「バクマン。」と同様、マンガが出来上がるまでの過程をマンガ家の視点から描いた内容だけれど、作者自身をモデルにして半ノンフィクションの自伝的な構成になっている点、藤子不二雄(A)の「まんが道」と似たスタイルになっている。
テイストはもう完全に島本和彦ワールドで、必要以上に暑苦しく、ひたすら熱血スポ根ノリなのが、自伝的マンガとしてはかなり異色なところ。
作者の大学時代の同期である、庵野秀明についての話しはかなり頻繁に出てきて、ほとんど準主役並みの扱いになっている。
あだち充や細野不二彦や高橋留美子など、実在のマンガ家のエピソードや作品が次々と登場して、これは、権利関係の承諾を取るだけでも大変な労力がかかっているだろうなあと思う。
といっても、小学館に連載しているマンガなので、「ジャンプ」関連の話題については、あえてあまり触れずに、「サンデー」や「スピリッツ」が中心になっていて、そういう構成にせざるを得ない事情があることが、なんとなく察せられる。
偉人伝としても面白いし、新世代の数多くのマンガ家たちにとっての黎明期である、1980年代当時のカルチャーがとても緻密に描かれていて、「何かスゴい時代がやってきそうだ」というワクワク感が伝わってくる作品だった。
この時代、人を捜すのには実体で走るしかなかった!
下宿に押しかけるか偶然会うのを待つか
なにしろ携帯電話どころか直通電話すら数十人の学生寮に一台しかない時代だ。
会わない時はあきらめる。(1巻p.171)
人生の中で一番記憶力がいい時代らしいんです、中学の頃は。記憶の大半を『ヤマト』が埋めてしまった。学校の歴史の年号とか公式とかは全然覚えてなくて、主砲や波動砲の発射の過程等は、今でもそらで言えます。そんなもの覚えて何の役に立つんだって、親にしかられてましたけど、今、すごく役に立ってます。(庵野秀明)(1巻 巻末インタビュー)