森田真生のレビュー一覧

  • 数学する身体(新潮文庫)

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    わかるは自身が変わる、数字という言葉が脳にある記憶を介して自己の世界に認識される。すると、五感により自然を分けようと数字が無意識に機能する。そこに生活が繋がり合理を求めようとする。居心地の良さは数の整列でもある。時流の一方で "0" と "1" に配列されたデジタルが存在するが、果たしてデジタルで人々は幸せになるのか。所詮デジタルでできることはSNSや情報という言葉である。それよりも自然の中にある数字に興味を抱く。例えば植物で "葉の配列や花びらの形成" を言葉に頼らずに "わかる"。自然は言葉以前の根源にある。だ

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    2021年12月01日
  • 数学する人生(新潮文庫)

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    本を読むと時々、時間が流れていく感覚を静かに、だけど力強く感じることがある。だからヴァージニア・ウルフの小説が好きなんだけど、あの時と同じ感覚になった。数学は苦手だけど、ずっと手元に置いておきたい本。

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    2021年11月28日
  • 数学する身体(新潮文庫)

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    学生の時に読んだらこの世界にのめり込んだかもしれない、と思うほど、何も知らない人が読んでも引き込まれる一冊。難しい部分は頭が固くなった今では噛み砕くのに時間がかかり過ぎるので流してしまったが、それでも興味深い話が散りばめられていて面白かった。

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    2021年08月27日
  • 数学する身体(新潮文庫)

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    ネタバレ

    常に身体と共にあった数学が、証明や記号(+,=)を含んで、どんどん抽象的で普遍的な物へと変わっていく。
    そして遂に「コンピューター」「AI」という産物を生むに至る。
    そのプロセスは「身体」「心」と「物」とを分離していく事であった。
    そしてそれを進めたのは、数学者たちの普遍の追求に対する情熱だった。
    だから、今日の数学は一見身体から数字が離れて一人歩きしている、空虚な物に見える。
    しかし、「コンピューター」「AI」は再び人と人の心を通わせる。
    「物」と「心」はそう簡単には分離できない。

    アラン・チューリング / 岡潔の2人の巨人は、「数学=物」を追求する事で、「心」とは何かを追求した。

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    2021年08月07日
  • 数学する身体(新潮文庫)

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    書店で「計算する生命」という書籍を目にして読んでみようと思ったのだが、著者が過去の著作を先に読もうと思って手に取ったもの。
    人類が数学をいかに発展させてきたかという概論を論じたのちに、数学を介した心の追及に焦点が当てられる。
    本書の後半は、情緒を重んじた岡潔の業績とその生活について考察されている。コンピュータ科学の父とされるチューリングが心のありかを探るために心を作るアプローチをとったのに対して、岡潔は数学を深く突き詰めることで心になるというアプローチだったと考えられる。
    数学に深く向き合うことで自分の心の在り方にまで関係が出てくるという、数学という学問の奥深さに興味を持った。
    ギリシア時代の

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    2021年05月09日
  • 数学する身体(新潮文庫)

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    数学から一番縁遠いと思っている自分が、この本に魅了された。岡潔という巨人に導かれながら、著者はこころに迫ろうとしている。文庫174p
    聞くままにまた心なき身にしあらば己なりけり軒の玉水という道元禅師の和歌を岡潔は次のように読み解く。外で雨が降っている。前肢は自分を忘れて、その雨の音に聞き入っている。このとき自分というものがないから、雨は少しも意識に上らない。ところがあるとき、ふと我に返る。その刹那、「さっきまで自分は雨だった」と気づく。これが本当の「わかる」という経験である。
    森田は、それを次のようにとらえる。自分がそのものになる。なりきっているときは「無心」である。ところがふと「有心」に還る

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    2022年11月28日
  • センス・オブ・ワンダー

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    センスオブワンダーとは、驚きと不思議に開かれた感受性。

    親子の教育、子供目線、自然を説く本書。

    読んでいると、子への向き合い方が素晴らしいな、と。
    同時に自分の子供時代や親は自分にどう接していたのかを回想する訳ですが。

    皆さんは、子供の頃、今日1日終わる事が惜しいと感じたり、明日が待ち遠しいなんて思いはしませんでしたか?

    大人も子供の時代があったのに、上手く汲み取って上げられず、後々反省、なんてありませんか?

    きっと見方や接し方、感じ方に何かしら変化や気付きを与えてくれるでしょう。!^_^!

    そして、宇宙に地球、そしてそこに存在する様々な生命について、そのサイクルについても考える事

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    2025年12月06日
  • かずをはぐくむ

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    数の学び方についての本かと思えばいわば子育てのエッセイのような本だった。わたしは数学が苦手だけど、まわりはいろんな数であふれている。

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    2025年07月30日
  • センス・オブ・ワンダー

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    自然や生き物に対する素晴らしさ

    自然豊かな田舎で育った自分は、都会に出できたときにメジャーな雑草の名前を知らない友人に驚いたことを思い出した

    きっとこんなふうに育てられた子供は感受性豊かで優しい人になるんだろうなと想像した

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    2025年05月12日
  • 数学する身体(新潮文庫)

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    数学者の岡潔とアラン・チューリングを通し、数学と身体と一見すると全く別のものについて様々なアプローチから迫っていく。

    著者が岡潔の著書を読み感じたことを抜粋すると、『バスケに捧げた日々を思い出した。この人にとって数学は、全心身を挙げた行為なのだと思った。生命を集注して数学的思考の「流れ」になりきることに、この人は無上の喜びを感じていることが伝わってきた。この人の言葉は信用できると直観した。』

    本書を読みながら、著者に対しても言葉に信用が持てると感じた。

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    2025年05月02日
  • センス・オブ・ワンダー

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    やはり我が子とのことを考える。
    感じることを、五感をくすぐるような、
    育めるような関わりを暮らしをしているか。
    私自身はすっかり忘れてしまった、
    そんな感性を。
    消化の準備すらできていない事実、
    次々と与えていないか、自戒する。

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    2025年03月13日
  • 数学する身体(新潮文庫)

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    数学に関しての知識はないが、数学者が探究する姿勢、数学の奥にあるものを見ていきたいという心にグッときた。森田さんの言葉選びが美しい。まさに確信をもって書かれた本。もう一度読み返したいところ

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    2025年02月05日
  • 僕たちはどう生きるか めぐる季節と「再生」の物語

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    ふと、「コロナってなんだったんだろう?」と思うことがあり。
    心の隙間に入るようなタイミングで手に取りました。

    明確な答えはないけれど、1人の親として支えられた言葉がちらほら。

    暑すぎるのも、雨がひどすぎるのも、困ったものだな。でもその原因の一つに自分も含まれている。子どもの未来のために何をしようか。
    目の前だけでなく、ずっと長い時間軸で物事を考えてみたいと思わせられる。

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    2024年12月16日
  • センス・オブ・ワンダー

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    丁装買いしてしまった。

    「事実がやがて知識や知恵を生み出す種子だとしたら、感情や感覚に刻まれた印象は、種を育てる肥沃な土壌」

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    2024年11月25日
  • 数学する身体(新潮文庫)

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    内容が扱うものが数学で難解なものなので、本当に理解できているかはわからないが、数学の歴史の中でたどり着いた、客観的な計算ではない、人間的なもの、閃き、心、情緒にたどり着いたチューリングと岡潔。心でないものをタマネギの皮を剥くように特定していって、残る心を探究するチューリングと、数学という道の中で、数学になりきり、情緒とはを体得しようとした岡潔の、最後行き着くところは近しいがアプローチが全然違うところが、絶対的な真理というものはないのでは、と思わせて面白い

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    2024年06月14日
  • 数学する身体(新潮文庫)

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    岡潔とアラン・チューリング。
    難しくてわからないところも多かったけど、難しくてわからないことがあるということを意識することが大切。

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    2024年04月13日
  • 計算する生命(新潮文庫)

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    トークン メソポタミア 数える対象と紐付け → 粘土板の記号へ
    算用数字 16世紀に普及 10個の記号であらゆる数を書き表す
    数直線 数を「量」ではなく「位置」を表す 
    虚数 平面 数直線の0の前後でなく上下にある

    計算+演繹という推論  仮説から出発 推論を頼りに結論を導く
     ギリシャ数学 図と口語による定型表現 知的ゲーム
     ユークリッド「原論」BC3C 12世紀アラビア経由で西欧へ 

    高校までの数学=18世紀以前の数学=数式と計算
    現代数学=直観的な要素を混入させない

    リーマン
     19世紀後半  複素関数=平面間の写像 式ではなく 多様体
    カント  
     認識=感性:空間と時間の枠組

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    2024年03月03日
  • 計算する生命(新潮文庫)

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    数式を極力使わずに、数学が何を目指して進化してきたのかを、節目となる数学者の紹介も含めて、ソフトな哲学エッセイ風に描くと、こういうふうになった、という感じ。

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    2023年12月16日
  • 数学する身体(新潮文庫)

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    数学の生い立ち、数学に人生を捧げる人達と数学との向き合い方・考え方など、『数学と人間』をテーマに書かれているような感じです。数学をよく理解していない私にとって、聞いたことのない数学理論の話しが登場しますが、逆に興味が湧いてくるのは、著者の描き方たる所以だと思う。

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    2023年07月12日
  • 数学する身体(新潮文庫)

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    前半は数学の刺激的な歴史のはなし。

    subitizationスービタイゼーション:
    人間は少数のものは一瞬で判断できるが、およそ3個を超えるとこの能力は消える。それで、指折り数えるような方法は世界には様々発展した。漢字やローマ数字のみならず、マヤ文明でも古代インドでも、数を表す文字は1から3までは棒の本数、しかし4から異なる。

    紀元前5世紀ギリシャ:
    古代文明の時代から、数は測量や暦など、日常の具体的な問題の解決のために発展してきた。ところがこの頃「いかに」正しい答えを導くかよりも「なぜ」正しいかを重く見る動きが現れる。→ユークリッドの『原論』:素数が無限にある証明で有名。

    定理theo

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    2023年04月22日