藤本タツキのレビュー一覧
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第23巻は、「誰が正しいのか」がますます分からなくなる巻だった。単純なバトルの続きではなく、世界そのものが不安定になっていく中で、デンジやアサがどう立つのかが描かれている。
この巻で目立つのは、核兵器というキーワードが再び強く前に出てくることだ。戦争の悪魔ヨルにとっては、自分の力を取り戻すための象徴的な存在でもあり、物語のスケールが一気に大きくなる。これまでの「好き」「守りたい」「有名になりたい」といった個人的な動機とは違い、世界レベルの恐怖や破壊が話の中心に入ってくる。空気が一段重くなる。
一方で、デンジの反応はどこか淡々としている。昔のように勢いで突っ走るというより、状況に流されながら -
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第20巻は、『チェンソーマン』第2部が一段と混沌を深める巻であり、単純なバトルやクライマックスではなく「登場人物の精神的な崩壊」と「存在そのものの再定義」が同時に描かれる内容になっている。冒頭から物語はナユタの死という衝撃的な出来事を起点に動く。ナユタはデンジにとって妹のような存在であり、その死は単なる損失ではなく彼の精神を根底から揺さぶる。これにより、デンジは“黒いチェンソーマン”と呼ばれる暴走状態へと変貌し、本来の自我を失いながらも圧倒的な力を発現させる。 
巻中では、ヨル(戦争の悪魔)の思惑が具体的に動き出す。ヨルはチェンソーマンを倒すため、禁断とされる力や手段を武器として使おうとす -
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この巻は「主人公がひたすら強くなる戦闘譚」ではない。『チェンソーマン』第4巻では、デンジと仲間たちがこれまでの延長線上にある戦闘だけでなく、「生存のための準備と自分たちの立場の整理」という段階に差し掛かる。ここで物語は単純な戦闘描写から一歩進み、「力の制御」と「周囲との関係性」の再構成を描き出す。 
まず、この巻は公安特異4課が大打撃を受けたところから始まる。デンジの心臓を狙う謎の一味の襲撃により、チーム内には不穏な空気が漂う。主力メンバーの一部は負傷し、これまでの戦いの累積が明らかになる。ここから、第4巻は「追われる対象としてのデンジ」と「彼を守ろうとする仲間」の双方の立場を描写し、単な -
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『チェンソーマン』第1巻は、ダークヒーローの誕生譚ではない。悪魔と戦う爽快なバトル漫画でもない。むしろこれは、極端に削られた欲望しか持てなかった少年が、自分の生を取り戻していく過程を描いた物語である。
主人公デンジは、父の借金を背負い、内臓を売りながら悪魔狩りで日銭を稼ぐ生活を送っている。彼の夢は大きくない。パンにジャムを塗って食べたい、女の子と一緒に寝たい、普通の家に住みたい。それだけである。社会から搾取され続けた結果、彼の欲望は最低限まで縮小している。この「欲望の初期値」が、本作の出発点だ。
裏切りによって殺されたデンジは、相棒の悪魔ポチタと契約し、チェンソーマンとして蘇る。ここで物語 -
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ルックバックを読んだ後、内容を全く知らずに読んだ。
映像化して欲しいくらいに良い作品だった。
と同時に"漫画"であるからこその、コマ割り、表現方法に魅了された。
同じカットを連続で流すコマ割り、空気感が伝わる空間の切り取り方、映画を見ているかの様に時間さえも表現されていて言葉が無くともひとコマづつ目で感じ取り追ってしまう。
これはルックバックと同様。
またこのコマは"作品"に使われるのか、等考えながら読み進めていたが、作品と現実との境目が分からなくなるところも感慨深い。
そして絵梨のあるセリフが後に活きるシーンがある。それが優太の「半分自伝的」要素にも組