【感想・ネタバレ】格差大国アメリカを追う日本のゆくえのレビュー

あらすじ

空前の株高に沸く米国で起きている本当のこと。そして、その米国を追いかけ続ける日本の将来。資本家と労働者、中央と地方の間の中間層が没落した国はどうなるのか? 人気エコノミストが日本と世界経済の近未来と今とるべき打ち手を明快に示す!

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Posted by ブクログ

☆☆☆☆
外を見つめれば、現在の覇権国アメリカ、時間軸を据えて歴史を見つめれば、ギリシャ、ローマ、中国の唐といった国家が衰退していった大きな要因に、中間層の衰退があった。
ピケティの『21世紀の資本』が読まれた一昨年から昨年、‘中間層’という耳慣れない言葉がその、理解を妨げていたようにも思える。
だが、こうやって様々なステージの上にこの言葉をのせ、自らもこの‘中間層’の一部だとシミジミと実感すると、この言葉が実態を伴って感じられてくる。
そして、日本という国が、欧米とは異なる雇用文化を持っていた故に、格差の拡大が急拡大しないで来られたという件は、この特異な‘中間層’という感覚を私にもたらしているのもわかる。

第1章で紹介されている「没落するアメリカの姿」を見たうえで、誰がその後を追う政策に、同意することができるだろうか。
欧米とは違うわれわれが感じ取る痛みは、彼らアングロサクソンの比ではない。
でも、この豊かな日本の文化、価値観を気づいて、守る内側からの力はあまりに平和な時期が長すぎて、無きものになりつつある。外からの欧米のリーダーたちが、日本のそれに配慮することはもっと可能性がない。

今はまだ姿を現さない、新しい日本のリーダーが出てくることを期待してやまない。
2015/01/10

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2016年01月10日

Posted by ブクログ

現在の世界経済を的確に捉えている本。
 途中、古代西洋史を中間層の視点から振り返っている部分は、背景知識がないと読みづらいと思う。

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2015年05月05日

Posted by ブクログ

格差は遠い国の話ではない。拡大し続ける「格差大国アメリカ」の影が日本にも迫っていると警告する。起点は成長の鈍化と社会の高齢化。富は一部に集まり中流は薄くなる。やがて地方の衰退や教育格差が固定化し夢を語る余裕すら奪われていく。だが、日本にはまだ選択肢が残されている。弱い立場を支える制度に手を入れ未来への投資を怠らなければ道は開ける。中原は問う。私たちはアメリカの後を追うのかそれとも自らの道を拓くのか、と。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

いまやアメリカでは、全国民の7分の1が貧困層であり、6分の1が貧困一歩手前とされる。すなわち国民の3分の1近くが貧困層及びその予備軍。アメリカでは、治安が悪化し犯罪が増加した頃から富裕層が集まって自分たち専用の街を作っている。警察と消防以外の全ての公共サービスを民間に委託し自治体から独立したコミュニティーを営んでいる。古代のギリシア・ローマでは市民と奴隷で住む場所が区別されていたが、さながら今のアメリカは合法的な奴隷社会に回帰しているようにさえ見える。
イギリスのサッチャー首相とアメリカのレーガン大統領が新自由主義を謳い、それまでのケインズ型の再分配政策を放棄。市場原理主義を導入して経済の立て直しを図った。実質賃金は上昇したものの、その恩恵は所得上位の層に偏り格差をさらに拡大させた。しかも、富裕層は他の所得層と同じ割合ではお金は使わず、これがアメリカの需要危機を招いている。富の集中が公平性の問題だけでなく、低成長を招く構造的な要因ともなっている。消費性向の高い中間層の所得水準が低下すれば消費に回るお金が減り。経済が停滞していく。新自由主義の修正が必要となっている。

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2015年09月17日

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