夏来健次のレビュー一覧
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年末にかなり面白いゴーストストーリーに出会えた…!
(クリスマスには間に合わなかったが)
心霊スポット・事故物件が持て囃される幽霊の国・イギリスらしい味わいのある怪談ばかり。
名物の古い屋敷に染み付いた幽霊譚はもちろん、異色の廃船での心霊談、美しい風景描写が際立つヨーロッパアルプス版山の怪談、年の瀬の薄暗さのある幻想文学…と、違った風味の、ほどよい長さの作品でまとめられて、違った雰囲気を味わいながらサクサク読める。
あいだにある「胡桃邸の幽霊」は箸休めにとても良い一編。
「青い部屋」の面々はキャラが立っており、このメンバーでの別な話も読んでみたい気持ちになる。
クリスマス・年末には、キリスト教より古いケルトなどの世界観では妖精や異界の住人が顔を覗かせるという。
キリストや聖人の誕生日や祝日も、元はこれら古い信仰の影響を受けているとか。
それを思えば、「クリスマス・キャロル」含め、この時期に幽霊が顔を出して、こちらがそれらを出迎えるのもなんとなくわかる気がする。 -
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ネタバレ「クトゥルー神話」の流れを汲みしもの(コズミック・ホラー)、という枠で捕えていたので、「ホームズのライバル」というタグにちょいとびっくりしてみたり。そうか、怪奇探偵小説、か……ホームズにも「バスカヴィル家の犬」とかあったもんなあ。
「電気式五芒星と古文献を駆使し、オカルトと科学を混合させて怪奇現象に挑む、名うての“幽霊狩人”」という紹介文が、このシリーズの魅力をすでに余すところなく語っています。
起こる事件も心霊・超常現象ばかりではなく、人目を欺くために幽霊の振りをした、というオチのものも入っていて、そういう意味でも楽しめます。つくづく作者の早世が惜しまれる……。 -
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ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』が発表されたのが1897年。本書では英語圏最初の吸血鬼小説と言われるポリドリの「吸血鬼ラスヴァン」(1819)を始めとした吸血鬼の代名詞ともなった”ドラキュラ”以前の吸血鬼小説のアンソロジーである(例外一作あり)。
なかなかヴァリエーションに富んでいて面白い。奴隷制批判をも込めた怪作と言ってよいダーシー『黒い吸血鬼ーサントドミンゴの伝説』(1819)と、芸術家の創造エネルギーを奪い取るサイキックヴァンパイアとの対決を描いたヴィエレック『魔王の館』(1907)が特に面白く読めた。
本書には長大な吸血鬼小説として名高い『吸血鬼ヴァ―二―』(1847)の抄訳も収録されているのだが、奇想天外シリーズで全訳と銘打って第一巻が刊行されたヴァ―二―は完結するのだろうか? -
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ネタバレ夏来健次氏編訳による19世紀ヴィクトリア朝期の英国を舞台にした幽霊譚アンソロジー・シリーズ。「クリスマス」「ロンドン」に続く第3弾は「幽霊屋敷」がテーマ。本を一棟の屋敷に見立て、章立てを翼、各作品を部屋とした構成がユニーク。全13編収録。
発表されたのはどれも19世紀中盤~末頃のためか、舞台になる"屋敷"の殆んどはいわゆるカントリー・ハウス……郊外や田舎にある貴族の豪壮な邸宅になる(例外は高級住宅街の一軒と思しいホワイトヘッド「幽霊屋敷」、荒涼としたウェールズの海岸に立つ灯台が舞台のウッズ「岩礁の幽霊灯台」か)。
とはいえ出現する幽霊―その姿が可視不可視はさておき―は千差万別で、別れを告げた恋人の前に現れる女性の幽霊、亡くなった母親を求める不良児の姿なき哀願の声、遺産相続人の孫を助けてやって欲しいと依頼する老人の幽霊から、屋敷に棲み関りの深い人物の死を告げる存在、屋敷に取り憑き何の因縁もない居住者を恐怖に陥れる霊、家と財産を奪った一族に復讐する女性の亡霊etc……とバラエティに富む。そんな中で異彩を放つのが、購入した領主屋敷に幽霊を出現させようと奔走する成金男を描いたA.C.ドイル「ゴアズソープ屋敷の幽霊選び」で、幽霊屋敷怪談や当時の幽霊を持て囃すような(一部の)風潮を茶化したようなユーモラスな作品。ドイル20代前半の作品だが、まさか後年になって本人が心霊学に傾倒するようになるとはw
血腥い話や不条理話は少なめのためか全体の怖さ度も控えめ。勤め先をクビになった青年がゴーストハンターと探偵役を担う破目になるC.リデル「開いた窓」と、屋敷に集った客たちが奇譚を披露するW.マッドフォード「ブレイクスリー屋敷の幽霊談議」、灯台守が居付かないウェールズの海岸の灯台にまつわる、収録作中では最もホラー度が高いと思えた経歴不明の無名作家チャールズ・F・F・ウッズ「岩礁の幽霊灯台」などが個人的には楽しく読めた。 -
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英国ヴィクトリア朝時代の幽霊屋敷譚の佳作13編を紹介する。
●英/米・女流「幽霊屋敷」競作
幽霊屋敷 エマ・ホワイトヘッド
・・・亡き愛しい人の霊は彼を隣の幽霊屋敷に導く。
幽霊屋敷 マーガレット・ヴァーン
・・・閉ざされた部屋で聞こえた亡霊の声?それは私の?
●ふたつの「開いた扉」競作
開いた扉 シャーロット・リデル
・・・ラドロー屋敷の開かれた扉。潜むのはミステリー。
開いた扉 マーガレット・オリファント
・・・病の息子を救うため、廃墟の扉口での声を探る。
●幽霊談議小説競作
ブレイクスリー屋敷の幽霊談議ウィリアム・マッドフォード
・・・幽霊からの依頼。呪われた地の女霊の話。
奇談の屋敷 アンドルー・ラング
・・・書斎の霊。円塔での死。見えない気配。霊柩馬車。
●J・E・プレストン・マドックの二屋敷
バロカン屋敷の幽霊 J・E・プレストン・マドック
・・・その屋敷の幽霊は死を告げる。誰に?誰の?
ライスリップ僧院屋敷の幽霊 J・E・プレストン・マドック
・・・死体は隠せても、その霊までは隠せない。
●応報と理不尽
パディントン領主屋敷の幽霊 チャールズ・オリア
・・・かくのごとく廃屋となったのは、主の罪と罰。
ヨークシャーの幽霊屋敷 ダドリー・コステロ
・・・不可解な死のあった屋敷に響く音。大音声の恐怖。
農場屋敷の幽霊 フランシス・ブラウン
・・・あの女があそこにいる。笑い声は凶兆への導き。
●異色競作/無名作家と巨匠
岩礁の幽霊灯台 チャールズ・F・F・ウッズ
・・・閉ざされた灯台での怪異は過去の事件の光景。
ゴアズソープ屋敷の幽霊選び アーサー・コナン・ドイル
・・・ここには幽霊がいない。幽霊が欲しい!
ユーモアと皮肉で彩られた話の顛末は?
編者あとがき――幽けき扉、霊への階
時は英国ヴィクトリア朝時代。主役は幽霊屋敷。
古式ゆかしい屋敷の描写が重厚な作品が並ぶ。
それらと恐怖への誘いの語りが濃密だが、
なかなかの佳作がある一方、
作品によっては筋立てや人物設定の甘さがあるものも。
それでも、この時代の恐怖小説の一端が味わえました。 -
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魔都ロンドンを舞台とした怪談集。
…なのだが、なんだか似通った印象を受ける作品が多いのがややマイナス。
あとがきにも書かれているが、いろんな意味で下心ある男性と、犠牲になる女性、彼らを含む三角関係…という話が多く、男性が医者という設定が共通しているものも。
一応、ストーリーや結末は異なっているのだけれど、なんか似た感じの話を繰り返し読んだ感じが短編集&ほぼ初邦訳のお得感を削ぐ。
とはいえ、面白い!は勿論ある。
「物理で倒す」系の「ウェラム·スクエア十一番地」、ロンドンを象徴する「犯罪」と「降霊会」の組み合わせ「降霊会の部屋にて」、
なんとなく美少女(ツンデレ?風味)ラノベな雰囲気のある「令嬢キティー」。
特に「降霊会の部屋にて」は、犯罪蠢き、心霊大国であるイギリスロンドンらしい作品だと思った。
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ネタバレブラム・ストーカーが吸血鬼モノの嚆矢だと思っていたのだが、先行する作品が存在することを知ったのは、数年前、『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』を読んだときのことだ。同作品は著者であるメアリー・シェリーが、バイロンらとともにレマン湖畔に滞在し遊戯的創作が提案されたときに着想を得たという。本書のタイトルになっている吸血鬼ラスヴァンは、バイロンの専属医であり、その場にも居合わせたポリドリの手になるもので、これをもって吸血鬼モノというジャンルが誕生したとされる。
紹介されている作品群には19世紀のものとは思えない瑞々しさがあり、現代の作品に見たあれやこれやが散りばめられていて驚かされる。
ゴシック小説というものに勘所がないため、読み進めるに連れ、本書にはフォークロアがホラーと成る階梯を踏みしめているような印象を得た。そのような浅学の身にとっては、本書解説はありがたい。そこで示された多数のタイトルは、次の読書のよき導き手となってくれよう。
以下余談。
『魔王の館』について雑感。魔王とはレジナルド・クラークなる登場人物のこと。
この人物の在り様に、AwTという、今でいう同人TRPGで創造したキャラクターのことを思い出す。人ならぬなにかであり、「芸術家」を名乗った。奇妙な一致もあったものだ。 -
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「吸血鬼ドラキュラ」以前の傑作集ですから、もちろんドラキュラを超えるような小説があるはずありせん。更に吸血鬼に出てこない話もあったりするのですが、一番面白かったのは表題作、ポリドリの名作「吸血鬼ラスヴァン」。若き紳士オーブリーが旅の友に選んだラスヴァン卿。旅の途中でラスヴァンの正体を知るも山賊に襲われラスヴァンは「自分のことは誰にも話すな」と言い残して命を落とす。しかし死体は消えてしまった。その後ちらつくラスヴァンの影そして彼との約束。怯えるオーブリーにとって最悪の結末が待っていた!
話がよくできてますね。現実なのか神経症なのか。恐怖が募っていきます。
そしてドラキュラ以前のもう一人のスター「吸血鬼ヴァーニーあるいは血の晩餐(抄訳)」。この話は英語でも全2巻で900ページくらいあるらしく抄訳は他のアンソロジーにも翻訳されてて読んだことあるけど、まあ、部分的に読んでもよくわからない。抄訳なんで仕方ないですね。
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ヴィクトリア朝英国の魔都、ロンドンを舞台とした、
幽霊譚のアンソロジー。本邦初訳の作品を中心に13篇を収録。
・ロンドンの地図
ザント夫人と幽霊 ウィルキー・コリンズ
・・・父娘が出会った未亡人の不可解な行動と、
邪な者への不可視な者の怒り。
C―ストリートの旅籠 ダイナ・マリア・クレイク
・・・旅籠の窓を叩いた音。それは鳥か?それとも?
そして不幸が。
ウェラム・スクエア十一番地 エドワード・メイジー
・・・代々の当主たちが去らざるをえなかった邸に、蠢く者。
シャーロット・クレイの幽霊 フローレンス・マリヤット
・・・生前も死してからも繰り返される愛人の訪問の恐怖。
ハートフォード・オドンネルの凶兆 シャーロット・リデル
・・・アイルランド出身の外科医が聞いた<あれ>は死の予告。
ファージング館の出来事 トマス・ウイルキンソン・スペイド
・・・毎月同じ日に現れる不可視の者。明らかになる過去の悲劇。
降霊会の部屋にて レティス・ガルブレイス
・・・霊媒師への質問に対する回答は、暴かれる男の罪。
黒檀の額縁 イーディス・ネズビット
・・・肖像画の中から出てきた女性に魅了された、
わたしの、人生こそが夢。この現実が夢。
事実を、事実のすべてを、なによりも事実を ローダ・ブロートン
・・・往復書簡に綴られる忌まわしき邸での狂気と死。
女優の最後の舞台 メアリ・エリザベス・ブラッドン
・・・ 現実と芝居の愛憎劇が交錯する。その吐息は今生の別れ。
揺らめく裳裾 メアリ・ルイーザ・モールズワース
・・・かつて好意を抱いた女性の霊は横顔しか見せなかった。
隣牀の患者 ルイーザ・ボールドウィン
・・・病室の隣の患者の告白は数奇な人生。そして、
彼の今わの際に訪れたのは、亡き恋人の姿だった。
令嬢キテイー ウォルター・ベサント、ジェイムズ・ライス
・・・新居に住まうのは元気な娘の霊。なんて陽気な幽霊譚。
・編者あとがき―魔の都、霊の市/夏来健次
ヴィクトリア朝の魔都ロンドンが舞台の、幽霊譚13篇。
語られるのはジェントル・ゴースト・ストーリー主体。
シチュエーション重視でストレートに怖い話は少ないし、
真相はよく分からぬ話多し。そんな、この時代の幽霊怪談と、
当時のロンドンの雰囲気を味わうのも、また良いかも。
「ウェラム・スクエア十一番地」は結構怖い。
オブライエンの「あれは何だったのか?」と近しい内容。
「令嬢キテイー」は楽しくて、なかなかの佳作でした。
「事実を~」の舞台はロンドンで最も有名な幽霊屋敷で、
ブルワー・リットンの「幽霊屋敷」のモデルでもあります。
双方を読み比べると、書き手によっての違いが判るのも
面白かったです。 -
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ヴィクトリア朝英国、クリスマス幽霊譚のアンソロジー。
本邦初訳の作品を中心に13篇を収録。
クリスマス・ツリー チャールズ・ディケンズ
・・・クリスマス・ツリーから拡がる空想と幽霊譚の散文。
死者の怪談 ジェイムズ・ヘイン・フリスウェル
・・・悪魔によって甦った男が会いにいった恋しい女の正体。
わが兄の幽霊譚 アメリア・B・エドワーズ
・・・深夜、微風に乗って聴こえてきたのは、あの旋律。
鋼の鏡、あるいは聖夜の夢 ウィリアム・ウィルシュー・フェン
・・・鋼の鏡に現れたのは我が妻。友との約束を違え、
急遽帰宅した男の元に届いた知らせとは。
海岸屋敷のクリスマス・イブ イライザ・リン・リントン
・・・その屋敷に越したのは必然か?過去の悲劇が暴かれた。
胡桃邸の幽霊 J・H・リデル夫人
・・・現れる幽霊の少年の悲惨な過去。だが、救いが訪れる。
メルローズ・スクエア二番地 セオ・ギフト
・・・この家には誰かいる。だが家政婦は頑なに否定する。
謎の肖像画 マーク・ラザフォード
・・・人生の節目に現れた美女は、変わらぬ美貌を向けた。
幽霊廃船のクリスマス・イブ フランク・クーパー
・・・鴨撃ちで乗り込んだ廃船で過ごした、恐怖の一夜。
残酷な冗談 エリザベス・バーゴイン・コーベット
・・・叔母を怖がらせる怪談が起こした悲しい顛末。
真鍮の十字架 H・B・マリオット・ワトスン
・・・邪悪な場所の幽鬼に憑りつかれた、彼女の運命。
本物と偽物 ルイーザ・ボールドウィン
・・・悪意の無い悪戯であれど、幽霊を侮ってはいけない。
青い部屋 レティス・ガルブレイス
・・・暴かれる真実。部屋の憑き霊は幽霊ではない。あれは・・・。
編者あとがき―聖き夜、怖き宵
ヴィクトリア朝の雰囲気で彩られる幽霊譚13篇。
主にクリスマス、或いはその時期の物語で、怖い話有り、
真相はよく分からぬ話有り、ともあれ登場する幽霊は様々。
この時代の幽霊怪談はこういう感じなんだなぁと、
味わうのも、また良し。ディケンズの散文は、
当時読まれていた本についてが分かり、参考になりました。
物語としては、終盤に救いが訪れる「胡桃邸の幽霊」と
リアル感抜群の「幽霊廃船のクリスマス・イブ」、
家政婦が語る謎の解明「青い部屋」が良かったです。 -
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『吸血鬼ドラキュラ』以前の19世紀英米吸血鬼小説アンソロジー。
本邦初公開の作品を中心に10篇を収録。
吸血鬼ダーヴェル―断章 ジョージ・ゴードン・バイロン
・・・人物描写と情景の妙。未完なのが残念。
吸血鬼ラスヴァン―奇譚 ジョン・ウィリアム・ポリドリ
・・・彼と出会い、興味を抱いたことが悲劇の始まり。
黒い吸血鬼―サント・ドミンゴの伝説
ユライア・デリック・ダーシー
・・・不条理でナンセンスなれど、黒人奴隷問題提起も。
吸血鬼ヴァーニー―あるいは血の晩餐(抄訳)
ジェイムズ・マルコム・ライマー
トマス・プレスケット・プレスト
・・・全232章から数章を抜粋。処女の血を求めて彷徨う男の遍歴。
ガードナル最後の領主 ウィリアム・ギルバード
・・・横暴な領主と占星術師との対峙。そして妻に迎えた娘は。
カバネル夫人の末路 イライザ・リン・リントン
・・・地主の新妻と迷信深い村人たち。嫉妬と羨望、不安が
入り混じり、起こる事件。この女は吸血鬼だ!
食人樹 フィル・ロビンソン
・・・動植物研究家が描く、蠢く枝葉が徐々に迫る恐怖。
カンパーニャの怪 アン・クロフォード
・・・古屋敷に籠った男と呼応するように倒れた男。
その屋敷の地下坑の霊廟で友たちが見たものは。
善良なるデュケイン老嬢 メアリ・エリザベス・ブラッドン
・・・念願の老婦人付添婦になったベラ。元気いっぱいの
彼女だったが、徐々に衰弱していく。その理由は?
魔王の館 ジョージ・シルヴェスター・ヴィエレック
・・・『ドラキュラ』以降の作品から。抗えぬ威厳と
カリスマを備えた男に魅了される青年の運命とは。
解説-ドラキュラ伯爵の影の下に
注記一覧有り。
『吸血鬼ドラキュラ』以前の9作と以後の1作での、
19世紀英米吸血鬼小説アンソロジー。
バイロンの未完の作品から始まり、同年アメリカの異色作品、
ゴシックからヴィクトリア朝文芸への様々な作品、
週刊連載形式の三文恐怖小説、そして『ドラキュラ』以降の
作品までの、様々な吸血鬼小説を紹介している。
植民地やアフリカからの奴隷、簒奪者と農民や農奴の当時の情勢。
まだ科学発展以前の、土地の瘴気説、輸血思想がある一方で、
処女の生き血を首から摂取、ゾンビ、宿命の女等、
その後の吸血鬼小説に見られる特徴の先駆も、登場。
ちょっと尻切れトンボな作品もあるけど、それぞれの描く
吸血鬼の姿が様々で、ある意味吸血鬼かもしれないものも。
それぞれのホラー感覚がなかなかの妙味。