初出 2019年「新潮」4月号
芥川賞とったら文芸誌1回掲載で単行本になるのね。
タイトルの「コンテスタント」はコンクールに挑戦する人という意味らしい。これを知らない人は読んでも面白さが十分わからない。
クライマックスでショパンのコンチェルトop.11といわれてもピンとこないので、読み終わってからYouTubeで聴いて「ああこれね、ピアノは4分待つんだね」と思うような人間には理解が浅くなるのだろう。
主人公が書く小説の出だしがたくさん登場し、現実と入り混じって進行するのは面白い。というか、小説に書いた事を面白がって実行もする。
「 」に入れられたセリフと、入れられてないセリフが交互に置かれたりして、目新しいけどどうなんだろ。
音大のピアノ科に入ったが周りの才能に挫けて半年でやめた主人公は、唯一の音大の友人源元に勧められて小説を書き始め、源元の彼女が勤めるファミレスで深夜のバイトをして暮らす。
家にいづらくてアパート暮らしをすると源元が入り浸り、ショパンコンクールの映像を見て語り合うのだが、このくだりがダンタイソンの弟子の入賞の話だとか、なかなかに専門的でわかりにくい。
源元の彼女の潮里に惹かれて「好き」と言うがうまくあしらわれて、この潮里なかなかの人物。他に調理担当のバイト寺田は名古屋の金持ちの坊ちゃんで、みんなを連れてふらりと旅に出たりするのだが、寺田の分身のような彼女チカに振られたと言うので、源元のコンクール当日に、ゲネプロをキャンセルしてまでみんなで名古屋まで行ってチカを連れて来るが、チカは消失する。
クライマックスは、コンクールで久々のファイナリストになった源元が、オケとショパンのop11を弾き、崩壊しかけて踏みとどまるが入賞しない。