町屋良平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ“何かをかんじそうになったら、走るしかない”
衝動、動機はいろいろあるけど誰しも頭の中がぐちゃぐちゃになって、それでも何かしないといけない。
そんな瞬間があるなーということを読んでいて強く感じました。
主人公にあたる秋吉は些細なことまで”思考”してしまう、いわゆる考えすぎてしまう節があって行動できない、そんな自分が嫌になる。程度は違うけど自分にもたまにそんなことがあるなーと感情移入してしまいました。
対照ににするべきことを、するべきタイミングで行動に移せるハルオや梅生が秋吉と同じく羨ましい気持ちで眺めていたけど、小説のラストそんな2人にも抱えているものがあって、当たり前だけど誰しも大小の悩みや苦しみを持っていることに気付かされました。
ひらがなが多く使われていたりしていて、少し読みづらい印象もあったけど、それが敢えて人の心の難しさを小説という文章から伝えてくれていたのかなと読み終わってから思いました。 -
Posted by ブクログ
読書開始日:2022年5月30日
読書終了日:2022年6月2日
所感
自分ってどこにも無い、がテーマなのか。
面白いけど難しい作品だった。
度々仕事の話が出てきて、自分も身に覚えがある。
仕事をしてる時の記憶が全く無い。
かといって通勤前、通勤中、通勤後もあるかと言われれば、無い。
1週間全てを思い返してみても、無い。
無いというより、自分が過ごしたものとしての実感が無い。
年を増すごとに、今しか、記憶が無い。
今しか、記憶と自分が合わない。
違和感。
それを抱えながら過ごす。
自律神経がズタズタになりながら進む。
進んだ挙句が、菅。
カメラを向けられる=役割を振られることで、逆に自然に振る舞える。だけどそこに記憶は無い。今を延長するための薬物。
救いがないな
スターを見極めることは永遠にできない。取り替え不可能性だけが眩しい。
法人格や制度から離れ自分自身の身体に戻る体力
どんどん自分たちに似ているものを取り込んだ自己愛の凝り固まった世界で他を疎外する快楽は、加害のことった実績を伴い、理屈なく身体は怯んで自律神経がズタズタになった。
営業というもの自体が多くの虚業
ひととおり提案はなせども、誇大広告が言えない
わざとっていうのは違うにしても、無意識なんかじゃないでしょ
持ち前の先入観の希薄さ
スターを見極めることは永遠にできない。取り替え不可能性だけが眩しい。
物語が地に落ちる
鬱でいる自由もある
身体をビジネスにする
法人格や制度から離れ自分自身の身体に戻る体力
お前こそが俺の親友と負の部分だけを相手に負わせる怠惰な間主観性
身体より先に脳が疲れるふたり
ひとりひとりのやってる感がオーケストラめいた圧
人生相談に擬態したマウンティングに曝される
どんどん自分たちに似ているものを取り込んだ自己愛の凝り固まった世界で他を疎外する快楽は、加害のことった実績を伴い、理屈なく身体は怯んで自律神経がズタズタになった。
演技の上手い人間特有の緊張のなさ、そして緊張させなさ
自分の自殺に他人を巻き込む
脳と身体のバランスが崩れて自律神経を乱す
無邪気に別人格を、今しない人格の体を応援してくれちゃって
ゴシップを俺、私に書く -
Posted by ブクログ
読書開始日:2022年2月16日
読書終了日:2022年2月18日
所感
【青が破れる】
秋吉は、自分にしか矢印が向かない。自分が1番可愛いと思っている。
だから夏澄のSOSも、ハルオの状況も、とう子の心理も分からない。そしてそのわからないという状況により茫洋する。浸る。
そんな秋吉と関わろうとする人間は、恐らく自分に関心を向けられないことにどこか安らぎを覚えている。自らも無駄な関心を向けなくていいからだ。
関心は嫌でも向いてしまう。とう子とハルオの関係がそうだ。とう子は確率で死ぬため他の関心ごとは捨てきれても、ハルオへの関心だけは捨て去らなかった。他を切り捨てただけに、その関心は強固になる。だから疑心暗鬼にもなる。ハルオも同じ。
この二人は秋吉をクッションとして利用した。クッションは安らぐしね。
湖のほとりで疑心暗鬼から解放された2人を見て、秋吉も自分自身への矢印から解放されはじめたが、つけが回る。
夏澄が死ぬ。
ハルオが鬱による荒れた生活の果てに死ぬ。
とう子が昏睡の中死ぬ。
傾向に気づかない秋吉。
夏澄を浴びる夏澄の息子陽に勃起する秋吉。
そんな秋吉には、梅生が持つ統制されたブルーな情は訪れない。
破れるどころか元から持たざる者。
【脱皮ボーイ】
強烈な安堵。
架空の利益。
アイスクリームのシーン、脱皮を母にしか伝えていないシーン。
かのじょは母性のみでそこに恋情はなかった
【読書】
こういう考え方本当に好み。
無意識の部分でなにかを感じ取っていたり。
身体の部位や細胞レベルで何かに反応していたり。
そういう可能性を考えると楽しくなる。
読書中に急に文字を追えなくなることがある。こんなことも、上記のような考え方をすると途端にドラマチックになる。
最後のシーンの不意に出る涙に、感覚の鋭い赤ん坊だけが気づいているシーンがとても良かった。こんな短いのに季節を鮮やかに感じた。
好きな作品。
【青が破れる】
とう滑稽でなければひとといっしょにいられないとだもおもっているような性癖が、とても嫌だった
スタミナとは勇気、そして試合が終わるまでは終わらないという意思という名のシステム
もはや性欲で恋情を二乗していくような振る舞いはできない
だれしも嘘はいやがるのに、ほんとうのことを伝えないことはやさしいことだとおもっている
あいにいったら、それはおれの欲情であり、香澄さんの孤独であ。、それは情熱を装うけど、こんじつは空しい
人間は、季節の違いを気温なんかでは把握していない
茫洋
居場所が用意されすぎている感じ
梅生が単純な物質には満足し足りないことは分かっていた
そんなたまじゃないでしゃ
ボクシングと夏澄は同じ
痺れた思考が、この世をおうか
統制された感情はどこまでもブルー
他人に関心のあるひとのかなしみを、他人に関心のない人のかなしみを、秋吉さんはどっちもわからない
【脱皮ボーイ】
セックスの合間に、いっぱいいこう
瑣末 -
Posted by ブクログ
ネタバレ埼玉、少年期に過ごした昭和のマンション、元荒川、出版社勤務、男性、ゆううつ。
条件を共有した三つの"かれ"は、もしかしたら同一人物でないのかもしれません。そのぐらい自己同一性を失ってしまったという暗喩なのかも。
かれが語る言葉は、ぶつ切りになった時間の中を漂うように虚ろで幼く感じました。身体は新陳代謝されるのに、思考や感覚や記憶が代謝されないとは限らないよね?と問われた気がします。
過去と現在と未来、昨日と今日と明日。
実家と自宅と会社、家族と友人と恋人。
ペルソナを使い分ける社会性のほうが、もしかすると不健全だなあと思います。記憶や関係性や、誰かに同化してしまえたら楽なのに・・・そんな自我のゆらぎを捉えた連作でした。 -
Posted by ブクログ
小心者の駆け出しボクサーの心情の推移を描く。
◇
自分の才能への懐疑や負けることへの恐怖を小手先でごまかそうとしていた小心な「ぼく」だったが、ある日、先輩ボクサーのウメキチが「ぼく」のトレーナーに就任する。
半信半疑でウメキチの組んだメニューをこなしていったところ……。
2019年芥川賞受賞作品。
* * * * *
小心者のボクサーだったはずの「ぼく」が、ウメキチという先輩ボクサーとの出会いによって変わっていく様子が面白い。
トレーナー・ウメキチのトレーニングメニュー。「ぼく」用に考えられたものではあるのだけれど、がむしゃらに取り組む気になれない「ぼく」は、ただ淡々とこなしていました。
すると、どうしたことか、試合が近付くにつれ、まるで薄皮が1枚ずつ剥がれるように小心な「ぼく」が薄れていき、半ば狂気を孕んだ不遜な姿が現れてくるのです。
映画『ロッキー』とはかけ離れたボクサーの姿でまったく格好よくないのですが、不思議に説得力がありました。
試合の行方が気になります。 -
Posted by ブクログ
淡い色の金平糖を常温の水に入れて優しく転がしたような、物足りない甘美さのある一冊。小説ってこういうのだよなぁと思った。意味分からんところとストーリー性の比率が自分にとってはちょうど良かった、なんというか曖昧さとか不明瞭さが邪魔になってない、ちゃんと余韻になっている。登場人物のすべてを簡潔に説明しなくたっていい。そのバランス感覚が肌に合う。
恩田陸の「蜜蜂と遠雷」を思い出したけど、ピアノってほんと小説に向くなぁ。どちらもピアノ奏者を介して、あらゆる表現のスペースを獲得しているというかなんというか…誰かや何かを宿らせたり人格憑依させるの、RPGにおける魔法のエフェクトみたいなもんで、何か引き込まれるものがある。
独特な鉤括弧の使い方や多用される平仮名も、意図は汲みきれんけど読み進める上で邪魔にはならない。文体も好き。
あと、34項「すきな相手にすきと告げる鮮明な言語化は、いちど経験したら病みつきになった」にはめちゃくちゃ同意した。そうそうそうなんだよってなった。これなんでなんだろうな。