澤地久枝のレビュー一覧
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二・二六事件で刑死、自決した青年将校21人、そのうち14人が未亡人を残している。歴史的な無機質な事実に立体的な視点を与えビビッドに伝える屈指のノンフィクション。
筆者のデビュー作。既に出版から50年を経過。当時は当事者たちがまだ生きながらえていた頃。英雄的、悲劇的に捉えられるがちな青年将校を全く違った視点からものすところが素晴らしい。それぞれの人物が遺書や未亡人の話から、遠い昔とはいえ我々と同じように笑い、泣き、若い妻や幼き子を残す男の心情が立体的に浮かび上がる。
ノンフィクションとしては古典的な部類かもしれない。今さら感もあるが、名だけ知っていた本書、じっくり読んでみて本当に良かったと思 -
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中村哲(1946~2019年)氏は、九州大医学部を卒業後、1984年にパキスタンのペシャワールに赴任し、ハンセン病の治療やアフガニスタン難民の診療に従事、その後、長年、戦乱と旱魃に苦しむアフガニスタンで、井戸・水路建設などの復興事業を行ってきた医師。NGO「ペシャワール会」現地代表。2003年にマグサイサイ賞、2018年にアフガニスタンの国家勲章を受章。2019年10月7日には、アフガニスタンでの長年の活動が認められ、同国の名誉市民権を授与された。2019年12月4日、アフガニスタン東部のジャララバードにおいて、車で移動中に何者かに銃撃され、亡くなった。享年73歳。
本書は、戦争や国家を問う作 -
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ネタバレ昭和5年9月3日生まれ、ノンフィクション作家、澤地久枝さん、4歳で渡満、敗戦で1年間難民生活、16歳の秋に引き揚げ、防府県立高女3年(1年ダブル)に編入。その後、昭24.3、向丘高女を首席で卒業。「道づれは好奇心」、2002.10刊行、2005.10文庫。28歳、38歳、64歳と心臓手術を3回、手術前夜、人生の締めくくりをしながら薬で眠ったと。石川啄木・節子夫妻の調査など、二人の関係年表と系図づくりが役立ったそうです。そして、調べることは徹底的に。同時に、手にした資料をすべて書いてはならないと。2002年、72歳、6回目の年女、カタクリの開花を見たくて、黒姫に一人旅されたそうです。私も今72
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アフガニスタンの診療所からに続き。
先に概要を知ってから対談を読んだ方が、
理解が進むかなと思っての順番でした。
私には想像もできない活動をされている方、
どんな方なのかと思っていましたが、
応援せずにはいられない方でした。
冒頭は家族や両親など、
中村さんの生まれから始まりました。
祖父にそっくりな中村さん。
そこからアフガニスタンの話に入っていくのですが。
文面の中から、
目の前のことをコツコツと進めていくことの大切さ、
相手の未来を想いながら行う現在の活動、
さらにアメリカや日本、他国の干渉、
それらに振り回されるアフガニスタンについて。
現地を見ているからこそ重みのある言葉で -
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岩波現代文庫
中村哲 「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」
インタビュー形式で アフガニスタンの現実や自身のことを語った本。
アフガニスタンのエピソードだけでなく、幼少期や家族の思い出や死、影響を受けた本や宗教などのインタビュー。自伝に近い
自衛隊のアフガニスタン派遣について、対米追随により現地の日本人を危険に晒していると批判。国会に呼びつけといて、批判を取り消させる国会議員の態度は 残念
「人間とは関係である〜その人とある対象との響き合いの中で自分というのは成り立っている」
「組織というのは、ある事業を遂行するためのもの〜事業が成し遂げられれば、組織が続くか続かな -
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「澤地久枝」のノンフィクション作品『妻たちの二・二六事件【新装版】』を読みました。
二月ですからね… 二・二六事件関連の作品を読みたくなったんですよね。
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“至誠"に殉じた二・二六事件の若き将校たち。
彼らへの愛を秘めて激動の昭和を生きた妻たちの三十五年をたどる、感動のドキュメント。
〈解説〉「中田整一」
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昭和維新を目指し、二・二六事件を主導したとされて処刑された青年将校等の妻… 十余名の未亡人たちがどのような人生を歩んでいったのか?困難な取材を粘り強く重ね、足で歩いて検証したノンフィ -
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映画「226」の公開に合わせ、30年ほど前に読んだけれど、
ほとんど記憶にない。
読むのに苦労したことは、何となく覚えている。
わたしも若かったんだなぁ、といまさらながら感じる。
酸いも甘いもかみ分けた、アラカンの今、
正直、昭和の226事件で処刑された妻達の心持は
歯がゆい。
それは昭和の時代が遠くなったから。
あの頃の女達は、この価値観や時代感覚で生きていたはず。
それにしても、なぜ、あれほどの事件を起こす男達が
妻帯したのか、女一人を路頭に放り投げるような人間に
大仕事ができるはずがない。
夫であった青年将校の甘さに、腹が立つばかり。
向田邦子さんの親友であった、
澤地久枝氏の渾身 -
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ネタバレ昭和5年生まれ、澤地久枝さん「昭和とわたし」、2019.9発行。戦前~戦中(満洲)、敗戦~引揚げ(棄民)、日本の戦後(異郷)。植民地の姿は容赦ない弱者淘汰、満州でのいい身分での生活。敗戦、戦争に負けた日本は満洲にいた人々を見棄てた。この話は、著者の他に、藤原てい、五木寛之らによって語られています。そして、外地から帰った日本人は余計者であり異端者であったと。どこに住んでいても大変な時代だったと思います。この他、出会った人や考えたこと、心の海にある記憶、向田邦子さんのことなどが語られています。
節子が完成させた啄木の人生。志村喬が亡くなり、夫人は高倉健に「健さん、わたし死にたい」。「自分は明日 -
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澤地久枝 「 わたしが生きた昭和 」
昭和前史(一次大戦後の金融恐慌から二次大戦の敗戦まで)における自伝。敗戦の姿や満州国の実態を市民目線で論述している。
昭和前史の軍人が作った時代 を映したノンフィクション。時代を受け入れざるえない市民の弱さも感じる。
永井荷風のように時代と無関係に生きることが どんなに凄いことなのか実感した。
著者の結論「縁あって一つの時代を地球で生きる仲間として、どうすれば共生と平等が可能か、知恵のかぎりをつくしたい。最大かつ絶対の条件が平和である」
「昭和を考えるとき、満州をぬきににして その歴史はない。満州を含めた中国との関係が 昭和前史の基調としてあ