【感想・ネタバレ】私の小説のレビュー

あらすじ

破壊的じゃない「私」の人生はつまんない――? 芥川賞をとってなお自分に自信が持てない作家が、この世界を言葉で立て直す。第48回川端康成文学賞受賞作を含む〈新しい私小説〉連作集。

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Posted by ブクログ

 「私の文体」「私の労働」「私の推敲」「私の批評」「私の大江」と続く連作短篇集。「書かれる私」と「書く私」のズレに意識的な「私」が、各作のタイトルに書き込まれた概念や固有名をめぐって思考を紡いでいく様子が語られる。あえて社会と文学をつなぐ「問題」を脱臼させて/迂回しつつ、それぞれの作品で架空のテクストを仮構して、それと対話するかたちで語りを展開させていくスタイルは「春琴抄」や「盲目物語」で谷崎潤一郎が採用したそれと通じるが、谷崎は他者の謎を書くためにそのスタイルを採ったのに対し、町屋はむしろ「私」を透明化させず、自明なものとはさせないためにその戦略を採用しているように見える。

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2025年12月13日

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