庵田定夏のレビュー一覧
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シリーズ2冊目になり5人のキャラが掴めてきて読みやすくなった。今回は顔と名前も一致したままだし。
それにしても、最後の伊織と稲葉んの感情むき出しの応酬、伊織の言葉が激しく胸を打つ。実際この状況でこんなに爽やかに終われるか?とも思うけど、察しがいいことなんて重要じゃない。本気の言葉って必要なんだなと。
前作とは逆に稲葉んの脆さと伊織の鋭さが際立った。5人のナイーブさの描写が秀逸で、徐々にネガティブ思考の深みにおちていく様とか非常に細かい。しかもそれを5人分掻き分けている。
唯を復活させるための青木も大活躍したし、ライトノベルとしては予想を裏切る良作だと思う。 -
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今回問題となるのは、<欲望解放>という、無意識下に抱いている自己の欲望を表面に押し出す現象だ。
これは非常に怖い。本文でも述べられているが、いつ何時、何をしでかすのか分からないのだから。「あなたは何を望んでいますか?」という問いが与えられたとして、的確に答えることができるだろうか?多くの場合は曖昧になってしまうように思われる。「何を望みますか?」ならその場で考えて答えを出すことができるが、突発的に望んでいることを問われても、自分の中で明確なものを導き出すことは容易でない。そこでは理性や感性といった様々な要素がひしめき合っていて、どれが本当に望んでいることなのか、確信を持てないのである。まあ、だからこそ人間というのは難しくも面白い存在であるのだろうけど。
さて、主人公達文研部員五人が<ふうせんかずら>なる者の支配下に置かれ、逆らうことのできない一方的な干渉に苦しめられながらも、その中で自己、あるいは現実と向き合い、自分の在り方を模索していくというコンセプトは前作から引き継がれている。今作では特に太一と稲葉んにスポットが当てられていて、自己犠牲的な配慮の是非や外界との関わりといったことについて、あれやこれやと悩み、悩み、悩み、悩みぬいた末に、完全とは言えなくとも、自分で納得できる答えを見出していく。
物語の展開は、前作に比べ穏やかになっていると思う。だからと言って退屈という訳ではなく、<欲望解放>によって否が応でも自己の曖昧な部分に相対しなければならなくなるだけに、心情描写にウェイトを置いて登場人物の内面を丁寧に映し出している。そうすると、内容はシリアスになりがちで、実際シリアスなのだけれども、生と死が交錯するほど追い詰められるという文学によくあるパターンには陥らず、ある種のポジディブシンキングを残して現状の打破(あるいは克服)に努める。そうした前向きな姿勢を見失わない辺り、ライトノベルがライトノベルたることができる理由の一つのような気がしないでもない。(汗)
クライマックスでは、水色で濡れた世界に散った陽光が淡く輝いている、というような、可憐で清爽な印象を受けた。
つまり、読み終わった後はスッキリ!ということ。(個人差があります)
ところで、「自己犠牲」という言葉を聞くと、どうしてもあのサーヴァントの言葉を思い出してしまうのが人の常。
「理想を抱いて溺死しろ!」
・・・・・・以上、型月煽の戯言でした~。(爆) -
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ココロコ、現時点での最新刊。
ラスト前を感じさせる展開でしたね。
今回は、久々に伊織たんが光っていました。
てか、彼女に一番感情移入できた。
ひとまず太一君&唯たんの、とりわけ太一君には
全く感情移入できず、「○○のためにしてあげたい」て
単語だけで虫唾が走るほどでした。
皆のためなんて、してあげるなんて、思い上がってる時点で
「それ自分のためだから!」て。
行動しようとすることが間違いというよりは、それを誰かのためと
思い上がること、その責任を背負ってないことが
間違いなんですね。
稲葉ん達の考えが正しいというよりは、彼等は「自分の意思」で
「自分のため」と覚悟していた点において勝っていただけだと思います。
稲葉んが今回間違えたとすれば、彼女の言動で逆に煽ってしまった
ことかなですね。
このあたりが彼女の不器用さで可愛いとは思いますが。
今回も、イライラしながらも「これって同属嫌悪?」をしてしまう
この鋭さは毎回唸ります。
好きに大きさも形も、ある程度はあるかもしれないけど、あまり
意識したくはないなぁですね。
あとは「依存」しない節度を持つことも大事だと思いますが、
稲葉んのようにセーブできず葛藤する姿も否定できない。
この難しい「ココロ」にどう決着がつくのか楽しみです。 -
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ネタバレココロコ本編5巻目、通巻6巻目。
前回の「クリップタイム」で加わった二人が主役です。
今回は、本の250ページあたりまでが苦痛でした。
ビフォアーの千尋君のイラつくこと。
イライライライラしまくった答えを、紫乃たんが突きつけ、
それが彼の胸にすとんと落ちるシーンにはスカっとしました。
人に向こうもこっちもないに決まってんだろゴルァァァァァ!
と思いながらも、彼の愚かな考えを責めることが出来ない、
おそらく読んだ人の誰もが彼のような想いを少なからず抱いている
というこの鋭さ。参りました。
そして、紫乃ちゃんも千尋君も乗り越えていきますが、
それくらいの力のある「人の言葉」。
安く使ってはいけないなぁと思わせますねぇ。
それにしても5人は先輩らしくなりましたね。
そして1年生コンビ、中々凄いぞ。
パワーアップして「7角形」で迎える次巻も楽しみです。 -
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これがココロコネクト・・・だと!?
前回、なんか微妙とか思っててすみませんでした(土下座
今回はラスト目前らしくいよいよ太一のターン。
毎回文研部のメンバーが追い込まれて追い込まれてから解決する展開だったけど、地の文である主人公がガンガン追い込まれるのは読んでて辛いものがある。
力を与えられた自己犠牲野郎・太一が正義のためと思って行動するがそれによって多分シリーズ上最も険悪な対立を生むことに。特に稲葉との距離が遠い、遠すぎる・・・
周りの生徒たちを片っ端から救っている一方一番近い存在だったはずの稲葉が見ててわかるほど追い込まれているのに救わない(救えない)というのが痛い。
なんか心をかなりエグられた、酷い(褒め言葉
今回の藤島様はなんと稲葉と組んで最強(かつ最凶)の壁として太一に立ちはだかる。
他にも太一の家に入ってあんなことや・・・ゲフンゲフン -
Posted by ブクログ
今回は主人公的存在の太一に焦点が当てられます。
修学旅行を前に、二年である太一達に進路問題がのしかかります。
文研部の他の二年部員は差はあるものの先を見ている中で
漠然とした進路すら思い浮かべられない太一は焦りを覚えます。
そこに今迄数々の不思議な現象をもたらし、
彼等を悩み苦しませたふうせんかずらが現れ告げます。
「これで最後です」と。。
今回ふうせんかずらによって仕掛けられた現象は
文研部以外の人達の願望が見えるというものでした。
此まで自分達に直接発生していた現象とは正反対の状況に
部員達は戸惑いを覚えます。その中で部の頭脳たる稲葉は
皆に現象が起こり、願望が見えたとしても何もしない事を強要します。
しかし、露骨に助けないまでも、支え、後押しして
皆が幸せになれるなら・・・そう考えた太一と唯は
密かに現象を活かし行動へと移します。
太一らの行動は敢えて動かぬ事と決めていた稲葉、青木にも知られ
思わぬ組合わせで部は二分されてしまいます。
互いに反発しながらも、太一ら行動を続けた事は次第に歪みが波及し。。。
シリーズ中最も充実した内容であるかもしれません。
兎に角考えさせられました。
未だ自分の自分たるものが掴めていない太一が
先に行く仲間に対し抱く焦燥感、劣等感と言うものが
人を助けるという行為によって存在を自らに見出そうとの思考。
それが今回の現象と不幸にも噛み合ってしまい、
行動を取れば取るほど足下が闇に呑まれていく様子は痛々しい限り。
そういう太一に晴れて恋人となり太一を信頼し
期待を掛けていた筈の稲葉ですら太一の姿が遠のいてしまう。
自己犠牲野郎と普段から呼ぶ稲葉の声が逆に太一を追い込み、
人の助けになろうと行動する太一を一層駆り立てるのですが、
逆に隣に寄り添うはずの稲葉を見なくなり、
稲葉の不安や怖れを救ってやれなくなっている矛盾が
実に心を締め付けるようでした。
現象の対象を逆転させただけでより深い心的葛藤へと持っていった
作者の構成力に感心するばかりです。
これまでも現象が起こっては乗り越えてきたパターンでした。
それに対してマンネリと決め付ける意見も見られますが、
よく読めば各巻毎に対象が異なっておりますし、
心理描写、そして人間関係の変化はきちんと移ろってきていたのは明らか。
その最後の仕掛けに此まで周りを助ける事で動いてきた太一が
そうした性癖、そして実際にはまだ自己確立が
為されていなかった事が露呈させられ、
結束を崩される柱として描かれているのが非常に印象深い。
この作品に登場する少年達は抜きんでて優れたキャラはいません。
頭脳派の稲葉ですら不安を隠し、震えながらも懸命に抗っている姿が
きちんと描かれています。
それぞれの個性を要所で活かしながら、絆を深め、
必死で抗い続けて成長しているのですね。
ふうせんかずらによる現象にしか目が行かないと
現象の繰り返しにしか見えなくなってしまうかもしれませんが
現象は切欠にしか過ぎず、実際には己との戦いの連続なのだと感じます。
今回の物語を読んでいて私はふと『とある魔術~』の上条当麻の事が頭に浮かびました。
一般受けの良い主人公キャラですが、私はどうも共感を覚えられずにいました。
その理由の核心が今回の話に見えたように感じます。
記憶を失うとの切欠はあったにしても、何にでも首を突っ込み、人助けをする上条ですが、
余りに他人優先させる姿が嘘くさく感じていたのです。
度を超え、己が何とか出来ると思い上がった思考と行動とは反対に
自分を余りに大事にしていない所は、今回の太一と被る部分があるのではないかと感じました。
今回の人助けに追い立てられている太一に対し、後輩の千尋が告げた言葉が私の中にも浮かんだのです。
「気持ち悪い」
今迄他人の為に自らを省みない事で仲間を支えていた太一の格好良い姿を崩し、
全てをさらけ出させようとした時、そんな格好悪い姿が私には寧ろ格好良く見えました。
独り善がりに異能を振るい周りを振り回すよりも、私は血の通った、泥臭く頑張る姿の方を好む様です。
短編集をひとつ挟み、次の長編が物語の結末となります。
本巻の最後にふうせんかずらと彼の同僚と思しき者との間に交わされた不穏な会話が
最後の嵐を予見させるだけに楽しみでなりません。だらだらと続けずきっちりと終わらせられるのは素晴らしい。 -
Posted by ブクログ
今回は感情が伝わってしまう騒動です。
その中で過去の家庭の事情から、人付き合いで装う事に固執するようになってしまった伊織が、感情を露呈させられる事により、暴走してしまいます。
太一との恋愛もその中で潰え、伊織とその他4人との心理的葛藤が重々しく続きます。
伊織が極端に暗黒に陥った事で、却って4人はそれへの対応に悩まされ、個人的な葛藤は消化でき易くなっており、仲間との絆を強くさせていく足がかりとなっています。
恋愛、友情とを交錯させながら、重々しかった問題は、最後には青臭くも熱く、清々しい結末へと向かい、羨望感すら感じました。
今回が一つの区切りとなった印象ですが、今後新たな関係が出来た中で、この温かな仲間達がどう乗り切っていくのか楽しみです。
ラノベにしてはよく練り込まれた物語は、とても読み応えがあります。 -
Posted by ブクログ
1巻は絶賛するほどでもなかったですが、個人的には好感触だったので2巻も購入。相変わらず伊織がヒロインしてます……と思ったら!
(原作読んだことないけど)漫画版では伊織推しなのかと思ってましたけど、稲葉んが盛り返して来ました。というか稲葉ん素晴らしいです。思考回路が僕と同じです。僕が稲葉んだ!
1巻のときは話自体はそんなに……みたいな感じで書きましたけど、というかそういう風な体で書きましたけど、2巻は話も深まってきて面白かったです。単純に稲葉んの気持ちに共感すること大だったというだけでなく、その話のラストの稲葉んの発言に興奮しました。性的な意味で。
話が進むにつれてキャラへの愛着も増してきましたが、一方伊織が1巻に比べ伸び悩んでいるかもと思っていたらあのラストですよ、ねえ。なんとなく予想はしていましたけれど。
僕と稲葉んはココロでコネクトしてるんだ、という気持ち悪い一文で今回のレビュー終了です。3巻はよ来い!