アーシュラ・K.ル=グウィンのレビュー一覧
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1巻の影との戦いから数年。舞台はアチュラン、アルハ(テナー)が登場。
『自由とは何か』を問われたような作品だった。
5歳から大巫女として働き続け、外界とは遮断された村。付き合う人は巫女か付き人ぐらい。彼女の仕事も暗闇の冒険。
そこにケドが侵入者として現れる。
アルハはゲドを殺さず話をする。そして出るか残るかの選択を迫られる。
出たときはテナーとして、不安と挑戦を。
残るときはアルハとして、安定と苦悩を。
選択できることが自由だと思うが、ゲドが現れなかったとしてもその村の中ではアルハも自由ではあった。(大巫女という立場も利用できた)
しかし、それ以上の惹かれる世界を知ったのならば、飛び出さず -
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ネタバレル・グウィンが16年もたっているのに続編を出す決心をした理由を、映画ゲド戦記の宣伝用冊子「ゲドを読む」の中で文化人類学者の中沢新一さんは、こんなふうに語っています。
『当時のフェミニズムは、男性が持っている力の領域に女性が参与して、その力を自分たちに取り入れていくという考えが広がっていました。そこで大学教授になろう、経営者になろう、アーティストとして自活しようという女性たちが出てきました。家庭でも男性に従属しない人間になって、しかも母親としても伝統的なあり方を否定していこうという風潮も強かった。そういうフェミニズム思想がアメリカで盛り上がってきたときに、ル・グウィンは、それに対して違和感を持っ -
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ネタバレ68歳の老人が読んだ所感
冒険活劇としてはおもしろかったが、「生と死」の問題としての深読みはできなかった。
「日本人が、結局死んでも生きても同じこと、いつ死んでもかまわないとか、金をもうけようが勉強しようが何しようが意味がないから死にたいというような、本当に無におそわれて死にたいと言っているような人間の話は、なかなか西洋人には分かりにくい」と河合隼雄さんが言っていた。
つまり、死の概念が、キリスト教圏と仏教圏とは違うという話で、わらわれは欧米人より死というものを身近に感じているような気がする。深さが違うのかもしれない。われわれはファンタジーを元来もっている国に生まれたともいえないだろうか。
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ネタバレ68歳の老人が読んだ所感
昨日の1巻に続けて、この2巻目も1日で読んでしまった!想像して映像化していくのが楽しい。
地下の迷宮を脱出するシーンはインディージョーンズの最後の聖戦の聖杯のシーン(ペトラ遺跡)がダブってしまったし、エレス・アクべの腕輪の話は天空の城ラピュタのシータのペンダントの話とダブってしまった。テナーがシータに見えてきた。
ゲドは107ページから登場にびっくり、それもある男とかいってなかなかゲドとはわからない。
生まれ変わるという表現が数カ所あったが、欧米人は輪廻の思想がなかったはず?再度調査したら、やはり、キリスト教にはないらしいことがわかった。私達は「生まれ変わったらとか」 -
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ネタバレ68歳の老人が読んだ所感
現実を忘れて、ファンタンジーの世界に感情移入するのはなかなか大変です。むずかしいのは事前に自分が作者の世界に同調する必要があることです。たとえて言えば、おもしろいであろうと期待して映画館に見に行く感じ、途中で期待外れとわかっても、お金を払ってまで見に来たからには最後まで見る覚悟をもつ、みたいな。
1.魔法使いは、日本で言えば高僧。偉人のようにあがめられる慣習がある世界。
2.魔法使いは、魔法の専門学校を卒業して地方に派遣されている。東大寺で修行した僧が国分寺に派遣されるような感じ。魔法の専門学校も東大とか早稲田とか慶応とかみたいに、いろいろ流派があるらしい。
3.情景 -
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これまでの冒険活劇とはまた打って変わって、2人の途方もない旅のように見せかけて生と死・それに立ち向かう人の内面的なお話。
一巻では傲慢でどこか勢いのあったゲドが、大賢人となり若い頃自分が疑問に思っていた筈のことを説く立場になっていたのは、歳を取り様々なことを知ることは臆病になる訳ではないんだなと言う説得力が凄くあった。
アレンの自己との闘い、自分自身の影の部分とのせめぎ合いの描写が本当に良い……。
この作者は本当に人間の内面を描くのがものすごく丁寧で登場人物の心情が手に取るようにわかる。
映画は3・4巻を基にしたとどこかで聞いたけど(鑑賞したのがかなり前で記憶が朧げとは言え)なぜこの原作で -
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第一巻の魔法の世界を期待して読み始めたら!
全然違う!
なんだこの閉鎖的過ぎる世界は!
というかゲドはどこ!
となったけどちゃんと最後まで楽しく読めました。
とにかく最初からテナーの思考回路というか、価値観の描き方が凄く良い。確かにそう思うよな、私も行った方がいいと思う….とまるで自分がテナーと共にあるような錯覚を覚えながら読んでいた。
テナーとして生きるのか、アルハとしてここに留まるのか。テナー自身の葛藤と、その後選択をしてからもなお自由の重さに潰されてしまいそうになるテナーの姿を見て自分自身の愚かさとテナーの強さに涙した。奴隷でいることは簡単だけど、自由でいることって本当に険しい道な -
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思ってたものと全然違くてびっくりした。
めちゃくちゃ魔法の世界やん…………
紙で本読むの久々だし途中で眠くなるかと思ったのに一気に読んでしまった。
本を開いてすぐ、びっしりと細かく書かれた地図が出てきたところで「ああこれは土地の名前でわけがわからなくなって飽きるな」と思っていたけれど全くそんなことはなく、寧ろゲドと共に私も旅をするために、何度も何度も地図の頁を開いていた。そのくらいこの旅に魅了されていた…。
前半はゲドの行動にひたすらハラハラし、華やかに見せかけて大きな力を持つために地道な訓練を積む魔法使いや賢者達に感心し、後半はゲドの戦い・行動に圧倒されながらも自分もその場に居合わせてい -
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