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「生まれたばかりの息子を初めて腕に抱いたとき、いつか彼が数をかぞえたり計算をしたりする日が来るとは、まだとても信じられなかった。言葉もない、概念もないのだ」(本書より)。しかし、やがて、子どもの心の中には数が“生まれ”、おとなと共に“育み”あうようになる。3歳と0歳のきょうだいが、8歳と5歳になるまでの驚きに満ちた日々。独立研究者、森田真生があたたかく見守り、やわらかに綴る。画家、西淑による挿絵もふんだんに掲載。
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Posted by ブクログ
子どもを見つめる森田さんの心の豊かさ。 子どもだからこその、今だけの感じ方を面白がり、大事にしているのがいい。 私はできていないなぁと、我が心の貧しさを自省する、、
子育て中の私にとっては、書き留めてずっと手元におきたくなるフレーズ、情景、捉え方ばかりでした。 すばらしい一冊、大好きな一冊。良い本と出会えました。
幼い子どもの何気ない言動が、一層特別なものに感じられそう。 新しいものに出会った瞬間や、好きなものに触れている時の子どもって、本当にキラキラしてる。 つい見過ごしてしまうけれど、その「一瞬」を大切にしなければ。
子どもが数と出会うというのはどういうことなのかを優しくエッセイ調で書いた本。 挿絵も美しい。 著者のお子さんが乳幼児期の体験がもとになっている。 子どもはどうやって数的概念を取得するのか、言葉などの発達とも絡めながら書かれている あいまいで数のない世界から、客観的で数値化された世界へ 一度数...続きを読む字で囲まれた世界にいるとそれが当然のようだが、数字がない世界を味わうことができる時期も限られているんだなぁとも思わされた。 ・「あと10日で引っ越す」「注射は2秒で終わる」など「かぞえる」ことが未来に備える手助けになる ・楽しみな未来は数えなくていい (「いつまでこの家に住めるの?」→「まだまだずっと長く住めるよ」) ・ヨハン・ホイジンガ「ホモ・ルーデンス」 ゲームの3つの特徴 ①ゲームは時間的にも空間的にも日常から切り離されている ②ゲームにはルールがある ③ゲームには競争や勝負の観念がある →学校もこの3つに当てはまるので、 学校の勉強や受験勉強こそが時にルールそのものだから ルールに従うばかりではなく ルールを作るプレイをしよう ・1回休みは悪いことではない ・「また今度」なんて永遠に来ないかもしれない ・与えられた制約条件を通して、思わぬパターンが出てくる
著者と同じような家族構成であるため、自身の現状や子育てを重ね合わせてしまう。この究極までに美しいカケラのみを抽出されているエッセイだからこそ、普段の自分を省み、子供たちとの向き合い方を考える。 道端の様々なものに名前があることに気付くように、世界の解像度を、子供を通して深く、広く触れ合えるように...続きを読むなる。その一瞬一瞬の煌めきを、挿絵が的確に拡大させ、時間が静止する。 仕事に子育てに大変な時期だからこそ、この本に出会えて良かった。
優しい…自分の子育ての一瞬一瞬をこんなに優しく、温かい言葉で切り取れてすごいと思った。挿絵も良く、本として素晴らしい。理系の研究者ならではの、斬新な視点というか、私の知識としてないものが多いので、切り口としてすごく新しい。研究者だけど、科学や数学の切り口を絶対とするでなく、そこからはみ出るものを切り...続きを読む取っているのが特によい。例えば、 柔軟な分数があっても良い、という話。ピザ8枚を4人で分けると、もいちいち厳密に計測するでなく楽しく喜びを分かち合う方が大事ということ。 時間や数の概念をもたないこどもの、時間の流れの感覚の違いを優しく大切にしている姿。 同じように数量感覚をもたないこどもの、味見とはちょっとだけって一体なんなのか、その境界とはと考える優しい姿。身近にこういう大人がいたら面白いだろうな。また読みたい。
数の学び方についての本かと思えばいわば子育てのエッセイのような本だった。わたしは数学が苦手だけど、まわりはいろんな数であふれている。
ほんと、この人の言葉が好き。私が大切にしたいと思ってることを掬い上げてくれるよう。 動画やゲームなどの人から与えてもらう楽しみだけではなく、自分で楽しみを創り出せる人になるためには、「感じる」「分かち合う」経験をいかにしてきたかだなと思った。 ・今回改めて実感したのは、虫や草花や木々や土など、人...続きを読む間でない者たちの存在がいかに、子どもたちの才能を引き出していくかだ。「教室」で「人間」の話だけを聞くという特殊な環境に「education」を閉ざしてしまっては、あまりにもったいないのである。 ・食べ物や、資源を社会で分け合うときも、厳密な数値や計算を提示すると、いかにも公平感を演出できる。だが、分配に公平さを感じる人間の心は、もっとはるかに 複雑で曖昧なものである。厳密で正しい計算だけが、分配の全てではない。たとえば弁当を家族で分けるとき、いちいち重さを厳密に計測していたら、食事の時間も楽しくないだろう。分配の本質は、みんなが少しでも楽しく 喜びを分かち合うことである。 ・現代の人類が直面している気候変動やパンデミックは、「どこが違う場所に逃げる」ことで回避することができない。「この場にいながら問題を解く」という、植物がこれまでずっとやってきたことを、僕たちは自分の課題として、背負ってしまったのである。だから、もっと植物に学ぶ必要がある。粗雑な現状認識のまま、闇雲に動くのではなく、まずは現状を精緻に把握するための感覚を磨いていきたいと思う。 ・自分のどこを探しても、自分でないものがいない場所はない。これが、地上で生命を持つすべてのものを共通する最も基本的な原理なのである。自分であるとは、自己の存在を、他者とシェアしていることなのである。 ・自然の生き物は、人間をいたわってくれるからではなく、人間に無関心でいてくれるからこそ、僕たちをなぐさめてくれる。 ・何をしていいと言われるよりも、何をすることができないかをはっきりさせていくことでこそ、新しいもの、面白いものが、生まれることがある。目の前の制約を、新しい何かが生まれる支えととらえてみること―制約を遊びと創造に転じる、ひとつの楽しい工夫である。
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