スタニスワフ・レムのレビュー一覧

  • ソラリス

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    ネタバレ

    海外の小説、SFともに苦手なので、どうせ読み終えられないだろうな…と恐々と手にしてみた。きっかけは「kotoba」2026年夏号の、三宅陽一郎氏による連載「文学がなければ人工知能はない」で本作が取り上げられており、ソラリスが送り込んでくる「客」について、「ソラリスの海の知能は、現在のLLM(大規模言語モデル)と酷似している」(P.147)、「この擬似人間は人工知能と言っていいだろう」(P.149)と指摘されていたこと。
    結果的には、もの凄い衝撃を受けたとしか表現しようのない面白さだった。早速再読中。(ちょっとずれるかもだが、ソラリスの海の知能を人が理解できないことについて、保坂和志さんの「この

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    2026年06月22日
  • ソラリス

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    スタニスワフレムの作品を初めて読みましたが、
    ちょっとレベルが違うように感じました。圧倒的。

    ソラリス研究の中身のところ、研究の歴史や現象の分類のところは、まぁ正直に言えば退屈にも感じましたが(SFにありがちな)、
    海と、海が生み出した、客、にどう対峙していくのかところは、圧巻の描写と考察。
    これぞSF。

    読んでる方もぐらつきまくる。
    小説に書いてある言葉を、鵜呑みにできない。
    なかなかない読書体験でした。

    訳は、ポーランド語の原作から日本語への直接の訳というもので、訳者の沼野氏の解説も必見。
    作中でも、解説でも言及されているとおり、人間中心主義、人間形態主義が批判されていますね。
    そし

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    2026年06月21日
  • ソラリス

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    SF小説傑作、やっと読む機会ができました。本書は海の惑星ソラリスを研究するために宇宙ステーションに派遣された心理学者を主人公として描かれた作品です。ネタバレになりますのでストーリー関連についてはコメントしませんが、これこそ「未知との遭遇」を描いた作品という印象を持ちました。人間がどうやっても理解できない知性が存在しているのではないか、そしてそれは知性が高い、低いというスケールの問題ではありません。人間とは「違う」知性の存在です。これは現在大きなテーマである人工知能を考える際の視点にもなるでしょう。ソラリスという未知の存在、そしておそらく永久に?不可知の存在ではないか、というものに対峙した時に、

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    2026年05月02日
  • ソラリス

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    始まりさえも覚えていないこの存在が経てきた、様々な経験や感情の一覧表だろうか?束の間の生を享けて解放された山々の願望と情熱、希望と苦悩の記述だろうか。数学が存在に、孤独と断念が豊穣に変容することだろうか。しかし、このすべては伝達不可能な知識なのだ。もしもそれを地球のいずれかの言語に翻訳しようとしても、価値と意味のあらゆる探索は無残な失敗に終わり、向こう側に残ったままだろう。しかし、結局のところ、『信者』たちが期待しているのは、そういった科学より詩学の名に相応しい新発見の数々ではないのだ。なぜならば、彼らは自分でもそれとは知らずに、〈啓示〉を待ち望んでいるのだから。それは人間自身の意味を説明して

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    2026年02月21日
  • ソラリス

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    惑星ソラリスの海へ
    探索 実験と称してX線を照射してから
    客人として登場するようになった
    得体の知れないもの
    その現象は
    人間の潜在意識の中に深く沈む何者かを具現化 
    実体化したもので
    知性を持つソラリスの海から
    未知なる人間へ向けての
    コンタクトのようでした
    その具現化したものに
    恐怖 混乱 懐かしさ 愛情を感じてしまう人間の弱さが浮き彫りになっていました

    ソラリスの海の精緻でダイナミックな情景描写には
    ただただ圧倒され続けた


    人間の叡智が全く及ばない未知なる存在の
    ソラリスの海
    それに対峙した時の
    人間の奢り 愚かさ 生物としての限界を
    はっきりと見せつけられた気がしました

    それで

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    2026年02月17日
  • ソラリス

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    ネタバレ

    1.理系っぽい解決プロセス
    問題に対して観察、分析、先行研究を確認して、解決策を考えるのは理系っぽくて面白かった。自分が正常かどうかを確認するために天体物理学の計算をするなんて考えられない。研究のためにどんな犠牲も厭わない覚悟は素晴らしい。(ただ文献調査パート長すぎ...)

    2.ミステリっぽい空気感
    なにが起こるのかわからない不穏な空気感がミステリっぽかった。会話シーンもどこか探り合いを行っているようで、衝突しているところもあって、なにか起きそうな緊張感が常に伝わった。先が気になってどんどん読み進めてしまった。

    3.未知の存在とのコンタクト
    意図があるのかないのかすら読めない未知の存在との

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    2025年12月01日
  • ソラリス

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    20代の頃にタルコフスキーの「惑星ソラリス」を観て、ソダーバーグの「ソラリス」を観ました。
    そして最近コミック化されたと知り、原作の本書とコミックを同時に読みました。

    うっすらとそうじゃないかなぁとは思っていましたが、タルコフスキーもソダーバーグも原作とはかけ離れていて、自分としては原作が1番面白く、知性が高く感じました。

    原作は未知とのコンタクトを本質的な主題にしていて、1番リアリティを感じました。
    途中のソラリス研究の史実を語るところは冗長になりましたが、意図している所だなと理解できたので、全体としては読みやすく、とても深みのある内容でした。

    アクション要素や派手な展開は皆無で、静か

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    2025年11月21日
  • 完全な真空

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    ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムによる『架空の書籍』の書評集。

    本の内容を個別のパーツにばらして、ひとつひとつを解説・批評することが書評のおもしろさだとすれば、架空の本の書評はそもそも「全体」がないのに「一部」だけを切り取って摂取することになってまずその経験自体が奇妙で楽しかった。

    それを前提に、この本は架空の書評をするというアイデアを超えてすごい。ひとつひとつの「架空の書籍」につぎ込まれている想像・思考が尋常ではない。
    『新しい宇宙創造説』『とどのつまりは何も無し』『生の不可能性について/予知の不可能性について』など、いくつの分野でどれだけの教養を蓄えたら書けるのかちょっと想像もつ

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    2025年07月04日
  • 捜査・浴槽で発見された手記

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    SFは読まない(あと歴史物と推理小説と恋愛物も読まない)とふだん公言してるんだけどブラッドベリとか筒井康隆とか読むしむしろ好きだしレムもそう。SFへ分類するほうをやめたらいいんじゃないかな

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    2025年05月01日
  • 完全な真空

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    異常に面白い

    短編しかないが、同じ哲学がいくつかに一貫して通っている。どの話も理知的で断固としている。

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    2024年11月23日
  • インヴィンシブル

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    ネタバレ

    PS5の「The Invincible」というゲームをジャケ買いして遊んだところ、実は原作は小説であるということを知ったので、気になりすぎてこの新訳版を買ってみた。
    スタニスワフ・レム、一生きちんと名前を覚えられる自信がないが、一冊読み終わった今ならなんとかなる、かもしれない。

    まず装丁が良い。半透明の表紙の内側からうっすらと見えるLEMの文字となんか丸い図形。
    そして全体的に翻訳が大変素晴らしく、直訳感、翻訳感がほぼない。そして時折出てくる単語が普段遣いのものではなく、日本語なのに意味を知らなかったりそもそも読めなかったりして、自分の語彙のなさを嘆くと共に、翻訳のセンスを感じて震える。

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    2024年11月11日
  • マゼラン雲

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    これを子どものころ読んでたら熱狂的なSFファンになってたかも。それはポーランドに生まれなければ無理だったわけだが。

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    2024年08月30日
  • 捜査・浴槽で発見された手記

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    レム・コレクション第2期も順調に出版されて喜ばしい限りです。
    今回はレムの作品の中でも最も謎めいたものが2篇。レムの作品は危険だ。捜査はタイトル通りミステリーを感じさせるし実際ロンドン警察庁の刑事が主人公で動く死体という不可解な謎に挑むというものです。しかしなんのヒントも得られないうえに解決不可能性がほのめかされるしSF的な方向に向かうかと思えば不気味な描写もあってホラーの雰囲気。読者が思い込んでしまうカテゴリーをことごとく外していってあれ?あれ?あれ?これはどういうこと?と頭がぐるぐると回っていきます。浴槽で発見された手記にしても同様に前書きと称する部分だけガチガチのSFで架空の手記自体は全

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    2024年06月17日
  • 捜査・浴槽で発見された手記

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    アンチミステリのカップリング。警察ものとスパイものの枠組みだけど、どちらも結論がない。こういうの好き。

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    2024年05月24日
  • 火星からの来訪者

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    楽しみにしているレム・コレクション。第二期は順調に出版されていて誠に喜ばしいです。
    実質のデビュー作である表題作含め非SF短編も含む初期作品集。書かれたタイミングは戦時中でありしかも場所は現在も禍中にあるリヴィウ。ドイツに占領されていたりポーランド領だったりソ連だったりと過酷な経緯を辿る街で、また今も翻弄されています。ホロ・コーストのストレートな場面を描かれた短編も含まれており、ユダヤ人でもあったレムはこんな環境のなかでも作品を書き続けていたのがよくわかります。「ヒロシマの男」も印象的です。発表されたのは原爆投下後の二年後と早く、いかにレムも衝撃を受けていたことがわかります。感情的なじとじとし

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    2023年03月28日
  • インヴィンシブル

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    第二期始まってたのね。ソラリスに負けず劣らず大傑作。アイデアは今も斬新。このままアニメにできる。無敵とは傲慢である。そして不死とは。

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    2022年02月10日
  • インヴィンシブル

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    三体なんかで余計な足を取られてしまって、ようやく読めた。
    今回、宇宙船の内部の様子が匂いっだったり、鋼材が冷却中に発する音や暗い食堂といった描写によって活き活きと描かれることに気づいた。また、「会話」の章での艦長とロアンの対話がすさまじい。人間やらざるを得ない状況ってあるよね。やってくれって言えないけど、やるって言ってほしい状況を見事に描いていて苦しくなる。読み返すたびに凄いと思える数少ない作家。本そのものの品質も素晴らしいです。電子版にするか迷いましたが紙版で良かった。

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    2021年12月30日
  • 完全な真空

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    レムの生誕100年の年だとのことなので、レム祭り再開。
    とはいうものの、レムを読むには知力、気力、体力が必要でお酒を飲みながら気楽に流して読むことはできないのです。仕事で疲弊していたころは気力がなくて読めなかった作品群も今ならば!と取り組んだ次第。いや〜、さすがレム。架空の本の批評を作ってそれをまとめた体裁で序文を書くという二重三重の仕掛けがあるうえ、架空の本そのものが、AIをテーマにしていながら神への信仰にまで言及するものから、新しい宇宙創生理論にいたるまで脳味噌痺れるテーマを暑かったものですが、どれも読んでみたいものばかり。

    レム氏に実際に書いてほしかった。

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    2021年03月19日
  • 完全な真空

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    やっと読み終わった…たいへんだった。
    「生の不可能性について/予知の不可能性について」のふざけぶりは印象的。

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    2021年03月06日
  • 完全な真空

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     非常に新鮮な読書体験だった。周知の通り、本書は「存在しない本に対する書評集」という、一風変わった内容である。そのコンセプトに惹かれて手に取ったが、架空の書評というアイデアのみならず、一編一編の書評も読み物として大変興味深かった。物語を書くということに対して、「そういうアプローチがあったか!」と膝を打った回数は数知れず、無数の示唆に富んだ一冊だったと思う。
     読んでみて思ったのは、「書評集」というよりは、存在しない本のストーリーラインの要約や根幹となるアイデアを示すという趣が強いなということ。他者の批評を引き合いに出して、問題点や要点を論じる形体を取ってはいるが、その小説の大まかな流れを説明す

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    2021年02月11日