サン・テグジュペリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
有名な「星の王子さま」の新訳。
この作品ははじめて読んだ。
けれども、あまりピンとくるところがなかった。
少年少女はこの作品を読んでどう感じるのだろうか。
そういう部分がとっくに鈍麻してしまっている自分にはわからない。
私にとっては、サン=テグジュベリといえば、やはり「夜間飛行」や「人間の土地」のサン=テグジュベリだ。
たとえばこういう文章。
「リヴィエールには、自分が、長いあいだ、重い物体を差上げ続けてきたような気がする。いわば、休む間もなければ、果てる希望とてもないこれは努力なのだ。「僕は老いてきた……」行動自体のうちにかれが自分の糧を見いださないということは老いた証拠のように思われた。いまだかって、ただの一度も思ったこともないような、こんな問題に心を労している自分にふと気づいて、彼は驚いた。それにもかかわらず、彼がこれまで絶えず押し退けてきた、やさしいものの集まりが、目に見えない大洋のように、憂欝な響きを立てて、彼に向かって押寄せて来るのであった。「それらのものが、かくまでに身近に迫っているのか?……」彼は、今思い知った、自分が、すべて人間の生活を優しくしてくれるものを、老後の方へ、「やがて自分に余暇のできるとき」へと、少しずつ押しやってきていたのだと。なにか、実際に、やがていつの日か、自分に余暇ができ、一生の終りに近く、自分が想像しているような幸福な平和が得られでもするかのように。ところが、平和はいつになってもこないはずだった。勝利もないかもしれないのだ。なぜかというに、あらゆる郵便物が、ことごとく到着し尽くすということは絶対にないはずだから。」
(「夜間飛行」堀口大學=訳 新潮文庫p22) -
Posted by ブクログ
ネタバレパタゴニアとブエノスアイレスを結ぶ航空郵便事業を営む会社の、厳格で非情に振舞う社長、命を掛けて飛行に臨むパイロット、情を捨てきれない職員などを描いた物語。
いわば、飛行機が生まれてから僅か20〜30年で一気に発達した時代を自らの犠牲をいとわず支えた男達のプロジェクト']。
パタゴニアという所は、南半球の最果てで、今でもなお突風、濃霧、磁気嵐などが多発して航空機が危険にさらされる危険な土地。
そんなパタゴニアとの通信を途絶えさせないため、自らの危険を顧みず飛行に挑む男達の生き様が胸を打つ。
カネの為だけじゃない、自分の幸福の為だけじゃない、この仕事は絶対に誰かがやらなければならないんだ・・・と危険に挑む姿と、「そんなにしてまでやる必要があるのか、無理なんてしなくていいじゃないか」と問う声は、きっと、仕事という物を考える上で誰もが心の中で繰り返す感情なのでは。
原作者のサン・テグジュペリ自身もフランス海軍の飛行隊に属し、第二次大戦時には後方勤務を断って前線を希望し、偵察飛行中に通信を絶った(ナチスドイツに撃墜されたと言われる)。 -
Posted by ブクログ
もちろん、映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』を観たために再読しようと思って買い求めた本です。
王子の語るエピソードの1つひとつが何かの象徴のように感じられるし、また読者にとっては気付きを得るような内容になっています。
ただ、これがあまりにも、明示的で不条理だという印象を受けました。つまり、メッセージは直接的で分かりやすいのだけれど、ストーリーとして釈然としない。
そういう読み方は、あるいは王子に言わせると、忌むべきなにかに分類されてしまうのかもしれませんが。
決して、好きでない、ということはありません。挿絵も含めて、とても優しくて素敵な小説世界だと思います。けれども、この本で強調される(ようにみえる)教訓めいたものを切り出して、それを額縁に入れて壁に飾るような読み方は、私にとって心地よいものではない、ということです。 -
Posted by ブクログ
どんなおとなだって、最初はこどもだった(それを覚えているおとなは、ほとんどいないけれど)
なにしろおとなには、いつだって説明が必要なんだから。
「まっすぐに歩いても、そんなに遠くまでは行けないんだよ……」
でも残念ながら、ぼくには箱のなかのヒツジを見てとる力はない。きっと、少しばかりおとなたちに似てきたのかもしれない。ぼくも年をとったんだ。
こどもたち!みんな、バオバブには気をつけるんだよ!
「あのころ、ぼく、なんにもわかっていなかったんだなあ!お花が何をしてくれたかで判断するべきで、何をいったかなんてどうでもよかったのに。お花はぼくをいい香りでつつんでくれたし、明るくしてくれた。ぼく、逃げ出したりしちゃいけなかったんだよ!いろいろずるいことはいってくるけど、でも、根はやさしいんだとわかってあげなくちゃならなかった。お花のいうことって、ほんとうにちぐはぐなんだもの!でもぼくはまだちいさすぎて、どうやってお花を愛したらいいかわからなかったんだ」
「そうだとも。ぼくにとってきみはまだ、たくさんいるほかの男の子たちとおなじ、ただの男の子でしかない。ぼくにとっては、きみがいなくたってかまわないし、きみだって、ぼくなんかいなくてもいいだろ。きみにとってぼくは、ほかのたくさんいるキツネとおなじ、ただのキツネでしかない。でも、もしきみがぼくをなつかせてくれるなら、ぼくらはお互いが必要になる。きみはぼくにとって、この世でたった一人のひとになるし、きみにとってぼくは、この世でたった一匹のキツネになるんだよ……」
心で見なくちゃ、ものはよく見えない。大切なものは、目には見えないんだよ。