中脇初枝のレビュー一覧
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どんなに望んでも手にいれられないものが弥生にはあった
自分の本当の名前、本当の誕生日、本当のお父さんとお母さん
もしかしたらいたかもしれない兄弟
七夕の短冊やサンタさんの手紙に「お母さん」と何度も
書いて願ったのに叶わなかった。
東京の産院で捨てられ、乳児院で育てられ二歳になると
児童養護施設へ、弥生にとって準看護師の仕事は
生きていくための手段にすぎず、せめてやらなくては
いけないことさえやっていればそれ以上は責められない
いい子でさえいればクビになることもない
そうやってこの病院で11年働いてきた弥生
ひっそりと息を潜めるように生きてきた彼女に
新しい出会いが訪れます。
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【2025年120冊目】
祖母による絶対の支配下にあった家族は、彼女の死後バラバラになってしまった。一年ぶりに家に帰ってきたはなは、妹であるさちに再開する。偶然にも家を出ていた父親も帰宅し、祖父と母と偽りの家族の姿を保ったまま生活を再開する。家族が壊れてから生まれたさちは、密かに責任を感じていて――。
緩やかな再生への道を歩み始めた家族の物語。登場人物全員に「何かしらありそうだ」と思わせながらも、はっきりとそれがわかるのは易者の男くらいかもしれません。祖父も父も母もはなも、そしてさちもたっくんも、その深淵を覗けないままに物語は終了しますが、騙されていたにもかかわらずなぜか明るい展開になってい -
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ネタバレ色々な家庭・色々な人達の虐待をテーマにした物語だった。
担任をしたクラスは必ず学級崩壊してしまう新任教師と家で まともに食事を与えて貰えない男子児童。
外出先では愛想をふりまいて、いい人を演じながら子供が親の言うことを聞かなかったり、人の迷惑になったこと等を全て記憶し、帰宅したら、子供の失敗の数だけ虐待をする母親。
シングルファザーだった頃は、そんなことなかったのに、再婚した途端に虐待をする父親。
小さい頃、何かあるとすぐに手を出した母。(文字や数字を言い間違えただけで、お湯の中に頭を突っ込まれたり、自分は散々虐待を受けてきたのに妹には一切虐待されなかったり、テストで70点を取っただけ -
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備忘録として
はじめての世界名作えほん全80巻
01 ももたろう
02 三びきのこぶた
03 にんぎょひめ
04 おむすびころりん
05 あかずきん
06 おおきなかぶ
07 かちかち山
08 ありときりぎりす 〜イソップものがたり〜
09 花さかじいさん
10 ジャックとまめのつる
11 うらしまたろう
12 おおかみと七ひきのこやぎ
13 シンデレラ
14 つるのおんがえし
15 かさじぞう
16 金のがちょう
17 十二支のはじまり
18 ちからたろう
19 しあわせなおうじ
20 ラプンツェル
21 きんたろう
22 ヘンゼルとグレーテル
23 ねむりひめ
24 -
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ネタバレかつて自分を加害してきた存在が、老いて無垢な存在になってしまった時。ぶつける先を失った感情はどこへやればいいのか。
あれが嫌だった怖かった許せない。けれど加害者側はそれを忘れていて、自分が大人で親であることすら忘れていて、かつての怒りをぶつけた所で今度はこちらが加害者になるだけ。
たった一つの優しい記憶を繰り返し再生して、これからも生きていく。それは希望のようにも見えるけれど私には逃避と自己暗示にしか思えなかった。
けれどそうでもしないと生きていけないのは、加害者が親だから。唯一無二の存在だから。あれがしてほしかったこれがしてほしかった愛してほしかった。それが叶わなかったから、最後の最後に思 -
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ネタバレ描写があまりに辛くて読めない。けれど、読まないといけない。どれだけむごいことか、知らない世界を知って、もう二度と起こしてはいけないと心に刻まないといけない。
日本に戻って、空襲で家族を亡くして孤児となった茉莉。
人買いに攫われ、日本人であることを忘れ、中国人として生きていくこととなった珠子=美珠。
故郷は分断され、在日朝鮮人として過ごすほかなくなった美子。
三者三様、どの道もつらい。
私たち、特に日本人はすぐに「〇〇人」と言いたがるけれど、これを読めば、それがいかに人を傷つけるかが分かります。自分のルーツは自分だけが知っていればいい。どんな人でも幸せに生きるべき。
もう一度読むのはしんどい -
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9歳の「さち」という少女。
家族から疎まれている少女だ。
さちは、自分が疎まれていることに気付いていて、北鎌倉の古い自宅で、こっそり身を潜めるように暮らしている。
さちなりに、自分の家族、家をよくしたい、幸せにしてほしいと純粋に思っていたんだろうなぁ。
旭山の登場からドロン!までのお話は、まるで落語のようだった。
騙されたことで付き物が落ちたのか、同じ経験を共有したことで気が緩んだのか、最後は家族みんなが笑い合えてほっとした。
さちの名前の由来。愛らしくとか美しくとか、そんな大それたことでなくて良い、ただ幸せであるように、という都のささやかな願い。
親が考える幸せはなくても、押し入れの中で寝 -
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心にずしっとくる重たい内容だけど、読みやすいやさしい文章。
弥生さんは藤堂師長と出会えてよかった。
生まれにより確かに格差は生じるけど、さらにその後に出会った人たちの影響で自分自身や人生は大きく変わっていく。
弥生さんが小さい頃に出会った幸子さんのように、就職してから出会った藤堂師長や菊地さんのように、きっと自分も知らないうちに誰かから幸せを願われているのだろう。
しかし、この院長の病院では絶対に手術したくないな。
医師も人間だし、だからこその人間らしさだとわかるけど、患者としては命がかかってますし。
藤堂師長が最初に出会った医師のような人に診てもらいたいな…。 -
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ネタバレ呪縛から解き放たれた弥生の強い願いに、一緒になって願い祈る。
病院を少しでも良くするために、まだこの病院に残って頑張りたいという弥生の信念はすごいとは思うものの、こんな看護師を見下した医療事故を繰り返す糞みたいな院長がいる病院の体制はそうそう変わらない。弥生がどんなに奮闘しようと、病院が良くなって院長が改心するとは思えない。こんな病院とっとと辞めて藤堂師長について行っちゃえば良いのにと思うけど、今ここにいる患者さん達を、未来の患者さん達を彼女は見捨てることができないんだろうな。
「あなたがたのいる場所は、いつも、患者のそばよ。」去り際に看護師達にかける激励の言葉の温かさと力強さに、背中を押