内館牧子のレビュー一覧
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「終わった人」とは、定年になり、社会に必要とされなくなる人だ。「終わった人」は誰にでも訪れる。家庭に自分の居場所がある人はいいが、仕事一筋でやってきた人にとって「終わった人」は刺激がなく地獄のように感じられる。残り人生15〜20年をどう感じるか。
「生身の男だもん、病気もあれば事故もある。一人では食べられないから、男をとっ捕まえた以上、女もかぶらなきゃいけないものはある。」
と主人公の娘が奥さんに言ったシーンは痺れた。
仕事をしない夫はどうしても家庭での立場が弱くなり、逃げ場がなくなる。フラットな立場で平等な意見を言ってくれる娘はすごい。 -
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齢70を超える専業主婦の「これから」の生き方を模索していく話。綺麗事無しに率直な性格なのだろうが他責思考及び比較思考が極まっており、キャラとして不愉快指数がカンストしそうである。最もこういう生き方をせざるを得ない状況にした当時の日本に問題がある気もする。それで上手く回っていたから誰も疑問に思わなかったのだろう。それでも園芸の道を極めて有名になった後輩に接触を持とうとする根性(ある意味立派ではある)、講演会で相手の立場を考えずに悉く噛み付く様を見るに時代とかではなく人間性に問題ありに思える。夫は確かにディスられる要素はあるが、自分だったら逆に今度生まれたらこの女性とは顔見知りとしても関与したくな
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ネタバレ元銀行マンの田代壮介の退職後に、"終わった人"になりたくないと足掻き、その紆余曲折を描いた物語。
退職直後の妻との時間を楽しもうとして旅行に誘って断られるあたりは笑えた。
ジム通いの同世代に対し、上から目線で、一線を引こうとしたり、カルチャーセンターで知り合った久里にときめくも、期待どおりに進展しないと勝手に腹を立てたりするあたりは、イヤな親父の典型で、その後の再就職先で取締役社長になり、結果、倒産による負債9000万円を抱えることになっても、あまり同情できなかった。
東大出身で大手銀行に入るも、出世コースから外れ、会社で成就しきれなかった人のコンプレックスが壮介のよう -
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生きたいように生きる
それほど新奇なこと、目新しいことは書いてないのだが、考えさせられる点が数多くあった作品であった。トランプ大統領2.0が始まりDEIが退潮しそうであるが、半世紀以上前の世情と比べると生きたいように生きることが容易くなったとは感じる。それでも田舎にいるとそれなりに感じてしまう点が数多くあることを、この作品を読んで思い出した。
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相撲はスポーツとしては面白い。
観客のざわめき、一瞬の静寂、その直後に訪れる、屈強な力士同士がぶつかり合いバチンと音を立て、会場は大歓声に包まれる。
しかし、神事・国技としての性格も併せ持つゆえの複雑さ、時代錯誤感もあり、相撲というジャンルを好きになれないでいる。
本書は、相撲の、神事・国技としての性格、どのようにしてその伝統が作られてきたか、相撲が異世界的なものとして形作られ、守られてきたか?という点にフォーカスし、その閉鎖性を守るべきものとして説く。
本書でも述べられているが、相撲の伝統性、神事性は後付けされたものも多い。日本人の「古き良き日本、その伝統と考えるもの、神事的なもの」