管啓次郎のレビュー一覧
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誰かが孤独を抱えていてもなぜ孤独なのかまではわからなかったりするだろうし、その孤独を自分が癒せないことだって往々にしてあるのだろう。
食べ物の味で作り手の感情がわかる、という一見ポップな設定ながらも、訥々とした書き振りで、また、それぞれが孤独を抱えており、それが癒されることもないという物語だった。
お兄さんはおそらく、主人公と同じような特別な力があり、常に「何か」がわかってしまう人だった。そのことに耐えきれなくなり、椅子になることにした、ということなのかな?
食べ物の味で作り手の感情が手に取るようにわからなくても、誰かの感情を汲み取れる、という力は、程度は異なれど誰にでもある。
私がたまに -
Posted by ブクログ
わたしとは一種の牢獄だ。~ぼくもまた他人で有り得ないこと~うんざりさせられている」(『赤道地帯』)/閉所恐怖症は、その原因を死に対するひどい怯え、埋葬されることへの恐怖にもっている。程度の差こそあれ、旅に誘われ続ける心には、死への恐れが隠されているはずだ。/ブラジルでミナス・ジェイラス州にはじめて行ったとき、イエズス会の恐ろしさを思い知らされた……何もない。そんな山あいの小さな町に、いくつもの教会が立ち並び、それをブラジル・バロック様式の彫刻が飾る。彩色されたマリア像。住民より多い聖人たち。/アメリカ大陸の都市にならどこについても……〈島都市〉っていう性格がある……何もないところをバスで走って
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試し読み
Posted by ブクログ
ネタバレ恥ずかしながらチェルノブイリはロシアだと思っていた。
漫画にて 当時そこにいた家族と そこに戻った家族と その後そこを訪れた家族の話。
正直手塚治虫氏やちばてつや氏、また漫画の戦争シリーズを読んできたので 画力に関しては物足りなく感じてしまうかもしれないが
漫画という事で読みやすいので 多くの人が知るきっかけになればいいと思う。
今回のロシア侵攻による故郷を追われる現状も辛いが
当時、2、3日避難という事から 戻れなくなった住民たちの気持ち。。
ずっと閉鎖地区のイメージしか無かったので
当時は若いファミリー層も多いモデル街であったというのも驚いた。
日本出版は2012年。訳者管啓次郎氏 -
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ローズは、9歳のときレモンケーキを食べた瞬間奇妙な感じを覚えた。それは、ケーキを作った母親の内側にあるもの。空しさや不安だった。それ以来ローズは食べたものから作り手の感情や素材の生産過程などが分かるようになる。
母は兄のジョゼフを溺愛している。どのジョゼフは、科学において天才的な才能を持ちながらも、他人と打ち解けることがなく、自分の世界に生きている、ただ一人の親友ジョージを除いては。
ローズは、自分の特殊な才能を誰にも打ち明けられずにいるが、兄とジョージにだけは伝える。兄は、無関心だがジョージはすぐに信じてくれて理解もしてくれる。
ローズはその才能ゆえに母親の浮気をしってしまう。そして、兄の失 -
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9歳のお誕生日に、お母さんが焼いてくれたレモンケーキを食べた時に、少女は奇妙な味を感じた。
彼女は食べ物を通じて...というちょっと変わった設定から始まる物語。
彼女はその感覚を除けば、ちょっと感受性豊かな、でも普通の女の子。
そして、彼女には兄とその友人がいる。
彼女の不思議な感覚、そして繊細な兄、優しい兄の友人。
それぞれの登場人物がおそらく何かの意図を持っているのだろうけど、私はアメリカのこの手の文学作品は、苦手分野。
でも、読んでおいて頭の中にしまっておくと、ふとなにか思いつくことがあって、そして読み返すと、その文章の持つ意味がわかったような気がすることがある。
きっとそんな作品 -
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アメリカインディアン、アラスカなどの先住民の暮らしを「土地と暮らす」と表現し、現代の私たちの暮らしは「土地と切り離されている」と表現する。この本は2013年マザーのイベントの露店で購入。キャンプは、「土地と暮らす」暮らしといえると思う。土地と切り離された暮らしがいかにそれたけで摩耗するものか、根本的な動物としての必要なものが欠落している暮らしだと感じる。だからこそ、定期的に、山へ川へ、平原へ行き、「土地」を感じる必要があるのかもしれない。それは確実に私たちに力をくれるものだから。
※筆者の表現について…冗長なくどい表現力が多く、美しい自然が文体から浮かび上がるというよりは、くどい表現が鼻につき