あらすじ
H・P・ラヴクラフトの熱心な愛読者であり、とりわけ「クトゥルーの呼び声」に魅せられて自らも神話創造に参入したロバート・E・ハワードによるクトゥルー神話作品のほぼ全てを網羅する、21作品600ページを収録。
キンメリアのコナンが活躍した“ハイボリア時代”と『無名祭祀書』を結びつけるミッシング・リンクともいうべき無名の小説断片や、格闘ゲームでおなじみの”シュマ・ゴラス”の出典である「黄金髑髏の呪い」など、商業未訳作品を複数収録していることに加え、既訳のある作品についてもクトゥルー神話研究家・森瀬繚が語彙のひとつひとつを徹底的に監修。
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収録作品:
アーカム(詩)/無名の断片(断章)/影の王国/黄金髑髏の呪い(断章)/バル=サゴスの神々/暗黒の民/大地の妖蛆/妖蛆の谷/スカル=フェイス/夜の末裔/黒の碑/屋根の上の怪物/憑かれた指輪/われ埋葬にあたわず/墓所に棲みつくもの/黒熊は噛む/例の屋敷(断章)/翡翠の神(断章)/アッシュルバニパルの炎/蹄のあるもの/庭園への扉(断章)
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
原点にふれる一冊。
前半は「剣と魔法」ならぬ「剣と斧」といった雰囲気の中世活劇。人種などの設定が呑み込めると、だんだん面白くなってくる。
後半は現代クトゥルーホラー。語り部がほぼ生存するのは作者ならではだろうか。
Posted by ブクログ
ロバート・アーヴィン・ハワード――REH は、英雄コナンシリーズ等に代表される冒険ファンタジーもので一躍有名となった人気作家の一方で、物語の熱烈な愛好者でもありました。ハワード・フィリップス・ラヴクラフト――HPL の作品ももちろん好物で、彼の作品を読んだことをきっかけに文通仲間となり、やがてクトゥルー神話作家としても名を上げるようになりました。
本書はREHの作品リストから、選者である森瀬繚氏の、クトゥルー神話で作った釣針にかかる要素を持った作品を集めた集成です。蛇人間が暗躍する『影の王国』やREHが創造した無名祭祀書が登場する『黒の碑』など、未完の断章も含め21篇を収録。
本書は2部構成になっており、前半はキング・カルやブラン・マク・モーンに代表される、先史時代を舞台にした冒険ファンタジーもの、後半はコンラッドに代表される、近現代を舞台にしたモダン・ホラーもので構成されています。
REHの思い描いた神話世界を一望できる黒の書。ぜひご照覧あれ――。