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Posted by ブクログ
表題作の「青が破れる」に「脱皮ボーイ」「読書」の短編、さらに「青が破れる」のマンガ、尾崎世界観との対談も併録された短編集。
何はともあれ、「青が破れる」である。文庫の紹介文に文藝賞の際の評価なんだろうけど、藤沢周、保坂和志、町田康が絶賛したこともわかる佳作。
文章の長短、リズムの変化、淡々とした描写など、作者が小説を使って新たな表現というか体験を描こうと模索していることがよくわかる。それは例えば次のような文章に表れていると思う。
「ハルオの彼女は、「ボクシングやってるの?」とはいわなかった。/「はー、空がたっかー」/といった。」
「夏澄さんに/・・・・・・ きて/とまたいわれ、夏澄さんちにいく。午前十時。/着いた瞬間に、「よかった。はやくきてくれて、ありがとう。留守番お願い」といわれた。鍵を摑んだまま、玄関の前に立ち塞がるように待っていた。/夏澄さんに「ありがとう」なんていわれるのは、初めてのようなきがした。」
ひとつ目は表紙にも引用されているので印象的だけど、二つ目は適当にページを開いて目についたものの引用だ。まあ、全体的にこんな感じで終始文章を味わいながら読ませてもらった。
短編「脱皮ボーイ」「読書」は「青が破れる」とはまた少し文章のテイストが異なる。「読書」は古井由吉や松浦寿輝を思い出させた。
芥川賞受賞作も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
読書開始日:2022年2月16日
読書終了日:2022年2月18日
所感
【青が破れる】
秋吉は、自分にしか矢印が向かない。自分が1番可愛いと思っている。
だから夏澄のSOSも、ハルオの状況も、とう子の心理も分からない。そしてそのわからないという状況により茫洋する。浸る。
そんな秋吉と関わろうとする人間は、恐らく自分に関心を向けられないことにどこか安らぎを覚えている。自らも無駄な関心を向けなくていいからだ。
関心は嫌でも向いてしまう。とう子とハルオの関係がそうだ。とう子は確率で死ぬため他の関心ごとは捨てきれても、ハルオへの関心だけは捨て去らなかった。他を切り捨てただけに、その関心は強固になる。だから疑心暗鬼にもなる。ハルオも同じ。
この二人は秋吉をクッションとして利用した。クッションは安らぐしね。
湖のほとりで疑心暗鬼から解放された2人を見て、秋吉も自分自身への矢印から解放されはじめたが、つけが回る。
夏澄が死ぬ。
ハルオが鬱による荒れた生活の果てに死ぬ。
とう子が昏睡の中死ぬ。
傾向に気づかない秋吉。
夏澄を浴びる夏澄の息子陽に勃起する秋吉。
そんな秋吉には、梅生が持つ統制されたブルーな情は訪れない。
破れるどころか元から持たざる者。
【脱皮ボーイ】
強烈な安堵。
架空の利益。
アイスクリームのシーン、脱皮を母にしか伝えていないシーン。
かのじょは母性のみでそこに恋情はなかった
【読書】
こういう考え方本当に好み。
無意識の部分でなにかを感じ取っていたり。
身体の部位や細胞レベルで何かに反応していたり。
そういう可能性を考えると楽しくなる。
読書中に急に文字を追えなくなることがある。こんなことも、上記のような考え方をすると途端にドラマチックになる。
最後のシーンの不意に出る涙に、感覚の鋭い赤ん坊だけが気づいているシーンがとても良かった。こんな短いのに季節を鮮やかに感じた。
好きな作品。
【青が破れる】
とう滑稽でなければひとといっしょにいられないとだもおもっているような性癖が、とても嫌だった
スタミナとは勇気、そして試合が終わるまでは終わらないという意思という名のシステム
もはや性欲で恋情を二乗していくような振る舞いはできない
だれしも嘘はいやがるのに、ほんとうのことを伝えないことはやさしいことだとおもっている
あいにいったら、それはおれの欲情であり、香澄さんの孤独であ。、それは情熱を装うけど、こんじつは空しい
人間は、季節の違いを気温なんかでは把握していない
茫洋
居場所が用意されすぎている感じ
梅生が単純な物質には満足し足りないことは分かっていた
そんなたまじゃないでしゃ
ボクシングと夏澄は同じ
痺れた思考が、この世をおうか
統制された感情はどこまでもブルー
他人に関心のあるひとのかなしみを、他人に関心のない人のかなしみを、秋吉さんはどっちもわからない
【脱皮ボーイ】
セックスの合間に、いっぱいいこう
瑣末
Posted by ブクログ
前から少し気になっていた作家さん。
好き嫌いが分かれる作品だな、と読んでみて思った。独特とも言えないが少し癖のある文体と平仮名と漢字の絶妙な使い分け。そのせいで読みづらいな、と最初は感じるけれど、私は読み進めていくうちに慣れていった。どっぷりハマったという感覚はなかったけどこういう本もあるんだ、というような、新しい音楽のジャンルを発見したときのような喜びがあって、それがこの本への抵抗感を薄めてくれた。文章自体も小難しさがなくて分かりやすいから物語もすんなり流れ込んできて、いつの間にか読み終わっていた。
ボクサー志望の秋吉、友達のハルオ、ハルオの彼女のとう子、ボクシング仲間の梅生、そして夫子のいる恋人の夏澄。5人の人物が織りなす日常には劇的なドラマはないが、ただ流れる日々が気持ちよく描かれている。
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