町屋良平のレビュー一覧

  • 1R1分34秒(新潮文庫)

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    町屋さん、芥川賞受賞のボクシング小説

    プロボクシングの試合って、独特だ
    何ヶ月も準備して、命を文字通り削って試合をして、それまでの準備の全てが、たった数分の試合で試される
    だからこそ、負けの記憶は全ての否定として残る
    だからこそ、勝負に上がることはとても怖い

    その全てを、曖昧化した主人公の一人称で描き切った筆力
    気がついたらのめり飲まされるリズムよい筆致
    ウメキチや友達との奇妙な関係の魅力
    なにより、「ぼく」自身の弱さと強さ
    これはボクシングなんてやったこともない読者を問答無用でリングにあがらせ、己の生き方を問わせる(こういう比喩をすると友達に怒られる!)暴力的な作品
    なんと曖昧で鮮やかなんだろう

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    2021年12月26日
  • 青が破れる

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    ネタバレ

    感覚と哲学的なものがうまく混じり合ったみたいな文章が、不思議で心地よかった。
    「青が破れる」ではコーラでうがいをするシーンが印象的で、夏澄さんの存在がめちゃくちゃスパイシーだった。上手く言えないけれど、とにかくスパイシー。
    「脱皮ボーイ」では、「なんてカワイイのかしら!」と場違いな感想に思わず笑ってしまった。全体的になんとなく綺麗だとは思えなかったが、それが愛おしく感じた。
    「読書」が3作品のうち最後にあったことで読み終わった時の爽やかさが最高だった。

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    2021年04月28日
  • ショパンゾンビ・コンテスタント

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    ネタバレ

    某ゾンビ小説のピアノ版か?
    期待は良い方へグゥーンと軌道修正。
    まさかまさかの純文学。
    どこを開いても読んでもこれは素晴らしい。
    サラッと読み飛ばそうと思ったけれど思わず熟読。

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    2019年12月11日
  • 身体を記す

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    表紙がピンと来て内容も見ず、予約して読みました!
    朝井リョウの文章って何が他の人と違うんやろ?
    特別脳に入ってくる
    何が違うのか考えながら読んでも分からなかった

    他いいなとおもったのは
    小池水音、大田ステファニー歓人、
    古川真人、春日太一

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    2026年09月26日
  • IDOL

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    町屋良平さん初読。
    どんなテンションで読んだらしっくり来る?と手探りだったが、未来人の設定も面白く、後半に向けて筆者の筆の勢いが増しているように感じつつ、読むスピードも上がった。
     未来人に会ってみたいな。

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    2026年07月29日
  • ショパンゾンビ・コンテスタント

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    ‪町屋良平さんの『ショパンゾンビ・コンテスタント』を読んだ。氏特有の日本語文法を無視した表現や文体が、軽く薄くふわりと綴られる青春の1ページ的な物語に相変わらず良く寄り添っている。いや、いつにも増して青臭いのだけれど。ヒロインが魅力的だ。少なくともこんな女に弱いぞ、僕は、と思った。‬

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    2026年07月12日
  • 1R1分34秒(新潮文庫)

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    ネタバレ

     純文学的スポ根小説。ストーリー自体は特に突飛なものではない。初戦をKO勝ちで飾ったはものの、その後は負けがこんで苦悩する主人公。ボクシングをする意味、勝利の意味、敗北の意味、そしてボクサーである自分の存在や生の意味、何もかもの輪郭が曖昧になっていく。しかし新たなトレーナー、ウメキチとの出会いによって、彼は大きく変わっていく。ぼやけた事物の輪郭に目を凝らすことを諦め、単なる逃避か、最後の希望か、彼はウメキチに全てを託すことに決める。そしてラストシーン、1R1分34秒、彼は遂にKO勝ちを収めることになる。
     この小説の本質は主人公が勝ち取った勝利にあるわけではない。町屋良平が巧みに描く、情けのない、何処にも辿り着かない内省の反復。その輪廻や無力感から抜け出そうと藻掻く、人間の生々しい喘ぎ。主人公の語りこそ冷徹だが、ウメキチよって引きずり出される彼の裸の叫びは、人間という生物の愚かさ、そして美しさを思い出させてくれる。

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    2026年06月26日
  • ショパンゾンビ・コンテスタント

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    ネタバレ

    ショパンコンクールはリアルタイムではないが、毎回夢中になって観る。

    外を歩くときに「木々がさざめき、自然を読む」という表現がとても好き。まだピアノを時々弾いている僕が楽譜を読むように自然を読んでいるよう。

    何かをあきらめることと、ひとつのことに没頭し続けることは、どちらも同じくらい尊く覚悟のいることだと感じた。

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    2026年06月22日
  • IDOL

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    ネタバレ

    これがおまえが「夢」見た「アイドル」だろ。責任とれよ

    SF×アイドル小説は、初の読書体験だった!

    「夢」は未来では軽犯罪になっている。
    そんな未来が、実際に訪れたら、怖いなと思う。

    でも、「夢」を見ている時が、1番輝いてるような気もするんだよな。

    「夢」を追えなくなったら、何を目標にして生きていくんだろう?
    もし、そんな世界を生きることになったら、生きているのがつまらなくなってしまいそうだな。

    本作は、ただのアイドルたちの奮闘記ではない。
    「自分たちの他にも、未来人がいる!?」
    それは、誰なんだろう?というミステリー要素もあった。
    (あ、未来人の正体わかった!)
    そう思ったものの、想像を超える展開に驚いた!

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    2026年06月21日
  • IDOL

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    設定が作り込まれていて
    面白かった

    着地点が気になり
    一気に読んでしまった

    未来の人は嘘を付かないって
    それはなんというか
    安心だろうけど
    人間そう変わらないのではないかな

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    2026年06月09日
  • IDOL

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    未来人が70年後からアイドルしにくる話。しかもサバ番に参加して脱落組でデビューという盛り盛り設定。めちゃ面白い。SF×アイドルってこんな手があったのね。双子で同グルってそれだけで夢ある。3次元で見たことないかも。

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    2026年05月26日
  • 青が破れる

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    ネタバレ

     好き嫌いと言えば、嫌いではない。
    凝った文章で小説が進む訳ではなく、伸びやかに静かに物語は進行していく。「青が破れる」というタイトルから、夜が明け太陽が臨む際の色彩を感じられた。とても静かな朝焼け。そんな印象の一編である。
     嫌いなところは、主要人物の死による退場。作者が登場人物の作品からの退場に「死」を多用することで、死の事柄や儀式性が薄っぺらいものにしてしまい、登場人物のキャラクターや異化効果を低減させてしまう。この点がこの作品の難点に思う。
     あと、小学生でもわかる漢字をひらがなにて表記している点も気になるところだ。
     ストーリーの運びが優れているのに、難もある作品に思えた。

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    2026年05月12日
  • 1R1分34秒(新潮文庫)

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    井上尚弥VS中谷潤人の1週間前・・・・、
    どうしてもボクシング小説が読みたくなり、検索。
    「1R1分34秒」・・・タイトルが抜群に良い。
    試合開始のゴングから、僅か94秒・・・、
    相手を倒す時間なのか?
    アッという間に倒される時間なのか?
    主人公の戦績は、1勝2敗1引分け・・・・。
    興味深く読み進める。
    スポーツ小説というよりも、青春小説・・・。
    「1R1分34秒」・・・が、
    最後の最後に判明します・・・・・。

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    2026年04月26日
  • 1R1分34秒(新潮文庫)

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    考えすぎの、ダメボクサーが溢れんばかりの独白で生きる自体への希求を描いている。行ったり来たりしてる脳内をそのまま写したみたいな文章は迷いとか不安とかを描き切れる。性格も悪くあんまり感情移入できないロクでもない主人公だけど、そのボクサーであること、ボクシングをすること自体が生きる意味になっているって、それは皆うっすら気づいていることで、そこならみんな理解できるんじゃないだろうか。
    時々その人生が繋がっている感じがわからなくなったり見えなくなってしまうこともあるけど、やっぱりその行為と結果の、その関係性においてしか衝動って思い出せないんだと思う。
    僕らはその間を行き来しながらでしか、人生の意味を見出せないってことだと思う。青くてきれいだ。

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    2026年06月25日
  • 1R1分34秒(新潮文庫)

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    芥川賞受賞作ということで、読んでみました。 人間っぽい作品ですが、心の中ってそうやって僕も色々呟いているのかなとも思う。 プロの意識はどこにあるのかの感じ取れた作品でした。 よかった!

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    2026年02月28日
  • 1R1分34秒(新潮文庫)

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     考えすぎて壁にぶち当たっている冴えないボクサーのぼく。代理トレーナーのウメキチとの出会いが彼を変える。パラレルなぼくの存在を意識できたのは彼の成長。なかなか良い作品を読んだ。町田康さんの解説も秀逸だ。

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    2026年02月11日
  • 私の小説

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     「私の文体」「私の労働」「私の推敲」「私の批評」「私の大江」と続く連作短篇集。「書かれる私」と「書く私」のズレに意識的な「私」が、各作のタイトルに書き込まれた概念や固有名をめぐって思考を紡いでいく様子が語られる。あえて社会と文学をつなぐ「問題」を脱臼させて/迂回しつつ、それぞれの作品で架空のテクストを仮構して、それと対話するかたちで語りを展開させていくスタイルは「春琴抄」や「盲目物語」で谷崎潤一郎が採用したそれと通じるが、谷崎は他者の謎を書くためにそのスタイルを採ったのに対し、町屋はむしろ「私」を透明化させず、自明なものとはさせないためにその戦略を採用しているように見える。

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    2025年12月13日
  • ショパンゾンビ・コンテスタント

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    刊行当時、出版社の営業から珍しく営業がかかったことを覚えている。私はウェブマガジンの編集者だった。

    町屋良平の過去作と比べることが許されるなら、この作品は、なんというか当人の「湧き上がる文学的な衝動」(という嘘くさくて軽薄な言い方は極めて失礼と承知)とか、だいたいそれに類する、有り体に言えばモチベーションの種類が異なっていてで、外的要因によって企画され、細やかな取材やリサーチによって固めあげられた作品なのかな、という印象をなんとなく、だかしかし強く受けた。なんでこの作品はこんなに固有名詞が多いのだろうか。

    『しき』にあった福原鈴音のピアノコンクールの場面や、描かれなかったプロセスを、拡大して、細密に言語化したような作品として私は理解した。がしかし、研ぎ澄まされた身体の感覚、運動神経から思考と言葉を立ち上げる天才が、なぜこの本を書いたのかやっぱりイマイチよくわからないし、あくまで個人の感想としてという留保の範囲で、本作をどう位置付けていいのか謎。

    全体としての印象は、他の作品とそれほど変わらないような気がするのだが、細部のあり方がとても気になった(特に中盤まで)。それは前述した作品の成り立ちへの勝手な妄想を根拠づけそうな感じがして、あまり深く考えたくないと思ったりした。

    中途半端なところで書き出した感想は、やはりガタガタに歯車が狂っている。私は動揺して、だが安心している。とはいえ読み終えると、やはり町屋良平は天才なのだから、いつものように食らった。名古屋行きからのコンクールへの怒涛の流れが凄まじい。

    一音目に混じる不協和音、それを引きずりながらも持ち直しはじめる第二楽章、そして悪魔的舞踏センスによる圧巻の第三楽章という源元の演奏は、そのまままさに本作の構造のアナロジーとなる。書き出しを捨てて、アナロジーを成立させることを選んだ町屋良平の文学者的冒険心に圧倒される。

    「青春ぽえむ」という感想を見たが、それは本作を物語としてのみ認識しようとする意思の結果からだろう。これは小説であり、身体と言語と感覚について、いかに描出できるかの実践プロセスそのものだ。だからやはり、人は他人と同じ世界を見ることが基本的には叶わないということを認識させられる。そのことに絶望しつつ、そこにしかない希望というものもあるのだろう。それが文学の追い求めるものなのかもしれないと思ったりする。

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    2025年10月18日
  • 生活

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    最初は「横道世之介」っぽいなと思ったけど、後半は不穏だった。一文が長い独特の文体で嫌いではないけど、読みにくさはあって長く感じた。本が好きな人が読む本だと思う

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    2025年09月05日
  • 坂下あたると、しじょうの宇宙

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    だいぶ昔に読んだので、色々忘れてます。苦笑

    坂下あたるは詩を書く。
    その詩は素晴らしい。
    だけど、彼女からは塩対応。
    それでも彼女を愛する坂下あたる。

    そんな彼に感化されて、
    密かに詩を作る佐藤毅。

    二人の高校生に事件が起こる。
    坂下あたるの文章がネット上で盗作、改竄される。

    坂下あたるは書くことをやめてしまう。

    毅はどうするのか。
    大切な友人のピンチを救えるのか。

    どこか懐かしくて、
    読後も良いので、
    青春小説読みたい方はぜひ!

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    2025年08月17日