ルトガー・ブレグマンのレビュー一覧
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隷属なき道 ルトガーブレグマン 文藝春秋
AIとの競争に勝つベーシックインカムと1日3時間労働
原題を「UTOPIA FOR REALISTS」と言う
この本でグレグマンが主張することを一言で表せば
狩猟採集時代の自在性と対等性を取り戻すということだ
個々がそれぞれに中心となって手段として自主的に集う
全体観である
嘘と秘密を無くして透明度の高い再分配の徹底を目指し
押し付けられた社会的価値観による労働環境を必要最小限にし
権力による縄張りの理不尽な国境線を取り払うことによって
個々の自由な裁量と切磋琢磨によって競争世界を卒業し
個性という凸凹を補い合う相乗効果をもたらすと言うものだ
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人間本性の性悪説を支持する研究や言説を叩き潰す。著者のブレグマンはオランダのジャーナリスト・歴史研究者。
上巻で印象的だったのは、ゴールディングの『蠅の王』の章。彼がノーベル文学賞をとった時、私の反応は「えっー」だった。この反応の理由をブレグマンが明快に説明してくれている。
アメリカで行なわれた悪名高い社会心理学的研究をめぐる章も印象的。彼によれば、ジンバルドーのスタンフォード監獄実験は、やらせと演技と演出。ミルグラムの電気ショック実験(別名アイヒマン実験)は、「権威への服従」という無理筋の解釈。「冷淡な傍観者」研究の発端となったキティ殺人事件は、マスメディアの脚色と歪曲(だとすると、研究その -
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共感はブラインドスポットを作り出し、それは即ち悪を生み出す。
繋がりが多様になった現代。自分ではない存在を知ることは容易で、自他の境界が数多存在する。それは自分にスポッとを、他者がブラインドスポットになることにも繋がり、また、繋がりがある者同士でしか共感しないことに拍車をかける。
そうして悪が加速した。
そして、共感しない人がトップに躍り立つ。
ブラインドスポットに共感しない者が、ブラインドスポットを敵とみなし、そこに共感力が高い人がフォローし付いて行く構図になる。
それで正しいのだろうか?
そうして起きた戦争、迫害、犯罪…はこれらの延長線上にある。
しかし気付いた。私たちには理性がある、 -
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『ほとんどの人は、本質的にかなり善良だ』
この本は、この一文に向き合い、世界中の事例から証明しようとする本だ。
上巻では、無人島に残された少年たちは争い、ホッブズの「万人の万人に対する闘争状態」に陥ることを小説にした『蠅の王』を覆す『本当の蠅の王』の話から、
ジャレド・ダイアモンドが証明したイースター島の歴史を覆す話、
ミルグラムの電気ショック実験の真実、
キティ(スーザンジェノヴィーズ)の死で有名になった「傍観者効果」の真意、
そして、報道による読者への方向付けの注意喚起までを著している。
導入であり問である『人は本質的に善良だ』に対し、日本で生まれ、26年間生きた僕は、「そう思う。」と -
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これは希望に満ちた本である。
そして、真実というのはとても見えにくい事がある
・ほとんどの人は本質的にかなり善良だ
・ルソーの思想が正しいのでは?
・過酷な環境になると人は善良に動く
・本当の「蝿の王」はびっくり、本と真逆であり、とても心暖まる話だった。
・協調が重要
・「利己的な遺伝子」はホッブズ流
・アーレントの重厚な哲学(人間は善を装う悪に惹かれる)
・コミュニケーション、対決、共感、抵抗が重要
・人間の本性についてのわたしたちの見方が間違った方向に進みがち
・ジャーナリストは、扇情的な話を売るために容易に世論を操る
・緊急事態において、いかにわたしたちは互いを頼りにできるか -
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上巻で、人は性善説に基づいていると説いており、この下巻では、現在の戦争などがなぜ起こっているのかを解説し、どうすべきなのかが説明されています。
狩猟採集時代には、人は皆平等であったのが、農耕が始まることで、なぜ身分差や貧富の差が発生したのか。それは、元々肥沃な河川流域で、安定した生活を始めた人々が、人口が増えることにより、得られた食物等を巡って争いが起こり、それを統治するために神などの概念を持ち出したのだとか。
現在も資源などを巡って争いが絶えません。しかし、過去に日本やドイツが敗戦が濃厚であるにもかかわらず、兵士が戦い続けました。それは、宗教や思想、統治者への信仰などではなく、仲間を助 -
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ネタバレベーシックインカム、週15時間労働、国境の開放。過去最大に反映したユートピアだけど幸せを感じないのは何故か。より良い世界を思い描くことができないから。資本主義では現代の豊ぎょう?の地を維持できない。福祉はいらない、直接お金を与えればいい。福祉の複雑なシステムのコストを考えれば財源的にも実現不可能ではない。欠乏の心理。判断力が下がる。同じように貧困も個人のIQを13低下させる。ニクソンはベーシックインカム導入の直前まで行ってた。スピーナムランド制度の報告書問題。GDPが見逃している労働は身の回りに多く存在。お金が動かないとカウントされない。進歩による安価の計算もできない。クズネッツ。富の創造では
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表紙では、ベーシックインカムの導入、一日3時間労働の主張が強調されているが、多数の統計・実証的研究に基づいている地に足の着いた本。貧困が人の長期的な視野・冷静な判断力を奪うという分析は衝撃的だった。
著者の支持するハイエクの新自由主義がどこまで正しいかはわからないが、福祉をやめベーシックインカムを平等に分配することが、むしろ自立につながる、という主張はよく理解できる。ベーシックインカム導入はともあれ、平等な負担で貧困を解消しないと、既得権益(?)を受けている高齢者の福祉制度を維持することも困難となり、共倒れになる。そこでま現状が来ていることを再認識させてくれる一冊。