中村淳彦のレビュー一覧
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休みの日に買い物に出かけると、スーパーも商店街もお年寄りが沢山いる。カフェに入っても本屋で本を探している時も同じだ。私は車をよく運転するから、高齢者マークの車も増えたと感じるし、それと同時に近くを走る際はいつも以上に気をつける様にしている。以前信号待ちをしている際に、前を走っていた車が赤信号で停止したが、停止線をだいぶ過ぎて止まってしまったので、後ろに待つ私に向かってバックして来た。バックギアに入れたまま信号待ちをしているので、恐らく青信号と同時に後ろに来るだろうと構えていたら案の定、バックされた時はヒヤッとした。その車も大きなサイズの外車であったが高齢者マークをつけていた。私もそれ程若くはないが、いずれ歳をとり高齢者に分類される。その際に今と同じ様な瞬発力や判断力、認知機能が維持されているか自信は持てない。私自身が大学では法学部に居ながら、高齢社会の税制改革について卒論を書いた経験がある。数十年前に日本の高齢社会の破綻(財源も人手も極端に不足する社会)を研究していた事から、今その様な社会に向き合いながら大きな改善も無く予測した暗い未来に突入した事を肌で感じる日々だ。
本書はその様な超高齢社会に於ける介護現場の実情を描いた作品だ。高齢者の中でも介護保険制度上は、要支援の2段階と、要介護の5段階、合計7つのレベルに分けて、介護保険の支給額や本人たちが受けられるサービス内容が異なる。勿論レベルによって介護や介助に必要な時間が変わるから、介護施設への報酬額も変わる。本書は2015年の介護報酬改定後に多くの介護事業者が破綻し、その後訪れた介護現場の惨状を中心に描いている。介護に従事する人々の負担とかけ離れた低収入の問題、それがもたらす介護従事者の売春や不正請求など問題が多岐にわたる事を説明する。確かに介護に従事する人々は入浴サポートやトイレの世話、昼夜を問わず精神や肉体を削りながら務める仕事でありながら、給料が低いという話はよく耳にする。そして、圧倒的な人手不足は世の中全体の労働力不足よりも、介護業界には遥かに厳しくのしかかっている。介護する側の高齢化も進む。更にはそうした厳しい業界にありがちな労働関連法規やコンプライアンス順守などがまるで無視される様な現実が、多くの介護現場に多かれ少なかれある事は容易に想像できる。
本書はそうした現実を「売春」「暴力団との関わり」「殺人」後半はそうした社会を「生き地獄」さながらの表現で畳みかけ、かなり極端な表現で恐怖心を煽ってくる。だが筆者は実際に介護事業者として事業をしていた経験もあり、程度こそあれ、多くは似た様な現実があったのではないかと思う(極端であり真実か否かは知りようもないが)。中々そうした状態に近い現実があると仮定し、本書を読み進めていくと、これだけでかなり内容の濃い映画作品一本は作れるだろう。それだけ厳しい世界が介護の実態なのだとも考えられる。
私もいつ要介護になるか分からない。更に高齢化が進展し、今後益々、高齢者にとっては住み辛い社会になるかもしれない。出来れば元気に生き生きと老後を過ごしたいと誰もが思うが、誰しも自分自身の健康に絶対的な自信は持っていない。せっせと貯金して老後にホームに入っても周りに迷惑かけないだけのお金を溜め込む。一所懸命働いて貯めたお金が自分の不幸や恐怖の為に支払われたくはない。健康や若さの有り難みをしっかり感じながら、未だ未だ若い層にある内に、こうした社会問題に真面目に向き合いたい。お先真っ暗になる前に。 -
Posted by ブクログ
一時期は某ゲームの影響もあり、ヤクザやスカウトが我が物顔で闊歩するエリアというイメージの強かった歌舞伎町だが、数年前からトー横キッズと呼ばれるZ世代の若者たちのニュースが報じられるようになった。その印象の変化に興味を持ったが、どうもこの繁華街の変化について論じている資料というものが見つからない。そんな中ようやく見つけたのがこの一冊である。
石原慎太郎の歌舞伎町浄化作戦、2010年の暴力団排除条例、監視カメラの各所への設置によって、あらゆる非合法行為を封じられたヤクザたちは、限られた場所で肉体労働をしてシノギを得て、限られた場所のみで飲み食いするようになった。こうして空いた歓楽街を埋めるようになっていったのが若い女性たちである。なぜこのような事態が起きたのか。
本書では詳しく解説されているわけではないが、ホストクラブの隆盛と元々どんな素性の人でも受け入れてきた、人間の坩堝であった歌舞伎町の特性がうまく噛み合った結果によるものなのだろう。就業できない家出少女が集まってきて、すでにシステムの出来上がっている非合法の売春が彼女たちに職を与える。そして彼女たちが得たお金が歌舞伎町カースト最上位のイケメン達に流れていく、という流れができあがっている、ということが序盤で述べられていたが、どうも事態はそれだけでは済まないらしい。
特に家庭に問題のなかった女性達まで、ホストに狂うようになって水商売に落ちていっているのである。『貧困女子と歌舞伎町』というタイトルで、そもそも貧乏だった女性について取り上げているのかと思いきや、自ら進んで貧困に落ちていく女性が多い。大学に通っていたが、ホストにハマってレポートを書きながら風俗店で働く女性、風俗店だけでなく違法な個人AV撮影にまで手を出す女性、サイコパスな彼氏から暴力を受け監禁され、完全に見ぐるみ剥がされて後悔していたのに、また同じような男性と付き合ってしまう女性、など正直同情に値しないような人もちらほら。それは逆にホスト狂いの女性からけつの毛までむしられてしまう男性達も同じだ。歌舞伎町にはこういった人達を呼び寄せる何かがあるのか、それとも人は皆支配し支配されることを望んでいて、歌舞伎町の何かしらのシステムがその本能を引き出すのか、または別の理由が...。こういった本にそこまでの解説を求めるのはヤボなのかも知らない。
まずホストクラブがあり、そこに通う女性が働くためのお店や女性達がアフターで使うバーやラブホテルができていくという歌舞伎町独自の経済と雇用創出のシステムや、ヤクザ達の現状、募集が出る前に埋まってしまうほど人気のある歌舞伎町不動産の「転貸」という奇妙なシステムなど、興味をそそる情報がたくさんあり値段の割には楽しめた。ただし低俗な雑誌レベルの書籍であることは否めない。別の資料も検討しなければならないと思った。 -
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話の聞き方、というところでは面白かった。
ただ、後半はライターさん向けの、90分で相手の本音を引き出す方法になっていくので日常会話向けではないかも。
以下メモ
悪魔の傾聴は、相手に「~をしない」不作法の技術が中心。
自分の話をしない
相手の話を否定しない
自分の意見を言わない
アドバイスしない
人との何気ない会話の時、相手の欲望と感情を意識していきます。人の行動には理由があり、理由の中には、必ず何かしらの欲望や感情が存在します。
欲望の断捨離
相手から本音を引き出すために、あなたの欲望を意識的に捨てていきます。
「どんな相手の気持ちも理解できる」という意識は傲慢です。聞き手には「世界は自分が分からないことだらけ」という自覚が必要です。何も知らないのに「理解しよう」という前向きな気持ちを持ってしまうと
すぐに受容の限界を超え、意見やアドバイスをしてしまって早々と物語は終わってしまいます。
話し手の語りは理解するのではなく、受容する。そして、共感して情報共有する。それだけのことです。 -
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女性の貧困問題とAVや性風俗のつながりに触れるとき、必ずといって良いほど著者の中村敦彦氏にたどり着く。これで、3冊目となる。2017年の「AV女優消滅-セックス労働から逃げ出す女たち」、2020年の「証言 貧困女子 助けて!と言えない39人の悲しき理由」に次ぐ、3冊目の出会いとなった。
コロナ禍を経て、2022年6月に全会一致で成立した「AV新法」は、出演強要問題などの改善はできたが、業界に大きな混乱をもたらした。「AV新法」の甘さを指摘するラディカル・フェミニスト団体と個人が「AV新法」に反対の声をあげた。また、コロナ禍で生活にあえぎ、AVや性産業がことごとくキャンセルとなり、生活できなくなった女性達もまた「AV新法」に反対し、三つ巴の激論が続いている。そんな中で、同人誌ならぬ「同人AV」で活路を見いだし、生活を安定させる女性達が増えつつあると指摘する。自身の生活や家族のために、「同人AV」で稼ぐ一方で、彼女たちの生い立ち、生育歴は壮絶だ。SGDsやダイバーシティーが叫ばれる中で、AV業界をめぐる議論や、合理的に稼ぐことを求めて裸になる女性たちは、落ち行く日本の縮図であると指摘する。今の日本でどんなことが起こっているのか、扉を開けてみよう。 -
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傾聴力を上げたくて、この本を選びました。
あとがきにもあるけど、どちらかというと、インタビューをするようなライター業の人が読むのがいいかも。
一般人同士の人間関係でも通用するような傾聴の仕方も書いてあったけど、インタビューの仕方みたいな方向のテクニックもいくつかあり…
あとは精神障害など重た目の話の聞き方も載っていました。否定せずに聞こうねってことが大部分でしたが
webライターの方など、周りに頼れる人がいない方のインタビュー業に役立つ本ではあるかなと思います。
それ以外の人にもためになる話はあるけど、一般人向けの本ではないなと思いました。 -
Posted by ブクログ
「貧困」貧しくて困る
読んでからしばらく経ってしまったので、純粋なレビューではないけど。
貧困は、思ってるよりずっと身近で。
自分ではどうしようもない理由、多くは「親ガチャ」のような生れ落ちた環境の優劣で、「貧困女子」ルートが確定みたいな層。
その層は、意外と厚い。かくいうにこも、そんな層だった。
けど、数十年前だったから、なんとか抜け出せた。
この本でいう「派遣労働者」なるものが、なかったから。
中高年男性の雇用を守るために、女子と若者が切り捨てられた。
その結果の「失われた30年」。日本の競争力は地に落ちたわけ。
てなかんじの、ネガティブサイドの本。偏ってる気もする。 -
Posted by ブクログ
3.5かなぁ。
とにかく、人との会話が盛り上がらない。
沈黙が多い。最近、職場を変える際に結構、送別の贈り物をもらったが、「ありがとうございます!」「これからも頑張ってきます」ぐらいしか言えないでやんの。
さすがにそれは良くないと思い、本書を手に取った次第。まず、比較しない。否定しない。自分の話をしないの原則について書かれてるが、だいぶ自分はやってるなぁー。
本書である例で為になったのは、クローズクエッションをあまりしないこと。
例であったのが、
「今度、退職するんです」
「そうなんですか!?なんでやめるんですか?」と
はい、いいえで答えられない感じで質問を繰り返すって感じかな?
自分の周りにも、この人と話すとめちゃくちゃ自分の話をしちゃうなぁって人が、3人いる。
この3人の共通点は、質問上手なんだよなぁ。
もう少し、頑張ろう