アーシュラ・K.ル=グウィンのレビュー一覧

  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    1巻の影との戦いから数年。舞台はアチュラン、アルハ(テナー)が登場。
    『自由とは何か』を問われたような作品だった。

    5歳から大巫女として働き続け、外界とは遮断された村。付き合う人は巫女か付き人ぐらい。彼女の仕事も暗闇の冒険。
    そこにケドが侵入者として現れる。
    アルハはゲドを殺さず話をする。そして出るか残るかの選択を迫られる。
    出たときはテナーとして、不安と挑戦を。
    残るときはアルハとして、安定と苦悩を。

    選択できることが自由だと思うが、ゲドが現れなかったとしてもその村の中ではアルハも自由ではあった。(大巫女という立場も利用できた)
    しかし、それ以上の惹かれる世界を知ったのならば、飛び出さず

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    2024年05月22日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    ついに超大作ファンタジー小説を読み始めた。
    2023年の自分の誕生日にセット買いし、今年こそはと2024年から読み始める。
    ジブリ映画のゲド戦記は何度か見たが、やはり原作を読みたい気持ちになり手に取った。

    訳本だが、すごい。ファンタジーで想像し辛いかと思いきや、ゲドの心象からカラスノエンドウとの友情、影との戦いをしっかりと表している。
    魔法使いは均衡を保つために生き、目的を果たす。
    ゲドは影を放出することで挫折するも、才能を活かし成長し、影を対処する。
    一緒に冒険をした気分だ。

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    2024年04月30日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    ネタバレ

    ル・グウィンが16年もたっているのに続編を出す決心をした理由を、映画ゲド戦記の宣伝用冊子「ゲドを読む」の中で文化人類学者の中沢新一さんは、こんなふうに語っています。
    『当時のフェミニズムは、男性が持っている力の領域に女性が参与して、その力を自分たちに取り入れていくという考えが広がっていました。そこで大学教授になろう、経営者になろう、アーティストとして自活しようという女性たちが出てきました。家庭でも男性に従属しない人間になって、しかも母親としても伝統的なあり方を否定していこうという風潮も強かった。そういうフェミニズム思想がアメリカで盛り上がってきたときに、ル・グウィンは、それに対して違和感を持っ

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    2024年07月07日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    ネタバレ

    68歳の老人が読んだ所感
    冒険活劇としてはおもしろかったが、「生と死」の問題としての深読みはできなかった。
    「日本人が、結局死んでも生きても同じこと、いつ死んでもかまわないとか、金をもうけようが勉強しようが何しようが意味がないから死にたいというような、本当に無におそわれて死にたいと言っているような人間の話は、なかなか西洋人には分かりにくい」と河合隼雄さんが言っていた。
    つまり、死の概念が、キリスト教圏と仏教圏とは違うという話で、わらわれは欧米人より死というものを身近に感じているような気がする。深さが違うのかもしれない。われわれはファンタジーを元来もっている国に生まれたともいえないだろうか。

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    2024年07月07日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    ネタバレ

    68歳の老人が読んだ所感
    昨日の1巻に続けて、この2巻目も1日で読んでしまった!想像して映像化していくのが楽しい。
    地下の迷宮を脱出するシーンはインディージョーンズの最後の聖戦の聖杯のシーン(ペトラ遺跡)がダブってしまったし、エレス・アクべの腕輪の話は天空の城ラピュタのシータのペンダントの話とダブってしまった。テナーがシータに見えてきた。
    ゲドは107ページから登場にびっくり、それもある男とかいってなかなかゲドとはわからない。
    生まれ変わるという表現が数カ所あったが、欧米人は輪廻の思想がなかったはず?再度調査したら、やはり、キリスト教にはないらしいことがわかった。私達は「生まれ変わったらとか」

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    2024年07月07日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    ネタバレ

    68歳の老人が読んだ所感
    現実を忘れて、ファンタンジーの世界に感情移入するのはなかなか大変です。むずかしいのは事前に自分が作者の世界に同調する必要があることです。たとえて言えば、おもしろいであろうと期待して映画館に見に行く感じ、途中で期待外れとわかっても、お金を払ってまで見に来たからには最後まで見る覚悟をもつ、みたいな。
    1.魔法使いは、日本で言えば高僧。偉人のようにあがめられる慣習がある世界。
    2.魔法使いは、魔法の専門学校を卒業して地方に派遣されている。東大寺で修行した僧が国分寺に派遣されるような感じ。魔法の専門学校も東大とか早稲田とか慶応とかみたいに、いろいろ流派があるらしい。
    3.情景

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    2024年07月07日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    再読本。
    若い頃はもっとありありと、映画を観るようにアチュアンの迷宮での出来事をドキドキしながら読んだけれど、年老いて、想像力が衰え、イメージも面倒になってきたのを実感。それでも充分の読み応えと、刺さる言葉の数々。自由は不安と責任を伴う。
    自ら決めること。ゲドの宿命に応じた生き方も、今なら納得。
    この後の巻を読むのも楽しみ。

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    2023年08月31日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    スタジオジブリによって映画化された作品。
    とても面白い。 個人的にはゲドが少し老いていて残念だったが、読みやすかった。
    ラストシーンは時間が経つのも忘れて没頭してしまった。
    映画の内容とは異なるシーンも多々あるため既に映画を見たという人も楽しめる。

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    2023年06月03日
  • アースシーの風 ゲド戦記6

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    ゲド戦記は他のファンタジーとは違い、テンポが軽くなく読むのは少し大変だが、その分「性別」や「正義」、「生と死」という深く、実際の生活や社会の通じる内容もありとても面白かった。
    最終的に全員がいい形で終わったことによんでいる自分まで満足したような気持ちになった。

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    2023年02月16日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    話の中で出て来る男女の差のようなものが、女性の作者ならではだと思った。
    テナーの、2巻とはまた少し違う葛藤が描かれていて印象的だった。

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    2023年02月16日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    若かったころは教わる側だったゲドが、大賢人となり、次の若者に教えなどを説いてることで、ゲドの成長と偉大さが感じられた。
    これまでとは少し違った生と死というテーマに、考えさせられる内容もあり、これまでよりより一層深いテーマだった。

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    2023年02月06日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    ファンタジーだと思っていたら、真の名前を知る必要があったり、土地が細かく最初に開いたページで驚かされた。お話の中だとわかっていながら、妙にリアルで引き込まれた。

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    2022年12月28日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    ネタバレ

    ぐっと大人向けの話に変わったなという印象。
    テナーとコバとの葛藤はまさに自分自身がどこかで抱えているものだったので読んでいてしんどかった。

    フェミニズムと自分自身が何者であるのかの葛藤、彼女と彼女の周りに生きる人々とのズレに考えさせられるというか、時に怒りを覚えて頁をめくるのがかなり時間がかかってしまった。

    ゲドの自分自身の全てだったものを失った姿が印象的。

    テハヌーのトリックがめちゃくちゃいいのに映画で全てを台無しにされていて悲しい

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    2022年11月17日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    これまでの冒険活劇とはまた打って変わって、2人の途方もない旅のように見せかけて生と死・それに立ち向かう人の内面的なお話。
    一巻では傲慢でどこか勢いのあったゲドが、大賢人となり若い頃自分が疑問に思っていた筈のことを説く立場になっていたのは、歳を取り様々なことを知ることは臆病になる訳ではないんだなと言う説得力が凄くあった。

    アレンの自己との闘い、自分自身の影の部分とのせめぎ合いの描写が本当に良い……。
    この作者は本当に人間の内面を描くのがものすごく丁寧で登場人物の心情が手に取るようにわかる。

    映画は3・4巻を基にしたとどこかで聞いたけど(鑑賞したのがかなり前で記憶が朧げとは言え)なぜこの原作で

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    2022年11月09日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    第一巻の魔法の世界を期待して読み始めたら!
    全然違う!
    なんだこの閉鎖的過ぎる世界は!
    というかゲドはどこ!

    となったけどちゃんと最後まで楽しく読めました。

    とにかく最初からテナーの思考回路というか、価値観の描き方が凄く良い。確かにそう思うよな、私も行った方がいいと思う….とまるで自分がテナーと共にあるような錯覚を覚えながら読んでいた。

    テナーとして生きるのか、アルハとしてここに留まるのか。テナー自身の葛藤と、その後選択をしてからもなお自由の重さに潰されてしまいそうになるテナーの姿を見て自分自身の愚かさとテナーの強さに涙した。奴隷でいることは簡単だけど、自由でいることって本当に険しい道な

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    2022年11月07日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    思ってたものと全然違くてびっくりした。
    めちゃくちゃ魔法の世界やん…………
    紙で本読むの久々だし途中で眠くなるかと思ったのに一気に読んでしまった。

    本を開いてすぐ、びっしりと細かく書かれた地図が出てきたところで「ああこれは土地の名前でわけがわからなくなって飽きるな」と思っていたけれど全くそんなことはなく、寧ろゲドと共に私も旅をするために、何度も何度も地図の頁を開いていた。そのくらいこの旅に魅了されていた…。

    前半はゲドの行動にひたすらハラハラし、華やかに見せかけて大きな力を持つために地道な訓練を積む魔法使いや賢者達に感心し、後半はゲドの戦い・行動に圧倒されながらも自分もその場に居合わせてい

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    2022年10月22日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    久しぶりにファンタジーを読んだ。魔法使いの話だからファンタジーを期待したけど、魔法を使うには真の名を知らないといけなかったり、使えば使うほど体力と気力がいるだったり、妙にリアルな情景が浮かんでゲドと一緒に旅してる気分になった。精霊のシーンでは、自分だったら絶対に精霊に助けを求めて取り込まれるなと思った。目の前の敵に立ち向かって疲弊した先に手を差し伸べられたら信じてしまうのにゲドは誘惑に負けず打ち勝ってすごい。

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    2022年08月05日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    主人公と宿敵「影」の闘いが迫力もありラストにも満足できた。難しいイメージの物語だが、面白く、是非次巻も挑戦したい。

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    2022年07月07日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    シリーズ物の2作目は鬼門だと思っているのに、面白かった
    1作目でゲドの人格がかなり老成していたから、この後どうするのかと思ったら、テナーがほぼ主人公
    満を持してゲド登場
    設定も展開も圧倒された

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    2022年02月27日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    めちゃくちゃ面白かった
    重厚な世界観、島の名前など固有名詞が溢れてるのに、これほど読みやすいのは話の軸がしっかりしているからだろうか
    翻訳文が日本語文学として成立するレベルで書かれていることが大きいか
    良くも悪くも翻訳物らしくなく、だからこそ得られる没入感
    とても良質

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    2022年02月25日