あらすじ
この本に登場する女性は、あなたの娘や妻かもしれない!
東洋経済オンライン2億PV突破の人気連載、待望の書籍化!
風俗で学費を稼ぐ女子大生、明日が見えないシングル派遣社員、子供たちの未来を奪うシングルマザー……、
貧困に喘ぐ彼女たちの心の叫びを「個人の物語」として丹念に聞き集めたノンフィクション。
いま日本で拡大しているアンダークラスの現状が克明に伝わってくる。
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Posted by ブクログ
著者は長年風俗業界と貧困の問題を取材し続けてきたライターである。本書は耐え難い貧困に陥ってしまった女性たちのルポルタージュを通して、都市に蔓延する貧困の実態を告発したノンフィクションである。
多くの人にとって、この本に書かれているような目を覆いたくなる貧困は、直接目にしたり耳にしたりしたことのないものだろう。しかし、これは決して他人事ではない。強く印象に残ったのは、世帯年収2000万もありながら、家族の介護をきっかけにどん底に陥ってしまった女性である。彼女は母親ががんになり、介護のために一時退職した。働き盛りは過ぎていたが、一流大学卒で留学経験があり、英検1級の資格も持っていたので、仕事を辞めてもまた勤めることができると信じていたのである。だが、その判断は間違っていた。看護は予想以上に長引き、付き合いきれなくなった夫から離婚を切り出される。何百万もあった貯金は数年で底をつき、手当たりしだいに求人に応募したが、年齢を理由に不採用を言い渡される。仕事はまったく選んでいない。正社員はむろん、パートタイムのアルバイトすら断られる。住まいは知り合いの学習塾の屋根裏で、隙間風が吹き込み、まっすぐ立つのもやっとである。電気もたびたび止められて、生命の危機を感じる。
何がいけなかったのか。著者は書く。母親の介護を放棄するのが「正解」だった。もし介護をきっぱり断っていれば、福祉が動いてくれる。逆にいうと、日本の場合、支えてくれる身内がいる場合、しばしば福祉に頼ることができない。結果として、家族を思って手を尽くすことは「間違って」おり、見捨てることが「正しい」選択になってしまう。ここが矛盾したところだ。
貧困のセーフティーネットになるのは生活保護である。これを巡ってはさまざまな議論がある。恵まれすぎだとか、切り捨ててもよいといった声もある。しかし、そうした意見はどれも的が外れている。日本の雇用の大きな問題は、上に述べた女性の例でもわかるように、一度レールから外れてしまうと、二度と戻ることができないという点にある。そして生活保護は、それにさらに追い打ちをかける。
大都市圏では、車を持っていると生活保護を受けられない。「車を売ってから来い」と言われる。車を手放しても、生活保護を受けることで、もう一度車が買える生活に戻れるというなら話はわかる。だがそうではない。私はフリーのデザイナーで、パソコンがなければ仕事はできない。それも一般的なものよりもスペックの高い高価なパソコンである。もしそのパソコンを売らなければ生活保護を受けられないとしたら、生活はできても仕事には復帰できない。生活保護の問題点は、最低限の支援をするだけで、貧困から脱却させる取り組みをしていないことである。
この脱出できない仕組みは、さらにもう一つの問題を生む。生活保護の世帯は、子供を塾に通わせることができない。通わせるお金があれば、保護を打ち切られてしまう。貧しい家庭の子供は頭がよいというのはテレビドラマの中の話で、実際の貧困家庭の子供は塾に行けないので、学校の勉強についていけないと落ちこぼれから抜け出せない。結果として進学を諦めたりしてまともな仕事に就けず、貧困は親から子供に「遺伝」してしまうのである。
著者は取材を続けながら、「自分の将来を見ているようで恐ろしい」と書く。あれだけの収入があったエリートの彼女でさえ、たった一度の「判断ミス」によって、最底辺に転落してしまったのだ。そして現在、中流家庭でさえ悲鳴を上げている物価上昇と増税。彼女がいまどうなっているかと考えると、背筋が凍る。子供や孫の世代はおろか、数十年先の未来すら危うい世の中。それがいまの日本の姿である。
Posted by ブクログ
東京に住む貧困女性達の現実
地方に住んでますが、私もシングル子供1人の貧困経験があります。
離婚して30万円だけ持って何とか引っ越し、部屋を借り、子供は週6保育園、朝から晩までしっかり働き、深夜まで内職をする日々。
辛かったけど、何も諦めたくなかったので必死でした。
地方だし、たまたま正規雇用に就けたから良かったものの、東京で非正規雇用だったら私もこの本に掲載されていたかもしれない。
全ての女性に読んでほしい。
明日は我が身とはこの事。
Posted by ブクログ
貧困の原因、貧困故に起きる事象をインタビューを通して伝える
奨学金、シングルマザーなどが要因になり貧困を招く。
親が貧困だと、子供の学力も下がり同じ貧困の道を辿る可能性が高くなる
日本の法、福祉も充実していない現状
介護という高齢者を優遇し若者、労働者を軽視する。劣悪な環境で精神、体を壊しより負の連鎖となる。
貧困に片足を突っ込んだらどうしたら良いのだろうか
Posted by ブクログ
日本はやばいよねとざっくりみんなが思っているところの最もギリギリのところに立たされてる人たちの話だと思う。
本人の資質が招いた現状も多いとは思うが、一度つまづいた人を救えないのも恐ろしい事実。
とりあえず70歳から尊厳死を選べる制度は本当に確立して欲しい。安らかに死ぬことを選べるのは悲劇ではなく贅沢だと思う。
Posted by ブクログ
読んでいて苦しくなりました。有名大学、東大、大学院、海外留学、出てくる女性は皆努力しています。けれども、社会が、政府が彼女達の存在を許してはくれない。いったい私達が生きている今、どうなっているのかを問わずにはいられません。
Posted by ブクログ
もともと貧困だったわけじゃなく、専業主婦から離婚して、シングルマザーになったことでどうしようもない貧困に陥ってしまうケースがある、こと。そこから抜け出せないこと。とても怖いと思った。
Posted by ブクログ
ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーー
しんど。しんどい。これは、これは本当に他人事ではない。私は、私たちはどうやって幸せになればいいのかという話で、それは自分の努力だけではどうにもできず、黒い渦のようなものに巻き込まれていくどうしようもないときがあり、ゴミだらけのヘドロに埋もれていくようなときもある。
国が、役所が、と思うと同時に、役所で働く友人のことも頭に浮かんだ。彼女は何も悪くない。誰かに責め立てられる彼女なんて見たくない。役所で働く友人はストレスを抱えている。
女は、女たちはどうやって、どのように。答えはない。
貧困もバカも連鎖していく、みたいなことが書かれていた。
うちの親は「テスト勉強なんかしなくていいから家事やってよ」という人だった。母は母をやめたい人だった。私は学校が終わったら家に帰って、家事をして、バイトに行って、また家事をしていた。時々振り切るように友人とカラオケやミスドに行った。遊びに行ったら怒られた。バイトをしているから毎日のように紙パックのリプトンが飲めた。食堂でポテトも買えた。一見幸せな学生でしかなかったろう。
姉は「大学に行きたい」と言ったが親に「そんな金はない。本当に大学に行きたいなら試験の金も入学金も全部自分で貯めろ」と言われ、部活をしながらアルバイトをしていたけど結局高卒で働いた。私は商業高校に行って高卒でそのまま働いた。弟は私立の高校に行き、奨学金で大学に行った。「男の子は大学に行った方がいい」という両親の主張だった。父の退職金で入学金などは払えたらしい。つまりうちは父の退職金がないと入学金すら払えなかったのだ。なんでそんなにお金が無いのかというと、父がパチンコで借金を作ったからだった。なぜだか離婚にはならなかった。弟の奨学金の書類を書いている途中で母が「訳が分からない!!」と発狂し、その書類は結局私が書いた。私は弟が高校を卒業するまで家にお金を入れて家事をしなければならなかったが、弟が高校を卒業したらすぐに実家を出た。母は荒れていたという。しかし私が出ていった次の日には私のベッドは物置になっていた。私は中学のときから不眠が続いている。実家を出ても不眠は治らなかった。一人なのにイヤホンをしないと眠れない。私は、私は。しんどい。つかれた。疲れるのに読んでしまう本だった。
Posted by ブクログ
・感想
点
1.リアルさと取材の深さ
筆者が多くの当事者に直接取材し、それぞれのエピソードを丁寧に描いているため、「単なる統計」ではわからない“その人がその状況で何を思い・どう動いたか”が伝わる。これは読者の共感と理解を深める。
2.「見えにくい貧困」の可視化
普通に大学に行けて、普通に働いている人が、ちょっとしたきっかけで転落する可能性がある、という「いつ誰が落ちるかわからない社会」の怖さを、制度・雇用・家族関係などを通じて明るみに出している。
3.社会問題としてのアプローチが説得力あり
個人だけの問題ではなく、雇用制度・教育資金制度・福祉制度など構造的な要因を指摘しており、読後に「どう制度を変えるべきか」を考えさせられる。
4.文章が読みやすく、内容が重たくても引き込まれる
ドキュメンタリーとしてのストーリー性があるので、酷い状況でも「知りたい」「誰かにも知ってほしい」という気持ちを保てる。感情に訴えながらも冷静さを持って整理されている。
欠点・改善できる点
1.更新性の問題
発行は2019年で、取材はその前の時期。最近の雇用環境・奨学金制度・コロナ後の物価高騰などを踏まえると、状況がさらに変化しており、読者によっては「今これがどこまで当てはまるか」が気になる部分。
2.個人の選択と責任の境界が曖昧な描写の部分もある
「自己責任」という言葉で片づけたくないという意図は明確だが、かといって本人の意思や選択がまったく関係ないというわけではなく、そのあたりのバランスや分析がもう少しあるとよいと思う。
3.具体的な対策・解決策の提示が限定的
制度の問題点を浮き彫りにするエピソードは多いが、読者が自分自身や周囲でできる具体的アクションの示し方がもう少し多くてもよかった。政策提言的な部分はあるが、現場での支援・個人が取れる情報などの案がもっと豊かだと役立つ。
4.読み手にとって重すぎる部分がある
状況のあまりの過酷さ、救いが少ないエピソードが続くため、読むのが辛くなる・途中で心が疲れてしまうという声もレビューに見られる。内容を受け止める準備がない人には負荷が大きい。
・Todo
1.貧困に関する制度・支援の知識を深める
自分が住んでいる自治体・国の奨学金制度・生活保護・住居支援・福祉窓口など、どのような支援が使えるかを調べておく。知らないことで取りこぼされている情報が多いため。
2.「他人事ではない」と思うことから周囲と話す
友人・家族とこの本の話を共有する。東京に限らず、日本全国に共通する問題であることを認識し、理解を広げる。声を出すことが制度改善の土台になる。
3.自己防衛のための生活設計を見直す
•奨学金等の借金は返済計画をしっかり立てる。
•非正規雇用や派遣など安定性の低い雇用形態のリスクを把握する。
•貯蓄の習慣を持つ、小さなストックでも生活のクッションとなる。
4.ネットワークを持つ・支えを得る
孤立は精神・判断力を弱める。地域のコミュニティ・NPO・ボランティア団体など、似た境遇の人と繋がったり支援を呼べたりする先を探しておく。
5.政策に関心を持つ
選挙での議題・自治体の政策・制度改正案などをチェックする。個人だけでなく社会制度を改善することが長期的な解決になる。署名運動・議員への意見提出・ボランティアでの発信など、自分でできるアクションを見つける。
6.メンタルヘルスのケアを意識する
•自分が「もしこういう状況になったら」と想像したときの心の負担をあらかじめ考えておく。
•ストレスがかかったときに相談できる専門機関や相談窓口を調べておく。
•身体と心を壊さないような働き方・休息・趣味を持つなどのサポート体制を自分なりに整える。
Posted by ブクログ
読むのが辛くなるような話がたくさんあった。
地方からでて大学に行き、東京で就職した私だけど、何か違うきっかけがあれば同じことが起きていたかもしれない。これから起きるかもしれない。
と感じるくらい、貧困というものが身近に感じる本だった。
今まではどこか他人事、考えや努力が及ばなかったのでは?とか考えていた部分が
自分にもあり、そんな知識や努力ではどうしようもない現実が、日本の東京。しかもこんな身近にあるんだと感じた。
Posted by ブクログ
読んでて痛々しいというか生々しい表現が多く「読んでよかった!」というより「今の日本はこうなっているんだな」とこれまでとは違うものの見方ができる一冊。貧困は他人事じゃないなと痛感した。
Posted by ブクログ
本の中にもあったけど、こういう現実を知ることは必要なことだと思った
介護離職、違法建築に住んでいる話が印象に残った
今ある状況は当たり前じゃないと実感させてくれる
介護職の現実は知らなかった
Posted by ブクログ
2019年に発行された、この本。
出てくる女性たちは、2016年頃の、貧困に苦しむ女性たちだ。
こんな日本に、未来はないと、この本は何度も訴えかける。
そして、この本を読んだのは2024年。
コロナ禍を経て、ますます、貧困から抜け出せない日本になってると実感する。
まだ、生きているだろうか、彼女たち…
Posted by ブクログ
貧困女性のエピソードをリアルに描いている作品。あまりに可哀想で、読んでいると辛くなってくるが、現実にこのような境遇の人がいると知る良いきっかけとなった。
ドキュメンタリーが好きな人、重めのストーリーが大丈夫はぜひ読んで欲しい。
Posted by ブクログ
ほんとうにこれが、日本で起こりうることなのだ、と信じたくはないけれど、ルポ故に信じざるを得ないというか、信じないには各人の語り口がリアルだ。
様々な要因で、転がり落ちてしまう可能性はどこにもあって、たまたまそれに嵌まってしまった女性たち。一部には、それが自分の弱さというか、欠点につながっている(逆もある)のに気づかない語り手もいる。こうなりたくない、と自分を省みる部分もあった。
インタビュアーである筆者の人は、申し訳ないが文章は上手くない。けれど、人の話を多く聞き続けるその根気がこの本をつくっている。すごいな、と思う。
Posted by ブクログ
2019年に発行された本だが、ドラマ化にともない、第8刷が最近発行。
コロナ禍前ですでに貧困問題はこの本のような状態だから、コロナ禍を経てこの時よりさらに酷くなっているだろう。この時は家賃の高い東京にスポットを当てているが、今は地方でも同じだろう。
日本が先進国だとまだ思っている人はぜひ読んだ方がいい。
学歴など関係ない。いつ転がり落ちるか分からない。それを心して生きていかなければいけない。
Posted by ブクログ
ほんまに?これはほんまに日本で起きてることなん?驚愕だった。全く知らなかったわけではないが、フィクションとしか思えない、東京貧困女子の生き方が紹介されていた。
性風俗が貧困女子のセーフティネット。身体を売ることって、心を無にすればできるんだろうか。その日を生きる為だけを考えればできるんだろうか。この思考に行き着くまでたくさんの葛藤があったと思う。アカの他人の私が「可哀想」などと口が裂けても言えない。だって明日は我が身だから。
この本を読んで、「自分はそうならないようにがーんばろっ!」なんてポジティブ思考で受け止めることではなく、性別関係なく、誰しもが起こりうる現実なんだって、この現実を自分事に引き寄せる事がとても意味のある事なんじゃないかなって思った。
【一言感想】
これが今の日本なんだ。豊かな国のはずなのに。
Posted by ブクログ
貧困問題や収入格差のリアルが詰まった1冊。
女子大学生が自分の授業料のために風俗や援助交際をして身体を売る、家族関係が拗れて精神崩壊して働けない、シングルマザーとして生活保護水準以下で子育てする現状。読んでいて、これが今の日本か、自己責任もここまできたら未来はないと悲しく怒りすら覚えた。この現状を踏まえて未来が明るくなるために自分ごととして貧困問題を考え行動すると決意できた1冊。
きっとあなたも読む価値あります!
Posted by ブクログ
衝撃だった。こんな生活を送っている人がいるなんて。しかも、取り上げられている人はごく一部だから、きっと同様の人は何万人もいるのだろう。自分の知らない世界だった。
貧困男子も取り上げてほしいとも思った。そうでないと、貧困の本質的な原因が見えて来ないのではないか。女子(女性)を取り上げたほうが話題性があるのはわかるが、貧困問題に迫るならば男女とも扱うべきだろう。
こういう女性がいるということ、そしてそうならないようにどうすればいいかを考えること、そのために中高生やその親に読んでほしいと思った。
Posted by ブクログ
知らない世界を知れておもしろかった。
知らないものを外野から否定するのは簡単だが、
寄り添ったところで差し伸ばした手を掴んでくれるのは少数だろうなとも思うし、そもそも上から救うという事も烏滸がましい事だと思う。
ただ、なんとかしなければならない問題の一つだと思う。
Posted by ブクログ
普通の女子大学生たちが、貧困になっている現実、背景が実際のインタビューをもとにまとめられていた。
途中でしんどくなって読むのをやめてしまったけど、現実にこういう世界がある、それも意外と身近なところにある、ということを知った。
自分と、自分の大事な人たちを守れるように、綺麗事でなく、お金は必要だと思った。
Posted by ブクログ
かなり読むのが苦しくなる内容で、恥ずかしながら途中で読むのをやめてしまった。これが日本の本当の現実だとすれば、日本はかなり暗い未来しか見えないなと、不安になってしまう。
Posted by ブクログ
なんだかなぁとモヤモヤ。
本人の努力ではどーする事も
できない家庭環境等が入り口になり、
結果なかなか抜け出せない現状。
途中でしんどくなって流し読み。
それでも重い。
Posted by ブクログ
とにかく恐ろしい本でした。
ごく普通の生活をしていた人たちが、離婚で、家族の介護で、過重労働の結果体を壊して、簡単に貧困に転落していく。
娘が最初に仕事を辞めたとき、川崎に住みながら東京でダブルワークをして3年ぐらい頑張った。
力尽きて北海道に一度戻ってから1年半後に、東京で正社員の仕事を見つけることができたのは、思った以上にラッキーだったということか。
しかし、どうにもこの著者にはいろいろ偏見があるように感じられる。
高齢者=金持ち。
金持ちで先の短い高齢者のために、貧乏で将来があるはずの若者が食いつぶされているという構図が多すぎる。
高騰する学費のため現役時代からパパ活や風俗をやらないと生活できない貧しい女子大生は、サークル活動に時間を取られて普通のバイトではやっていけないという。
サークル活動を諦めたら?という選択はない。らしい。
それは個人の尊厳の問題だから。
楽しい学生生活を送ってきた世代にはわからねえよ、という論調。
私は、手が届かないものは諦める、という人生を送ってきたので、楽しい大学生活は端から送っていませんが。
とにかく介護職に対する偏見がすごい。
事務所は非人間的なブラック事務所ばかりで、簡単に手に入る労働者としての介護職は使い捨て。
国は、「ひとのためになる、やりがいのある仕事」と美辞麗句で若者や手に職のない女性を洗脳し、次々に介護事務所に労働力を供給するシステムを作る。
確かにそういう面もあるのだろう。
でも、それが全てか?
少なくとも私の周りにいる介護職の友だちは、そんな影を見せたことないし、うちよりも収入の多い配偶者と暮らしていても仕事を辞めようとはしていない。
”介護現場の不倫は、どこでも耳にする。(中略)閉じられた中で、恋愛関係になりやすいのだ。さらに不倫は違法で、相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性があることを知らない職員がほとんどで、とにかく乱れた関係に走りやすい。”
ここまで書くと行きすぎでしょう。
私の感覚では、東京の東側は家賃をのぞいて地方都市よりはるかに物価が安い。
東京だから貧困に転落したというよりも、その時その時の判断ミスに負うところが多い気がする。
情報弱者であったこと。
福祉が弱者に寄り添うものになっていないこと。
一度転落したら這いあがるのが難しいこと。
このような現実があるということを肝に銘じて、人とのつながりを大切に生きていかなければなあと思いました。
貧困へのセーフティーガードの第一が、人とのつながりなのよ。
孤立したら、情報は入ってこないし、手助けも見込めない。
ひとりで悩んだあげくに負のスパイラルというケースが多いように思いました。
Posted by ブクログ
随分、ひどい生活環境となった女性たちの実体験談に目を覆いたくなった。注意喚起としてもドラマ化された理由が分かった気がした。
生い立ちも然ることながら、女性は性的関係を持つ相手に妊娠する可能性をもっと慎重に考えるべきでは?とも感じた。
生活苦の行き着く所は、性産業とは誰もが気付いていると思うが、転落しない様に努力したり気を付けたりする自助努力は必須と思う。
Posted by ブクログ
家庭環境、教育、仕事。
生まれ持ったもの以外で、自分で何とかできるのは教育。
最後の砦を、国は奪わないでほしい。
返済不要な奨学金制度を望む。
家庭環境の連鎖、職業の連鎖。
良い方向に連鎖すれば何の問題もない。
それ以外の連鎖は、食い止められない?
食い止める方法、探りたい。
Posted by ブクログ
この日本の東京で実際に起こっている出来事。決して人ごとではありません。些細な事で私たちも貧困層となることもあり得ます。
私にできる事、この社会を変えることは難しそうです。制度を変えることもできません。今できること、それは目の前の仕事に打ち込んでしっかり税金も支払って世の中の人たちに上手く配分されるよう願うこと。今この境遇に感謝しながらできる事をやっていく事。改めて考えさせられました。
Posted by ブクログ
境界知能について書くべきか、進化生物学的な虐待について触れるべきか、エロティックキャピタルやジェンダー論を語るべきなのか、とにかく、この本は〝女子“の貧困についての実例を紹介したルポルタージュであり、狙われた獲物が、自らを差し出さざるを得ない、人間界の弱肉強食を表した野生の構図を見せている。
自分でも難なく生きているのが、嘘みたいに生活が紙一重だ。知らず知らず、狙われている。妙なメールは来るし、街を歩けば勧誘もある。厄介な人間関係や、気難しい人たち、騙そうとする大人も多い。道を踏み外す人がいても、全く不思議ではない。踏み外した先は、欲望のエネルギーに満ちた肉欲の亡者たちの世界。
リストカット、ドラッグ、売春、自殺未遂にDV、風俗、借金、ネグレクト。こうしたキーワードに並ぶ奨学金制度、これも借金。弱者の生きる道とは。常に誰かの欲望を満たすために生きなければならない、価値とその生産効率を問われる社会は、間違っている。欲求と欲求を交換し合うイデオロギーに介在する資本。欲求に応える資本が無ければ、肉体を捧げよ、労働あるいは性の奉仕でと。資本を転がして、労働を搾取する力が増幅する格差システム。
読めば読むほど辛くなる。