【感想・ネタバレ】定年消滅時代をどう生きるかのレビュー

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中原 圭介
1970年、茨城県生まれ。慶應義塾大学卒業後、金融機関や官公庁を経て、現在は経営・金融 のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。大手企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。近著に『AI×人口減少』(東洋経済新報社)、『日本の国難』 (講談社現代新書)などがある。ヤフーで「経済の視点から日本の将来を考える」、マネー現代(現代ビジネス)で「経済ニュースの正しい読み方」を好評連載中。


しかしながら、これからどれだけ技術革新が推し進められようとも、絶対に廃れない基本的な能力があります。それは、考える力=思考力(読解力・論理力・直感力・感性 などを包括する能力)です。考える力が強い人は、いつの時代にどこで働こうとも、常に求められる貴重な人材になるからです。言い換えれば、考える力が強い人は「基本的なスキルが高い人」と言えるでしょう。 大学の学部や専攻、あるいは個人が持つ専門性に関わりなく、考える力が強い人であれば、これから社会がどのように変わろうとも恐いものはありません。AIやロボ ットとの競争に総合的に負けることはないので、世界中の企業・団体から引く手あまたの存在になるでしょう。また、どのようなスキルや専門性を身に付けるにしても、 考える力はその土台となる基本的な能力でもあるので、その能力が廃れることは絶対にないというわけです。

考える力=思考力を鍛える方法は、ひとつしかありません。日頃から何でも自分の頭で考えるようにすることです。それでは効率が悪いという批判があるかもしれませんが、とにかく自分の頭のなかで腑に落ちるまで考えることが重要な訓練になるので す。そのような訓練を1年続けることができれば、きっと自分の頭のなかで何かが変 わっているという感覚を持つようになると思います。3年間続けることができれば、 自分の頭のなかで思考の枠組みが以前と変わっていることをはっきりと自覚できるよ うになると思います。

宮坂会長も私の考えに賛意を示してくれたものの、状況的には難しいというニュアンスの話をされていました。宮坂会長自身も登山が趣味であり、自然との触れ合いが感性を豊かにすることを認識しているため、社員には新幹線手当を支給するなどして地方に住むことをすすめていたということです。私はヤフーが成長すると同時に社会に貢献できる企業になるためには、都心の千代田区(紀尾井町)に6500人の社員を抱えるのではなく、都心から電車あるいは新幹線で1〜2時間で行ける地方に本社を構えることが最善の選択肢だと今でも考えています。

これまで再三指摘しているように、私は電車内の光景を見るたびに、日本人として強い危機感を抱いています。それは、この光景が日本人にとって絶対的な読書量が不足していることを象徴しているに他ならないからです。 考える力=思考力がすぐれている人は、たいていの場合、その読書量が平均的な人と比べて圧倒的に多いという事実があります。アメリカは日本より社会にITが広く 行き渡っているのに、マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学などの卒業生の考える力が強いのは、日本の大学生から見れば尋常でないほど在学時に本を読んでいるうえに、卒業後も人生にとって読書がいかに大事かを理解していることに起因しています。

「読書の量に比例して、その人の知識力や考える力が決まる」 「読書の範囲に比例して、その人の視野の広さや思考の幅が決まる」 これらの定義づけに異論を差し挟む方はあまりいないでしょう。読書の量が多けれ ば多いほど、知識力は豊かになり、考える力は深まります。読書のジャンルが広けれ ば広いほど、多角的な物事の見方ができるようになり、文系と理系の両方の考え方もできるようになります。要するに、考える力を構成する重要な要素である「読解力」や「論理力」を鍛えるには、読書がもっとも手っ取り早い方法であるというわけです。

考える力=思考力が強い人の特徴というのは、ごく自然に読書が習慣になっているということです。実質的には「読書すること」は「考えること」と同じ行いになるの で、考える力が強い人は考えることが習慣になっている人と断言しても差し支えない でしょう。逆説的な言い方をすれば、日頃から読書を通して考える習慣を身に付けな ければ、考える力がすぐれた貴重な人材になることはできないと言い切っても過言で はありません。

マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏は世界有数の大富豪として有名です が、彼は就寝前の1時間を読書の時間にして、その時間帯だけで年間50冊以上の本を 読むということです。そのうえ彼は、1年に数回の頻度で「考える週」と名付けた休暇をとって、食事と睡眠をとる時間以外は、すべて読書と考えることに時間を使って いるというのです。彼の独特な行動は、いかに読書や考えることが人生にとって大事 かを教えてくれているような気がします。

私がここでいちばん言いたいのは、とにもかくにも、幅広いジャンルの本をできるだけたくさん読んでほしいということです。人文科学系の本であれば哲学、歴史学、 宗教学、心理学、文化人類学など、社会科学系の本であれば法学、政治学、経済学、 経営学、社会学など、自然科学系の本であれば物理学、化学、生物学、数学、統計学など、さらにはビジネスに関するノンフィクションなど、可能な限り幅広いジャンルの本を読んだほうが好ましいでしょう。

読書をする時に注意するべきは、その本に書かれている知識を覚えるというよりは、その本の知識を体系的に理解すると同時に、「なぜそうなるのか」を自分の頭でしっかりと考えて腹落ちするまで理解を深めるということです。知識を暗記しようという意識を捨て去り、考えるための基礎トレーニングの場として捉える必要があるのです。知識を体系的に理解できれば、覚えようという意識がなくとも紐づけられた知識が記憶に残りやすくなりますし、十分に納得できるまで考えることで、タフな考える力が鍛えられるようになるわけです。

もちろん、私が言う「経験」とは単なる経験ではなくて、「いかに考える経験をしてきたか」「経験したあとでいかに考えてきたか」ということです。このように考えると、経験知の領域が広い「直感」のほうが「ひらめき」よりもすぐれていると考えるのが自然でしょう。 これも先述した池谷教授の講演会で聞いた例なのですが、眼力の鋭い骨董品店の主人が持ち込まれた壺を鑑定する時は、その壺を見た瞬間に「これは本物だ」「これは 偽物だ」といったふうに見分けると同時に、本物である場合は「どれくらいの芸術的価値があるのか」も見分けることができるといいます。やはり、瞬間的にそういうことができるのは、長い年月をかけて真摯に鑑定を行ってきた成果として「直感」が磨かれているからだと思うのです。

これも先述した池谷教授の講演会で聞いた例なのですが、眼力の鋭い骨董品店の主人が持ち込まれた壺を鑑定する時は、その壺を見た瞬間に「これは本物だ」「これは偽物だ」といったふうに見分けると同時に、本物である場合は「どれくらいの芸術的価値があるのか」も見分けることができるといいます。やはり、瞬間的にそういうことができるのは、長い年月をかけて真摯に鑑定を行ってきた成果として「直感」が磨かれているからだと思うのです。 もっと身近な例では、テストの答案で迷いがある時には、初めに書いた答えのほうが正しい確率が高いということがあります。

しかしながら私は、若いうちから考える癖をつけて経験知を積み増すことによって、30代や40代であっても、直感がいかんなく発揮できる脳をつくりあげることができると確信しています。そして、経験知を積み増すのに手っ取り早い方法が、本章で申し上げた「本を読む→考える」「試行錯誤する→考える」といった思考の繰り返しであるというわけです。

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2023年10月24日

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■大量消費社会は今や終焉に向かい、今後は少量多品種生産に向かいつつある。人々の多様化する価値観に合わせながら矢継ぎ早に新しい商品やサービスを生み出していかなければならない昨今、同じ会社内で同じように育てられ同じ知識と経験しか持たない会社員などほとんど役にたたない。
■るーるどおりに働いている仕事のおよそ半分はなくなる。
■新卒社員をはじめ若い世代が心掛けるべきは転職社会に身を置いていることを自覚して、一つの会社内のみで通用するスキルではなく社外でも評価されるスキルを身につけること。
■雇用は中途採用が標準になる背景
①世界でビジネスモデルの変化が目まぐるしい中、新卒の社員を時間をかけて育てていくのは難しい
⓶若手を育てるよりも優秀な人材を転職市場から採用した方がコストがかからない
③求められる職務に応じてふさわしい人材を充てる「適所適材」という考え方ら主流になる
④硬直した人事制度や企業風土を変えるために外部から多様な人材を取り入れる必要がある

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2020年05月23日

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日本における過去、現在、未来の様相を整理しつつ、それが現在の企業にどう顕在化して問題が起きているかがまとまっています。
その上で、私たちが必要とされるスキルや生き方のヒントを与えてくれます。

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2023年08月04日

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日本から定年が消滅する。他国に比べて平均寿命が高いのに、年金受給は他国よりも早いため、それだけ国の負担になっている。さらには働く世代も減少傾向にあるため、どう考えても高齢者に働いてもらう+年金受給年の引き上げがないと日本は潰れてしまう。
では高齢者が働く場を得るためには、自身が希少な存在でないといけない。それはなにもトップレベルの知識や技術を持てということではなく、複数のスキルを保持することで掛け算方式で希少な存在になり得るのである。
また、今後若年層もスキルがないと仕事がないということが十二分に考えられるため、思考力が極めて重要になってくる。しかしそれはITの進化の代償に失われているとされる。それをつけるのに手っ取り早いのが読書であり、さまざまなジャンルを読むことで思考の視点を増やすことができる。ITが進化していくこの時代で直感を育むためにも本を読め。

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2021年10月19日

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人生100年時代の働き方について再度考えさせられました。

企業の採用方法の変化や定年の消滅に対応していくため、リカレント教育の重要性を再認識。

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2021年01月19日

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ネタバレ

日本の雇用環境に大きな変化が起こっている中で、充実感ある人生を過ごすヒントを示した本。

長寿化により、ビジネスパーソンの生活が会社組織の寿命より長くなってきています。そうなれば、長い人生の中で1度や2度の転職は普通のことです。

社会環境の大変化は雇用環境にも大きな影響を与えます。社会が大きく変わるの中でビジネスパーソンとして充実した人生を過ごすには、いつでも学び直しをしてスキルを増やしていくことが重要になります。

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2020年12月06日

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ネタバレ

「人生100年時代」の到来が予見される日本。わが国が個人と社会にもたらす変化と、その変化に対応するための方策をコンパクトにまとめた一冊。
この本の出発点は、年金や医療費などの社会保障、人口減少に伴う労働力不足、高度な技術の流出防止などの観点から、企業の定年制度が消滅することにある。
著者は、定年制度の廃止は終身雇用・年功序列の解体を意味すると主張する。専門性や能力に応じた給与体系に伴い、人材の流動化が進むからだ。
その結果、どのような社会が待ち受けるのか。主に、
・転職市場の拡大や通年採用の導入
・個人のスキルアップの必要性
・企業のジョブローテーションの再構築(著者は「適材適所」から「適所適材」という言葉を用いている)
・社会貢献できる人材の育成やリカレント教育の場としての大学改革の必要性
などを説いている。
どれも私自身が持っている問題意識と重なる部分が多かった。見方を変えれば、それほど内容に目新しさはない。社会で一般的に言われていることを体系的にうまくまとめた、とも言える。
残念な部分は最終章。タイトルの「定年消滅時代をどう生きるか」の解答となる箇所だが、読書の必要性が説かれている。
確かに読書を通じて知識を得ること、考え抜く力を養うことは否定しないが、冒頭から多くの問題提起を行っていただけに、尻すぼみ感は否めない。
著者の数多くの問題提起について、読者が自らその「解」を考えるべきかも知れない。

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2020年05月06日

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適材適所ではなく適所適材。会社が言っていることが書かれており、自分のところだけじゃなくて日本全体の流れなんだなと改めて思った。
楽しんで仕事をすること(楽しめるような仕事を見つけること)と学ぶ姿勢を忘れずに読書、スキルアップの大切さが大事。
今の日本の流れが分かりやすく書かれていて復習のようだった。

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2020年03月05日

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ネタバレ

『定年消滅時代をどう生きるか』要約&読書シェア議論

旧来の流れ:
新卒一括採用&年功序列 →終身雇用
→豊さがモノで規定されていた。国民はこれを買うために一生懸命働く。
→企業はそれを効率的に大量生産することを目的にしていた。
→それをできるために、新卒採用で人を機械的にはwpららかせていた

の社会:
ものが大量に溢れている社会。
ニーズや価値観が多様化している。 →ほしいものが人によって違う
→企業は、人によって合わせた物を生産する必要がある。
→これまでの体制が変わっていく。
個々人の能力や創造性や独創性が必要
→人は、時代に合わせたスキルを得続けることが必要になっていく。
何度も転職していく時代になる。

自分の価値を会社の名前に置くのではなく、能力開発し、市場価値を高めていくことが必要・
→生涯現役世代。


IT/AI技術が発達 →これからのスキル習得をサポートしてくれる。
技能習得が効率化していくことができる。

高齢化の問題が膨らんでいく。現役世代が少なくなっていく。
→年金制度は破綻する。
ではどうすれば良いか?
→「高齢者」の枠組みを外して、自分のことは自分で賄うことができるようにしなければ行けない。
→しかし、スキルが陳腐化する人は生きていけない。
→常に学び続け、スキルを絵続けることができるような人を育成する「教育体制」が必要


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〈読書シェアの際にした議論〉

経済学の観点
出生率を決めるのは、
「子供を産むことによる効用」と「子供を産むことによって支払うコスト」がイコールになるところ。

※イギリスの研究
なぜ女性が子供を産まないのか?
一言で言うと、育てる環境がないから。 →コストが高い
・仕事を両立するための仕組みがない(例)保育所の少なさ
・周りの理解がない(例)育休の制度の整備がされていないこと
・夫が協力しない(パターナリズムが払拭されていない)
→女性の考えを変えようとすることは不毛で、社会を変える必要がある。

子供を産むことによって発生するコストを様々な観点から減らせたらいいな

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2020年02月03日

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・会社の平均寿命と働く期間を比較すれば、人は2.5社ほどの会社で働くこととなる
・定年というゴールを設定してしまうと、働くことが途端に義務のようになってしまう。日々学び、挑戦を続ける姿勢を持つことが、働きがい、生きがいにつながる
・本を読む、考えるというクセ、習慣をつけること

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2023年01月15日

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少子高齢化やデジタル化、国際化の流れから、
新卒一括採用や終身雇用などの日本独自の制度が消えていき、仕事は「メンバーシップ型」→「ジョブ型」へ変わっていく、というもの。
自分の会社も今まさにこの流れの真っ只中。
抵抗感があったが、本を読んで時代の要請なんだと少し受け入れることができた。

そんな時代を生きていく処方箋として筆者があげているのは、
▽仕事を好きになること
▽専門性を身につけること
▽スマホは少し断って読書をすること
この辺りは納得です。

ただ全体的に重複感はあった。

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2021年11月29日

Posted by ブクログ

定年消滅時代

今後、"定年が70歳になる"と知って、まず思ったのは「まだ、働かなきゃいけないのかー!」だった。まあ、冷静に考えれば年金だけじゃ"ぎりぎり"なわけだし。この本は"なぜ今後定年がなくなり中高年はどう行動すべきか"を教えてくれます。
定年は、やはり撤廃される可能性は高いようですね。これは日本の人口減少を記述した他の著者の本でも述べられています。つまり労働人口の維持のため。要は、手っ取り早く労働人口を維持するために定年を伸ばすわけです。
しかし、企業側の理由もあります。企業は世界との競争にさらされ"優秀な人材を即戦力と欲しい"という必要性に迫られています。これはジョブ型の採用に変化する事を意味しており、終身雇用に甘んじ勉強をしないスタッフは企業のお荷物となっていく事も示唆しています。実際、若者自身の仕事に対する意識変化はジョブ型に移行し、スキルアップの為の転職は当たり前になってきています。その為、著者は今の中高年に必要な事は"学び直し"であり、ITに慣れるだけでなく、様々な分野の書籍を読む事を強く勧めています。
著者の中原圭介氏は、経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動してます。
この本は、40代以上の方には教養として読む事を勧めます。現在、僕も興味がある事は取り敢えず読み漁っています。当然、新しい事や今まで意識していない事が意識できるようになったりと役に立つこと多くなっています。ただ、著者は"スマホ断ち"を勧めていますが、これは"スマホとどう付き合うか"なのであまり気にしなくていいと思いました。

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2020年03月29日

Posted by ブクログ

flierで内容興味持ち、購入。
企業でも中途の割合が増えていること、終身雇用や年功序列の終焉といったことが端的にまとめられていて、今起こっていることを整理できたと思う。
ただ、後半著者の主張が増えてきたあたりから気になる点が多い。例えばスマートフォンの件について、確かにゲームやSNSをやっている人が多いのだろう。一方で新聞、電子書籍、はては単語などの勉強用アプリと多彩な昨今、少々古い考えのように感じた(仕事のメール返している人もいるでしょう)。正直、スマートフォンが増える前から理解力がない(表層的な捉え方をする)人というのはいると思うのだが・・・。

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2020年03月29日

Posted by ブクログ

もう一つ。
学生向けかも。
70〜75歳まで働くのが当たり前になり、2回転職するのが普通になるとのこと。
いくつになっても学ぶ気持ちを持つこと。
読書をする。自分で考えるのが大事。

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2020年03月14日

Posted by ブクログ

城繁幸さんの著書と、将来の見通し共通することが多いと感じた。
いろんな分野の本を読むことを勧めている。

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2023年05月13日

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