あらすじ
ありがたいお経をいただきに、天竺めざして旅立つ玄奘三蔵。しかし、たちまち2人の従者は妖魔につかまり頭から食われる始末。苦難の道へ心細く踏み出すその時、聞こえてきたのは「お師匠さまが来たぞ!」というばかでかい声。それは、お供をすべき取経僧を待ちわびる孫悟空のよろこびの叫びなのでした。新訳。(全10冊)
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Posted by ブクログ
中国明代の白話(口語)文学の代表格にして、「四大奇書」の一つとしても知られる小説『西遊記』の日本語全訳。唐代の僧玄奘(三蔵法師)のインド取経の故事を題材に、孫悟空・猪八戒・沙悟浄の三妖を従えた三蔵の波乱万丈の旅を描く。第2巻では第十一回から第二十回までを収録する。
本書は、岩波文庫から刊行されている『西遊記』日本語訳シリーズの第2巻である。いよいよ本筋である西天取経の物語の始まりを描く本巻は、唐の皇帝太宗の地獄巡りの顛末から三蔵法師の旅立ち、孫悟空・玉龍・猪八戒の収服を経て黄風怪編の前半までを収めている。亡者供養のため催された大施餓鬼会での観音菩薩の示現をきっかけとして、太宗は高徳の僧として名高い玄奘(後の唐三蔵)に西天まで大乗の経文を取りに行くよう命じる。かくして三蔵の十万八千里に及ぶ西天取経の旅が始まった――わけではあるが、その行く先は魑魅魍魎ひしめく危険な道程、大唐の国境を超えた矢先に早くも妖怪に襲われ従者を失うという結果になってしまう。されど仏の救いとはよく言ったもの、観音菩薩の計らいの下、三蔵にはそれこそ人並外れたとてつもない旅のお供がつくことになるのである。即ち、西海龍王の第三太子である玉龍に天蓬元帥の下凡たる猪八戒、そして我らが斉天大聖の孫悟空である。
軽快な語り口の訳文はそのまま、いよいよメインキャラクター登場ということで彼らの面白い掛け合いが楽しめるのが本巻の特徴である。正道に帰したとはいえまだまだ生来の傲岸さと無頼ぶりが抜け切らない悟空、高徳とは言うものの基本的に小心かつ無能で何かと小言の多い三蔵、そして本作最大の道化役として滑稽に振る舞う八戒と、まるで凸凹な面子が様々なやり取りをしながら旅をしていく様は読んでいて楽しくなってくる(個人的にツボだったのは、玉龍編で馬を失い嘆くことしか出来ない三蔵相手に「まったくもう!役立たず!」と散々に言い散らす悟空であった)。
また意外だったのは、取経の旅において最初の「ボス敵」とでも言える妖怪・黒風怪が既に悟空と互角の実力を有している(故に悟空は負けることこそないが打ち負かすことも出来ず、観音菩薩の助力を得てようやくこれを収めた)ということである。「無敵のヒーロー」としての印象が強かった悟空が物語の序盤も序盤から手詰まりになるという展開は驚きであった。(実はこうした孫悟空の「無敵のヒーロー」というパブリックイメージが後世に付加されたものであるという指摘を訳者は別書にて指摘しているのではあるが)
Posted by ブクログ
三蔵法師が登場。孫悟空と出会って、旅が始まった。猪八戒も合流。
妖怪たちと悟空のやりとりの楽しいこと。そして三蔵の頼りなさもいい味出してます。
いよいよ物語が本格的に動き始めた第2巻。
Posted by ブクログ
いやはや、いま現在の三蔵法師のイメージというのは、夏目雅子さんの影響力が大きいのかもしれない…
もともとは、案外軟弱な人物として書かれていたとは。
Posted by ブクログ
面白い。
三蔵は鬱陶しいくらいへたれでわがままで心配性なくせに、悟空が強いからか弟子以外に対しては態度でかいし。
八戒エピソードではちょっと卑猥な表現が出てくるんじゃないかと期待したけどもそんなことはなかった。
Posted by ブクログ
やっと悟空と八戒が出てきて旅が始まったので、面白くなってきました。
知っているエピソードも出てきて、ひと安心。
実は私、三蔵の乗っている馬が竜だったなんて、結構最近まで知りませんでした。
三蔵が結構我儘に思えるのは私だけなのでしょうか。
徳の高いお坊様も人間ってことなのか。
三蔵法師に限らず、神様たちも殺生はするなと言う割には
相手が妖怪や動物だと別段咎めないというのも、
四本足は椅子以外なんでも食べると言われる中国のお話ならでは、
ってことなのでしょうか。
妖怪や動物でも、命は命では…と思っちゃうんですけども…。