スタニスワフ・レムのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
特に印象に残った二作の感想。
『火星からの来訪者』
粗削りながらも、すでに後の『ソラリス』に通じるテーマ──人間にとって“他者”とは何か──が浮かび上がっていたのが印象的だった。作中、謎めいた異星生命体と人類の科学者たちが接触を試みるが、そこに成立したのは「対話」ではなく、どこまでも一方的な「観測」だったように思う。特に、教授が体験する“火星のヴィジョン”の場面は、人間側の希望的観測の象徴に感じられた。リオンが何かを伝えようとしたのではなく、教授自身が「意味を見出したい」という欲望から幻を見たのではないか。この作品を通じて、レムは早くも「知性とは、他者と本当に理解し合えるのか?」という問いを -
Posted by ブクログ
順調に刊行が続くレム・コレクション。誠に喜ばしい限りです。人間よりも人間らしいロボット二人の寓意に満ちた珍道中。とは言ってもそこはレム。歯応えありすぎるほどあるよ〜。簡単には噛み砕けないよ〜。言葉遊び部分も多く、原文が読めたらもっと楽しめるんだろうなぁと思うと同時に、日本語への落とし込みに翻訳者は悶絶ものだろうなと思いました。この文化間ギャップが興味深くもあります。
1965年の作品ですが現在の生成AIを先取りする記述があまりに現代的で驚愕する。主人公のロボットたちが建造師と言われているのもシビれます。英語ではなんて訳されているのだろう。builder?クリエイターも今やソフトよりの印象とな -
Posted by ブクログ
とっても難しい。でも面白い。詳細なソラリス描写や、膨大なソラリス研究の仮説、論文を詳述することにより、徹底して「未知」を書き切った作品です。言われがちなこの「意味のわからなさ」はあえてやっていると思います。そもそも人間には未知との遭遇では、ある程度は意思の疎通ができるだろうという傲慢さがあります。人間の間でさえIQだか偏差値だかが20違えば会話が成立しないという話もあるのに、何故恒星間航行もできないような未開の文明の人間が、我々よりも高度に数百年単位で進んだ文明のものと意思の疎通ができると思い込めるのでしょうか。その人間の驕り高ぶりに冷や水を浴びせるような作品といった印象を受けました。個人的に
-
Posted by ブクログ
本編を読んでいないのだけど、そういう意味では導入になりそうな気も。
読みかけの本をあれこれ読みおえたらチャレンジしてみようかなという気にさせられた。
SFセミナー(2025/5/4)の講演で、森泉さん、ハヤカワの編集の人に「うちのラインナップで何かコミカライズしたい作品はありませんか」と聞かれて「ソラリスやりたいです」と答えたら「ええっ?!」とのけぞられたという話をしてた(笑)。たしかにすごいチャレンジだけど、作画にとりかかるまえに物語全体をまとめて視覚的なメモをつくったときの作業を画像で紹介してくれていて、それを終えた段階で7割ぐらいは描きあがったも同然、というのがまたすごかった。 -
Posted by ブクログ
ちょっと難しかった!
映画にもなっているので気になっています。映画は作者の望むエンドでは無かったようで、この本の主題はあくまで未知の生命体とコンタクトは取れるのか?という所。生きている風なのに、人間の問いかけには応じない、良く分からない感じが、人類の文明は世界で通じる訳ではないと示唆してるようでした。最後の訳者解説に作者のコメントも載っています!
最初は何が起こってるのかよく分からない。
中盤の章で、惑星ソラリスの描写が詳しく描かれていて、想像しながら読むと楽しかったです。
これは積読の必要があるかもしれない…
宇宙SFの新しい概念を知りました
-
Posted by ブクログ
下巻では、引き続き酉島伝法タッチのキャラクターが随所に出現する。3人の乗組員はそれぞれ秘密を隠しながら照射実験の打ち合わせを続ける。一方、形成物であるハリーは、人間と紛うことなき心を持つようになり絶望感で液体酸素自殺未遂まで起こすことで自分の正体を知ることになる。そしてスナウトによりハリーは消え去ってしまう。コミックスのラストシーンは少し中途半端。何かのメッセージを以って締め括って欲しかった。原作に忠実という意図は理解できるが、少しぐらい自由度を上げても良いのではなかろうか。p149~p153の空白、要りますか?
今回あらためて、1961年に書かれた「ソラリスの陽のもとに」、1972年に映画 -
Posted by ブクログ
SFマガジンに本作品の第1話(冒頭部分?)が掲載された時に、このコミックスが今後連載されるのかと思ったが、そうはならなかった。少々残念な気持ちのままその時は諦めたが、今回単行本2冊という形態をとって出版された。最初はネットでしか見られないという先入観もあったので、この快挙に(大げさかな)年甲斐もなく興奮してしまった。書店でも結構な冊数が出ていたので、販売元もかなり気合が入っているのではないだろうか。
ソラリスというと真っ先に思い浮かぶのは映画「惑星ソラリス」。タルコフスキー監督によるこの作品は今までに何回も観てきた。ストーリーが解っていても何回観ても飽きない。未来の交通網「首都高」、驚きのラ -
Posted by ブクログ
p.189
「何事にたいしてももはや自然な反応をするものなどだれもいないのだー化学薬品の作用で学習し、人を愛し、反乱を起こし、ものを忘れるのだー薬物で操作された感覚と自然のそれとの間には違いがなくなっている。」
レムのSFを読んだのは、ソラリス以来かな?相変わらず一文一文奇妙な文章だらけなのに伏線が回収されなくずっと話が続いていく感じで捉えどころがない。でもとんでもない未来への想像力、予想もつかない展開、そしてちらりと見える社会問題への皮肉など読んでいて楽しい。
薬品がドラえもんの道具みたいで面白かった。
一層剥がれるたびに残酷な現実が、という瞬間が恐怖。 -
Posted by ブクログ
「もう飛んでいるよ、ケルヴィン。それじゃ、気をつけて!」
買ったきっかけは本編始まって2ページ目くらいにあるこの言葉で、宇宙の旅が始まるワクワク感でつい買ってしまいました。
ただ、始まってみると内容は殆どワクワク感が薄く、閉鎖的でホラーみたいな印象を受けましたw
まぁ多分、レムさんも未知なるものへのワクワク感は持っていて欲しいのだろうと、あとがきで何となく感じました。
それならこのたった数ページのワクワク感で買ったのも、レムさんからは望まれている行動だったのかなと。
この本の翻訳自体はとても読みやすく訳されていて良かったのですが、未知なる物体を説明するのにあえて地球にあるもので姿を例え