管啓次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
誰かが孤独を抱えていてもなぜ孤独なのかまではわからなかったりするだろうし、その孤独を自分が癒せないことだって往々にしてあるのだろう。
食べ物の味で作り手の感情がわかる、という一見ポップな設定ながらも、訥々とした書き振りで、また、それぞれが孤独を抱えており、それが癒されることもないという物語だった。
お兄さんはおそらく、主人公と同じような特別な力があり、常に「何か」がわかってしまう人だった。そのことに耐えきれなくなり、椅子になることにした、ということなのかな?
食べ物の味で作り手の感情が手に取るようにわからなくても、誰かの感情を汲み取れる、という力は、程度は異なれど誰にでもある。
私がたまに実家に帰ったときに、ふとした瞬間に父と母の関係性と、それについて母がどんなふうに思っているかを感じとり、夜ぐるぐるといろんなことを考え、眠れなくなってしまうのも、この物語と少し近いものがあるのかな。
私に何ができるだろうか、私にできることがあるはずなのにそれをしないのは、母の苦しみを無視していることになるのか、そんなことを考えずにいられない夜がある。
sensitiveとover sensitiveの線引きはどこで引かれるのか、という著者の言葉が印象に残る。 -
Posted by ブクログ
わたしとは一種の牢獄だ。~ぼくもまた他人で有り得ないこと~うんざりさせられている」(『赤道地帯』)/閉所恐怖症は、その原因を死に対するひどい怯え、埋葬されることへの恐怖にもっている。程度の差こそあれ、旅に誘われ続ける心には、死への恐れが隠されているはずだ。/ブラジルでミナス・ジェイラス州にはじめて行ったとき、イエズス会の恐ろしさを思い知らされた……何もない。そんな山あいの小さな町に、いくつもの教会が立ち並び、それをブラジル・バロック様式の彫刻が飾る。彩色されたマリア像。住民より多い聖人たち。/アメリカ大陸の都市にならどこについても……〈島都市〉っていう性格がある……何もないところをバスで走っていくと、ぽつんと島のように町が浮かぶ。/ぼくの部屋のすぐまえには非常線がはられ、犯人の逃げ道をふさぐ……「~日本人、絶対に顔を出すな!」/きみの意志は、コロンブスの意志に犯されている。/既に聞いたこと、読んだこと……に従って、ぼくらはひとつの風景を理解しているにすぎない。/新しい土地に出会うたび、人はその土地に命名しなくてはならない。/ポルトガルはブラジルの零落した父親だ。/飛行機は特異な認識の道具だ。/外国語において、誰もが若返る。/鉄道旅行のいちばんいい点は……線路が、乗客の目には見えないってことじゃないか/大西洋はアフリカ人とヨーロッパ人の海だ。そして太平洋は〈われわれ〉の海だ。/複数の人からなる〈単一民族〉はけっして存在せず、きみはきみ自身のイディオレクト「個人語」を話すだけ。/「日本人は頭がいいんだって……日本人とか韓国人とか、そういったチャイニーズ・ピープルはね」
☆なんとも無茶な言い切りをしておいて、自分でも無理が分かるのだろう、セルフ突っ込みをしては、なんともさえない再反論を試みるような論旨展開が、やたら多くて笑える。なんだかなあ。 -
チェルノブイリ家族の帰る場所
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
ネタバレ恥ずかしながらチェルノブイリはロシアだと思っていた。
漫画にて 当時そこにいた家族と そこに戻った家族と その後そこを訪れた家族の話。
正直手塚治虫氏やちばてつや氏、また漫画の戦争シリーズを読んできたので 画力に関しては物足りなく感じてしまうかもしれないが
漫画という事で読みやすいので 多くの人が知るきっかけになればいいと思う。
今回のロシア侵攻による故郷を追われる現状も辛いが
当時、2、3日避難という事から 戻れなくなった住民たちの気持ち。。
ずっと閉鎖地区のイメージしか無かったので
当時は若いファミリー層も多いモデル街であったというのも驚いた。
日本出版は2012年。訳者管啓次郎氏の後書き 「この経験から何も学ばなかったのだ」 -
Posted by ブクログ
ローズは、9歳のときレモンケーキを食べた瞬間奇妙な感じを覚えた。それは、ケーキを作った母親の内側にあるもの。空しさや不安だった。それ以来ローズは食べたものから作り手の感情や素材の生産過程などが分かるようになる。
母は兄のジョゼフを溺愛している。どのジョゼフは、科学において天才的な才能を持ちながらも、他人と打ち解けることがなく、自分の世界に生きている、ただ一人の親友ジョージを除いては。
ローズは、自分の特殊な才能を誰にも打ち明けられずにいるが、兄とジョージにだけは伝える。兄は、無関心だがジョージはすぐに信じてくれて理解もしてくれる。
ローズはその才能ゆえに母親の浮気をしってしまう。そして、兄の失踪。
成長したローズは、無関心であり続けた父親から自分の才能の秘密を知らされ驚きとともに家族の結び付きとかつてない安堵感を抱く。
その才能にちょっと突飛な設定と思わざるを得ないが、読後はやわらかい感情にひたれて良かった。