町屋良平のレビュー一覧
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淡い色の金平糖を常温の水に入れて優しく転がしたような、物足りない甘美さのある一冊。小説ってこういうのだよなぁと思った。意味分からんところとストーリー性の比率が自分にとってはちょうど良かった、なんというか曖昧さとか不明瞭さが邪魔になってない、ちゃんと余韻になっている。登場人物のすべてを簡潔に説明しなくたっていい。そのバランス感覚が肌に合う。
恩田陸の「蜜蜂と遠雷」を思い出したけど、ピアノってほんと小説に向くなぁ。どちらもピアノ奏者を介して、あらゆる表現のスペースを獲得しているというかなんというか…誰かや何かを宿らせたり人格憑依させるの、RPGにおける魔法のエフェクトみたいなもんで、何か引き込まれるものがある。
独特な鉤括弧の使い方や多用される平仮名も、意図は汲みきれんけど読み進める上で邪魔にはならない。文体も好き。
あと、34項「すきな相手にすきと告げる鮮明な言語化は、いちど経験したら病みつきになった」にはめちゃくちゃ同意した。そうそうそうなんだよってなった。これなんでなんだろうな。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「1R1分34秒」と同じくボクサー志望者が語り手。
なかなかよい中編。
ピザデリバリーを喰っちゃう有閑マダムとか、悪い意味で漫画的。
「serial experiments lain」を連想。奥さん米屋ですとかも。
また村上春樹も連想。つまり男性作家の悪い意味での女性幻想。
そして難病美女がタバコを吸って、というのも、また。
なのに、いいんだなあ。やはり、文体だなあ。
そして「人が関連するという事象」が、この小説においては、なんだか、いいんだなあ。
語り方が好きになるから、作者が好きになって可愛く見えてくる。この作風、得だなあ。 -
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前から少し気になっていた作家さん。
好き嫌いが分かれる作品だな、と読んでみて思った。独特とも言えないが少し癖のある文体と平仮名と漢字の絶妙な使い分け。そのせいで読みづらいな、と最初は感じるけれど、私は読み進めていくうちに慣れていった。どっぷりハマったという感覚はなかったけどこういう本もあるんだ、というような、新しい音楽のジャンルを発見したときのような喜びがあって、それがこの本への抵抗感を薄めてくれた。文章自体も小難しさがなくて分かりやすいから物語もすんなり流れ込んできて、いつの間にか読み終わっていた。
ボクサー志望の秋吉、友達のハルオ、ハルオの彼女のとう子、ボクシング仲間の梅生、そして夫子のいる恋人の夏澄。5人の人物が織りなす日常には劇的なドラマはないが、ただ流れる日々が気持ちよく描かれている。 -
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女性の書き手が綴る身体や性にまつわるエッセイ「私の身体を生きる」の、男性版。
女であり女であることに違和感なく生きてきた私にとっては、女性の書いたものの方が当然共感するところは多かったけれど、男性たちの綴る文章もとても興味深かった。
男女問わず、どんな属性の人だってそれぞれ尊重されるべきではあるけれど、同質である必要は全くないなと改めて思う。
女性と比べて、身体やジェンダー、性のことを直接的に書いている人がかなり少ない印象を受けた。
と同時に、男性が男性性を語ることの難しさとはこういうことかと納得させられる。社会において強い側とされる側が何をどう語るのか、語って良いのか、難しいのかもしれないけれど、もう少し踏み込んだ内容が読みたかったな、というのが正直な感想。
身体より社会、に意識が向いているように感じた。
その中でも田中慎弥さんの偏屈さが滲む文章がとても好きだった。好きだったとかも言われたくないのかなとか思っちゃう。なんだかいじらしい愛しさがある。
最後の最後で朝井リョウが‘やっている’。
両手を掴んでいたはずなのに、その手を掴んだまま大きく振り回されて、遠心力で吹っ飛ばされたような気持ちで本を閉じた。
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初町屋。芥川賞受賞作。ボクシング。純文学に適した題材のように、思う。自分をとことん見つめ、試合に臨む。
新トレーナーに代わってからグッと魅力的になった! 何でだろう…。己のことを自分以上にわかっていたからかな。前のトレーナーはなんか実体が伴ってない感じがしたんだ、何故か…。たの度々出てくる『対戦相手と仲良くなる』ってのは、なんだろう? 仲良くなる=解り合える、対戦相手とはもうひとりの自分。自分をわかる即ち、己のことをより理解するってことかな? 格闘技って、相手に勝つ前にまず自分に勝たないとダメだと思う。トレーニングをし、厳しい減量にも耐え——それは相手も同じこと。道中あれだけもがき苦しんで、彼が得たものとは一体なんだったのか…。
読み終えた後、表紙のタイトルを見た。これしかないなと、わたしの頭の中に「カーン!!」と小気味のいい音が鳴り響きました(^^) 星三つ半。 -
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大学時代に好きだった冬美を友達の照雪に取られるところだとか、弟の年上彼女を好きになってしまう所だとか、急に部屋をベッドだけにするところとか残念男性という感じでなぜこの行動に至ったのか??って思うところが多々…(´;ω;`)
時系列がとにかく分からなくて、大学時代、野球サークルの新歓だと思ったらインドでセリナを口説いていて、と思ったら弟の彼女、心佳ちゃんを好きになっていて。???私は今どこにいるの??って感じで、ショートストーリーをそのまんま繋ぎ合わせた感じだった。文章の言い回しは好き。冬美のことは大切に心にしまいながら、他の心惹かれる女性に出会って欲しい。最終くらいにある、弟に殴られる下りは本当によく分からない(?)