中原圭介のレビュー一覧
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【この本が書かれたのはなぜか】
世界がグローバル化していく中で、今の日本人は、総合的な知識力が不足し、物事を深く考える思考力が衰えてきたのではないか?という著者の危機感が発端。経済や経営を専門にしながらも多種多様で俯瞰的なものの見方を体得してきた自身のノウハウを伝えることで、現状打破のきっかけにしたいとの思いが込められている。
【著者の意思・主張】
グローバルにつながった経済・社会の中で生きていくためには、思考力や洞察力が必要。なぜなら、異文化の人々とのコミュニケーションには、相手の理解、すなわち「彼らはなぜそのように考えるのか」「彼らはなぜそのように行動するのか」を理解することが重要だから。
思考力や洞察力を鍛えるためには、とにかく視野を広げ、貪欲に知識を吸収し続けること。そのコツは「歴史」と「宗教」を学ぶこと。
例えば、欧米で「基本的人権」と「民主主義」が絶対視される背景は、キリスト教の歴史を辿ることで理解することが可能となる。
同様に、日本のことを理解し、日本人としてのルーツ、アイデンティティについて考えることも重要なこととなる。具体的なヒントとしては、古事記・日本書紀に触れる、など。
さらに、普段から新聞・書籍に慣れ親しむことで、情報収集を絶やすことなく、世の中の大きな流れが見えてくるようになる。加えて著者は、オススメの著書や、新聞の読み方など、具体的なハウツーも提供している。
そして、こういった思考力と洞察力の訓練を積み重ねることで、「直感」が磨かれる。論理的な「ひらめき」と、理由のない「直感」。全者は人を納得させるにはいいが、面白みがない。後者は、人を説得させるには難ありだが、強力な共感者(直感に賛同してくれる人)さえいれば、ものすごいインパクトのあるモノゴトを生み出すことができる。
【所感】
ここ最近、文化や歴史に着目した「人間の本質的理解」の重要性を目にすることが非常に多い。人工知能が人間の知を超える世界(シンギュラリティ)を身近に考えられるようになった近年、テクノロジーによる「文明」だけではなく、文化や精神性といった「人間性」とセットで人類の未来を考える必要性を多くの人々が感じているのでしょう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ奴隷を連れてきて、安い賃金で大いに働かせて富を生み出したローマ帝国でしたが、版図を広げ過ぎて奴隷の供給が先細りになるとともに、その繁栄は急速に失われていったのでした 人々の幸福度を測るには、物価を考慮に入れた一人当たりの実質所得を見ていくほうが大切です 第一のイノベーションは、シェール革命。第二のイノベーションは、自動車の省エネ技術の発達 中国、インド、ロシア、ブラジルなどの大都市では、深刻な大気汚染が進み、健康に暮らせる状況ではなくなっている 圧倒的に安い天然ガスが日本にやってくる 2025年に日本と欧州は水素大国になる 大阪ガスは水蒸気とガスを反応させて水素ガスを取り出す触媒の開発で世界に先行している JXはトレーラーで水素貯蔵施設の運ぶ技術を開発している 三菱重工業、川崎重工 日本で有望な産業は、実は農業 手間のかからない畑でコメをつくるという技術
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Posted by ブクログ
7世紀にアラブ人が支配したウマイヤ朝は異教徒に重税を課したため、征服されたペルシア人はイスラム教に改宗したが、反体制派のシーア派を選んだ。改宗した非アラブ系のマワーリーは重税を強要されたため、シーア派による反政府運動によってウマイヤ朝は倒されてアッバース朝が成立した。
イギリスから独立したエジプトでは、軍部が王政を打倒し、1956年に第2代大統領に就任したナセルは、汎アラブ主義を提唱し、アラブ人が国境を越えて連帯することを訴えてイスラエルと対立した。イスラエルと隣接する他の国々でも、中東戦争が繰り返されたことによって軍が肥大化して権力を握り、ナセルを真似て独裁的な手法を用いるようになった。
アメリカでは、原油の生産量のうち60%をシェールオイルが占めている。原油価格が1バレル60ドルを上回ると、採算のとれるシェールオイルの油井が多くなるため、価格上昇を抑えることになる。シェールオイルの採算基準は、数年後に40ドル程度まで下がる可能性がある。
イランの天然ガス確認埋蔵量は世界1位だが、国内には液化天然ガス(LNG)施設がなく、パイプラインもトルコとコーカサス地方にしか通じていない。パイプラインやLNG施設が建設されれば、供給量が大幅に増えることが予想される。
イラク戦争後のマリキ政権では、多数を占めるシーア派が優遇されて登用された。軍や警察に就職することが難しくなったスンニ派の若者たちは、反体制派組織に参加するようになり、スンニ派過激派によるテロが増えることになった。
アメリカでは、価格が安くなった天然ガスを用いる火力発電所の建設が進められている。コストで対抗できない原発の計画は白紙撤回されたため、技術を維持するために海外マーケットに期待している。原子力企業は、GEが日立と統合、ウェスティングハウスが東芝の傘下、三菱重工がフランスのアレバと提携しているほかは、ロシアのロスアトム、中国のCNNC、韓国の斗山重工業のみ。
2012年に発表された第3次アーミテージ・ナイレポートでは、専守防衛を解消してアメリカの防衛戦略により強く関与することや、アジア太平洋地域の安全保障におけるアメリカの役割を補完することを求めており、具体例として、尖閣諸島や南シナ海における共同監視活動、ホルムズ海峡が封鎖された場合の機雷除去、他国部隊の護衛を可能にするための法的権限の拡大をあげている。 -
Posted by ブクログ
☆☆☆☆
外を見つめれば、現在の覇権国アメリカ、時間軸を据えて歴史を見つめれば、ギリシャ、ローマ、中国の唐といった国家が衰退していった大きな要因に、中間層の衰退があった。
ピケティの『21世紀の資本』が読まれた一昨年から昨年、‘中間層’という耳慣れない言葉がその、理解を妨げていたようにも思える。
だが、こうやって様々なステージの上にこの言葉をのせ、自らもこの‘中間層’の一部だとシミジミと実感すると、この言葉が実態を伴って感じられてくる。
そして、日本という国が、欧米とは異なる雇用文化を持っていた故に、格差の拡大が急拡大しないで来られたという件は、この特異な‘中間層’という感覚を私にもたらしているのもわかる。
第1章で紹介されている「没落するアメリカの姿」を見たうえで、誰がその後を追う政策に、同意することができるだろうか。
欧米とは違うわれわれが感じ取る痛みは、彼らアングロサクソンの比ではない。
でも、この豊かな日本の文化、価値観を気づいて、守る内側からの力はあまりに平和な時期が長すぎて、無きものになりつつある。外からの欧米のリーダーたちが、日本のそれに配慮することはもっと可能性がない。
今はまだ姿を現さない、新しい日本のリーダーが出てくることを期待してやまない。
2015/01/10 -
Posted by ブクログ
シェールガス・オイルの発掘方法が開発されて、アメリカが資源大国となることで、その製品ができること中東からの石油の輸入がなくなることが、中東、EU、資源大国ロシア、経済成長が見込めない中国などを絡めて世界勢力図が変わるだろうということを予想している本。
アメリカに資源があるということは、アメリカが資源国になることになり、その上ではアメリカの復権、それによる日本の復調なども考えられる。今までは、「化石燃料=石油(一部 天然ガス)」という考えであったが、これからは脱石油社会となりガス社会になることも考えられる。
本書ではデフレになる理由、そしてデフレが経済成長にとって悪くないことも含めて、経済的な視点から世界勢力を説明したもので、わかりやすかった。また、機会あれば、著者の本を読んでみたいと思う -
Posted by ブクログ
中原圭介:金融・経営コンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」エコノミスト兼ファイナンシャルプランナー。
初版:2011年11月。245ページ。
文章が平易で、難しいことが書いてないので、非常に理解しやすい。
タイトルが「大暴落後の日本経済」とあるので、悲惨な社会の状況を列挙したようなことが書かれた本かと思っていたが、
その逆で、むしろ、そうならないようにするためには、という視点で書かれている。
「2011年の貿易収支が、31年ぶりに赤字に転落」というニュースを受けて円安に触れ始めた本日としては、
筆者の予想よりも、事態は早く進行していると思わずにはいられない。
指摘されていることは、大前研一氏が再三指摘してきたことと同じことで、税制や社会保障の在り方を抜本的に変えることが、現状を打開するためには絶対に不可欠だということ。
そして、それは政治が主導しなければいけない、ということなのだけど・・・
正直、この筆者の指摘していることは正しくて、政治家は、恐らくヘッジファンドに攻撃されて、ギリギリのところまで本当の意味での危機感を持った政策を打ち出せないと思われる。
となると、このままズルズルと何年も財政悪化を進めてしまうよりも、早く窮地に立たされて、政治家の尻に火がついてくれることを希望。
財政危機の本質とは、
「国民が税収以上の生活をし、それが既得権益化したことによって起きる『人災』である」
まさにその通りなのだけど、
そういうことを考えると、政治家であれ企業経営者であれ、
時代と社会の流れを読み、時宜を得た施策を打ち出せるということが、
(難しいことではあるが)非常に大切なのだと改めて思った次第です。
無駄なことが書かれていない点、文章が読みやすい点、必要十分な情報が提供されている点、このトピックに疎い人にも読みやすい点、そして、主義主張があまり偏っていない点などから、
とても読みやすいということで、☆4つつけました。