アーシュラ・K.ル=グウィンのレビュー一覧
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※※※ラストまで完全ネタバレしていますのでご了承ください※※※
「ゲド戦記」シリーズ2冊目。
ゲドシリーズとは言っても、ゲドががっつり主人公なのは1冊目だけで、他の本はそれぞれ主人公が別になる。
こちらの「こわれた腕輪」は、「影との戦い」から30年後くらい。
舞台も、海に浮かぶ島々と魔法が日常の「影との戦い」とは違い、古代の神「名もなき者」たちを祀る神殿のあるアチュアンの墓所。
近隣の村から集められた巫女と、国を治める大王の巫女と、そして何千年もの間古い体から新しい体へと魂を移す大巫女とがいる。
「こわれた腕輪」の主人公は、大巫女に選ばれた少女で、彼女は最初はテナーという名前があったが、大巫 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ新キャラ登場です。今回はゲドとアレンの物語。2巻からかなり時が経っていて、3巻ではゲドは大賢人になっている!びっくり。世界から魔法や言葉や光が失われていって、ゲドとアレンがそれを取り戻す話。取り戻すというか、開いた闇へのドアを閉じたという感じです。アレンが旅の始まりの初々しい若者から中盤の反抗期、後半の逞しさの移り変わりが見てとれて面白い。昔のゲド程ではないけど、やはり若者ならではの傲慢さというか、そういった要素をアレンから感じた。最後には、アレンはアースシー全てを束ねる王になることが分かる。ゲドは力を使い果たしてしまったようだが、この後ゲド戦記はどう話が進んでいくんだろう?1〜3巻までは、ゲ
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ネタバレ最初は一切ゲドが出てこないから、???という感じだったけど、それが逆によかった。今回の「壊れた腕輪」は、ゲド戦記の中の一つの冒険、物語だけど、アルハ=テナーが主人公なのだ。アルハの生活、未熟な若い娘ならではの傲慢さや負けず嫌いな性格、コシルへの恐れや憎しみと、ペンセとの会話による発見(神を信じない人がいること、人は違う考えを持つこともあること)、うまく描写、レイアウトされている。「影との戦い」から数年後のゲドが、エレスアクベの腕輪の片割れを探しにアチュアンへ来て、名なきものと戦いつつアルハのことも闇から救い出す。ゲドは数年経って何歳になったのか分からないけど、魔法使いとしての実力や周りからの信
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Posted by ブクログ
ネタバレ久々に読みました、小学生か中学生ぶり。テレビで映画やってたので読み直したくなった。ファンタジー小説は人によっては馬鹿にしてくるジャンルだけど、個人的には大好きだし凄いと感心することばかり。その世界観にいかにどっぷり浸れるかで凄さを感じられる。ゲド戦記もそんな中の一つ。世界観の壮大さ、ディテールの細かさ、登場人物の魅力や共感、応援したくなる性格、友情や愛情、嫉妬などの人間らしい感情。そんな色んなものが詰め込まれてると思う。
ゲド戦記1に関しては、全ての始まり。ゲドの魔法使いとしての傲慢さや荒々しさ、未熟さが描かれている。影は結局、ゲド自身のそういう人間としての暗黒部分なんだよね。己と向き合うこと -
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ネタバレゲドの帰還だと思っていたら
ほかにもたくさんの帰還があって、とてもよかった。
歴史の影になっていたテナーの物語。
ゲドとテナーはきっと恋人になるだろうな、と思っていたので、長い時間がかかったけど本当に嬉しい。
この巻はまさにテナーと女性の物語で、
魔法を失ったゲドはふつうのおじさんになっていて寂しいけど、テナーがふつうのおばさんとして生きていた期間が知れてよかった。
世界を救っているかもしれないけど自分に逢いに来てくれない、ゲドのことなんか、待っていられなかったよね。わかるよ。なぜか待っててもらえると思っているんだ、男って。
女性では大賢人になれないということに憤り、
皿を洗えない息子に -
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ネタバレ 購入済み
面白かった。
どこか懐かしい気分のする昔懐かしい牧歌的世界、魔法、夢を持った青年ゲド。ゲドは多くのものを失ったり自分から手放したりするけれど、魔法には一途だったと思います。ゲドの中で魔法の意味も変わってはいるのだろうけど、青年ゲドの変わっていないしょっぱさは最後までしっかりあったように感じました。個人的にはゲドが龍と戦うところが漫画みたいでロマンがあって良かったです。ゲド戦記は1968年の作品でルグウィン39歳の時の作品です。主な出来事はベトナム戦争、ビートルズが解散する2年前のようです。この物語には影という恐ろしい敵が出てきますが、真っ直ぐに恐ろしい味を出すやつでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ性別、自由、力など現代社会にも通ずる様々な問題についてテナーやゲドとともに考えさせられた。
ゲド戦記を読むと、自分の使うことばにもっと注意を払って、そして責任を持とうと思える。
大賢人となったゲドも人間であり、弱さもあって、完璧ではない。シリーズ第2巻で自由を手に入れたテナーも、その後様々な苦しみにぶつかり、後悔がある。ゲド戦記の登場人物たちはそんな人間味に溢れている。だからこそ架空の世界の物語がこんなにも現実味を持って、私の胸を打つのだと思う。
アレンが発することば一つ一つへの信頼感、この人なら大丈夫だという安心感がすごかった。3巻の彼を思い返してみても成長が嬉しい。
そして何より驚いたの -
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Posted by ブクログ
2019/05/21
死を拒絶することは生を拒絶することでもあるんだよ。
生きている者が死にたくないと思うのは当然かもしれないが、そのことと永遠の命を求めることは全く別のこと。その永遠の命を求めた者の愚かしさと、それを手にした者の寂しい末路が描かれていた。と同時に、道に迷う者の足元をそっと照らす灯火のようなゲドの言葉が、なんだか身にしみた。力を持ったとするならば、それは世界の調和や均衡を守るために使われるべきなんだろう。そして正しい判断のもと、正しい行動をとるには世界のことをもっと知らなくては。何を正しいとするかは、人によって異なるということを根底に。 -
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