中脇初枝のレビュー一覧
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ネタバレ真ん中過ぎまで、とても読むのが辛い本であった。
3人の少女が主人公だけど、太平洋戦争下に満州へ行く子と、朝鮮人の子と、横浜育ちのお嬢様って、もう不穏な要素しかない設定。
特に、横浜で空襲に遭う時とその後、そして満州開拓団からの引き上げのくだりは本当に読むのが辛かった。
中盤を過ぎて少女たちが成長するに連れて彼女たちの人生が少しずつ上向いていき、ようやく安心して読み進められるようになった。
それでも満州からの引き上げ中に誘拐され、中国人の夫婦に買われてその子供として育てられた珠子の人生は、彼女が中国残留日本人孤児として故郷に帰ってからも辛いものだった。
こういう人がきっとたくさんいたのだろう -
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ネタバレさいしょみんなとしをとってなにもできなくなっちゃったことがつらかったなあとおもう。
でもろばはブレーメンのおんがくたいになろうとして
いぬ、ねこ、にわとりをさそって
どろぼうたちのかくれがをうばおうとしたことがちょっといいことだとおもった。なぜかというとどろぼうたちはおいはらったほうがいいとおもった。
にわとりがとびはねているのがおもしろかった。
みんながきもちよさそうにねてたところがよかった。
どろぼうが、どうぶつたちのいえのことを「ばけものやしき」とほんとうでないことをいってだまされていたのがおもしろかった。
さいごみんなでしあわせにくらせてよかった。
ブレーメンのおんがくたい
よんだ -
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美子が茉莉と珠子に1個しかない自分のおにぎりを分け与え、自分は1番少ない部分を食べた場面には、子供なのに、自分もお腹が空いているのに、助けが来るかどうかも心配な状況で、神みたいだなと思った。
この3人は、それぞれ中国残留孤児、在日朝鮮人、戦災孤児という精神的にとても辛い状況にありながらも生きてこられたのは、幼い時に受けた家族の愛情と自身の精神力だと思う。
現代社会で考えてみると、子供時代に自分は愛されて育ったという自信があれば、例えば仕事や人間関係で嫌な事が起こっても頑張れる気がするし、周囲の人に優しくもできる気がする。でも世の中そんな良い環境で育った人ばかりではないから、いろんな人がい -
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ネタバレ幼いころ満州で出会った3人の女の子の、戦中・戦後の物語。
一人は貧しい高知の村から開拓団として満州に行かされた珠子。一人は生活のためにどちらかと言えば親日の考えを持っていた両親のもと(ただし母親は学校にも行っておらず読み書きができなくても、朝鮮人としての誇りは失わなかった)、満州で仕事をしていた朝鮮国籍の美子、もう一人は横浜で事業をしている父親が満州に視察(?)に来た時に連れてこられた、お金持ちのお嬢様の茉莉。
3人は短い期間だが満州で友情を育み、国籍や立場が違っても、お互いを思いやってかけがえのない思い出を作る。その時には、そのささいな思い出が、どんなに大切なものなのか気づかない。
終戦を迎 -
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ネタバレ桜が丘小学校と小学校のある「烏ヶ谷」の地域の連作短編集
児童虐待がテーマとなっている
どの話も重くつらいが、必ず見守ってくれている人がいるのが救い
「サンタさんの来ない家」
学級崩壊させてしまった新任の男性教師の岡野と義父から虐待を受けている男児神田を中心とした物語
「べっぴんさん」
自分も虐待された経験を持ち、今は自分の娘を虐待してしまう母親の物語
「うそつき」
小学校のPTA会長をしている主人公の息子の優介の友達のだいちゃん(大貴)の話と子どもの頃の親友で黒人とのハーフのもっちゃんの物語、「サンタさん」の校長先生と担任の先生のエピソードが挿入される
「こんにちは、さようなら」
認知が入っ -
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素敵な話。
始まりは重たく、暗く、どこまでこの調子?とも思ったが、新しい藤堂看護師長が来てから全てがつながり、面白くなってくる。
看護師という仮面を被りプロの態度で看護し、患者を救い、院長に楯突いてやめさせらせられるものの、全ての看護師が意識を変えるきっかけになる。
弥生は、「自分で自分を育てたのね」
「上手に自分を育てたわね」と言われるが、まだうなづかない。
親に捨てられ、3月に拾われたから弥生。
養護施設で育ち、生きるために手に職をつけて、准看護師。
神田さんは新しい彼に子どもを虐待され、その声を心配していた、ラッキーの飼い主、菊池さん。
青森から働きに出て苦労もされながら、弥生がい -
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おもしろくてあっという間に読み、最後のほうは感動した。
敗戦間際の満州の開拓村でほんの1~2日一緒に過ごした立場や生活の違う3人の少女のことが、その後の人生までずっと描かれていく。1974年生まれの著者という偏見のせいか、時代背景のからまり方がちょっと典型的に過ぎる感じがしないでもないけど、それ以上にこの物語のなかに込められたものの大きさが感じられた。
込められたものとは……。たとえば、空襲や満州からの引き揚げのような場面での人のふるまい、人の勝手さ、人の弱さ。人を守るってどういうことか、暴力的に闘わずして守る方法があるのか。物を分け合うとき、相手に大きいほうをあげられるか。
「わたしは、幸せ -
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ネタバレ昭和18年9月の終わり、珠子は満州についた。
ふるさとは貧しくて、国策としての満州開拓団に強制的に入団させられたのだ。
城壁に囲まれた土地ではあったが、地味豊かな満州の土地で、ようやく彼らはお腹いっぱい食べることができたのだった。
美子は朝鮮に生まれたが、日本の支配下にあった朝鮮で、朝鮮人が豊かに暮らすことはできなかった。
父が満州に仕事を探しに行っていた数年間、美子は母と二人で毎日働きづめに働いて、ようやくコーリャンの薄いおかゆをすすれるような暮らしだった。
やっと父が迎えに来て家族で満州に移住。
日本人たちのそばで日本人と同じように学校に通い、そこで珠子と友だちになった。
茉莉は横浜の