スタニスワフ・レムのレビュー一覧
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下巻では、引き続き酉島伝法タッチのキャラクターが随所に出現する。3人の乗組員はそれぞれ秘密を隠しながら照射実験の打ち合わせを続ける。一方、形成物であるハリーは、人間と紛うことなき心を持つようになり絶望感で液体酸素自殺未遂まで起こすことで自分の正体を知ることになる。そしてスナウトによりハリーは消え去ってしまう。コミックスのラストシーンは少し中途半端。何かのメッセージを以って締め括って欲しかった。原作に忠実という意図は理解できるが、少しぐらい自由度を上げても良いのではなかろうか。p149~p153の空白、要りますか?
今回あらためて、1961年に書かれた「ソラリスの陽のもとに」、1972年に映画 -
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SFマガジンに本作品の第1話(冒頭部分?)が掲載された時に、このコミックスが今後連載されるのかと思ったが、そうはならなかった。少々残念な気持ちのままその時は諦めたが、今回単行本2冊という形態をとって出版された。最初はネットでしか見られないという先入観もあったので、この快挙に(大げさかな)年甲斐もなく興奮してしまった。書店でも結構な冊数が出ていたので、販売元もかなり気合が入っているのではないだろうか。
ソラリスというと真っ先に思い浮かぶのは映画「惑星ソラリス」。タルコフスキー監督によるこの作品は今までに何回も観てきた。ストーリーが解っていても何回観ても飽きない。未来の交通網「首都高」、驚きのラ -
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p.189
「何事にたいしてももはや自然な反応をするものなどだれもいないのだー化学薬品の作用で学習し、人を愛し、反乱を起こし、ものを忘れるのだー薬物で操作された感覚と自然のそれとの間には違いがなくなっている。」
レムのSFを読んだのは、ソラリス以来かな?相変わらず一文一文奇妙な文章だらけなのに伏線が回収されなくずっと話が続いていく感じで捉えどころがない。でもとんでもない未来への想像力、予想もつかない展開、そしてちらりと見える社会問題への皮肉など読んでいて楽しい。
薬品がドラえもんの道具みたいで面白かった。
一層剥がれるたびに残酷な現実が、という瞬間が恐怖。 -
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遠い昔なのか遠い未来なのかわからないが、宇宙のどこかで、どんな要求をも満たす全能でサイバーな曲者マシーンを生み出す宇宙有数の“建造師”トルルルとクラパウツィウスの壮大な叙事詩というか冒険譚というか寓話というか法螺話というか。とになく意味がないけど意味ありげなお伽話でびっしりと埋められていて、正直読んでも読まなくても、飛ばしてどこから逆から読んでもかまわない。とにかくまじめに読む必要はないが、そこには量子力学だったり作者の豊富な科学的知識が詰め込まれていて、クスリ、ニヤリとさせられることも多く、作者スタニスワフ・レムが1921年生まれと考えると、何やらとても示唆的でもある。手元に置いて気が向いた
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ネタバレ「宇宙人は人間とは違った生き物であるが、人間が理解できるような体の構造や意思をもっている。」と私たちは知らぬ間に思い込みがちだけど、それって絶対おかしいよなと思ったことがある人にとっては、ある意味とても納得感のあるファーストコンタクトものだと思う。
私自身の感想としては、この物語は「極限状態でのラブロマンス」と言うよりは「欠陥のある神の無邪気な遊びに翻弄される人間たち」というイメージが近かった。
森見登美彦先生の『ペンギン・ハイウェイ』が本当に大好きで、『ソラリス』から影響を受けていると知って読もうと思ったのはいいけど、ハードすぎて読み終わるまでに半年ぐらいかかってしまった。
途中までは、 -
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もう戻らない恋人との幻のように切なく淡い時間の話してくれるのかと最初はワクワクしてたけどどうも違ったみたい。
この話はとにかく惑星ソラリスの生態記録がメインで、中盤からひたすらその説明パートになるんだけども登場人物の目の前で起きてることが想像力で補える範疇を超えすぎて途中から諦めつつあったので、現代の最新CGを使いまくった映像で見たい気持ちがあるな。
ヒトと異なる生命体と、戦争するわけでも意思疎通するわけでもなくただそこにあるものとして共存する、それが海の形をしているのは、なんとなく良かった。海に対する印象って大体そんな感じだったから…