アーシュラ・K.ル=グウィンのレビュー一覧

  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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     特殊な風習で縛られている環境の中で、自分はテナーかアルハかどちらかを迷っている様子に共感した。
     自分が自由になるのか、奴隷のようでいるのかを選んでも、自分を愛してくれた人を裏切った罪悪感の苦しんでいる様子が、自由の大変さを表していた。

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    2023年01月26日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    異常な環境も慣れてしまえばそれが普通だと思い込み、
    迷い込んできた普通のものを異物だと思い込んでしまう
    風習とか宗教とかの怖さを思い出した。
    縛られていた人が自由を得ると選択する恐怖を感じるのか、と読みながらびっくりしたけど、そりゃそうか、選択できる自由があるって素晴らしいんだなと改めて思った。

    人に与えられたものだけで生きていくより、自分で選択して私は生きていきたい

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    2022年09月04日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    1は自分の内なる影との戦いだったけど、2は影や死の世界と繋がる真っ暗な地下の迷宮で、他者を闇から救う物語。今回の舞台である、名を持たぬ者(?)の墓がとにかく暗い!描写で暗闇がありありと表現されている!恐ろしい姿のモンスターは全く現れないのだけれど、こわい。

    人間の慣れとは恐ろしいもので、ひどい環境や扱いを受けていたとしても、それが当たり前になってしまうことがある。気付かなくなってしまうのだ。違和感って実はすごく大事なのかもしれない。主人公の彼女も自分の小さな違和感を見逃さなかった。それが彼女の運命を大きく変えていく。テナー、よかったね。自由は辛く厳しいこともあるけれど、自分で選択する、という

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    2022年07月31日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    久々にファンタジーの世界に浸れた
    魔法ものだったの全く知らず、戦争物かと思い敬遠していた自分に早く読めと言いたい

    一人の青年の物語として構成されているけど、読み方を変えるとそれは私たちにも反映されるし、投影できますね

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    2022年07月28日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    とても面白かった。第一巻・「影との戦い」の時は傲慢だったゲドが「こわれた腕輪」では人に寄り添い、優しく、ミステリアスな青年になっていて、成長を感じた。闇と葛藤するテナーと「テナー」の心を尊重するゲド。この二人の冒険譚は心を温かくさせてくれる。

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    2022年07月24日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    第二部 アチュアンの墓所(日本タイトル: こわれた腕輪)での主人公はテナー(アルハ)という少女。
    8歳で、アチュアンの墓所に連れてこられてここのの大巫女として、生涯名も無き者の生贄のようにここを守るものになっていた。15歳になるまでの辛く孤独な生活がかさ語られていく。
    罪人が送られてくると、残忍な処刑をも行った。話も中盤、アチュアンの墓所に忍び込んだアルハより10歳ほど年上の盗賊が捕らえられた。
    迷宮に隠されてあるエクス・アクベの腕輪の欠片を探しに来たのだった。処刑をしなければならない。だが、アルハには、ゲドが気になってしまった。長い日々、二人は忍び逢っていろんな話をし、若い男が魔法使いだと知

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    2022年03月29日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    不評価だったジブリアニメと全く違い、面白かった。母親を知らず我儘に育ったダニーだが、女呪い師に教えられた魔法の呪文で、魔力を操れるアビリティを強く持った稀に見る少年だった。
    ある日、侵略者ガルガドの兵士を魔法で追い返し、廃人のようになるが、オンギンに助けられて、真の名〈ゲド〉を授けられる。普段はハイホーク(ハイタカ)と名乗る。ある傲慢さから悪霊を呼び出し、その影から逃げる旅を続け、その途中でエクス・アクべの腕輪のかけらを託される。親友・エスカリオルの助けで、影と対決することになる。
    寒さと暗い情景、孤独との戦い。
    虜になってしまいました。

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    2022年03月29日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    「映画とベツモノすぎる!!」が最初の感想です。
    宮崎吾朗監督のジブリ映画を最初に知っていた分、驚きました。あれは原作から舞台と設定、名前を拝借した全く違う作品です。
    ル=グウィンが怒ったのも納得…


    主人公が背負った運命から、美しい文体に惹き込まれ、ページを捲る手が止まりません。
    “真の名”を教えてはいけない…はここからきていたんですね。
    誰もが抱えている自分の「闇」との闘い。それは年をとっても付き纏い、向き合うことになる。
    普遍的なテーマで、子供から大人まで楽しめる作品だと思いました。
    このままシリーズ一気に読破したいです。

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    2022年01月19日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    久々にファンタジーにのめり込んで夢中で読んだ。
    長い旅だったが、最後の結末に、なにか自分と重ねてじわりと染み入るものを感じた。
    2巻を読むのが待ち遠しい。

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    2021年10月19日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    何度目かの再読。
    にもかかわらず、忘れすぎてて普通にドキドキしながら読めた。
    以前同様、世界の均衡や、光と影など響く言葉がいくつかあったのだけど、学んだ陰陽五行思想と合致するところが今回はたくさんあり、より面白さを感じられた。さいはての地へ向かう冬至の説明は、そのまま天中殺だったし。光と影は陽と陰。一極二元論。
    自然界をありのまま、じっくりと眺めたひとに見えてくる自然界のルールというものがあり、それが陰陽五行なのかもしれない。とまさかの感想を持てた。
    文章も翻訳も素晴らしく、何度でも読み返したい小説のひとつ。

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    2021年05月10日
  • アースシーの風 ゲド戦記6

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    子どもの頃から読み続けて
    遂に大団円。感慨深い。

    読む度に発見があり、
    最終感はローク的な価値観も相対化されている。
    著者が常に現代を意識しながら
    書き続けてきたからか?

    著者も、鬼籍に入り
    もう本当に続きが書かれないのが残念

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    2021年01月11日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    どうして、ゲド戦記を読むとこんなにも心が揺さぶられるのか。生と死を真っ正面から見つめることの恐ろしさを感じて、しかし登場人物と共に、それと向き合い、「生きる」ことを選び取っていく勇気をもらえるからなのだと思う。
    生きていくことはこんなにも難しく、また恐ろしく、そして勇気のいることなのだろうと。自分たちの生きるこの世界の大きさを目の当たりにしたようでとても恐ろしいのだ。そしてそれを選び取る自由は私自身の中にあるということ。自由って恐ろしい。その上で、強く自分を生きることを選び続けること。ゲドへの敬愛と共に私もこの生を生きるのだ。

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    2020年01月11日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    ネタバレ

    ことばは沈黙に
    光は闇に
    生は死の中にこそあるものなれ
    飛翔するタカの
    虚空にこそ輝ける如くに
    『エアの創造』


    この言葉の意味を、最初はオジオンから、そして学院での長たち、自己顕示欲とそれに伴う失敗からゲドと共に少しずつ感じ取っていった。そしてラストシーン。それを本当に自分のものにできたような気がして、これがあれば彼のように自分の生を生きていけるような気がして、涙がでた。
    一読だけでは、あまりにもゲドの心の成長が早すぎて私の心の成長はまだ完全についていけてはいないのだと思う。しかしだからこそこの物語は私にとっての希望の光、さらには人生の師として心の中にあり続けるだろう。
    オジオンが、ゲドが

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    2024年02月04日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    ネタバレ

    「こわれた腕輪」のテナーとゲドが再会する話。
    あの話で二人は確かに惹かれあっていたんだな、とわかる。
    テナーが結婚したと知った時にどう思ったか?という話題で、ゲドは「がっかりした。」と答えている。テナーは魔法使いになるのをやめたことだと思ったみたいだけど、私は恋愛としてでは?と思った。
    それから、テナーが使った食器を下げない問題で息子にがっかりしたり、ロークの魔法使いが女を大賢人にすることを考えもしない辺りにイラついたり、女性から見える世界に共感してしまった。
    ゲドは魔法と冒険に夢中になれたのと対照的。

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    2019年10月18日
  • ドラゴンフライ ゲド戦記5 アースシーの五つの物語

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    ネタバレ

    ゲド戦記、アースシーを舞台にした短編集だが、これは4と6と同時進行で読むか、4、5、6と順番に読むのがいいかもしれない。
    作者がどうしてフェミニスト作家と呼ばれるのか、よくわかった。フェミニストといっても、エコロジカルフェミニストという範疇にはいるのではないだろうか。
    女をどう描くかというのは常に挑戦のようなものではないかと思う。女の描き方は画一化されていたり、変に理想的だったり、添え物のようだったり、ヒロイン、登場人物として魅力的、オリジナリティがある人物像を描くのは難しいと思う。
    しかし、ル・グウィンの描く女たちはどうだ。ファンタジーなのにリアル。等身大なのに奥底に何かとても価値があるもの

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    2018年02月24日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    ネタバレ

    3冊目のゲド戦記から16年後に発表されたゲド戦記4番目のお話。訳者の清水さんが書いているように、竜の親分カレシンに乗ってゴント島に帰ってきたゲドを迎えたのは、2巻目でゲドとともにハブナーに伝説の腕輪を持ち帰ったテナーだった。
    この巻は、そのテナーが再び主人公になり、養子に迎えたテルー、そして一切の魔法を失って普通の中年男になったゲドが脇役となる。
    3冊目までの冒険小説ぶりとは全く違う内容なのだが、まず驚くべきことは、この話の主人公が40過ぎの中年の未亡人だということだ。どこが少年少女向けの小説なのか。私は中年女だから、このテナーのぼやきやら疑問やらが手に取るようにわかるが、若い人にはたぶん全然

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    2018年02月14日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    ネタバレ

    第1作目のゲド戦記は、少年ゲドの成長物語だったが、これは主に少女テナーのが囚われの身から自由になるまでの物語である。
    闇の者、名のなき者たち、つまりは死の世界に属する精霊の世界で大巫女アルハ(「名がない」という意味)は、「選ばれた少女」として特別な位置にいながらも、実際には闇の世界の奴隷として生きている。生まれた時の名前は剥奪され、暖かい愛情も知らずに、大巫女として義務のみを果たす生活。つまり、自分自身がない状態で生きている。そんな生活のなかで、異邦人である南方の魔法使いゲドが、神聖な墓地の地下迷宮に忍び込んで、宝を奪いにくる。中盤まではこんな感じ。
    大巫女としての務めを果たしながらも、決して

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    2018年02月11日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    このゲド戦記シリーズは大魔法使いの一生の中で一貫して
    人間世界がもたらした視野の狭い知識と知恵と所有意識によって
    自然界の調和した食物連鎖に見る営みからはみ出した
    人間の強欲と対立関係が必要とする嘘と秘密による暴力と
    イジメ真理からなる無理心中とも言える共食い問題について
    文化的な無限なるモノとして掘り下げている

    この自滅的問題を逆手に取ることで自分とその環境が不安恐怖に陥り
    全体観を見失っているという事実を知って
    自らの意識をもって自然界の真理を解き明かし
    自律へ向かう集いの道を切り開けるようになっている

    このパラドックスこそが
    無限なる全体観と有限なる部分からなる自己簡潔構造が示す

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    2014年11月20日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    一貫してこの作者は自主性を貫いて
    けして脅しや不安恐怖による命令で
    人の心を奪って自分の思惑で物事を動かし
    無理強いした解決を良しとしない

    浅知恵であろうと怯えからであろうと
    本人のその時その場の意思と選択を尊重し
    むしろこの物語の主人公の成長を可能にするために
    自分の肉体を提供しようとすらしてみせる

    この自主性の村長こそが全体観につながる
    調和を目指すことで
    どの部分にとっても最善の喜びへ向かう旅になることを
    意味しているのだと伝えたいようだ

    何かを決断するときには
    「ある」と「する」のどちらかを選ばなければならない
    そこに「ある」人生に添うことと
    何かを選んで「する」人生に踏み出すこ

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    2014年11月12日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    過渡的で中途半端な知識と知恵がもたらしている
    神と崇めて依存する闇に包まれた死の世界と
    全体観という限りない成長を理解して
    調和の循環で共生する大自然とに迷い
    先取りという権利に依存することで
    不安恐怖に陥り混乱してきた迷える人間社会

    富と保障に依存するお互いの契約による安全のほかに
    もっと確かだけれども重さと摩擦による負荷を伴う
    信頼というお互いを認め合う集いがある
    一人では確信が持てずに弱いけれども
    向き合う相手によって自分を確認できた時のお互いには
    限りない信頼が生まれて強くなる(171)

    安全に執着するための依存というシガラミから
    自分で選ぶという不安と希望を秘めた自由自在の環境に

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    2014年11月07日