スタニスワフ・レムのレビュー一覧

  • ソラリス

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    ネタバレ

    言わずと知れたSF名作古典。テーマ的には「コンタクト(未知との接触)」ということだけ前知識として入れて読み始めたが、なるほどなぁという感じ。未知の未知たる部分を「真意は分からないが人間の思考を読み取って1番痛々しい記憶の再現を送り込んでくる」と表現したのは単に演出的な効果を最大にするための合理的な選択だったのだろうが、そのせいで「かつて失った大切な人の姿形をした生物を前にあなたはどうするか」的なラブロマンス的な読みができてしまい、作者の意図しない形で広まってしまったのだろう。それこそ本作がSFの枠を超えて多数の人に受容されたのはそのラブロマンス的な読みの要素が多いのだろうが、そのせいで本来表現したかった「宇宙やそこにある生き物は人間の理解の尺度を超えた存在であるはずだ」というSF的ロマン部分が軽視されてしまったのは皮肉というかなんというか。ラブロマンス的な部分に着目するとある意味SFを読まない人向けにも勧められそう……に見せて、実の所そのラブロマンス的な部分を無視したSF的なセンス・オブ・ワンダーを楽しむ作品であり、なんだか罠のような作品である。それこそ翻訳者の方が末尾の解説で書いているように無限の解釈の余地がある作品で、まさしく作中の「海」のような、意図の読めない不思議な作品だった。

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    2026年01月04日
  • ソラリス 下

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    タルコフスキー、レム、ソーダバーグ、そしてこのマンガの順に経験。最初のショックが大きいので、やはりタルコフスキーが私には、一番。でも、それぞれに良さがある。こんな事思いつくレムは、凄い。マンガでの表現は、困難だったろう。削ぎ落とした線。大人の漫画だ。

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    2025年12月20日
  • ソラリス 上

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    随分昔に観たタルコフスキーの映画のショックが強すぎて。社会主義の時代にあれを作る事が出来た事、精神世界の映像化がこれほど精緻を極めていた事。素晴らし過ぎて。漫画化するのは、さぞや大変だっただろう。

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    2025年12月17日
  • ソラリス

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    1961年に書かれた古典的SFです。
    ソラリスの海の謎に興味をそそられ、一気に読みました。
    難解な表現があり、読解力の不足もあってイメージできないところが多かったのが残念でした。

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    2025年10月16日
  • ソラリス 上

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    原作とともに読み終わりました。(上下巻の感想として)

    タルコフスキーやソダーバーグの映画とも違う、1番原作通りの内容だと思いました。

    描き込みの少ない画風で、原作にも通じる静かな心理描写がうまく表現出来てると感じました。

    ただ「風の谷のナウシカ」や「AKIRA」世代の自分にとっては、精密で描き込みの多いメビウスの様な画風をやっぱり期待してしまう。

    でも久しぶりに漫画の新刊を買って良かったと思った作品でした。

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    2025年08月08日
  • 火星からの来訪者

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    特に印象に残った二作の感想。

    『火星からの来訪者』
    粗削りながらも、すでに後の『ソラリス』に通じるテーマ──人間にとって“他者”とは何か──が浮かび上がっていたのが印象的だった。作中、謎めいた異星生命体と人類の科学者たちが接触を試みるが、そこに成立したのは「対話」ではなく、どこまでも一方的な「観測」だったように思う。特に、教授が体験する“火星のヴィジョン”の場面は、人間側の希望的観測の象徴に感じられた。リオンが何かを伝えようとしたのではなく、教授自身が「意味を見出したい」という欲望から幻を見たのではないか。この作品を通じて、レムは早くも「知性とは、他者と本当に理解し合えるのか?」という問いを投げかけている。その問いは、今なお新しく、静かな余韻を残す。

    『異質』
    スタニスワフ・レムの短編『異質』は、少年が「永久機関を発明した」と物理学者の家を訪ねるという、ユーモラスな導入から始まる。しかし、物語は思いがけない方向へ進み、ラストは唖然とさせられる。
    作中では「プランク定数」や「シュレーディンガー方程式」などが語られ、科学の理論がいかに不確実性と隣り合わせであるかが示唆される。確率的に“ありえない”はずの出来事が、ほんの僅かな可能性のもとで起こり得る——その問いかけが、後の『ソラリス』や『無敵』に通じる「人間には理解できない存在」や「科学の限界」というレムの核心的テーマに直結している。短くも鋭いこの作品は、知性への皮肉と想像力への畏怖が詰まった、まさに“プロト・レム”的一編。

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    2025年06月27日
  • 電脳の歌

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    順調に刊行が続くレム・コレクション。誠に喜ばしい限りです。人間よりも人間らしいロボット二人の寓意に満ちた珍道中。とは言ってもそこはレム。歯応えありすぎるほどあるよ〜。簡単には噛み砕けないよ〜。言葉遊び部分も多く、原文が読めたらもっと楽しめるんだろうなぁと思うと同時に、日本語への落とし込みに翻訳者は悶絶ものだろうなと思いました。この文化間ギャップが興味深くもあります。

    1965年の作品ですが現在の生成AIを先取りする記述があまりに現代的で驚愕する。主人公のロボットたちが建造師と言われているのもシビれます。英語ではなんて訳されているのだろう。builder?クリエイターも今やソフトよりの印象となってしまったし。建造師となるともっと重厚長大なハードウェアも作る感じがしていいね。物語中ではビルほどもあるAIを作っていてこの辺りもリアル。

    作ったものが世界を消滅させかねないトラブルの元になったりもするけれど、やっぱり何か作り出せる人でありたいと思う。その方が楽しいし。
    次回刊行の「地球の平和」も楽しみ。

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    2025年06月14日
  • ソラリス 下

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    意思を持つような持たないような、生命のような、そうでないような、人間の理解を寄せつけないソラリスの海。さまざまな構造物を生み出す、粘度の高そうなその海が、コミックでは濃密に描かれる。それに対して人間は、淡々とした、あっけないほどの線描。あくまでもソラリスの海が主役だということなのかもしれないなあと感じる。

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    2025年05月07日
  • ソラリス 上

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    本編を読んでいないのだけど、そういう意味では導入になりそうな気も。
    読みかけの本をあれこれ読みおえたらチャレンジしてみようかなという気にさせられた。

    SFセミナー(2025/5/4)の講演で、森泉さん、ハヤカワの編集の人に「うちのラインナップで何かコミカライズしたい作品はありませんか」と聞かれて「ソラリスやりたいです」と答えたら「ええっ?!」とのけぞられたという話をしてた(笑)。たしかにすごいチャレンジだけど、作画にとりかかるまえに物語全体をまとめて視覚的なメモをつくったときの作業を画像で紹介してくれていて、それを終えた段階で7割ぐらいは描きあがったも同然、というのがまたすごかった。

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    2025年05月06日
  • ソラリス 下

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    原作から主人公の過去の記憶とそれに関する体験にフォーカスしてコミカライズした一冊。SFと文学の持つ人間の主観的体験が溶け合ったエッセンスが体験できた。

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    2025年03月23日
  • ソラリス 下

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    下巻では、引き続き酉島伝法タッチのキャラクターが随所に出現する。3人の乗組員はそれぞれ秘密を隠しながら照射実験の打ち合わせを続ける。一方、形成物であるハリーは、人間と紛うことなき心を持つようになり絶望感で液体酸素自殺未遂まで起こすことで自分の正体を知ることになる。そしてスナウトによりハリーは消え去ってしまう。コミックスのラストシーンは少し中途半端。何かのメッセージを以って締め括って欲しかった。原作に忠実という意図は理解できるが、少しぐらい自由度を上げても良いのではなかろうか。p149~p153の空白、要りますか?

    今回あらためて、1961年に書かれた「ソラリスの陽のもとに」、1972年に映画化された「惑星ソラリス」を思い起こし、質の高い作品は今後も読み継がれ語り継がれるものなのだろうと朧気に感じ取っている。今後50年、いや100年200年も生き続けるSF作品となることは疑う余地もない。この様な普遍的な作品を創り出してくれたレムにはいくら感謝しても感謝しきれない。ありがとうございました。

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    2025年02月14日
  • ソラリス 上

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    SFマガジンに本作品の第1話(冒頭部分?)が掲載された時に、このコミックスが今後連載されるのかと思ったが、そうはならなかった。少々残念な気持ちのままその時は諦めたが、今回単行本2冊という形態をとって出版された。最初はネットでしか見られないという先入観もあったので、この快挙に(大げさかな)年甲斐もなく興奮してしまった。書店でも結構な冊数が出ていたので、販売元もかなり気合が入っているのではないだろうか。

    ソラリスというと真っ先に思い浮かぶのは映画「惑星ソラリス」。タルコフスキー監督によるこの作品は今までに何回も観てきた。ストーリーが解っていても何回観ても飽きない。未来の交通網「首都高」、驚きのラストシーン、そして妻のハリー(ナタリヤ・ボンダルチュク)に当時かなり憧れていた。そのため、映画とコミックスとをどうしても比較しまいがちになる。まず、ソラリスの表面に時々生成する「形成物」は、いつもSFマガジンの最終ページを飾る酉島伝法の「幻視百景」の不気味なイラストに酷似している。ハリーのキャラクターも映画のナタリヤとはかなりイメージに開きがある。

    ソラリス・ステーション(映画では宇宙ステーション「プロメテウス」)に出現する幻影についてはいろいろな解釈がなされている。ただ、全ての現象を人間が作り出す学問・説で説明することは不可能な様だ。まさに人知を超える生命体である。残念ながらまだこの世界ではシンギュラリティには至っていない。仮に至っていたとしても、そもそも解明できないものなのかもしれない。

    ケルヴィンとハリーとの愛が静かに燃え上がったところで下巻に続く、

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    2025年02月14日
  • インヴィンシブル

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    SF。旧題『砂漠の惑星』。
    著者お馴染みのファーストコンタクトもの。
    ホラー小説といってもいいくらいに怖かった。
    自分の想像力では思い浮かべることができないほどの、圧倒的な情景描写が魅力。
    もちろんSF的なアイディアも素晴らしい。
    著者の作品は、いつも理解が及ばないことが唯一の難点だと感じているが、充実した解説が理解の助けになってありがたい。

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    2022年09月18日
  • マゼラン雲

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    SF。
    太陽系外探査。コンタクト。
    コンタクトもののSFとしては、ハッキリしない感じが、『ソラリス』を思わせ、著者らしさを感じさせる。
    登場人物が理性的な人ばかりで、全体的に静かな物語。
    個人的には、最後の2章が好きすぎる。
    「地球の花々」でのグーバル教授の推論にワクワクし、別れに感動。
    最終章「マゼラン雲」は…とにかく最高。ラスト一文が美しい。
    あまりに難しく、読み応えがありすぎて、全く理解できた気はしないが、もしかすると傑作なのでは?

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    2022年08月15日
  • 泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕

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    自分史上いちばんエグいディストピアものだった。ドラッグで万能の理想郷に魅せられている間に、現実は地獄のように、自分の体がオリジナルじゃなくなっている恐怖。 映画『コングレス未来学会議』を先に観たんだけど、そのときは刹那的に世界や人間が変容していくことに対しびっくりするほど泣いた。ただ本作には泣く要素はなく、ブラックなユーモアの効いたSFだった。造語が沢山出てくるが、これらを意味の通るしっくりくる日本語に訳すのはとんでもなく骨の折れる仕事だったと思います。薬の名前とか、ドラえもんの道具みたいで秀逸だった。

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    2020年11月02日
  • 泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕

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    p.189
    「何事にたいしてももはや自然な反応をするものなどだれもいないのだー化学薬品の作用で学習し、人を愛し、反乱を起こし、ものを忘れるのだー薬物で操作された感覚と自然のそれとの間には違いがなくなっている。」

    レムのSFを読んだのは、ソラリス以来かな?相変わらず一文一文奇妙な文章だらけなのに伏線が回収されなくずっと話が続いていく感じで捉えどころがない。でもとんでもない未来への想像力、予想もつかない展開、そしてちらりと見える社会問題への皮肉など読んでいて楽しい。

    薬品がドラえもんの道具みたいで面白かった。
    一層剥がれるたびに残酷な現実が、という瞬間が恐怖。

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    2016年11月18日
  • 泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕

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    レムのユーモアものってちょっと苦手にしているのですが、やっぱりレムなので読んでみる。

    70年代の冷戦時代に書かれた、ディックばりの薬物で現実がコントロールされてしまう世界。
    トリガーが薬物なだけで、自分が認識している世界は現実のものなのか区別がつかなくなってしまうという点では仮想空間と現実の融合が始まっている現代も同じなのではないでしょうか?ディックほど病的な精神状態を描くわけではありませんが、淡々と追い詰めていきます。国家間戦争ではなく、テロが横行してるっていうのも現代的。怖っ。

    レム祭りスタートするか!

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    2015年08月30日
  • 泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕

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    ただのほら話でも、クスリの見せる幻覚の模写でもなく
    現代からみてリアルなところはないのに、
    そっちの方向ではなく知恵を使って
    現実の世界を変えていかなければ
    とてもグロテスクな世界になるということ、
    数々の造語と、言葉の変化で楽しませながら、
    当たり前ではあるが、主人公よりぶっ飛んでいるのは
    これを生み出せる、著者の頭の中。

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    2015年06月30日
  • ソラリス

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    SFの名作・古典として名高い作品であるが、私には少し合わなかったようだ。
    何だろう、まわりのことがほとんど全て信じられない、これまでの普通の常識が通じない世界に放り込まれた人間の物語という風に読んだけれども、

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    2026年09月21日
  • ソラリス

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    未知の生物?とのコンタクトを描いた作品
    意志があるのかないのかその行動や現象を全く理解できない未知の生物?である海にどんな解釈を主人公たちはするのかが一番の論点だったと思う
    海に影響されて起こる不思議な現象をどうにかして理解しようとする人間の姿が印象的
    本当に未知のものに出会った時、理解できないということはこういうことなのかなと思った
    もどかしさを感じる部分もあるし、主人公たちのすれ違いもあって、分からないものに向き合ったり諦めたりする姿がリアルだと思った
    ただ難しい部分とか表現が分かりにくいところもあった

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    2026年08月08日