管啓次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これは新たな視点で世界を見るきっかけになった。ものすごい世界観だった。
私の身近では、マクロビオティックやオーガニック、スローライフに視点をおく傾向がある。だけど、そもそも、どうしてそうすることが必要であり、その根源にあるものが一体何かは混沌としていた。
それが、まさかアメリカ・インディアンの人々に関連しているなんて!
私が住んでいる世界は、「都市」であり「土地」という観念はない。しかし、その「土地」は、アイデンティティとみずからの存在の「意味」をも含有するものであるのだ。
ものすごく印象的だったのは、人間における自己定義のメカニズムについて。それは、差異化と同一化の二つ。差異化ばかりを -
Posted by ブクログ
著者の処女作で、著者のブラジル滞在中に書き綴られたアフォリズム的な断章や詩、友人への書簡や他の作家の作品からの引用が、そぞろ歩きの足跡のように連ねられている。それは一見旅行記のようではあるが、そう呼ぶのは相応しくない。それは「旅行」なるものを否定したところに成り立っている、ほとんど書くことと一つになった旅の痕跡と呼ばれるべきではないだろうか。実際著者はこう述べている。「旅と記述は、たしかに似ている。ほとんどおなじものだといってもいいくらいだ。紙に書くか、地表に見えない足跡を書くか。どちらにも、賭けられているものは〈自由〉だった」。どの方向へ一歩を進めるか、どのような一句を継ぐか、誰にも、もし
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Posted by ブクログ
ネタバレ-2009.02.24
システムが自分自身の組織を形成し変化させていく閉じた環のなかにとどまり、その徤環をよき環として捉え直そうというオートポイエーシス論の提唱者たる二人の原理的入門の書。
<いかにして知るのか>を知る
ぼくらの経験が、いかにぼくらの<構造>にしっかりと結びついているか-
ぼくらは世界の「空間」-客観的・外在的な-を見るわけじやない。ぼくら自身の個別の視野を、生きているのだ。
反省的思考-Reflection-[=反映]とは、ぼくらが<いかにして知るのか>を知るプロセスのことだ。
それは自分自身に向かって帰還してゆく行為だともいえる。それは自分の盲目性を見い -
Posted by ブクログ
ネタバレ本当にこの人の翻訳がとても読みづらくて苦手。でもエイミーベンダーの小説の雰囲気は好き。でも私が読んでいるのは翻訳版のみ。結局私はこの読みづらい翻訳の雰囲気が好きなのか?
"そんなにちがったことだったのだろうか、私がまだ工場で作られ自販機で売られる食べ物を食べるのを好んでいたことは?… そのころ私は十二歳くらいだった。学校であの自販機がなかったなら、いったいどうやって一日を過ごせたことか、わからなかった。私は、ありがとうというお祈りを自販機にむけ、毎晩それに商品を補充する人、また商品を買う人にもむけた。
それははたしてカードテーブル用の椅子を選ぶことと、それほどちがったことだったろう -
Posted by ブクログ
ネタバレ特殊能力やアリエナイコトが起こるこの物語を、ただ深い意味のないファンタジーと捉えることもできるかもしれない。
でも、誰かの心の中で起こることは、その人の中での真実。現実とそうでないことの境目は、常に曖昧だ。自分には信じられないからと、それを嘲笑ったりたしなめたりすることが、なんの役に立つのだろう?
著者のエイミー・ベンダー氏に、「あなたはどこまで他人の真実を受け入れられますか?」と聞かれているようだった。
“食事はあいかわらず食事だし、食べ物はあいかわらず決まったはじまりと終わりのあいだにある、そして私は自分に食べられるもの食べられないものを自分で決められる、と。そして父の場合は完全に避けて -
Posted by ブクログ
面白かったです。エイミー・ベンダーの本を読むのは久しぶりでした。
料理を食べると、作った人の感情が解ってしまう力を持つローズが哀しくも、でも料理に携わって生きていこうとする光を感じました。
彼女の家族もつらくて…ローズの兄のジョゼフは世界を手離して、椅子になってしまうのでしょうか。そこがよくわからなかったのですが、この作者さんらしい不思議さでした。
空気を読む、とかのレベルでなく、人の感情が解ってしまうというのは大変な能力です…人の秘密や、知りたく無いことまで知ってしまう、というのは悲劇です。
それでも絶望せず、最後は進む道を獲得するローズが眩しかったです。ローズの能力を知っている、ジョゼフの