中原圭介のレビュー一覧
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『第1章 欧州財政危機の未来』
・OECD加盟国の年金所得代替率ランキング。①ルクセンブルグ101.9%、③ギリシャ84.0%、⑰日本50.3%。
・OECD加盟国の公的債務残高。日本218%、ギリシャ160%。
・経常赤字比率(対GDP比)ワーストランキング。①ギリシャ-10.43%、③ポルトガル-9.71%。
・国際の海外投資家依存率。日本1割以下、ギリシャ7割、ポルトガルとアイルランド8割、スペイン5割、イタリア4割。
・統一通貨のユーロには、ユーロ域内の国々の経済格差を拡大させる悪い仕組みが内包されています。経済競争力の強い国では為替レートが割安になる。ドイツやオランダの経常黒字はユーロ導入後に急拡大する一方で、イタリアやスペインの経常赤字は増加した。
・金利統一も、不均衡を増大させています。ユーロ経済の約半分をドイツとフランスが占めているので、金利は相対的に物価が低い両大国の経済状況が反映されやすいものとなっています。つまり、元々物価が安かった両大国では、ユーロ加盟により金利が実態より高く、ギリシャなどは実態より低く抑えられ、政府が借金をしやすくなり、債務を膨らませた。
・2009年10月にギリシャの財政問題が発覚して以来、欧州の金融市場はヘッジファンドの思うままに動いてきました。ヘッジファンドははじめに、ユーロを売り込む一方で、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルの3カ国の国債を売り崩し、国債利回りを急上昇させるという戦略を取りました。その戦略が成功し、2010年4月には、ギリシャが金融市場からの資金調達を断念し、EUに金融支援を要請しました。ここに至って、ヘッジファンドはこの3カ国の株式も売り込み、「通貨安、債券安、株安」のトリプル安を演出しました。
・ヘッジファンドの最終的な狙いは「イタリアショック」「スペインショック」(両国のデフォルト)です。ユーロ圏でイタリアは3位、スペインは4位の経済大国です。よって、イタリアとスペインはEUに金融支援を求めるのは事実上不可能なことです。
・仮にイタリアとスペインが破綻すれば、イタリアとスペインの銀行だけではなく、フランスやドイツの大手銀行までが経営危機に陥ってしまうでしょう。
『第2章 欧州の次に忍び寄る日本の財政危機』
・日本は世界一の債務大国です。国の債務と地方の債務を合わせると、GDP比2.3倍。
・日本の対外債権は251兆円しかない。
・ヘッジファンドはなぜ日本ではなく欧州を先に狙ったのか?2010年半ば以降、「実質的な債務」をGDP比での国家債務ではなく、国家と金融機関の合計債務でとらえる方向で、市場のコンセンサスづくりを試みようと計画を練ってきました。
・なぜ円が買われているのか?①説明したように、日本は欧米よりまだマシであると考えているから。また、ドルやユーロを買って自国通貨安を目指していた新興国の含み損が大きくなり、円やスイスフラン、金の保有量を増やすようになった。
・米国が金融緩和を終了する見通しをアナウンスできるまで、あるいは欧州が財政危機の抜本的な解決策を示すことができるまでは、円高から円安への貴重に転換することはなかなか難しいと考えなければなりません。
『第3章 日本は国際バブルの真っただ中』
・「将来的に、国債暴落はありえる。」という理由。①国債の残高(現在900兆円)が国民の金融資産(1100兆円)を上回り、国債の消化ができなくなる。②日本が経常赤字国に転落し、国債の消化ができなくなる。
『第4章 ヘッジファンドが日本国際の暴落をもたらす』
・日本への攻撃が始まる条件は、①欧州の財政危機でドイツなどの経常黒字国が大幅に譲歩し、問題解決への道筋が付くこと、②米国で共和党政権が誕生し、本格的な財政再建が始まる見通しが立つこと。
・CDS:国家や企業が債務不履行になった場合に、投資家がその保障料率を支払うことによってリスクが回避できる保険的な金融商品のはずでしたが、実際は、その国債や企業に投資していない投機家によるマネーゲームの対象となってしまっています。
・日本売りに関心を示す海外のヘッジファンドがまずやることは、流動性の低い日本国債のCDSを購入し、保証率を釣り上げることでしょう。2010年以降に日本国債の保有を増やしている新興国の政府マネーに、そういう連想を抱かせることができれば、ヘッジファンドの作戦はほとんど成功したと言えるのです。
・次に、日本の国際先物市場の売り崩しです。
・そして本当に怖いのは、国内の金融機関がパニックになり、いっせいに現物国債を売りに走るような事態が起こることです。
----------以下感想----------
第1~4章はお金の流れがわかってとてもためになった。 -
Posted by ブクログ
マーケットを予測するのは困難で、それを職業にしているエコノミストやアナリストも自身の見解をよく外します。不透明極まりない震災後の日本で、自分の資産を運用するには何が必要なのかと考え、再読しました。基本的には経済学だけでは相場は読めないという話。経済学以外に①歴史学☞人は同じ間違いを繰り返すもの、だからこそ歴史上のケースに置き換えて今から先を見をみる。②心理学☞心理的バイアスがかかると、卓上の論理は機能しない。自分の心理的を俯瞰で見る事が出来るようになる事が重要③哲学☞知のOSをアップデートする。ぶれないものの捉え方をつかむ。
以上の③つの知識をバックボーンとして、これからのマーケットと向き合えば、勝算があるかもしれない。実際、マーケットは厳しい世界で専業にしている方々で退場を余儀なくされるプレイヤーも多い。勝ち組と言われる3%に入るには弛まない努力と能力が必要だと思います。長く相場と付き合い、資産を増やすためには思考停止する訳にはいかないと思いました。道は遠いが、やってみます。 -
Posted by ブクログ
読書目的
①世界潮流を見る能力として、著者の主張する『経済予測脳』を理解する。
②著者が主張する歴史学、心理学、哲学の重要性を学び、学問的視野の拡大のきっかけとする。
ベストセラー『サブプライム後の損資産運用』、『サブプライム後の新世界経済』の著者でエコノミストである中原圭介さんの著書。ご自身の世界潮流を見るスキル『経済予測脳』を紹介している。
・経済予測脳とは
経済予測脳とは、『起こりうる未来を描き出し、その方向に向け行動すること』。
現在の日本の経済・政治のシステムは『資本主義』と『民主主義』。『資本主義』の本質は『弱肉強食』。努力すれば報われる一方、努力を怠ると敗れ去る社会。一方、『民主主義』は公平平等な社会を実現すること。特に資本主義による弱者を民主主義の観点で救済し、2つのシステムのバランスをとることが、本来の政府の役割。しかし、バラマキ型の政策を続ける今の日本政府にそれを期待することは出来ない。
したがって、この混沌とした時代を生き抜くのに頼るべくは自分自身しかなく、その能力として経済予測脳が必要不可欠。そして、経済予測脳を身につけるには、経済学以外の学問の視点を必要とし、著者は特に歴史学、心理学、哲学の重要性を主張している。
・歴史学の視点
『歴史は繰り返す』の言葉通り、人間の本質(思惑と欲望)は昔も今も大きな違いはない。今起きている現象は、歴史の事例を検証することで、次に何が起きるかを予測することが出来る。
・心理学の視点
人間は、時として非合理的な判断で行動する。今起きている現象は、どのような人間の心理に基づいているかを検証することで、次に何が起きるかを予測することが出来る。
・哲学の視点
今起きている現象の全体構造や本質を抽出するには、哲学的視点で思考力を鍛え、物事を俯瞰的に捉える能力を身につけることが必要。
【感想】
前著『サブプライム後の世界経済』でも概略が説明されているため、内容に目新しさは余りありません。しかし、以前から合理的行動をとる人間をモデルとした経済学に違和感を持っていた私にとって、歴史と心理学の視点から人間行動を読み解く姿勢は、非常に共感できる考え方です。加えて、哲学の視点で物事を構造的に俯瞰して捉える姿勢は、情報が氾濫する現代において、世界潮流を読み解く上で必要不可欠な考え方だと思います。
又筆者は、インターネットで新聞情報が収集できる現代において、『それでも新聞を(可能ならば複数)読みなさい』と主張し、速読が流行している中、敢えて『非』速読を主張しています。いずれも、物事を大局的に捉え、思考力を鍛えることが経済予測脳には必要であるとの考え方に基づいています。これは、私にとって大変参考となる考え方です。
又筆者は、現在起きている欧州の経済危機を、自分の先入観から予測できなかった失敗談を敢えて紹介しています。この真摯な姿勢こそ、複雑な現代を生き抜く上の必要な考え方として、共感を持ちました。
【個人的サプライズ】
本書を通じて、筆者は哲学的視点を身に付ける参考文献として、哲学書『構造と力』(浅田彰)を推薦しています。私は本書を読んで、哲学的なものの見方に非常に興味を持ったため、この『構造と力』を購入しようと思っていました。偶然ですが、先週末に積読の書籍を項目別に整理をした際、蔵書の中にこの『構造と力』を発見しました。何時、何のために購入したのか、まるで記憶にありません。いずれにしても、非常に難解そうな書籍ですが、何とか読破して思考力を鍛えようと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレビジネスで使える 経済予測入門
――小さな変化で大きな流れを見極める
この本の主旨と竹蔵の意見は以下の通り。
・シンクタンクやIMFなどの予測は現状の経済状況をリニアな視点で楽観的に行うため、ほとんどあたらない。(同意)
・日本の企業経営者は、あたらない経済予測を元にビジネス判断をするので、企業に大きな損失や機会損失をもたらす。(同意)
・経済予測では、長期的な下降線から上昇線へ、上昇線から下降線への変異点を予想するのが大切。(同意)
・それに対して自分は過去もリーマンショックや円安などを予想し的中させてきた。(?)
・現在の経済学は、現実に近いモデルではなく、ほとんど宗教的な権威が構築した現実から乖離したモデルで分析を行っているので、あてにならない。(マクロ経済は同意、超高速取引などに関しては不同意)
・アベノミクスは、原因と結果を取り違えた理論なので必ず失敗する。(ほぼ同意)
・経済は複雑系なので予測不可能と思われるが、ポイントさえ押さえれば長期予測は可能。(複雑系は初期条件やパラメータの大きな変動により、モデル化はある程度できても予測は不可能と思います)
ということで、まあ、自慢はわかりますが、それを使って大金持ちになっていないので、あまり信憑性を感じません。
逆に、今まで成功して大金持ちになっていてもそのモデルが正しいか運が良かっただけだかわからないので検証のしようがないです。
まあ、何も予想しなかったり、人の予想に乗っかって、外れたら責任逃れをするよりはましですが・・・
竹蔵 -
Posted by ブクログ
AI同士が会話して、工場を運営するようになる。
航空機エンジンや医療機器にAIを搭載する。
インダストリー4.0=AIによる工場自動化で、製造業の労働者が不要になる。
銀行生保損保もAIで人員削減可能。
流通、小売の無人化。
弁護士公認会計士などの専門職、医師も代替できる。
手術ロボット「ダヴィンチ」
人手不足より、AIによる失業が早い可能性がある。
第2次産業革命は、産業集積を必要としていたため、大量の雇用を生み出した。設備の更新も必要だった。
第4次産業革命は、既存の産業だけでなく雇用も破壊している。
購買力平価には、代替できない非貿易財が入る消費者物価指数より、企業物価指数のほうが適当。
ギグエコノミー=請負エコノミー=ギグとは、バンド一夜限りの演奏のこと=単発の仕事。
コマツのほうな地方重視の会社。広がらないのは、海外移転に目が向いているから。
秋田県の国際教養大学は卒業が難しい。
ITの技術革新では、ひと握りの人々だけが高額な収入を得る仕組み。=経済成長に比べて、実質賃金の伸びが少ない。
今の技術革新の問題は、雇用情勢が悪化するジレンマを解決できない点。
生産性が上がって賃金が上がらず、株価だけが上がる。
AI、ロボットへの課税。 -
Posted by ブクログ
日本の未来に警鐘を鳴らす本は他にもあるが、特に「AIの進化」「急激な人口減&労働力減」の掛け合わせ本は、的を絞っているだけに分かりやすい。
つまり「これから何が起こっていくのか?」が的確に書かれている。
内容は読んだ方が早いので割愛するが、秀逸なのは本の終わりに近くに書かれていることだ。
我々がどうすべきか?
どうやって生きていくのか?
この著者の主張は、「理屈で納得」というよりも、まさに「腹落ち」だ。
実は最後にほんの少しであるが、著者の考える「リーダー論」が書かれている。
結局、なぜこうなってしまったのか?
は過去のことなので蒸し返さないとして、いつまでこのままでいるつもりなのか?
強力な使命感を持ったリーダーが、「この状況を変えるのだ」とバンバン実行していかないと、この日本は立ち行かない。
今までは良かったかもしれないが、そんなものはもうとっくに幻想なのだ。
過去のすべてを全否定してでも、「未来をこう変える」と具体例を示していくこと。
そこに向かって愚直にまい進すること。
本当にのんびりしている時間はない。
(2019/2/15) -
Posted by ブクログ
定年消滅時代
今後、"定年が70歳になる"と知って、まず思ったのは「まだ、働かなきゃいけないのかー!」だった。まあ、冷静に考えれば年金だけじゃ"ぎりぎり"なわけだし。この本は"なぜ今後定年がなくなり中高年はどう行動すべきか"を教えてくれます。
定年は、やはり撤廃される可能性は高いようですね。これは日本の人口減少を記述した他の著者の本でも述べられています。つまり労働人口の維持のため。要は、手っ取り早く労働人口を維持するために定年を伸ばすわけです。
しかし、企業側の理由もあります。企業は世界との競争にさらされ"優秀な人材を即戦力と欲しい"という必要性に迫られています。これはジョブ型の採用に変化する事を意味しており、終身雇用に甘んじ勉強をしないスタッフは企業のお荷物となっていく事も示唆しています。実際、若者自身の仕事に対する意識変化はジョブ型に移行し、スキルアップの為の転職は当たり前になってきています。その為、著者は今の中高年に必要な事は"学び直し"であり、ITに慣れるだけでなく、様々な分野の書籍を読む事を強く勧めています。
著者の中原圭介氏は、経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動してます。
この本は、40代以上の方には教養として読む事を勧めます。現在、僕も興味がある事は取り敢えず読み漁っています。当然、新しい事や今まで意識していない事が意識できるようになったりと役に立つこと多くなっています。ただ、著者は"スマホ断ち"を勧めていますが、これは"スマホとどう付き合うか"なのであまり気にしなくていいと思いました。 -
Posted by ブクログ
flierで内容興味持ち、購入。
企業でも中途の割合が増えていること、終身雇用や年功序列の終焉といったことが端的にまとめられていて、今起こっていることを整理できたと思う。
ただ、後半著者の主張が増えてきたあたりから気になる点が多い。例えばスマートフォンの件について、確かにゲームやSNSをやっている人が多いのだろう。一方で新聞、電子書籍、はては単語などの勉強用アプリと多彩な昨今、少々古い考えのように感じた(仕事のメール返している人もいるでしょう)。正直、スマートフォンが増える前から理解力がない(表層的な捉え方をする)人というのはいると思うのだが・・・。