森田真生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
優しい…自分の子育ての一瞬一瞬をこんなに優しく、温かい言葉で切り取れてすごいと思った。挿絵も良く、本として素晴らしい。理系の研究者ならではの、斬新な視点というか、私の知識としてないものが多いので、切り口としてすごく新しい。研究者だけど、科学や数学の切り口を絶対とするでなく、そこからはみ出るものを切り取っているのが特によい。例えば、
柔軟な分数があっても良い、という話。ピザ8枚を4人で分けると、もいちいち厳密に計測するでなく楽しく喜びを分かち合う方が大事ということ。
時間や数の概念をもたないこどもの、時間の流れの感覚の違いを優しく大切にしている姿。
同じように数量感覚をもたないこどもの、味見 -
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Posted by ブクログ
海が好きなレイチェルカーソンさんと、森林が好きな森田真生さんのコラボした本なので、読まずにはいられませんでした。
前半は69年前のセンス・オブ・ワンダーの原文を森田さんが訳したところからはじまります。
以前に読んだ新潮社の上遠恵子さんの訳はエッセイのようなカーソン目線の美しさや怖さやドキドキ感を表現していたように感じましたが、森田さんの訳は絵本の物語のような可愛らしさがあり、驚きやワクワク感があり、こども目線のようでした。同じ原文でも変わるものですね。
カーソンさんは大甥のロジャーくんと海辺の自然で戯れ、森田さんは自分のお子さんと京都の自然と戯れるシーンが重なります。
そんな中、視覚と -
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Posted by ブクログ
庭でこの本を読んだら、風の音や鳥の声が聞こえてきて、心が静かになれた。
人間は緑色を見ると安心するようにできていたりするし、現代人はもう少し自然を見て落ち着く時間を持つのもいいのかも。
自然の中で生きることこそ正義!とまでは思わないけど……
スマホを見ている人間がずらっと並んでいると気持ち悪さを覚えるし。
人工的なものに耽溺するのは心の余裕を無くしていくことだなと感じている。
自然を愛していれば孤独を感じないという話も、たしかにあるかもしれないなと思った。
自然の「存在」を感じていれば、独りになることはないのかも。
それと、
親や教員のような立場でも、教えるだけじゃなくて時には一緒に楽しん -
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Posted by ブクログ
本書は数学書ではなく、「数学する」ことについて思索した哲学書だ。
著者の森田真生氏は「独立研究者」というちょっと変わった肩書きで、スマートニュース会長の鈴木健氏からの影響で文系から東大数学科に転向したという経歴の持ち主。
読み進めるごとにセンスオブワンダーが溢れてくるのだが、本書を30歳の若さで書き上げたというのだから驚き。
前半では数学史を辿りながら、数学と身体との結びつきについてその起源から洞察がなされる。
数式はほとんど出てこないので、数学が苦手な読者でもスイスイ読み進められる。
後半では著者が影響を受けたアラン・チューリングと岡潔の魅力が語られ、心の問題にまで踏み込んだ少し抽象 -
Posted by ブクログ
数学を語るという行為において、もちろんいろんな着眼点はあると思うのだけど。
情的に語ると言うと、語弊があるような気もする。
私たちが生きることとの結び付け方が上手いな、と思う。
何より、これからも読みたいと思わせる力がある。
「連続的な多様体を生み出す概念の例の一つとして彼は、『色彩』を挙げる。『色彩』という概念について考えるとき、私たちは無意識のうちに、心のなかに様々な色を思い浮かべるだろう。それら色彩の全体は、ある空間的な『広がり』とともに、連続的なグラデーションをなす」
幼い頃にやったゲームでは、パラメータの色をRGBでグリグリと変えることが出来た。
「そういうもの」と思って使って -
Posted by ブクログ
同じ著者の『数学の贈り物』を読み、すっかりファンになってしまい読んだ一冊。数学というものを、数字や記号を使った「純粋に」論理的な思考と考えるイメージに対して、そうした思考に「身体」の役割を取り戻そうとする本。
数学史についての説明は、ユークリッドに始まる古代のギリシア数学から、チューリング機械まで。数学史に関する本を一度でも読んだことがあれば大体知っているような有名どころが押さえられている。
ただ、面白いのは、古代の数学には、「身体性」があった、というところだ。
ユークリッドの書いた『原論』には、多くの命題がある。しかし、現代数学の命題と明らかに異なっているのが、命題を読んだだけでは、状況が -
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【感想】
面白かった。数学の歴史と発展、記号化と身体化、アランチューリングと数学、岡潔と数学の話のどれもが興味深い。文書が美しく、優しい。この人生において数学を勉強し直すことがあれば、読み返す気がする本。
【本書を読みながら気になったコト】
・小学校で当たり前にならう筆算が定着するまでは、二桁の掛け算は非常に高度なものされていた
→数学も使用目的によって発展していった。ギリシア数字は計算そのものには使いにくかった。計算に使える数学が生まれたのは、インドに依るところが大きい
>>数学の目的はかつて、数学的道具を用いながら、税金の計算や土地の測量など、生活上の具体的で実践的な問題を解決する