夏来健次のレビュー一覧
-
-
-
Posted by ブクログ
年末にかなり面白いゴーストストーリーに出会えた…!
(クリスマスには間に合わなかったが)
心霊スポット・事故物件が持て囃される幽霊の国・イギリスらしい味わいのある怪談ばかり。
名物の古い屋敷に染み付いた幽霊譚はもちろん、異色の廃船での心霊談、美しい風景描写が際立つヨーロッパアルプス版山の怪談、年の瀬の薄暗さのある幻想文学…と、違った風味の、ほどよい長さの作品でまとめられて、違った雰囲気を味わいながらサクサク読める。
あいだにある「胡桃邸の幽霊」は箸休めにとても良い一編。
「青い部屋」の面々はキャラが立っており、このメンバーでの別な話も読んでみたい気持ちになる。
クリスマス・年末には、キリス -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「クトゥルー神話」の流れを汲みしもの(コズミック・ホラー)、という枠で捕えていたので、「ホームズのライバル」というタグにちょいとびっくりしてみたり。そうか、怪奇探偵小説、か……ホームズにも「バスカヴィル家の犬」とかあったもんなあ。
「電気式五芒星と古文献を駆使し、オカルトと科学を混合させて怪奇現象に挑む、名うての“幽霊狩人”」という紹介文が、このシリーズの魅力をすでに余すところなく語っています。
起こる事件も心霊・超常現象ばかりではなく、人目を欺くために幽霊の振りをした、というオチのものも入っていて、そういう意味でも楽しめます。つくづく作者の早世が惜しまれる……。 -
-
-
Posted by ブクログ
英国ヴィクトリア朝時代の幽霊屋敷譚の佳作13編を紹介する。
●英/米・女流「幽霊屋敷」競作
幽霊屋敷 エマ・ホワイトヘッド
・・・亡き愛しい人の霊は彼を隣の幽霊屋敷に導く。
幽霊屋敷 マーガレット・ヴァーン
・・・閉ざされた部屋で聞こえた亡霊の声?それは私の?
●ふたつの「開いた扉」競作
開いた扉 シャーロット・リデル
・・・ラドロー屋敷の開かれた扉。潜むのはミステリー。
開いた扉 マーガレット・オリファント
・・・病の息子を救うため、廃墟の扉口での声を探る。
●幽霊談議小説競作
ブレイクスリー屋敷の幽霊談議ウィリアム・マッドフォード
・・・幽 -
Posted by ブクログ
魔都ロンドンを舞台とした怪談集。
…なのだが、なんだか似通った印象を受ける作品が多いのがややマイナス。
あとがきにも書かれているが、いろんな意味で下心ある男性と、犠牲になる女性、彼らを含む三角関係…という話が多く、男性が医者という設定が共通しているものも。
一応、ストーリーや結末は異なっているのだけれど、なんか似た感じの話を繰り返し読んだ感じが短編集&ほぼ初邦訳のお得感を削ぐ。
とはいえ、面白い!は勿論ある。
「物理で倒す」系の「ウェラム·スクエア十一番地」、ロンドンを象徴する「犯罪」と「降霊会」の組み合わせ「降霊会の部屋にて」、
なんとなく美少女(ツンデレ?風味)ラノベな雰囲気のある -
Posted by ブクログ
ネタバレ冒頭のディケンズはこういうのも書いてるんだなぁと思った幻想怪奇小説。
クリスマスツリーの描写が凄く細かくて素敵でほの怖い。
友人との約束で先に死んだ方がもう一人の元に姿を現すというのは、デカメロンにも類似の話があったのでふふっと。
・わが兄の幽霊譚
泊まった宿でセントバーナードが寄ってきたシーンが好き。
・海岸屋敷のクリスマス・イヴ
メアリさんの『自分としては、男と一緒になるならば、身の危険を感じることなく、その生き方を理解できる相手を選びたいのだ』が切実すぎて…。
・残酷な冗談
あんまりですわぁ…。
・本物と偽物
ケイトとの会話がほのぼのして小粋だったのになぁ。
というか、別に自分に襲いかか -
Posted by ブクログ
ネタバレブラム・ストーカーが吸血鬼モノの嚆矢だと思っていたのだが、先行する作品が存在することを知ったのは、数年前、『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』を読んだときのことだ。同作品は著者であるメアリー・シェリーが、バイロンらとともにレマン湖畔に滞在し遊戯的創作が提案されたときに着想を得たという。本書のタイトルになっている吸血鬼ラスヴァンは、バイロンの専属医であり、その場にも居合わせたポリドリの手になるもので、これをもって吸血鬼モノというジャンルが誕生したとされる。
紹介されている作品群には19世紀のものとは思えない瑞々しさがあり、現代の作品に見たあれやこれやが散りばめられていて驚かされる -
Posted by ブクログ
「吸血鬼ドラキュラ」以前の傑作集ですから、もちろんドラキュラを超えるような小説があるはずありせん。更に吸血鬼に出てこない話もあったりするのですが、一番面白かったのは表題作、ポリドリの名作「吸血鬼ラスヴァン」。若き紳士オーブリーが旅の友に選んだラスヴァン卿。旅の途中でラスヴァンの正体を知るも山賊に襲われラスヴァンは「自分のことは誰にも話すな」と言い残して命を落とす。しかし死体は消えてしまった。その後ちらつくラスヴァンの影そして彼との約束。怯えるオーブリーにとって最悪の結末が待っていた!
話がよくできてますね。現実なのか神経症なのか。恐怖が募っていきます。
そしてドラキュラ以前のもう一人のスタ -
Posted by ブクログ
ヴィクトリア朝英国の魔都、ロンドンを舞台とした、
幽霊譚のアンソロジー。本邦初訳の作品を中心に13篇を収録。
・ロンドンの地図
ザント夫人と幽霊 ウィルキー・コリンズ
・・・父娘が出会った未亡人の不可解な行動と、
邪な者への不可視な者の怒り。
C―ストリートの旅籠 ダイナ・マリア・クレイク
・・・旅籠の窓を叩いた音。それは鳥か?それとも?
そして不幸が。
ウェラム・スクエア十一番地 エドワード・メイジー
・・・代々の当主たちが去らざるをえなかった邸に、蠢く者。
シャーロット・クレイの幽霊 フローレンス・マリヤット
・・・生前も死してからも繰り返される愛人の訪問の恐怖 -
Posted by ブクログ
ヴィクトリア朝英国、クリスマス幽霊譚のアンソロジー。
本邦初訳の作品を中心に13篇を収録。
クリスマス・ツリー チャールズ・ディケンズ
・・・クリスマス・ツリーから拡がる空想と幽霊譚の散文。
死者の怪談 ジェイムズ・ヘイン・フリスウェル
・・・悪魔によって甦った男が会いにいった恋しい女の正体。
わが兄の幽霊譚 アメリア・B・エドワーズ
・・・深夜、微風に乗って聴こえてきたのは、あの旋律。
鋼の鏡、あるいは聖夜の夢 ウィリアム・ウィルシュー・フェン
・・・鋼の鏡に現れたのは我が妻。友との約束を違え、
急遽帰宅した男の元に届いた知らせとは。
海岸屋敷のクリスマス・イブ イラ -
-