夏来健次のレビュー一覧
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『タイタス・クロウの事件簿』の解説で紹介された内容とちょっとちがうが面白かったので気にしない。それに徐々に風呂敷をたたんでいる感じが最終巻への期待も高まる。それにしてもアンリというキャラクターは面白い。ワトスンとしての側面だけでなくトリックスターとしての役目、さらにちょっとしたロマンスまでやってのけるあたりクロウやシルバーハット以上に主人公をしている。案外ラムレイはアンリを活躍させようとしているのではないかと思えるほど。さて、タイタス・クロウサーガも残すところあと1巻となったが、これまでの刊行ペースからすると2年ほど待つことになるのか。
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ネタバレ『礼拝堂の怪』
アルフレッド・ジャーノック卿の屋敷で行われた礼拝の終わった礼拝堂で片付けていたベレット執事が何者かに刺された。司教もジャーノック卿も目撃する中の事件。呪われた礼拝堂の秘密。
『妖魔の通路』
アンダースン邸の回廊の突き当たりの部屋で起きる怪現象。夜中に開くドアのの音。執事のピーターズとの捜査。部屋の中から出られないという霊の秘密。
『月桂樹の館』
月桂樹の館で殺害された2人の浮浪者。その館で一晩を過ごす者は命を落とす。夜中にカーナッキが写した写真に写っていたもの。
『口笛の部屋』
アイルランドの館を買い取ったアメリカ人のタソック氏。地元の美女ミス・ドナヒューと婚約したタソッ -
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ネタバレ19世紀ヴィクトリア朝期のロンドンを舞台とした幽霊譚13編、内12編が初訳。9編が女流作家の作品のためか幽霊譚の体を採りつつ当時の女性の境遇や社会的地位を物語るような作品が多い印象。その一方で、男性作家による4編はどれも男性ならではのロマンチシズム(というか理想?)が表されているようで、その辺りの対比もなかなか面白い。全般的に三角関係が描かれている作品が多いのも特色だが、続けて読むと(またこのパターン?)と感じてしまうのも致し方ないところ。
いわゆる“ジェントル・ゴースト・ストーリー”的なものも多く全体的に怖さ度は抑えめだが、資産家の女性との結婚のために元恋人を無惨に打ち棄てた野心溢れる青年 -
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ロバート・アーヴィン・ハワード――REH は、英雄コナンシリーズ等に代表される冒険ファンタジーもので一躍有名となった人気作家の一方で、物語の熱烈な愛好者でもありました。ハワード・フィリップス・ラヴクラフト――HPL の作品ももちろん好物で、彼の作品を読んだことをきっかけに文通仲間となり、やがてクトゥルー神話作家としても名を上げるようになりました。
本書はREHの作品リストから、選者である森瀬繚氏の、クトゥルー神話で作った釣針にかかる要素を持った作品を集めた集成です。蛇人間が暗躍する『影の王国』やREHが創造した無名祭祀書が登場する『黒の碑』など、未完の断章も含め21篇を収録。
本書は2部 -
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・またである。何匹目の泥鰌になるのか。夏来健次編 「ロンドン幽霊譚傑作集」(創元推理文庫)、この手の物語の愛好家が多いのであらう。私もそれに当たるのか、何匹目かにもかかはらず私は買つた。この古風な物語にはこのまま捨て おき難いものがある。しかし、最後は忘れてしまふ。そんな物語ばかりである。本書には13編収録、 巻頭のウィルキー・コリンズ「ザント夫人と幽霊」のみ既訳あり、他の12編は初訳である。コリンズ 以外で知つてゐる人はイーディス・ネズビットぐらゐであらうか。「砂の妖精」の作者である。これ以 外の人は知らないのだが、ネズビットを含めて9人が女流作家である。意識して選んだのかどうか。たぶん意識
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ネタバレタイトル通りヴィクトリア朝期英国、それもクリスマス限定でなくちょうどこの時季を舞台にした幽霊譚13編。内12編が本邦初訳だそうだが、全体を通しての味わいは期待通りだった。
好みの作品いくつかについて。
・クリスマスの日の情景を描いたエッセー的なC.ディケンズ「クリスマス・ツリー」。ツリーや種々の飾りに纏わる思い出話は次第に昏い色を帯びていき……。ツリーが造り出すクリスマス、そして冬の夜の光と影。
・「海岸屋敷のクリスマス・イブ」E.L.リントン
イングランドの西端コーンウォールの家を購入し移り住んだ若い夫婦。妻は家の管理人ベンリースという男に言い知れぬ嫌悪感を抱く。その後悪夢を繰り返し見る -
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文藝春秋がけっこう満を持して翻訳版を出してきたので買って読んでみたのですが、あんまり乗り切れなかったなぁ。この手のジャンルは翻訳者の文体で好き嫌いがずいぶんと変わるってことかな。全然リズムが合わないし、読み返しても登場人物達の体の使い方が追い切れない描写ばかり。
アクション描写は平山夢明『ダイナー』の方が上。建造物内での群衆スペクタクルは呉勝浩『スワン』の方が上。日本人作家、すげぇな。再認識した。
この作品で着目すべきは、最終的に勝ったのか負けたのかはさておき、社会階層、職業、人種、貧困、性あらゆる差別と抑圧への抗いの描かれ方だった。その差別は本作のテーマとして「暴力」に表出しているのだけ -