内館牧子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ内館牧子さん好きで、これまでの老人シリーズも面白かったので読みました。本作もとても面白かったです!
主人公は、会社経営を引退して「会長」となった老人と、その娘。会社は娘婿が継ぎ、その息子も成績優秀で将来が期待できる。娘は独立して医療機関で働いていて、コロナ対応で忙しく、ほとんど帰ってこない。
最近、コロナ禍を題材にした小説がけっこう出てきましたね。この小説でもコロナ禍でままならない老人たちが描かれている。
主人公の「会長」、福太郎は、一度は引退したものの、妻に先立たれ、することがなくなったので再び会社に出るようになり、自慢話や社員へのお説教を繰り返し、老害だと言われている。ついに、出しゃばりすぎて大事な取引先との契約を台無しにしてしまう。いい加減にブチ切れた娘が、二度と会社に迷惑をかけるなと言い渡すと、出勤するのをやめ、暗い顔でしょんぼりと日々を過ごすようになった…。
と、思いきや、福太郎は転んでもタダでは起きなかった。老人の自分に何ができるか、考えて行動した。
戦々恐々とする娘や孫世代。
その娘も50代で、すでに若くはなく、親世代を見ながら「こんな老人にはなりたくない」などと考えている。孫は成績優秀で陸上競技での実績もあり、名門大学からの誘いも来ているが、自分が本当にやりたいことは何なのか考え、選択する。親や祖父が「その選択はリスクが大きすぎる」と考えるような選択だが、未来の社会を築いていくのは彼らなのだ。古い価値観を押し付けても、それで将来が安泰とは限らない。
色々な世代の生き方を描いてはいるのだが、やはり福太郎のキャラクターがすごい。
娘は福太郎を「老害だ」と思っているが、誰にも止められない福太郎が、生き生きと動き出すとき、やはりカリスマ性が光っている。入り婿の社長がいくら頑張って実直に勤めても、どうしてもかなわないオーラがある。それを認めざるを得ない場面とか、なかなか面白かった。
最後は「老害」と言われようと、なんと言われようと、老人だって誰にも遠慮することなく、自分の人生を生きるのだっていうなんとも痛快な終わり方で、心温まると同時にちょっと呆れる、でもそんな老人になりたいな、なんて思える物語でした。 -
Posted by ブクログ
正直なところ私は源氏物語は全く詳しくなく、ほぼ何も知らない状態から読んだ。
しかしとても読みやすく、面白く、サクサク読むことができた。
内容的には最近流行りの異世界転生ものっぽい感じがあり、物語序盤で主人公が手にするあらすじ本が言わば未来視のチートアイテムのような感じもある。
(とか言っておきながら、実は私自身は異世界転生ものは読んだことがないのを詫びたい)
そう書くと転生先でやりたい放題かと想像するが、作者自身のあとがきで記載の通り、しっかりと弘徽殿女御を中心とした源氏物語の世界に沿って話は進んでいく。
物語の中では主人公や弘徽殿女御周辺の人物の心理描写を中心として描かれており、現代の便利さなど一ミリもない平安時代の世の中でも、人の愛や嫉妬、母の強さなどは変わらないのだろうなと想像させる。
神の子とされるほどの美しさ、上品さ、人を惹きつける魅力を放つ光源氏も本作の中では性欲モンスターとして描写が強く、読んでいて呆れるというか、本当に「お前なぁ・・・」という気持ちに何度もさせられた。
私自身男性であるが、光源氏のように下半身に主導権を握られたくないものである。
ラストに向けた描写は大筋は想像通りだったものの、前向きな終幕となりすっきりした気持ちで読み終えることができた。
一番最後に衝撃だったのは、作者紹介欄に記載のあった作者の生まれ年。
1948年と書いてあり、本日時点で御年75歳。
あまりにも現代的な文で読みやすく、作者は30代かそうでなくとも40代くらいだと思っていたので、想像を遥かに超えていた驚きで読後感が吹っ飛んでしまった。
タイトルもプラダを着た悪魔をもじったのだろうと初見からわかっていたが、この映画も公開は2006年で全く想像がつかない。
作中にスマートフォンというワードも出てくるが、この本のリリースは2012年5月であり、当時のスマートフォンはiPhone 4Sの世代。
作中後半に出てくることを加味しても、執筆中はもう少し前のはずなのでiPhone4世代だと考えられる。
まさにスマホ黎明期でスマートフォンを持っている人のほうが圧倒的に少なかった時期。
そんな時代から当たり前のように作中にスマートフォンというワードが登場するあたり、作者の若さに本当に驚かされた。
最後にもしかしたらこの投稿を読んでいるかもしれないこの本を貸してくださった方へ。
4年も本借りっぱでごめんなさい。明日返します。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公の78歳忍ハナさんが何と言っても魅力的に描かれていますね。
実年齢より若く見えることを常に意識している所は見習いたいくらい。ホントおしゃれな御婦人なんです。だけど心の中ではまぁ毒を吐く。
誰から見ても仲良し夫婦の忍岩造とハナ。突然岩造が亡くなり遺言状を残していた事から40年も家族に秘密にしていたもう一つの家庭があった事が発覚。
嘘でしょ〜。そんな長い事よくぞ隠し通せたと思います。岩造が亡くなり、もう生きているのも辛くなっていたハナが、妾とその息子の存在を知り一発かましてやりたい!と元気を取り戻したのは良かった。
岩造の唯一の趣味だった折り紙で追悼折り紙展を開催しようとしていたのに全て水攻めにして捨てた潔さ。そして死後離婚を考えるまで立ち直ったのはあっぱれとしか言えません。
妾とその息子が意外にも悪い人ではなかった所がハナを最後は菩薩にしてくれて良かったです。
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購入済み
快活でテンポが良く楽しくて一気読みしてしまいました。突然の夫の死と書いていないはずの遺書、そしてまさかの内容。どん底に突き落とすような出来事を乗り越え菩薩を通り越し大日如来になっていくハナさんは口は悪いけど愛すべき存在です。まだ老齢ではないですが生き方を考えさせられる一冊でした。
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Posted by ブクログ
痺れる程にかっこよく、ウーマンオブザイヤーだったら大賞クラスの弘徽殿の女御がメインのストーリー。
源氏物語は、7年位講座に通っていたので元々興味がありました。
「十二単を着た悪魔」は本家とはかなり違う視点で書かれていましたが、最初から最後まで楽しく読ませていただきました。
ちなみに本家の弘徽殿の女御といえば、ヒール度100%の悪の帝王という感じです。
内館牧子さんはそのイメージを全て覆し女御の知られざる?魅力を存分に引き出す方法として、現代の感覚と発想を持つ女性として女御を登場させました。
とりわけ印象的だったのは彼女の言葉でしょうか。
とにかく何でもズバッとハッキリ言ってのけてしまうのです。
今の時代では好ましいかもしれませんが、平安時代では完全にNGです。
周りに控えている人々は完全に引いてまい、帝ですら
恐れていました。
どこまでも強くて厳しい物言いなのですが、言葉の底には、世のために…という確かな思いがありました。
光は気付いていたのだと思われます。
人間離れした鋭すぎる感性を持つ人物だったので。
そしてもう一人の主人公の雷。
雷は元々現代の人なのですが、なぜか源氏物語の世界へトリップしてしまったのです。
26年という長い年月を女御の側で過ごし、女御と他の様々な人物たちと喜怒哀楽を共有してきました。
その中で心の機微というものを捉えられる人間に成長したのだろうと思われます。
どんな時でも誠実に丁寧に向き合うという事は、相手の本当の思いに触れられる第1歩なのでしょう。
今一度、本家の女御を見直してみようと思い立ち、昔の資料を発掘中です。
当時読んでた本も出てきましたけど、それは又次の機会に。
私の部屋はすっかり散らかってしまいましたが大満足な読書体験でした。
(足の踏み場はありますよ…一応歩けますので…)
最後に女御の決めゼリフ。
「能力は形にして示すものだ」
やっぱり痺れます。