結城浩のレビュー一覧
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数学ガール一作目コミカライズの下巻。
数学によって繋がる3人の関係性を描く点では上巻同様の魅力があるが、扱う題材が難解になって完全に理解しきれていないからなのか、展開との絡ませ方が前ほどしっくり来ていない印象がある。全体として雰囲気では楽しめるが色々考えてしまうと数式を理解した上でキャラの言いたいことと結び付けたくなってしまうので中途半端にわかってしまうと苦しい部分も。
基本的には主人公視点で話が進むのが面白い。ミルカの考えの理解しにくさを主人公と共有できるのが良い所。ミルカとテトラが主人公の関わらないところで接近している所当たりにもその魅力が現れてくる。
原作未読のため比較不可だが、数式をノ -
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数学を楽しむ少女たちの話。シリーズ5作目。
今回はガロア理論。群論は最近ちょっと興味を持っていたので、いいタイミングだった。昔からちょくちょく見てるサイトで、最近圏論の話が出てた。圏ってのは初めて聞く数学概念だと思って見てると、記事の中には群の話とか出てきてたから、気になってた。実際本書の中でも写像の話が出てたから、やっぱり集まりについての抽象概念の数学表現に近いような気がする。
まぁ、それはそれとして、本書の話。
本書の前半は4作目より大幅に簡単になったなぁという印象だが、後半の詰め込みぶりがすさまじかったw前半のボリュームを1としたら、後半のボリュームは3~5というところかな。 -
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つい先日,前の巻を読み終えたと思ったらすぐに第五巻.今度はガロア理論.すばらしい.証明はほとんどないけれども,わかった気にさせる著者の力量がすごい.
さすがに第10章でガロアの第一論文を読んでいく部分は少し勉強したことがないと,なかなかついていくのが大変ではないかな.私はガロアの原論文を読んだことがなかったので,どういう論理構成になっているかわかって良かった.
小さな間違い p.419 群指標 --> 群指数
置換群とあみだくじの対応が普通の本と違うので注意が必要.この本の定義だとあみだくじを下にくっつけていく積はうまく対応するのだけど (p.76),
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数学ガール「フェルマーの最終定理」
サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」を読んでからずっと気になっていた、ワイルズによる実際の証明の理解ができるのか?と期待して読み進めるが、さすがにこの本だけではとてもじゃないが不可能。
さぁ、これからフェルマーの最終定理!ってとこでざっと説明して終わったって感じ。まぁ、実際に理解するにはそんな簡単なものじゃないと分かってはいるけど、期待しただけに…
それでも、群・環・体、無限降下法、オイラーの式、楕円曲線と保型形式、フライ曲線と各項目の触りだけでも理解できた気になったのが不思議と楽しい。
この勢いで、ワイルズの論文を理解できそうな本を探してみようかと -
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高校生で数学と恋愛とを絡めて扱う稀有な作品。原作小説のコミカライズに当たる。原作は未読だが数学要素が視覚的に表現されるため理解しやすく、仮に苦手でも「読み飛ばしやすく」物語を追っていけるのではないかと思う。
数学を好む主人公が、非常に数学に詳しい同級生ミルカさんに問題を出されたり、苦手ではないが数学にどこか引っかかっている後輩テトラちゃんに数学を教えたりと数学を軸に2方面で物語が進んでいく。このことによって読者側の数学のレベルがどちら側であっても共感できるように仕立てているという印象。
淡々と動きの少ない進行であるため、そこに感情描写としてモノローグが上手くはまっているように思う。数学要素をう -
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タイトルから数学ガールが計算機ガールになったのかと思ったが,読んでみるとランダムアルゴリズムを理解するために必要な数学が全部書いてある.場合の数,確率,期待値,マルコフ連鎖と行列の対角化,漸近解析など.それに加えて,アルゴリズムの解析やサーチ,ソートなどの基礎的なアルゴリズムの理論.大学だと1,2年生で習うことかな.これだけ書くと,読むのが大変そうなのだが,記述は繰り返しをいとわず,飛躍もなく丁寧なので(何といっても450ページ以上のボリューム),ある程度の知識と根気強さがあればすべての数学を追うことができる.そういう意味では,フェルマーの最終定理の巻よりもこちらの方が楽しめる人も多いのでは.