り口が肩肘張ってないのでスルスルと読み進められる。かといって過不足ない進行で飽きるともなく、文章力の高さも本書の惹きつける魅力の一つだなと。下巻は著者の主張が強調されているようで、期待高まり胸躍る。

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    2023年10月19日
  • Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章

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    共感はスポットライト、見たいものしか目に入らない。誰かに共感するということは同時に誰かを否定することにつながる。
    真実こそ信じる道。自分の理想が全てではない。
    ニュースを信じない。疑ったときは最善を想定する。
    結論、思いやりが全て。

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    2023年10月08日
  • Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章

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    定住と私有財産の出現により、自由、平等、友愛の日々が終わった。
    文明社会の始まりが暴力、戦争、感染症の始まり。
    家畜化された人間と動物、人懐っこく平和的な遺伝子ほど子孫を多く残せた。

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    2023年10月04日
  • 隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働

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    私の今までの取組み。だめと反省する前に、まずは、やってみようという、姿勢が大事。背中を押してくれた。ベーシックインカムで、お金をただ渡すのは、ドブに捨てるようなもの、と思う自分に対して、事実は違う、こうだと教えてくれた。

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    2023年08月16日
  • 隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働

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    日本へ導入するには市民レベルでまず何をすればいいのだろう。人は人のことを分かっているつもりで実は何も分かっていないことがよく分かった。

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    2023年08月10日
  • Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章

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    「人間の本質は善である」
    だからこそ人類は、危機を生き残れた。
    にもかかわらず、現代の社会が性悪説で設計されているのは、なぜか。
    ホッブスの性悪説VSルソーの性善説、少年たちの残虐さを描きノーベル文学賞を受賞したゴールディング『蝿の王』、人間の本性を暴くいくつかの心理実験や実際に起きた事件、それらをひとつひとつ再検証し、人間の本質は悪であることを示しているそれらの信憑性に異議を唱えた。

    歴史や心理学の専門家ではない私でも、大変読みやすく面白い本でした。冒頭から、目から鱗なことばかりでした。人の本質について言われている、性善説と性悪説、窮地に立たされた時に出る人間の本性、今までそれは悪であると言われてきたことに疑問を持ち、再検証を地道にしていき、そうではないを示した本書は、とても優しさに満ちた本だと感じました。
    今まで自分の根幹にあった、そうは言っても人って性悪説なんでしょ、そういう結果が出ているじゃないかという暗い考えを見事にひっくり返してくれました。
    下巻を読むのも楽しみです。


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    2023年06月20日
  • Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章

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    人は善である。そんなこともない、と思ってしまうのは、誤った情報を浴びせられているからか。では、なぜ、そんなことをするのか。反対のことをしたほうが面白い、うける、という思いを持つ人がいるという性質もあるのだろう。人とは、という哲学、は尽きることがない。自分なりの考えをつきつめるには読書だ!

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    2023年06月08日
  • Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章

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    すごい。人は善。ミルグラムや、アイヒマンの話がある中でも人は善。これからの自分の生活の仕方、仕事の進め方を見直さねば。疑ってかかるなんて、ナンセンス。

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    2023年05月27日
  • 未完の資本主義 テクノロジーが変える経済の形と未来

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    最悪のシステムの中の最善のシステムである、資本主義について、情報技術によってますます加速し、変容をしていく先に何が待っているのか。2019年の断面で7名の経済学者が未来を予測した書

    キーワードは以下です。

    米中の対立
    資本主義の修正と変容
    富の再配分
    人工知能の発達と普及、そして雇用への影響

    目次

    プロローグ 「未完」のその先を求めて

    Chapter1 ポール・クルグマン 我々は大きな分岐点の前に立っている
    Chapter2 トーマス・フリードマン 雇用の完新世が終わり、人新世がはじまる
    Chapter3 デヴィッド・グレーバー 職業の半分がなくなり、どうでもいい仕事が急増する
    Chapter4 トーマス・セドラチェク 成長を追い求める経済学が世界を破壊する
    Chapter5 タイラー・コーエン テクノロジーは働く人の格差をますます広げていく
    Chapter6 ルトガー・ブレグマン ベーシックインカムと1日3時間労働が社会を救う
    Chapter7 ビクターマイヤー=ショーンベルガー データ資本主義が激変させる未来

    エピローグ 加速する世界の中で

    ISBN:9784569843728
    出版社:PHP研究所
    判型:新書
    ページ数:204ページ
    定価:900円(本体)
    発売日:2019年09月27日

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    2023年01月26日
  • Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章

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    人類にとっては当たり前とも言える「人は本質的に暴力的で残忍な生物である」という前提を覆す本。
    ホッブスの「万人の万人に対する闘争」は真実なのか?スタンフォード監獄実験は造られたものだった。

    読んでいて自分の固定観念がボロボロと崩れていく音がした。法や秩序というものは人が自然状態では罪を犯し、他社を傷つける、という前提があるから創られたものであると思っていたし、人類の歴史は暴力の歴史でもあると学んでいた。

    が、この本に書かれていることはそうではない。
    人の本質は善意であって、暴力的ではなく、お互いに歩み寄り、協調性を持つことができる。それこそが人類の本質であると述べられている。

    その結論に至る根拠や過去の書物への批判などが全体的な内容である。

    まだ下を読んでいないが、この本がもっと世間で受け入れられれば更に世界は変わるんだろうなぁ。

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    2023年01月04日
  • Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章

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     希望の書。著者は言う、「わたしたちが、大半の人は親切で寛大だと考えるようになれば、全てが変わるはずた。」

     現在の社会の様々なシステム、民主主義、資本主義、教育、刑務所、介護・・・全ては「人間は本質的に利己的で、攻撃的で、すぐにパニックを起こす」という「最悪な人間を想定した」システムである。
    これに対して「大半の人は親切で寛大」だと考えて政治(税金の使い道を決める)、刑務所、介護施設・・その他のシステムを動かし始めた人たちがいる。そしてそれは、前者よりもはるかに上手く機能している。そういう幾つかの実践を記す。

     訳者あとがきが本書を完璧にまとめてくれている。

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    2023年01月02日
  • Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章

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     「万人の万人に対する闘争」は正しくない。「ほとんどの人は、本質的にかなり善だ」ということを多くの事実から証明していく。

     ロンドン大空襲、「蝿の王」、「利己的な遺伝子」、銃を撃たない兵士、ジャレッド・ダイヤモンドのイースター島の物語、スタンフォード監獄実験、ミルグラムの電気ショック実験・・・信じられている多くの「事実」は実は事実ではなかったことを暴き、人間が本質的にはどれだけ善かを証明していく。

     後半では、「最悪な人間を想定した現在のシステム」= 法の支配、民主主義、資本主義・・・を乗り越えていく「最良の人間を想定したらどうする」から新しい世界を構想していく。コモンズ、アラスカの永久基金配当(一種のBI)、リゾートみたいな刑務所・・。

     謎は、本質的に人間はかなり善であるにも関わらず、どうしてホロコーストや野蛮な殺戮や、そしてウクライナへの攻撃が起こってしまうのか、ということである。著者は「私たちを最も親切な種にしているメカニズムは同時に、わたしたちを地球上で最も残酷な種にしている」「友情と忠誠心と団結、すなわち人間の最善の性質が、何百万という普通の男たちを史上最悪の虐殺へと駆り立てたてたのだ」と書く。それは、人類は身近な人には共感するが、1000人、100万人、70億人に共感することは不可能で、身近な犠牲者に共感するほど、敵をひとまとめに「敵」とみなすようになるからだという。つまり、共感が私たちの寛容さを損なうと。

     何回も繰り返し読んだけど、ここの部分がまだよく理解できない。では、どうすればこの悲劇を繰り返さなくて済むのだ? それは「最良の人間を想定したシステム」に置き換えていくことで可能なことなのか?

     ただ、人間はそう簡単ではではない、ということは間違いない。

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    2022年12月31日
  • Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章

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    人類が本来的に善なるものか悪なるものかについて、現代の多くの考えが、ルソーの社会契約論とホッブスのリヴァイアサンに基づいている。

    ルソーは人間が本来善なるものと唱え、逆にホッブスは悪なるものと主張している。

    これまで多くの考え方がこの2人の説に基づき発展してきたが、昨今はややホッブスの考え方が優勢であった。

    それは、文明的、科学的であるということは物事を否定的に見ることであり、またニュースは悲惨な出来事ばかり報道するからである。

    ネガティビティバイアスにより、人は本能的にネガティブな内容を記憶するが、このこともさらに拍車をかけていている。

    そんな人間は本来悪であるという通説に対して、作者は真っ向否定する。そして、人は本来悪であるという主張の根拠となっているいくつかの事件や実験に対して反論していく。

    多くの過去の事実や実験結果が、センセーショナルになるよう誇張や操作がされており、そのどれを取っても、人間が本来的に悪であるという確証にはならなかった。

    後半どういった論理展開がなされるか楽しみである。

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    2022年09月11日
  • Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章

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    人は自分の都合の良いように情報を作り出すものだし、ファクトチェックも追いつかない 改めて自分の他人との関わり 寛容でいようと思う

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    2022年07月14日
  • Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章

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     少し前にわたしは、2013年に母国語であるオランダ語で綴った自著『進歩の歴史』を手に、腰を下ろした。それを読み返すのは苦痛だった。その本の中で少し前にわたしは、二〇一三年に母国語であるオランダ語で綴った自著『進歩の歴史』を手に腰を下ろした。それを読み返すのは苦痛だった。その本の中でわたしは、フィリップ・ジンバルドによるスタンフォード監獄「実験」を、何の非難もせず、善人が自発的に怪物に変わる証拠として取り上げた。明らかに、あの実験の何かがわたしの心を捉えたのだ。
     わたしだけではない。第二次世界大戦後、ベニヤ説の変種がいくつも生まれ、それらを裏付ける証拠はますます堅牢になっていくように見えた。スタンレー・ミルグラムは電気ショック発生器を使ってそれを証明した。メディアは、キティ・ジェノヴィーズの死の後、ベニヤ説を大々的に伝えた。そしてウィリアム・ゴールディングとフィリップ・ジンバルドはベニヤ説に世界的名声をもたらした。こうして、トマスホッブズが三〇〇年前に主張したように、悪はすべての人間のすぐ内側でくすぶっていると考えられてきた。
     しかし今、殺人事件と実験の書庫が開かれ、ベニヤ説が完全な間違いだったことがわかった。ジンバルドの監獄の看守は?彼らは俳優のように演技をしていた。ミルグラムの電気ショック発生器の被験者は?彼らは正しいことをしたかっただけだ。ではキティは?彼女は近隣の人の腕に抱かれて亡くなった。
     これらの人々のほとんどは、人助けしたかっただけのように見える。人助けできなかった人間がいるとすれば、それは科学者や編集長や、知事や刑務所長といった責任者だ。彼らは嘘をつき、操作した、怪物だった。これらの権力者は自らのよこしまな願望から人々を守るどころか、全力を尽くして人々を互いと敵対させたのだ。
     このことはわたしたちを、人はなぜ邪悪なことをするのかという本質的な問いに引き戻す。フレンドリーな二足歩行のホモ・パピーはいかにして、監獄やガス室を作る唯一の種になったのだろう。
     前章までで、人の仮面をつけた悪に誘惑されやすいことを学んだ。しかしこの発見は、別の疑問を生じさせる。歴史の流れのなかで、なぜ悪は、わたしたちを欺くことにこれほど熟達したのだろうか。どのようにして、わたしたちを互いに宣戦布告させるに至ったのだろうか。
     第3章で紹介した我らが「子イヌの専門家」、ブライアン・ヘアの観察が、わたしの頭から離れない。彼はこう言った。「わたしたちを最も親切な種にしているメカニズムは、同時にわたしたちを地球上で最も残酷な種にしている」


    ■史上最悪の虐殺へ駆り立てたのは友情だった
     この考えをわたしが理解するまでには長くかかった。
     オランダで育った一〇代の頃、わたしは第二次世界大戦を、「ロード・オブ・ザ・リング」の二十世紀版、つまり、勇敢なヒーローと邪悪な悪党とのスリリングな戦いとして思い描いていた。しかしモーリス・ジャノヴィッツが明らかにしたのは、異なる状況だった。 彼が発見した悪の起源は、堕落した悪人のサディスティックな性癖ではなく、勇敢な兵士の団結だった。第二次世界大戦は勇壮な戦いであり、友情と忠誠心と団結、すなわち人間の最善の性質が、何百万という普通の男たちを、史上最悪の虐殺へと駆り立てたのだ。


     ブルームによると、共感できる相手は、救いがたいほど限られている。共感は身近な人に対して感情である。わたしたちが匂いをかぎ、目で見て、耳で聞き、触れることができるに人に対して。家族や友だち、お気に入りのバンドのファン、そしておそらくは、町で見かけるホームレスに対して。さらにはイヌに対しても。畜産場で虐待された動物の肉を食べながら、わたしたちは、子犬を抱いたり可愛がったりする。また、テレビが映す人々に対しても共感を覚える。悲しげな曲をBGMにして、カメラがズームインする人々に対して。
     ブルームの本を読むと、共感は何よりもニュースに似ていることに気づく。第1章では、ニュースがスポットライトのように機能することを述べた。共感が、特別な人か何かにズー ムインしてわたしたちを騙すように、ニュースは例外的な何かにズームインして、わたしたちを欺く。
     一つ確かなことがある。それは、より良い世界は、より多くの共感から始まるわけではないということだ。むしろ、共感はわたしたちの寛大さを損なう。なぜなら、犠牲者に共感するほど、敵をひとまとめに「敵」と見なすようになるからだ。選ばれた少数に明るいスポットライトをあてることで、わたしたちは敵の観点に立つことができなくなる。少数を注視すると、その他大勢は視野に入らなくなる。
     これが、 子イヌの専門家ブライアン・ヘアが語ったメカニズムだ。わたしたちを地球上で最も親切で最も残虐な種にしているメカニズムだ。そして悲しい現実は、共感と外国人恐怖症が密接につながっていることだ。その二つはコインの表と裏なのである。


     権力を握る人々にも、同じ傾向が見られる。彼らは脳を損傷した人のような行動をとる。普通の人より衝動的で自己中心的で落ち着きがなく、横柄で無礼。浮気する可能性が高く、他人にもその気持ちにもあまり関心がない。加えて彼らは厚かましく、人間を霊長類の中で特別な存在にしている、顔の現象を往々にして喪失している。
     つまり彼らは赤面しないのだ。
     権力は麻酔薬のような働きをして、人を他者に対して鈍感にするらしい。


     あるアメリカの人類学者は、狩猟採集民の社会についての四八の研究を分析して、マキャヴェリズムはほぼ常に惨事を招く、という結論に至った。彼はその理由を説明するために、狩猟採集をしていた時代にリーダーに選ばれるために必要とされた特徴を挙げた。それは次の通りだ。
     寛大である
     勇敢である
     賢明である
     カリスマ性がある
     公平である
     偏見がない
     信頼できる
     機転が利く
     強い
     謙虚である
     狩猟採集民の世界では、リーダーは一時的な存在にすぎず、重要なことは皆で話し合って決める。後にマキャヴェッリが述べたような愚かな行動をとる人は、命を危険にさらすことになる。利己的な人間や強欲な人間は部族から追い出され、飢餓に直面する。結局のところ、食料を独り占めしようとする人とは、誰も食料を分かち合いたいとは思わないのだ。


     しかし、その後デシの疑念を裏づける研究結果が続々と報告されるようになった。一九九〇年代後期にイスラエルのハイファで行われた実験を紹介しよう。舞台は保育所だ。親の四人に一人は、子どもの引き取りが遅く、保育所が閉まってから来ていた。そのせいで子どもはぐずり、職員は残業を強いられた。そこで保育所は親に罰金を科すことにした。遅刻するたびに三ドルだ。
     良いアイデアだと思えるだろう。親にしてみれば、遅刻しない理由が二つになったのだ。すなわち道徳的な理由と、経済的な理由である。
     この新たな方針が発表されると、お迎えに遅れる親の数は……増えた。じきに親の三分の一が保育所が閉まってから迎えに来るようになり、数週間のうちにその割合は四〇パーセントになった。理由ははっきりしていた。親たちは遅刻のたびに支払うお金を、罰金ではなく追加料金と解釈し、子どもを時間内に引き取る義務から解放されたのだ。
     その後も多くの研究が、デシの発見を裏づけた。つまり、状況によっては、人が何かをする理由は多ければ多いほど良いというわけでないのである。時として、それらは互いを打ち消す。

    ■人生の指針とすべき10のルール
    1.疑いを抱いた時には、最善を想定しよう
    2.ウィン・ウィンのシナリオで考えよう
    3.もっとたくさん質問しよう
    4.共感を抑え、思いやりの心を育てよう
    5.他人を理解するよう努めよう。たとえその人に同意できなくても
    6.他の人々が自らを愛するように、あなたも自らを愛そう
    7.ニュースを避けよう
    8.ナチスを叩かない
    9.クローゼットから出よう。善行を恥じてはならない。
    10.現実主義になろう

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    2022年06月12日
  • 隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働

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    【目次】
    第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
    産業革命以降の2世紀で、長く停滞していた世界経済は250倍、1人当たりの実質所得は10倍に増えた。これは中世の人々が夢見た「ユートピア」なのか?
    ではなぜ、うつ病が歴史上かつてないほどの健康問題になっているのか?
    第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
    生活保護や母子家庭手当て、就学援助、幾多ある福祉プログラムを全てやめる。
    そのかわりに全ての国民に、例えば一律年間150万円の金を与える。それがベーシックインカム。ニクソン大統領はその実施をもくろんでいた
    p38
    ハイエクやフリードマンも支持したベーシックインカム
    その考えは、まさに時宜を得ている。
    p40
    ミンカムとは、カナダで行われた初の大規模な社会実験で、世界最大規模のベーシックインカム実験である。
    第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
    ベーシックインカムがなぜ有効なのかは、貧困がもたらす欠乏の害を調査するとわかる。
    貧困はIQを13ポイントも下げる。奨学金や有効な教育プログラムにいくら投資しても、そもそも貧困層にいる人は申し込まないのだ
    p61
    欠乏感を抱いている人間は、短期的な問題を処理するのがうまいのだ。貧しい人々は、短期的には、収入の範囲内でやりくりするのが極めて上手だ。働きすぎのCEOが、取引を巧みにまとめられるのと同じである。
    欠乏はあなたの気持ちを、差し迫った不足に集中させる。五分後に始まる打ち合わせとか、翌日に迫った支払いとか。そうなると、長期的な視野は完全に失われる。
    「欠乏は人間を消耗させる」
    第4章 ニクソンの大いなる撤退
    60年代初頭、ベーシックインカムは、フリードマンのような右派からガルブレイスのような左派まで大きな支持を得ていた。
    それを潰したのは一部の保守派が持ち出してきた19世紀英国での失敗だった。
    ニクソンに渡された報告書
    p84
    世界初の社会保障制度の一つである十九世紀のスピーナムランド制度
    第5章 GDPの大いなる詐術
    ロシア人教授クズネッツが80年前に基礎を築いたGDPは進歩を表す神聖なる指標だ。
    だがGDPは多くの労働を見逃し、医療や教育のサービス分野でも効率と収益に目を向ける。
    人生を価値あるものにする新しい計器盤を検討する
    p110
    「GDPの観点からいえば、アメリカで最悪の家庭は、家族として機能している家庭だ。すなわち、自分たちで料理し、夕食後にみんなで散歩したり、話したりして、子供たちを商業文化に任せっきりにしない家庭である」
    p112
    「コミュニティの中で唯一、ある階層だけが、金のことを金持ちよりもよく考える」とオスカー・ワイルドは言った。「それは貧困層だ」
    p125
    数字による統治は、もはや自分が何を求めているのかわからない国、ユートピアのビジョンを持たない国が、最後にすがる手段なのだ。
    p126
    GDPの考案者であるクズネッツは、その算定に軍事、広告、金融部門の支出を含めることを戒めた。しかし、彼の助言は聞き流された。
    第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
    ケインズは1930年の講演で、「2030年には人々の労働時間は週15時間になる」と予測した。
    ところが、産業革命以来続いていた労働時間の短縮は70年代に突然ストップした。
    借金によって消費を拡大させる資本主義の登場
    p133
    カール・マルクスも、いずれ誰もが、「狩人や漁師や牧夫や批評家でなくとも、朝には狩りをし、午後には釣りをし、夕方には家畜の世話をし、夕食後には批評しあえるようになる」と未来を楽観した。
    p137
    人類は、余暇革命を迎えるはずだった。
    p152
    死の床にあって、「あともう少し会社にいたかった。もう少しテレビの前に座っていたかった」と考える人はいない。
    第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
    「空飛ぶ車が欲しかったのに、得たのは140文字」とピーター・ティールは揶揄する。
    過去30年の革新は富の移動に投資されてきた。
    優秀な頭脳が銀行員や会計士よりも研究者や技術者を選べば、才能はより社会に還元されるのだ
    p156
    仕事とは他になすべきことを持たない人々の逃げ場である。———オスカー・ワイルド
    p167
    グレーバーの分析によると、数えきれないほど多くの人々が、仕事人生のすべてを、自ら無意味と思う仕事に費やしている。
    p168
    いくつかの研究は、管理職が多い国ほど、生産性と革新性が低いことを示している。
    第8章 AIとの競争には勝てない
    産業革命時代、織物工は蒸気機関に仕事を奪われた。
    そして今、AIとロボットが「中流」と呼ばれる人々の仕事を奪う。
    その結果、富の不均衡は極大化する。
    今こそ、時間と富の再分配、労働時間短縮とベーシックインカムが必要だ
    p182
    まず奪われたのは、私たちの給料だ。アメリカでは、平均的なサラリーマンの実質給与が1969年から2009年までの間に、14%下がった。ドイツから日本に至るほかの先進諸国でも、生産性は伸び続けたにもかかわらず、何年にもわたってほとんどの職種で賃金は上がっていない。最大の理由はシンプルで、仕事がどんどん減ってきているのだ。テクノロジーが進歩したせいで、豊穣の地の住人は、世界の数十億の労働者とだけではなく、機械とも競わなければならなくなったのだ。
    p202
    教育と福祉の革命によって第一次機械化時代を乗り切ったように、第二次機械化時代を乗り切るにも、抜本的な対策が必要だ。例えば、労働時間の短縮と、ユニバーサル・ベーシックインカムである。
    p207
    不平等は広がり続け、機械にはできない技術を習得しなかった人は、わきに追いやられる。一方で、裕福で高学歴の人々は結束を固めていく。ヨーロッパではすでに、アムステルダム、シュトゥットガルトやミュンヘンなどにコンピュータ技術者が集まっている。
    第9章 国境を開くことで富は増大する
    西側世界は途上国支援のために50年で5兆ドルを投じてきた。
    だが国境を開けば世界総生産は67~147%成長し、65兆ドルの富が生み出される。
    わずか62人が35億人の総資産より多い富を所有する偏在の要因は国境にある
    p221
    「グローバリゼーション」のこの時代に、母国外で暮らす人は、世界人口のわずか3%だ。
    p257
    新自由主義思想を世に広めたハイエクとフリードマン
    第10章 真実を見抜く一人の声が、集団の幻想を覚ます
    1954年12月21日に洪水が来て世界は滅亡する。
    そう予言した主婦とそれに付き従った人々。
    その予言が外れても信者たちは信念を変えない。
    だが、一人の真実を見抜く人の勇気ある声が幻想を崩し、現実を変えることもある
    終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること
    この本で提案したのは、大きな路線変更だ。奴隷制度の廃止、女性の解放も、唱えられた当初は、正気の沙汰とは考えられていなかった。
    そうした「大きな政治」を左派は思い出し、右派も同調する変革へと進むべきだ
    p268
    スイスの国民投票によってベーシックインカムの議論は終わったのではなく、始まったのだ。
    解説 欧州の新しい知性の登場 日本語版編集部
    p306
    ベーシックインカム制度が導入されれば、日本の生活保護をめぐる様々な問題は一挙に解決するだろう。(中略)小田原市の職員が「保護舐めんな!」とプリントされたジャンパーを揃いで作って、生活保護過程を訪問していたような問題もなくなる。

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    2022年02月18日
  • Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章

    Posted by ブクログ

    そもそも人間の本質は「善」であると唱えている。
    「性善説」を人類の歴史、集団心理などから切り込んで持論を展開。
    人間は善の仮面をつけた悪に誘惑されやすいという。
    なぜか。
    それは私たちは共感することで寛大さを失い、少数者に対してその他大勢を「敵」と見るからだという。
    その心理状態なんとなくわかる。
    興味深い実験があった。
    子供たちに赤と青のTシャツの好きな方を選ぶ実験をすると、青のTシャツを多く選んだ子達が、赤のTシャツを選んだ少ない方の子達をいじめるようになる。
    人間の心理は既に子供のころに、このような心理になることがわかる。

    だが、人間の本質は「悪」ではなかった。
    過去の心理状態の実験の数々は真実でなかったことをブレグマンは独自目線で解き明かしていく。
    無人島に着いた少年たちが残虐な行為をしていく「蠅の王」では、実は少年達は互いに思いやり、生き延びたこと、「スタンフォード監獄実験」では看守役が囚人を殴るのは役を演じていたことがわかる。

    他者に寛容でお互いが良い関係であること、
    それは、全ての人が勝者になる。
    許すことができれば反感や悪意にエネルギーを浪費しないですむ、
    「人生の指針とすべき10のルール」の中で人を人として更生させていく矯正施設ノルウェー刑務所の例を挙げている。
    刑務所の所長が言う。「汚物のように扱えば人は汚物となる、人間として扱えば人間らしく振舞う」と。
    この刑務所の出所後再犯率の低さは世界最高だという。
    更生後の人は社会で働き税金を納め、再び犯罪を犯すことが低くなっている。
    これぞウィンウィンの関係になると説く。

    そして人は思いやりの心をもち寛容である、弱気者に手をさしのべる、本来そういう生き物であると結論づけている。
    それでは地球温暖化や凶悪事件など人類が起こした問題はどのように捉えたらよいのか。
    歴史が繰り返した数々の問題があるからこそ、人間の本性の原点に目を向けるよう気づかせてくれたのでは。

    私たちにできることは何か。
    他人の失敗や発言を非難したり、ダメなところが目についてしまいがちな心に、思いやりを持って接していく、よいところを見る、そういうところから始めてみようと思う。
    人は人を許し、受け入れて前を向かって歩いていく、人に対して新しい視点に立ち接していくことを教えてくれた、とても良い本に出会えた。

    多くの人に読んで欲しい本です。 

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    2022年02月10日
  • Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章

    Posted by ブクログ

    ハラリ大先生の帯文通り「人間観を一新させてくれる」一冊。
    「人間の本質は善か?」というシンプルかつ大きな哲学的問い、すなわち性悪説(ロック派)と性善説(ルソー派)どちらに寄って立つべきかを、様々な角度から問うていく。

    往々にしてロック派の論拠とされる数多の歴史的通説(ex:イースター島の悲劇、ホロコースト)や心理学実験(ex:ミルグラム、スタンフォード監獄実験)、多くの凶悪事件(ex:キティ殺人事件)の真相を徹底的に暴き出すことで、これらが(あるいはこれらに対する意味認識が)歴史家や教授、メディアがつくりだした虚構であると断言する。
    一方で、第一次世界大戦中のクリスマス事件をはじめ、ルソー派に寄って立つべき論拠を多数引用することで、「人間の本質は善である」と一貫して主張する。

    有名な学説、実験の数々が実は恣意的に造られたものであったこと、そしてそれが暴かれていく過程に知的好奇心が多いに湧き立つとともに、まさに帯文通りページを繰るごとに「人間観が一新されていく」感覚を得ることができた。
    上下巻通して興奮止まらぬ読書体験で、本当に読んでよかった。全ての人に勧めたい、素晴らしい作品。

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    2022年02月07日
  • 隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ベーシックインカムを知るため読んだ1冊。
    ええやんBI。他にも関連書籍を読んでみたいー

    1章
    18世紀より豊かな今はユートピアか?
    なぜ今うつは10代の若者の最大の健康問題になっているのか?自分は特別な人間と考える若者は1950年の12%から今日では80%、あなたはなりたいものになれる、と自己愛を育てられて…社会に出た途端、そこは過酷な競争社会となっている。そこでは失敗も自己責任なのだ。
    格差は心を壊す。

    2章
    BIが有用である旨の世界各国の研究。
    選択肢を得た人間は怠惰にはならなかった。
    2009年イギリスや、1970年代カナダのミンカム実験。
    減少…栄養失調、犯罪、10代の妊娠、酒タバコの消費。
       ヘルスケア費。
    増加…学校成績、経済成長、男女平等、小規模ビジネス。

    3章
    1997年チェロキー族のカジノ。
    貧困は休めない。資金繰りに思考リソースを取られて、他への認知能力を常時押し下げられるので、申込手続の煩雑なプログラム…思考リソースを消費する福祉…に申し込む事を貧困家庭は思いつけない。長期的視野も奪う。

    5章
    ロシアのクズネッツが80年前に築いたGDPは戦争生産能力に優れた指標。人生を価値あるものにするには新しい指標が必要。WikipediaやSkypeはGDPを下げる。

    7章
    1968年NYのゴミストライキと非常事態宣言。
    富の創造より移動に税制優遇され、優秀な人材は移動に投資された。

    8章
    ロボやAIは人より生産性が高いが、車は買わない。

    11章 終章
    再選を望む政治家は極端なアイデアを敬遠する。急進的な物、オヴァートンの窓の外にある物を比較的穏当に見せるには、更に破壊的なアイデアを公表するのが戦略。

    (著者の立ち位置からかソースノートの参照先は本よりもURLが多い…信憑性はもう本もURLも同等なんですかね。存じ上げず)

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    2021年02月03日
  • 隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働

    Posted by ブクログ

    働かなくてよいのなら働きたくない身として、さらに世界は不平等だなと思う事多々なので気になってた本。一部の金持ちだけが牛耳る世界は嫌だし明らかに今後仕事は減ってくだろうしまぁ不安だらけの世の中だけど、まだやれることはありそうねと少し元気づけてくれる内容でした。さて、どこから手をつけたらよいか考えないとね。

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    2018年06月12日