あらすじ
『終わった人』『すぐ死ぬんだから』に続く最新刊『今度生まれたら』。その第一章を無料お試し読み切り版として特別配信!
70歳になった佐川夏江は、夫の寝顔を見ながらつぶやいた。
「今度生まれたら、この人とは結婚しない」
夫はエリートサラリーマンだったが、退職後は「蟻んこクラブ」という歩く会で楽しく余生を過ごしている。
2人の息子は独立して、別々の道を歩んでいる。
でも、実は娘がほしかった。
自分の人生を振り返ると、節目々々で下してきた選択は本当にこれでよかったのか。進学は、仕事は、それぞれ別の道があったのではないか。
やり直しのきかない年齢になって、夏江はそれでもやりたいことを始めようとあがく。
2大ベストセラー『終わった人』『すぐ死ぬんだから』の著者が放つ最新「高齢者」小説!
感情タグBEST3
同じ境遇の人が多そう
この主人公と同じような生き方をしてきた女性達が日本にはかなり多いと思うので、そのような女性達へエールを送る・新しい指針を示すような本だと思います。作者のインタビューも読みごたえありました。
人間の欲望とは
結婚して高齢者となる現在まで安定していた日々を送りながらも、実は思い通りにいかず欲求不満で反実仮想の思いから今なおあがいているという気持ちは、まるで人間が本質的に持っている欲望に操られているような感じを受けた。結局人間がすべて満足いく内容の生き方をするというのは難しいのではないかと自分なりに思ってしまう読後感があった。
生きたいように生きる
それほど新奇なこと、目新しいことは書いてないのだが、考えさせられる点が数多くあった作品であった。トランプ大統領2.0が始まりDEIが退潮しそうであるが、半世紀以上前の世情と比べると生きたいように生きることが容易くなったとは感じる。それでも田舎にいるとそれなりに感じてしまう点が数多くあることを、この作品を読んで思い出した。