スタニスワフ・レムのレビュー一覧

  • 泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕

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     「ソラリス」の作者レムには泰平ヨンが主人公のシリーズがある。「泰平ヨン」とかいうダジャレ的なセンスが嫌いだった。「泰平」という字面は今も嫌いだ。そんな偏見で、こんなに面白い本を読まずにいたわけだ。
     主人公の泰平ヨンはコスタリカで開かれる未来学会議に参加する。その会議のテーマは、破滅的に人口激増した世界とその増加の阻止だ。この人口増加による危機というやつは、原著が書かれた頃(1971年刊)には良く言われたものだったように思う。近頃なら地球温暖化になるのだろう。さて、ヨンが会議に参加する理由がよく分らないというのっけからカオスが突っ走るが、テロ事件が起きてあっと言う間に氾濫する。軍部の出動、薬

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    2015年08月05日
  • 泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕

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    コスタリカで開催される未来学会議に参加した泰平ヨンはテロ事件に巻き込まれ………。

    ドラッグに満ちた未来世界を描きつつ、その世界を何度もひっくり返すことでディストピアっぷりを露わにしていく手際が鮮やか。他の作品同様、人間の "認識"や"知性"の限界というモチーフが見え隠れするのもレムらしい。
    それにしても詰め込まれた膨大な量の言葉遊びには圧倒される。訳すの大変だったろうな。

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    2015年05月24日
  • ソラリス

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    惑星ソラリスに辿り着いた主人公。
    そこからずっとソラリスが舞台、いわばワンシチュエーション。

    不気味な終始気配が漂っていて、海の存在がより不気味さを増している。
    海は味方なのか敵なのか、はたまた、こちらの存在にすら気づいていないのか。

    思ったよりも叙情的で、ラストも読み手に委ねるような、多角的な作品だった。

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    2026年04月04日
  • ソラリス

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    私たちが無意識のうちに刷り込まれているファーストコンタクトへのステレオタイプに一喝を入れてくれるような作品。本の中でも言及されているが、私たちはしばしば人間中心主義的、人間形態主義的にものを考えてしまう。だが実際にはそういった形での相互理解はそもそも不可能なのかもしれない。そのことに気付かせてくれる。

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    2026年04月01日
  • ソラリス

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    意思を持った地球外生命体を「海」にしてしまうという大胆な設定が目を引くが、物語の中で繰り広げられるのは古典的なラブストーリーであり、ある種の幽霊譚であり、作中作『ソラリス研究の十年』における細かすぎるSF設定であったりと、読みどころは多い。
    しかしオールタイム・ベストにも挙げられる本作に対して物申すのは気が引けるのだが、展開される様々なテーマ一つ一つが重厚すぎて、恐らく本書の最重要テーマであろう「理解を超えた知性とのコンタクト」の部分が霞んでしまった印象を受けた。かつて映画化された際は、ロマンスの部分をピックアップした作品になったようだけど、そりゃ原作者にしてみたら本意じゃないよなあと思う。

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    2026年03月22日
  • ソラリス

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    ファーストコンタクトものの名作と言われているので興味を持っていた。

    序盤はSFというよりもホラー小説かと思うような描写があり、結構怖かった。
    他にもラブロマンスだったり詳細なソラリス学に関する歴史も書かれていて、不思議な小説だった。

    ただ全体としてはやっぱり面白かった。
    異星人とのコンタクトという問題に対して、相手が人間のように考えたり人間のようにコミュニケーションを取れるとは限らないというのは考えてみれば当たり前だった。
    そうした主題ゆえに結末も読んでいる人間含めてスッキリする感じではないのですが、それも含めて名作だった。

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    2026年02月26日
  • ソラリス

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    ネタバレ

    読み終われた!途中途中で「よくわかんないな……この作品でわたしが何かを感じることってできるのかな……」という一抹の不安を抱えながらの読書だったけれど、最後の1文がとても印象的でよかった。
    「それでも、残酷な奇跡の時代が過ぎ去ったわけではないという信念を、わたしは揺るぎなく持ち続けていたのだ。」
    ケルヴィンはまだソラリスの海という未知から背を向けないことを選択したんだなぁ。
    相互不理解という概念?が大好きなんだけど、今後もソラリスの海と意思疎通(コンタクト)をとることはできないかもしれないし、そもそも人間(地球人類)の型におさめて同形式でコンタクトをとろうというその思考そのものが傲慢なのかもしれ

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    2026年02月22日
  • ソラリス

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    宇宙の知的生命体は人間とは似ても似つかない理解困難な存在ではないかというテーマ。その理解困難な振る舞いが延々と描写される所はイメージするのが難しかった。

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    2026年01月04日
  • ソラリス

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    ネタバレ

    言わずと知れたSF名作古典。テーマ的には「コンタクト(未知との接触)」ということだけ前知識として入れて読み始めたが、なるほどなぁという感じ。未知の未知たる部分を「真意は分からないが人間の思考を読み取って1番痛々しい記憶の再現を送り込んでくる」と表現したのは単に演出的な効果を最大にするための合理的な選択だったのだろうが、そのせいで「かつて失った大切な人の姿形をした生物を前にあなたはどうするか」的なラブロマンス的な読みができてしまい、作者の意図しない形で広まってしまったのだろう。それこそ本作がSFの枠を超えて多数の人に受容されたのはそのラブロマンス的な読みの要素が多いのだろうが、そのせいで本来表現

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    2026年01月04日
  • ソラリス 下

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    タルコフスキー、レム、ソーダバーグ、そしてこのマンガの順に経験。最初のショックが大きいので、やはりタルコフスキーが私には、一番。でも、それぞれに良さがある。こんな事思いつくレムは、凄い。マンガでの表現は、困難だったろう。削ぎ落とした線。大人の漫画だ。

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    2025年12月20日
  • ソラリス 上

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    随分昔に観たタルコフスキーの映画のショックが強すぎて。社会主義の時代にあれを作る事が出来た事、精神世界の映像化がこれほど精緻を極めていた事。素晴らし過ぎて。漫画化するのは、さぞや大変だっただろう。

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    2025年12月17日
  • ソラリス

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    1961年に書かれた古典的SFです。
    ソラリスの海の謎に興味をそそられ、一気に読みました。
    難解な表現があり、読解力の不足もあってイメージできないところが多かったのが残念でした。

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    2025年10月16日
  • ソラリス

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    おもしろかった
    少し自分には難しい内容だったが、とても魅力がある作品だった。
    少しこの作品のことを言葉で言い表すことは難しいが、自分には、ある種の静かさ、静謐さが揺蕩っていて、(人間に対して距離をとった)好きな雰囲気でした。

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    2025年10月08日
  • ソラリス

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    タイトルが好き。惑星の名前である「ソラリス」って響きや字面がなんとも静謐で美しい。でも意味は‘太陽‘なんだそうな。そうすると、ポーランドの人はもっと太陽っぽい力強い感じのイメージを持つのかな?
    途中、惑星ソラリスの海の様子の描写やソラリス研究の歴史が延々と語られる場面があって、ちょっと眠たくなりそうだった(訳者さんも、読み飛ばす人もいるかも…みたいなことを巻末の解説で書いてた)けど、読み終わってみれば必要な部分だったんだなあと。
    人間が、地球外の生命体について、自分の理解できる様態であるはずと思うことがまず傲慢。人間が理解できようが理解できまいが、そこに存在して生きている。そして主人公はそれを

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    2025年08月30日
  • ソラリス

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    最初ミステリーの要素があり、単純なSFかと思いきやさにあらず。

    幽体Fの正体は何なのか。最後どうなるのか。という興味は確かにあるが、本当に伝えたい事はそういう単純な事ではないと。

    途中ソラリス学の延々とした章があったりで決して読みやすいわけではない。ソラリスとは一体何なのか。結局最後まで明快なものは提示されない。

    そういう未知との遭遇がテーマであるのだろう。世の中には我々の知らない、わからない事との遭遇があり、それとどうコンタクトを取っていくのか。

    現代社会でも当てはまる事はあり、外国人労働者、移民、異性、身近な所では中途採用、新人など。

    自分の知らない人とコンタクトを取る事が難しい

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    2025年08月11日
  • ソラリス 上

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    原作とともに読み終わりました。(上下巻の感想として)

    タルコフスキーやソダーバーグの映画とも違う、1番原作通りの内容だと思いました。

    描き込みの少ない画風で、原作にも通じる静かな心理描写がうまく表現出来てると感じました。

    ただ「風の谷のナウシカ」や「AKIRA」世代の自分にとっては、精密で描き込みの多いメビウスの様な画風をやっぱり期待してしまう。

    でも久しぶりに漫画の新刊を買って良かったと思った作品でした。

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    2025年08月08日
  • 火星からの来訪者

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    特に印象に残った二作の感想。

    『火星からの来訪者』
    粗削りながらも、すでに後の『ソラリス』に通じるテーマ──人間にとって“他者”とは何か──が浮かび上がっていたのが印象的だった。作中、謎めいた異星生命体と人類の科学者たちが接触を試みるが、そこに成立したのは「対話」ではなく、どこまでも一方的な「観測」だったように思う。特に、教授が体験する“火星のヴィジョン”の場面は、人間側の希望的観測の象徴に感じられた。リオンが何かを伝えようとしたのではなく、教授自身が「意味を見出したい」という欲望から幻を見たのではないか。この作品を通じて、レムは早くも「知性とは、他者と本当に理解し合えるのか?」という問いを

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    2025年06月27日
  • 電脳の歌

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    順調に刊行が続くレム・コレクション。誠に喜ばしい限りです。人間よりも人間らしいロボット二人の寓意に満ちた珍道中。とは言ってもそこはレム。歯応えありすぎるほどあるよ〜。簡単には噛み砕けないよ〜。言葉遊び部分も多く、原文が読めたらもっと楽しめるんだろうなぁと思うと同時に、日本語への落とし込みに翻訳者は悶絶ものだろうなと思いました。この文化間ギャップが興味深くもあります。

    1965年の作品ですが現在の生成AIを先取りする記述があまりに現代的で驚愕する。主人公のロボットたちが建造師と言われているのもシビれます。英語ではなんて訳されているのだろう。builder?クリエイターも今やソフトよりの印象とな

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    2025年06月14日
  • ソラリス

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    とっても難しい。でも面白い。詳細なソラリス描写や、膨大なソラリス研究の仮説、論文を詳述することにより、徹底して「未知」を書き切った作品です。言われがちなこの「意味のわからなさ」はあえてやっていると思います。そもそも人間には未知との遭遇では、ある程度は意思の疎通ができるだろうという傲慢さがあります。人間の間でさえIQだか偏差値だかが20違えば会話が成立しないという話もあるのに、何故恒星間航行もできないような未開の文明の人間が、我々よりも高度に数百年単位で進んだ文明のものと意思の疎通ができると思い込めるのでしょうか。その人間の驕り高ぶりに冷や水を浴びせるような作品といった印象を受けました。個人的に

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    2025年05月25日
  • ソラリス 下

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    意思を持つような持たないような、生命のような、そうでないような、人間の理解を寄せつけないソラリスの海。さまざまな構造物を生み出す、粘度の高そうなその海が、コミックでは濃密に描かれる。それに対して人間は、淡々とした、あっけないほどの線描。あくまでもソラリスの海が主役だということなのかもしれないなあと感じる。

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    2025年05月07日