中野美代子のレビュー一覧
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19世紀の宣教師が個人的興味で収集した内容ではあるが非常に体系的にまとめられている。いわゆる科学的アプローチによる考察であり、最終的には風水を迷信と結論付けてはいるものの、その科学的アプローチのおかげで風水の形が明らかになっている。一方、迷信と決めてかかっているせいでいくつかの見落としもあるように思う。例えば居住地に対する西洋人の処置が、風水を理解していると評価されていることの意味が分からないとたびたび書いているが、居住地に対して処置が必要であることをお互いに経験上知っており、西洋人はそれを科学と呼び、中国人は風水と呼んでいるだけで全く同じことであると気づいていない。とはいえ、八卦や相生、相
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ネタバレ社会学・哲学の本ではなく、文学に属する評論的エッセイ集である。
「カニバリズム」つまり人肉嗜食に惹かれる著者は澁澤龍彦などと通じる傾向が見られるが、澁澤なんかよりもずっと学識豊かで、冷静なまなざしを持っている。
中国の文学と歴史に詳しい著者の記述は、中国について非常に疎い私から見ると魅力的で、なかなか興味深い。
中国人は現実的で、即物的なリアリストだという指摘も面白い。いったん死んだものについてはさほど気にかけない点、日本的文化と逆である。
本書は学術的とまでは言えないが、じゅうぶんな学識をもった文学者の書であるので、面白く読み通すことができた。 -
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西遊記を訳した人が気づいたトリビア~孫悟空は金属質であるにも関わらず金属が苦手,武器として如意棒を手に入れた時も金箍が嵌っているために己のものとすることができた。自由度,金属度という観点から西遊記を解剖~九九の面白さとカプレカルのループ。猿はテナガザルで仙的なものと見なされたが,西遊記が大衆文化として確立する時に,より身近であるアカゲサルとなり,無双の力を与えた。仏教を揶揄している部分があり,猪八戒の名が猪悟能であって,沙悟浄との関連が出てくる。沙悟浄は水怪であるとは書かれているが,河童とは書かれていない。その河童にしても水の中では馬に悪戯もするが,陸に上がると馬を守護する
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八戒と三蔵に苛々。
こういう昔話に出てくる神様ってのは、本当にあまり完璧でなく
普通に焼き餅やいたり仕返ししたりするよなあと思います。
あっさり殺生がなされたりするけど、
それは中国の昔話ならではということでおいておけば、
悟空は普通に偉い弟子をちゃんとやってると思うのに
なんで三蔵は八戒なんぞの言うことを聞くんだろう。
解せない。
4巻には、金角・銀角大王の話が入っていました。
これは流石に私でも知っていたので面白かった。
ドラマにしろアニメにしろ、結構アレンジしまくってあるのだなと
気付きました。
まぁこの原本のままやったらあんまり八戒も三蔵も感情移入できないしな。 -
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読めば読みほど、悟空が可愛い。
三蔵さんはたまにむかつくけれど、へなちょこぶりがいいかなとも。
やっぱり、人間ですから。どんなに偉い人でも。
そして周りは大抵が妖怪ですから。
獲って食われるっていう危険て、少なくとも現代日本人の私には
わからない恐怖だし。
自分の印象、ドラマやアニメなどのリメイクでは、悟浄って普通に活躍しているけれど、
原作はそうでもなくて、三人の弟子の中では普通の人で、
妖怪を倒す力とかはそんなにないんです、みたいなことを自分でも言ってる。
妖怪に誘拐されたお師匠様を助けなきゃ!ってときも、
悟空がひとりで行くか、八戒を連れて行くかで、
悟浄は大抵が馬と荷物を見張ってひと -
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段々三蔵さんの意気地なしなところが可愛くなってきました。
人間というものは、これだけ修行をして徳を積んだ人でも
まだこれだけ弟子を信じきれなかったり、
心が弱かったりするものなんだな。
それに、これだけ毎回毎回ここまでの災難に(獲って食われるわけだし)
遭っているのに、それに耐えて進むんだから、
いくら泣きながらでだってやっぱり強い人なんだなと思う。
今回初めて、八戒の言うことに託かされそうになりながらも
悟空の言うことを信じて先へ進もうとしてくれたんで、
良かった!と思ったら結局…。
ああ、どうなることやら。(苦笑)
ところで、悟空の頭の金のわっか。今まで接してきた
マンガやドラマやア -
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作者が代わっているので、細かい違いが気になります。
この巻に限った話ではないけれど。
この巻で言うなら、那托親子が悟空に協力的じやないところがちょっとがっかり。
仲良く手助けしてくれている方が嬉しい。
親子の仲も、その方が良さそうに見えるし。
言葉遊びのようなものも多くて、訳すのにそんなところまで
考えなければいけないのかと思うと、凄いなと思う。なんて奥が深い。
つっこみどころも満載ですけども。
世間でよく知られている、他のアニメなんかでモチーフにされていることって
本当にほんの、途中の一部なのだなとよく分かりました。
牛魔王とか芭蕉扇とか、この物語の中で特に強い敵や武器というわけでも -
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敬愛する北海道大学の武田雅哉先生の師匠にあたる中野美代子先生が、自身が翻訳した『西遊記』についてその中に隠された様々な謎について解き明かしていった本です。何の意味もない野菜を羅列した詩に隠された本当の意味や、洞穴や体内に入ることの意味など、学者として『西遊記』を裏の裏まで知り尽くした訳者でないと気付かない様々な謎が解き明かされてます。ただ、本書を読む前に中野先生が訳した岩波文庫版の『西遊記』を読んでおいた方が本書をより楽しめます。残念ながら私はそちらの方は未読ですので、この本の面白さの半分も分かっていないかもしれません。個人的には「玄奘のお供がなぜ猿なのか」は目からウロコでした。