アーシュラ・K.ル=グウィンのレビュー一覧

  • アースシーの風 ゲド戦記6

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    玉石垣で有名な八丈島で、石垣の上に腰掛けて読みました。

    生死の国を分ける石垣。
    アースシーとは違う風にのって西へ行くとたどり着く死者の国。
    東の、最新技術の魔法は遅れてるけれど太古の力の残る国から渡ってくる輪廻思想。

    3巻目から登場するレバンネンの葛藤がいいです。
    王子と慕われ、優れた王として治世をおこなってますが、表面を取り繕いつつ内面は些細なことを他人のせいにしていらっとしてる。
    皇女に対する蔑みと恋心を混乱させてる風情。

    抽象的な描写の大円団だけど、落ち着く場所に落ち着いてるし、これで本当に最終巻だなって思います。

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    2013年09月21日
  • ドラゴンフライ ゲド戦記5 アースシーの五つの物語

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    外伝と言いつつ、6冊目「アースシーの風」につながってます。
    ひとつひとつの小さな短編にも、著者が全力で立ち向かってるのがよくわかります。これぞファンタジー。

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    2013年09月21日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    が、それだけでは十分ではなかった、正義と真実とでは。正義と真実との先にまだ何か、隙間とも、空白とも、深淵ともいうべきものがあった。

    ゲド戦記4巻目。
    相変わらず完成度が高いわ~。児童書というより哲学書に近い。

    地に足をつける。
    女の生きかた。
    距離があってこそ愛することができる肉親。
    偉大な人物では手に入れられないもの「幸福」。

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    2013年08月22日
  • アースシーの風 ゲド戦記6

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    ネタバレ

    ゲド戦記最終作。

    アスーシー全体の成り立ちや竜と人間の関係性等
    1つ1つの謎が解き明かされていく。

    常に物語の中心にあったはずのハード語圏が
    そういう場所だったのかと、気づかされた時に
    やられたなーと思った。

    この話のあと、人は人として生きていくのか
    すごく気になるところ。

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    2012年11月10日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    今は、多分、この巻が一番好きだな。誰も彼も弱くなっていて。弱りきっていて、寄り添ったり、そっと見守ったりしている。力とか男とか女とか不条理だとか恋だとか愛だとか・・・・呆れるほど盛りだくさん。「子どもであるということ」まで描いてる。読む側にも準備ってものが要ります。

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    2011年07月21日
  • アースシーの風 ゲド戦記6

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    こっちでもドラゴンフライになってるんですねぇ。
    この、”物語が終わった”巻がものすごいです、ホントに…!

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    2009年11月07日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    ゲド戦記第三巻。

    …苦戦しました…お好きな方には申し訳ないですが今回けっこう辛口感想です。

    決して単調なお話ではないはずなのに、文章がとっても静謐で、しっかり気を張って読まないと心が他所へ彷徨い出しそうになっちゃう(つまり集中するのが難しかった)

    ネタバレしつつ感想言うと、要するに「地獄めぐり」というか「黄泉平坂」というか…まあ、生と死の狭間の話ですね。

    きっとゲド戦記の、アメリカ人が書いたのにどこか東洋っぽい感じが人気なのかなと個人的には思ってます。そういう世界観を味わうにはいいんだけど、なんだか新鮮味に欠ける気がしちゃいました。たぶん後世の作品にこの作品の要素がバンバン入っちゃって

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    2025年11月12日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    ネタバレ

    面白かった!!!
    魔法の解釈が面白い、言葉の延長線上にあるような感じ、言葉というものの力について考えさせられた
    広大な海に散らばる島も、それぞれの文化も、当たり前に竜が生きているのも、現実的でありながらちゃんとしたファンタジーで良かった
    内なる闇との闘い
    口は災いの元と言うが、オジオンが寡黙なのはこれなんだろうな、ゲドが寡黙になったのもこれなんだろうな、と思った

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    2025年08月18日
  • 火明かり ゲド戦記別冊

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    ゲド戦記の別冊…どういう内容なのか?
    ゲド戦記の大ファンとして興味しんしんで読み始める。まさに別冊であって、前6冊の後日談的なものではない。大部分を占めるル=グウィンのエッセイに、ゲド戦記全体に対しての作者の思いがよく伝わってきた。最初の3冊を読んだときの感動と、長い時間を経て出版された「帰還」の衝撃。
    別物だ、と感じたのは正しかったのだと思う。
    未発表だった「オドレンの娘」は、ル=グウィンらしさを感じられる作品で、好きだ。

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    2025年07月10日
  • ドラゴンフライ ゲド戦記5 アースシーの五つの物語

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    ネタバレ

    ゲド戦記、読み終えた。どこかで読んだような。と思ったら、西のはての年代記と似た作り……いや。作者さんが同じだから似てて当たり前なのだけど、ゲド戦記から魔法と竜をぬいたら西のはての年代記になるのねと思った。

    本編を終えてから、伝外を読んでよかった。『アースシーの風』を先に読むか、伝外を先なのか……迷った。結果。私は伝外を後にしてよかったと思った。
    迷うのはこの伝外に帰還とアースシーの風の間の物語が入ってるから。時系列順に読みたいというこだわりがあるなら、伝外が先の方がいいのかも。……私、時系列よりもメイン重視。脇道の話は後からじっくり読みたい。

    物語は5つ。
    「カワウソ」
    魔法の島、ロークの

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    2025年06月21日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    私には普通に面白かった。
    当時ゲドのことで評価が別れたようだが。
    やはり三巻で力を使い果たしたよね、ゲド。

    テヌーはこわれた腕輪の時も感じたが、感情が乱高下するのは今回も一緒。

    ジブリのゲドででてくるテルーが出てきたけど、ジブリとルグウィンの作品は全くの別物と思った方が楽しめると思う。

    テルーが最後どうなるのかが気になる。




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    2025年06月08日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    ジブリ映画の内容をいい感じにほぼ忘れたところで、読み始めた。が、十分すぎる大人の自分が読んでしみじみわかるなぁと思う内容で、視点が大人だし、自分が子供のときに読んだらこんなにいいとは思わなかっただろうなと思った。世界観もいいし、影の描き方など、とにかくこれぞ正統派ファンタジー。面白い。シリーズ次作も気になる。

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    2025年04月05日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    いやはやこれは凄い。

    これが児童文学ってジャンルなのは本当か。本当なのか。私には禅問答だったり哲学だったりのルグウィンさんの思う世界の有り様のようなお話と思う。これ全世界の子供が理解できるのか。

    今回はアレンという若き王子の物語。テナーの巻もそうだった。若き者の驕り~己の事を知り成長する過程が、心情が詳細に綴られるので見えてくる。そんでそれをゲドが付かず離れずで見守る。

    ドラゴンとか出てくるのでファンタジーなんだけど、人間であるということはどういうことか、を突き付けられてる感じ。でてくる「敵」は一体何なのか(ネタバレなので書かないケド)。

    読後は、いやぁこれは凄い本よ。

    ゲド戦記はこ

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    2025年03月30日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    ずっとずっと、いつかは読むべき本だと、ファンタジーに刮目してから思っていた本にとうとう着手してしまった。

    テレビでジブリ作品として見たときは、アニメキャラが他の作品とかぶる(ナウシカのクロトア、千と千尋のカオナシ)とか、ファンタジーのモチーフとしてデジャブ感が、、そしてこの本を読んでもやっぱり既視感が。もしや過去に読んだことあるのか?と思うほど。これって他のファンタジー作家さんが滅茶苦茶本作に影響を受けてるのかしら!?

    50年以上前に書かれたもはや古典といってもいいのかと思うけど、世界観が素晴らしい。本の見開きにアースシーの世界というマップがついてるけど、小さい群島まで名前がついてて圧巻で

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    2025年03月18日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    名作はできたときから名作だそうです。まだ一巻しか読んでませんが。魔法の解釈が素晴らしい。影の正体も。それ以上に自然の描写や港の人々の何気ない会話にもちゃんと血肉が通っていて、ファンタジーはスパイス程度にうまく混ぜ込まれていて、隠された真実を語っているようでした。子どもの時に読みたかったかも。

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    2024年11月28日
  • ドラゴンフライ ゲド戦記5 アースシーの五つの物語

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    スピンオフ作品って感じの。ゲドさんは今、くらいに、ああそういう人もいたわね、って感じに前に出てきた人も出てくるけど、ぶっちゃけあんまり覚えてないよ。名前がね、覚えにくいというか、真の名前がとか言っちゃうからもうね、しょうがない。
    でね、もうゲドさんのことは忘れて読むにね、いや悪くないかも。じんわりくる恋愛モノとか、償いの旅に出る年寄りみたいな話とか。最後の話も唐突ではあるけど、それもまたファンタジーやねぇ、ってなって、不思議な読後感。
    これが本場のファンタジーってことか。

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    2024年08月28日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    相変わらず渋い展開というか、何をしたいんだか分からないままに旅を続ける、自分探しをするヒッピーみたいな生き様が良くも悪くも全く盛り上がらん。わけで。
    とはいえ片やもう死んでる爺さんと、イメージ的には50歳を過ぎたくらいのオッサンという誰向けやねんという年齢設定の中にお姉様も満足的な美少年を付け加えてなんとか彩りを添えてて。だって美少女とかいなくてあるいみ泥臭くて実に昭和な展開なんだもの。女性作者というわけで、そうきたか、と。
    そんなこんなで面白いってわけでもないんだけど、爺さんになってもはや金も要らんとなれば名誉にしがみつくのも分かるわけで、いややっぱり誰向けやねんという年齢設定なお話。

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    2024年08月13日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    1970年のファンタジーだけあって、というか偏見ではあるけども、しかし暗い。子ども向けかと思いきや文字数も多くて心理描写も多くて悶々としていたり、こういうのが好きって人はそりゃ暗いわっていうかオタクっていうか実際にオタクって動物出てたけども。
    とまぁゴムゴムの~、みたいな勢いはないけど、いちいちウンチクというかためになるコメントが出てきたりしてそういうのが読書家にはそれなりに響くわけでそんなに悪くはなくてね。6巻までか、しばらく付き合ってみたいと思うわけですよ。

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    2024年07月22日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    ネタバレ

    自分の可能性に目を閉じ、ひたすら与えられた役割を全うすることを求められた少女の生きる道。息が詰まりそうな慣習とそれに付随する彼女に課せられた大巫女としての責務。それが当たり前だと生きてきた少女が目の当たりにしたのは、先人たちが作り上げた信仰という名の悪意と、自分の中に潜む己とは何者なのかに対する純粋な探究心と好奇心。その二つが垣間見えた時、少女は大海を知る魔法使いハイタカに出会う。戸惑いつつも、ハイタカとの信頼を築き己たちを解き放った彼女の目の前に広がったのは、自由というなの新しい世界。1人の少女が成長し、自分の生きる道を切り拓いていく姿を神秘性を帯びさせながら描き切った物語。

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    2024年07月08日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    とても難しい。難しいからこそ、ゲドの元へ来た王子アレンを通して、読者は問答をしながら答えを探しているような気がする。
    物語全体としては、1巻と同じく目に見えない漠然とした恐怖、いつ魔法がなくなるかわからない不安というものがあって、本当に少しずつ糸口は見えてくるのだけれど、掴めるようで掴めない闇だからこそ、もがいてもがいて、どうなってしまうのかとハラハラしどうしてある。なぜ魔法がなくなろうとしているのか?魔法が使えないということ、そしてドラゴンまでもが言葉を失うという恐ろしい事態が起こっている、しかしその原因はどうにも雲をつかむよう…けれど足の進む先、船の向かう先にあると信じて進む旅は、はやく終

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    2024年06月03日