中野美代子のレビュー一覧

  • カニバリズム論

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    40歳頃のエッセー集。
    中野先生は『西遊記』の注でも「蹴鞠の技の訳が分かる方は連絡ください」みたいに書いてたけど、この本でも『「良識」よりもカニバリズムに感応する』のように述べていて、正直で素晴らしいと思った。

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    2021年07月04日
  • 風水 ――中国哲学のランドスケープ

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     19世紀の宣教師が個人的興味で収集した内容ではあるが非常に体系的にまとめられている。いわゆる科学的アプローチによる考察であり、最終的には風水を迷信と結論付けてはいるものの、その科学的アプローチのおかげで風水の形が明らかになっている。一方、迷信と決めてかかっているせいでいくつかの見落としもあるように思う。例えば居住地に対する西洋人の処置が、風水を理解していると評価されていることの意味が分からないとたびたび書いているが、居住地に対して処置が必要であることをお互いに経験上知っており、西洋人はそれを科学と呼び、中国人は風水と呼んでいるだけで全く同じことであると気づいていない。とはいえ、八卦や相生、相

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    2021年05月22日
  • 西遊記 5

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    次から次へと妖怪に出会う三蔵と弟子たち。三蔵の肉を食べると不老不死になるとのことで、妖怪たちが三蔵に襲い掛かる。菩薩さまや天海地の神の助けも借りつつ、妖怪たちを次々と倒していく孫悟空。元祖ロールプレイングゲームって感じ。

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    2017年11月01日
  • 西遊記 4

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    少し間が空いてしまったが、4巻に突入。ちょうど、この4巻から訳者が小野忍さんから中野美代子さんへ代わったという過去もあったのだそうです。
    (その後、1~3巻についても、中野美代子さんの訳が出たんですね)

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    2017年10月27日
  • カニバリズム論

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    ネタバレ

    社会学・哲学の本ではなく、文学に属する評論的エッセイ集である。
    「カニバリズム」つまり人肉嗜食に惹かれる著者は澁澤龍彦などと通じる傾向が見られるが、澁澤なんかよりもずっと学識豊かで、冷静なまなざしを持っている。
    中国の文学と歴史に詳しい著者の記述は、中国について非常に疎い私から見ると魅力的で、なかなか興味深い。
    中国人は現実的で、即物的なリアリストだという指摘も面白い。いったん死んだものについてはさほど気にかけない点、日本的文化と逆である。
    本書は学術的とまでは言えないが、じゅうぶんな学識をもった文学者の書であるので、面白く読み通すことができた。

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    2017年10月24日
  • なぜ孫悟空のあたまには輪っかがあるのか?

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    西遊記の数字にそんなに意味があるとはなー。
    ぱっと見「ん?こじつけでは?」と感じてしまうけど、たぶん正しいんだろうね。
    軽い文体だけど、内容は多岐にわたり、実はかなり中身がつまった良書。

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    2016年04月29日
  • なぜ孫悟空のあたまには輪っかがあるのか?

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    西遊記を訳した人が気づいたトリビア~孫悟空は金属質であるにも関わらず金属が苦手,武器として如意棒を手に入れた時も金箍が嵌っているために己のものとすることができた。自由度,金属度という観点から西遊記を解剖~九九の面白さとカプレカルのループ。猿はテナガザルで仙的なものと見なされたが,西遊記が大衆文化として確立する時に,より身近であるアカゲサルとなり,無双の力を与えた。仏教を揶揄している部分があり,猪八戒の名が猪悟能であって,沙悟浄との関連が出てくる。沙悟浄は水怪であるとは書かれているが,河童とは書かれていない。その河童にしても水の中では馬に悪戯もするが,陸に上がると馬を守護する

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    2014年02月10日
  • カスティリオーネの庭

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    清の乾隆帝に宮廷画家として仕えた宣教師 郎世寧(カスティリオーネ)が同僚と一緒に西洋庭園を築き上げる物語

    物語は、苦心して築いた西洋楼庭園の噴水台座の中から白骨死体が発見されるところから始まる。
    皇帝一族と指示されて描いた絵画の謎なども提示され、終盤、一気に謎が明かされていく。

    キリスト教弾圧で仲間が処断されていく中、乾隆帝の気まぐれな指示に答えて、噴水を西洋庭園を築いてカスティリオーネたちを丁寧に描いているので、物語がテンポ良く進むというわけではない。

    郎世寧は、浅田次郎の「蒼穹の昴」にも出てきていて重要な役割を与えられている。

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    2012年08月18日
  • 西遊記 1

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    西遊記って、なんとなくサワリは知っているものの、きちんと知らないなって思ったので
    読んでみようかと。

    どうも私は信心深くないからなのか、悟空よりも神様たちの方が
    ひどいことをしてるようにしか思えない。
    ドラマなんかでは、孫悟空はいたずら放題したので罰として、
    と一言で済まされてるけど、
    その悪事の数々が書かれているんだけど、部下思いの王様だなと思う。
    まあ悪いこともしてるけど、そんな何百年も石の中に閉じ込められるようなことなのかな。
    と思ったら他の人たちも、そうでもないことで罪に問われていたけど。

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    2010年03月31日
  • 西遊記 2

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    やっと悟空と八戒が出てきて旅が始まったので、面白くなってきました。
    知っているエピソードも出てきて、ひと安心。
    実は私、三蔵の乗っている馬が竜だったなんて、結構最近まで知りませんでした。

    三蔵が結構我儘に思えるのは私だけなのでしょうか。
    徳の高いお坊様も人間ってことなのか。
    三蔵法師に限らず、神様たちも殺生はするなと言う割には
    相手が妖怪や動物だと別段咎めないというのも、
    四本足は椅子以外なんでも食べると言われる中国のお話ならでは、
    ってことなのでしょうか。
    妖怪や動物でも、命は命では…と思っちゃうんですけども…。

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    2010年03月31日
  • 西遊記 3

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    日本人にはやっぱり馴染めないのかも…と思っています。
    兎に角八戒が今普通に凄くむかついて、嫌いで嫌いでしょうがない。
    三蔵法師も全然立派な人の感じがしない…。
    ドラマ等のイメージが強くつきすぎているせいなのか。
    ドラマ版の方がキャラ的にも、話の展開的にも、日本人好みだなと思いました。

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    2010年03月07日
  • 西遊記 4

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    八戒と三蔵に苛々。

    こういう昔話に出てくる神様ってのは、本当にあまり完璧でなく
    普通に焼き餅やいたり仕返ししたりするよなあと思います。
    あっさり殺生がなされたりするけど、
    それは中国の昔話ならではということでおいておけば、
    悟空は普通に偉い弟子をちゃんとやってると思うのに
    なんで三蔵は八戒なんぞの言うことを聞くんだろう。
    解せない。

    4巻には、金角・銀角大王の話が入っていました。
    これは流石に私でも知っていたので面白かった。

    ドラマにしろアニメにしろ、結構アレンジしまくってあるのだなと
    気付きました。
    まぁこの原本のままやったらあんまり八戒も三蔵も感情移入できないしな。

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    2010年03月07日
  • 西遊記 6

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    この巻には、牛魔王とか芭蕉扇とか羅刹女とか、
    知っている名前が沢山でてきて楽しい。
    それに、偶然にも封神演義と平行して読んでいたんで、
    見知った名前も出てくることだし。


    孫悟空が可愛くて…。なんてお師匠様思いなの?!
    と思っていたら、なんでなのか突然に人殺し。
    理解しにくい。
    突然過ぎる。
    まあなんとかお師匠様の元に戻ることができましたが。
    偽の悟空なんて出すくらいなら、
    強盗を殺したのも全部偽ってことの方がよっぽど納得がいきました。
    個人的には。

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    2010年03月07日
  • 西遊記 7

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    読めば読みほど、悟空が可愛い。
    三蔵さんはたまにむかつくけれど、へなちょこぶりがいいかなとも。
    やっぱり、人間ですから。どんなに偉い人でも。
    そして周りは大抵が妖怪ですから。
    獲って食われるっていう危険て、少なくとも現代日本人の私には
    わからない恐怖だし。

    自分の印象、ドラマやアニメなどのリメイクでは、悟浄って普通に活躍しているけれど、
    原作はそうでもなくて、三人の弟子の中では普通の人で、
    妖怪を倒す力とかはそんなにないんです、みたいなことを自分でも言ってる。
    妖怪に誘拐されたお師匠様を助けなきゃ!ってときも、
    悟空がひとりで行くか、八戒を連れて行くかで、
    悟浄は大抵が馬と荷物を見張ってひと

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    2010年03月07日
  • 西遊記 8

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    段々三蔵さんの意気地なしなところが可愛くなってきました。
    人間というものは、これだけ修行をして徳を積んだ人でも
    まだこれだけ弟子を信じきれなかったり、
    心が弱かったりするものなんだな。

    それに、これだけ毎回毎回ここまでの災難に(獲って食われるわけだし)
    遭っているのに、それに耐えて進むんだから、
    いくら泣きながらでだってやっぱり強い人なんだなと思う。

    今回初めて、八戒の言うことに託かされそうになりながらも
    悟空の言うことを信じて先へ進もうとしてくれたんで、
    良かった!と思ったら結局…。
    ああ、どうなることやら。(苦笑)

    ところで、悟空の頭の金のわっか。今まで接してきた
    マンガやドラマやア

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    2010年03月04日
  • 西遊記 9

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    作者が代わっているので、細かい違いが気になります。
    この巻に限った話ではないけれど。
    この巻で言うなら、那托親子が悟空に協力的じやないところがちょっとがっかり。
    仲良く手助けしてくれている方が嬉しい。
    親子の仲も、その方が良さそうに見えるし。


    言葉遊びのようなものも多くて、訳すのにそんなところまで
    考えなければいけないのかと思うと、凄いなと思う。なんて奥が深い。
    つっこみどころも満載ですけども。


    世間でよく知られている、他のアニメなんかでモチーフにされていることって
    本当にほんの、途中の一部なのだなとよく分かりました。
    牛魔王とか芭蕉扇とか、この物語の中で特に強い敵や武器というわけでも

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    2010年03月04日
  • 『西遊記』XYZ このへんな小説の迷路をあるく

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    敬愛する北海道大学の武田雅哉先生の師匠にあたる中野美代子先生が、自身が翻訳した『西遊記』についてその中に隠された様々な謎について解き明かしていった本です。何の意味もない野菜を羅列した詩に隠された本当の意味や、洞穴や体内に入ることの意味など、学者として『西遊記』を裏の裏まで知り尽くした訳者でないと気付かない様々な謎が解き明かされてます。ただ、本書を読む前に中野先生が訳した岩波文庫版の『西遊記』を読んでおいた方が本書をより楽しめます。残念ながら私はそちらの方は未読ですので、この本の面白さの半分も分かっていないかもしれません。個人的には「玄奘のお供がなぜ猿なのか」は目からウロコでした。

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    2010年02月08日
  • 西遊記 10

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    化け物に捕らわれた三蔵が悟空を頼って泣くのを聞き、嬉しくなった悟空が「お師匠様!孫さま来ましたぜ!」と言うところでキュンときた。悟空健気すぎる・・・

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    2009年10月07日
  • 西遊記 9

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    ようやく天竺に!でも天竺=お経じゃないのね。天竺の中にたくさん街やら山やらがあるわけね。おk把握。いよいよ八戒が可愛いです。この巻には完全に脇役扱いな悟浄のレアな戦闘シーンも収録されてて、マニア垂涎。これっぽっちじゃ物足りない!と言う悟浄ファンには、中島敦「悟浄嘆異・悟浄出世」がお勧め。

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    2009年10月07日
  • 西遊記 8

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    何度悟空に怒られても懲りずに怠慢ぶりを発揮してはやっぱり怒られてそれでも悪びれずに堂々と面倒くさがる八戒が可愛く思えてきました。

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    2009年10月07日