中原圭介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アメリカで現在起きているシェールガス革命の好影響を受けるのは、日本で素晴らしい技術を開発している日本企業で、アメリカの発展と共に日本経済も復活するというのがこの本の趣旨です。
シェールガス革命が進行しているという本は昨年末頃から、少しずつ目にするようになりましたが、それに伴って日本企業(主に製造業)が発展するという内容を書かれているのは、私が知る限りでは長谷川氏に続いて、この本の著者である中原氏のように思います。
彼は、この革命を今の「石油社会」から「ガス社会」に変えるという意味で、18世紀の英国で起きた産業革命に次ぐ、「第二次産業革命」(p6)としています。またシェールガス採掘にあたり環境面での懸念が指摘されているなかで、それらが軽減されている(p65)と言っている本には初めてであったような気がしました。
彼が本で述べているポイントについて、シェールガス革命がデフレ時代をもたらす、円安は日本にとって良くない、米国と組むことは日本にとって将来も有利というのは理解できますが、TPPの恩恵が日本が享受できるという点については、今後とも注意する必要があると思いました。
また、個人的に強い衝撃を受けたのは、現政権は、消費税増税の根拠として、2013.4-6月度のGDPで判断するそうです。7月には参議院選挙もあすので、少なくともこの3か月だけは景気が良くなったように見えることでしょうね。
以下は気になったポイントです。
・FRBは 2012.9から量的緩和(Q3)で住宅ローン担保証券(400)に加え、2013.1から国債(450)の合計850億ドルを毎月購入(無期限)することを決めた(p26)
・量的緩和がもたらしているのは、ドル安・株高・低金利・物価高(p27)
・韓国で通貨安の恩恵が及んだのは、大企業に勤める8%の人のみで残りの人は通貨安からの弊害に逃れられなかった(p36)
・日本では輸出に占めるドル建て取引は50%、輸入では70%を超えているので、円安の影響はドル建て取引が高い輸入よりも強くでるので、貿易赤字はかつてより円安によって膨らみやすい(p47)
・円安へとトレンド変換する理由は、1)アメリカ経済の経常収支赤字が縮小・経済復活、2)エネルギー・医薬品の輸入の増加(p61、66)
・シェールガス開発における水圧破砕は環境リスクが懸念されているが、水質検査や水の再利用により問題が軽減されてきている(p65)
・日本の歴史が示すように、バランスシート不況が沈静化するには10年単位の時間が必要、アメリカのバブル崩壊は2007なので、2013年は7年目、あと4年程度は難しい(p76)
・シェールガス革命によるエネルギー価格の低下は、アメリカ製造業の生産コストを下げるだけでなく、海外へ移転した工場を国内へ呼び戻す効果もある(p85)
・石油からつくられる化学品の生産をシェールガスを使った生産方法に切り替えようとする動きがある、ダウ・ケミカルやシェル・旭化成・クラレはエチレン工場を建設する方針、これは石油化学がガス化学に転換することを意味する(p86、93)
・エネルギーコストの低下は、アメリカの競争力を高めると言う点で、通貨安と同じ効果をもたらすが、その効果の大きさは比べ物にならないほど大きい(p99)
・シェールガスを使用した天然ガス複合発電の発電コスト(2017)は、水力よりも低く、最も低い(p108)
・アメリカは将来的には、アメリカ主導のTPPとEUのFTAがタッグを組むことで、東西両方から中国を包囲する狙いがある(p123)
・2011年のアメリカの個人消費は9.5兆ドル、中国はまだ2兆ドル程度、アメリカの成長なしに中国の成長はない(p135)
・湾岸戦争当時で両者の戦車の性能には差がないと言われていたが、決定的に違っていたのは、戦車が備えていた日本製のスコープ、暗闇でもはっきりと捉えられた、米軍は当時自衛隊しかもっていなかった特殊スコープを提供してくれたことに感謝した(p150)
・日本の農業総生産額は2010年で世界5位だが、半分は税金や補助金で救済されている(p164)
・阿倍首相は、消費税引き上げ判断を、2013.4-6月のGDPですると明言している、それ以降にGDPが悪くなっても増税される(p174)
・世界最大規模のEMS企業は台湾にある、Honhai精密工業、そのグループ売上は10兆円、製品販売ではなく、組み立て費の積み上げ(p187)
・日立、東芝、三菱電機といった総合電機メーカは、社会インフラ事業で新興国の成長に伴う需要を取り込んで好調、家電メーカ(シャープ、ソニーパナソニック)とは異なる(p197)
・電気自動車のシェアは10年後でも1%程度、しかしハイブリッドは30%にはなってディーゼルエンジン車のシェアを奪うだろう(p210)
・トヨタはフォードと共同して、大型車向けのハイブリッドエンジンを開発す
る、それはピックアップトラックに搭載予定(p212)
・燃料電池車はトヨタから2015年目途に市販車で、500万円程度で日米欧で売り出す見通しが立ってきた、あと10年もすれば本格的に量産可能で、電気自動車よりも安くなるだろう、電気と違って、石油会社が製油所で水素を生産しているので割安に水素供給可能(p222)
・トヨタは2017年に液化石油ガスで走るタクシー生産を中止して、すべてハイブリッド車にするが、この技術は燃料電池車に生かされるだろう(p224)
・将来はシェールガスを使った火力発電が主力になるだそう、そのため発電プラント、タービンの受注が増える、その主役は三菱重工や東芝(p225)
2013年4月14日作成 -
Posted by ブクログ
この5年間世界経済の原則は止まらない、20~30代にとって最も有効な投資とは何か。人気エコノミストの最新経済予測。
前作が参考になったので前々作も読み、今回3冊目。
感想はうーん。。という感じです。前作から言ってる事が同じ。経済予測として得られる情報は変わりません。まあ、それだけ変わっていない(というか悪い方向により進んでいる)という事でしょうが。。。
本作では前半の章で経済の話はしてはいますが、後半は「お金にふりまわされずに生きるには」と、ほとんど自己啓発本になってます。
言ってる事は正しいと思いますがごく一般的な事なので新しい示唆はなかったかな。。。
20、30代にとって最も有効な投資は自己投資、安易な投資はやめましょう~という論調でした。
前作で、フランスの大統領選はこれからの肝でサルコジが落ちるような事があれば大変、って確か書いてたけど負けちゃったよねえ、サルコジさん。そこにほとんど触れてないのも残念だなあ。
でもオランドはユーロ債に賛成なんだって。どうなるんだろうなあ、欧州。。。
ちょうど同じ時期に読んだタムコーが欧州大丈夫っ、ってちょー楽天的だったのに比べ、中原さんはちょー悲観的です。
まあ、中原さんのほうが正しい気がするけれど、それにしてもこの人そういう見方の傾向の人なんだろうなーという気がします。
こっちのほうが堅実ですが、ワクワクは少なそうです(笑) -
Posted by ブクログ
日本や世界経済を予測した本が巷に出回っていますが、それを読んでも「付け焼刃的」な知識が得られていないと感じる最大の原因は、その著者の結論を導き出した前提条件や考え方が理解出来ていない事にあると思います。
それを解説することは、ある意味で解説者としてのノウハウを開示することにも繋がるので、それに触れられることは少無いと私は思っています。その中で、この本のタイトルに含まれる「経済予測脳」という言葉を私のアンテナが捉えました。
中原氏の提唱する、いま起きている出来事を、歴史学・経済学・心理学・哲学の4つの視点から見てみることの重要性(p82)は私に取っては新鮮でした、特に後者の心理学(欲望、エゴ)・哲学(西洋史はキリスト教、日本史は怨霊信仰)の観点はより根本にかかわる重要な概念だと思いました。
筆者が最後で、より高いレベルを身につけるには、理系学問(生物、物理、化学、数学)や人類学等も必要と述べていました(p268)、バランスのとれた知識が重要だということでしょうか。
以下は気になったポイントです。
・米バブルが崩壊したのは、その過熱ぶりを警戒したFRBが2004年以降、利下げから利上げに転換したのが遅すぎたのが原因、2006年に5.25%まで政策金利が上がって米穀住宅価格が下落した(p35)
・FRBバーナンキ議長は、2008年4月に、「ベア・スターンズと同様の破綻が起きることは想定していない」と発言したがリーマン倒産(同年9月)となった(p50)
・マクロ経済学の教科書通りに金融政策を実施した日本(政策金利:無担保コール翌日物レート」を0.15%、量的金融緩和)は、景気が回復しない状況が10年以上続いた(p67)
・歴史から学べることは、「時代や場所が違っても、同じ状況と条件がそろえば歴史は繰り返す」ということ、拡大しようとする根本は、「人間の欲望」である(p77、95)
・今起きている出来事を、史学・経済学・心理学・哲学の4つの視点から見てみることが大切(p82)
・ローマ帝国の衰退の原因は、1)ゲルマン人に国を囲まれて新たな領土獲得が困難、2)戦争奴隷を獲得できずに経済基盤の農業衰退、である(p102)
・農業生産が立ちいかなくなって崩壊に追い込まれたローマ帝国のように、国際巨大資本も「国際分業体制」というビジネスモデルの限界にあと10~20年で到達しようとしている(p103)
・西洋史を研究する上で、常にキリスト教の影響を考慮すべきなのと同様に、日本史を解明するには、怨霊信仰の影響を考える必要がある(p114)
・バブル発生から拡大までのプロセスとして、1)需給の不均衡、2)投機家による買い、3)一般投資家らによる買い、の3段階がある(p142)
・人間は、利益が出る場合にリスク回避的な行動を好み、損失が出る場合にリスク指向的行動を好むと言われている(p158)
・知の「OS」とは、哲学のこと(p166)
・「構造と力:浅田氏」とであったことが、哲学を学ぶ出発点となった、この本により、「人間はお金に縛られ続ける限り自由になれない」ということを学んだ(p168、177)
・ボーダーレス化によって、米国経済が地球規模で膨張した姿が、現在の世界経済であるという本質を理解したので、デカップリング論はあり得ないと予想した(p185)
・米国住宅市場では、販売件数の80~90%が中古住宅なので中古住宅の販売件数が米国経済と深い関係がある(p189)
・パソコン業界がネットブックにより価格下落となったように、自動車業界も同じような状況になると予測できる(p211)
・新聞を読むメリットは、1)世の中の流れを大局的につかめる、2)自分にとって関心のない記事にも目を通せる、である(p215)
・今後の世界経済の流れは、1)米国依存の経済発展の限界、2)金融から環境主導の経済、である(p239)
・欧州が温暖化ガス削減に取り組んでいるのは、欧州が育てた(2005年開始)排出権取引制度の存続がかかっているから(p241)
・ドイツの大手銀行では、5カ国(ギリシア、ポルトガル、スペイン、アイルランド、イタリア)への与信残高はGDPの20%、フランスの場合は同30%であり危険水準(p245)
・日本のハイテク企業が韓国企業に苦戦しているのは、為替相場と法人税率にもよる、2009年最高益のサムスン電子も、ウオン相場が円相場並に高かったら赤字の可能性あり(p254) -
Posted by ブクログ
経済だけでなく、歴史、心理学、哲学の視点で考えるという中原氏のスタイルを紹介したもの。しかし、哲学編の浅田彰の著書の紹介が一番おもしろかった。
構造主義の考え方(浅田彰「構造と力」):
・人間以外の生物は本能の導きによって自然の秩序を乱さない範囲で行われている。
・人間は壊れた本能としての欲動に突き動かされるため、それを制御するために象徴秩序としての文化が求められた。
・文化は人間同士のぶつかり合いによって形成される。個人対個人のぶつかり合いが複数となり、混乱を拡大する。
・混乱を解決するのが王の誕生であり、法と秩序の体系に縛りつけられることによって平穏がもたらされる。
文化が形成されていく過程(ガタリ「アンチ・オイディプス」)
・コード化=秩序形成(原始共同体)
・超コード化(古代専制国家)
・脱コード化(近代資本制)→貨幣(競争)が人間の欲動を転換させることによって秩序を維持している。人間の欲望が満たされることはないため、幸福になれない(浅田彰「構造と力」)。
パラノ人間からスキゾ人間へ(浅田彰「逃走論」)
・パラノ人間は偏執型で、競争の熱心なランナー。成長社会において肯定される。
・スキゾ人間は分裂症で、競争を拒絶して自分の思うままに生きる人間。成長社会では落ちこぼれだが、低成長社会では正常者になるのではないか。
・中原氏は、貪欲さを捨て、人間らしい生き方を求めることが答えであると解釈する。
新しい世界経済の大きな流れ
・アメリカは輸出を増やして景気回復を図ろうとしている。そのため、緩やかなドル安に誘導し、経常黒字国に対する市場開放、中国への人民元の切り上げを求めるだろう。 -
Posted by ブクログ
「経済予測脳」、歴史、哲学など、幅広く教養を深めて、自ら考える人が、持つ頭脳のことだ。
経済は、人が関わってくる、数式道理には決してならない。
高等な経済理論も、人間の合理性を欠いた、行動にはついては行けない。
歴史から何を学ぶか、ローマ帝国、モンゴル帝国などなど、繁栄しつづけているものは、過去の歴史には存在しない。
そこから何を学ぶのか。
人間の愚かさだとうか。
19世紀は、英国の時代、20世紀は、米国の時代、さあ、21世紀は、どこの時代だろうか。
経済は、どんどん動いている。
無策な政治家、官僚がコントロールしている、日本には、残念ながら、明日はないのかもしれない。
哲学から何を学ぶか。
人間の種としての愚かさか。
地球上の生物の中で、突出して、貪欲な生物人間を深く学ぶ事により、経済理論が役に立たない事があることを学ぼう。
だからといって、何もしないとは、愚か者だ。
今、もてる知識を使って、たまにはよく考えてみたらどうか。
これから、どんな社会になるかを!