中脇初枝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こんなにも人の心の傷をやさしく描けるのは、中脇さんならでは。
いわゆる”一般的”な子供時代を経ていない子供は、自己を確立し自分を保つためだけでも、極限に伸ばされた太く平べったいゴムを常に腰に巻きつけられ後ろから引っ張られているような状態のまま前に進んでいくという日常生活を送らなければならない。
そのつらさは他人には見せないし、見られたくないものである。大人になったって、一番ありのままの自分を受け入れてほしい、受け入れられなきゃならない時代に受け入れてもらえなかった寂しい思いを隠して生きている。大人になってから人にありのままの自分を受け入れてほしいと求めるのはエゴだということもわかっているからこそ、そんな子供時代に思いを馳せる。
「あなたは、自分で自分を育てたのね」
「あなたは、上手に自分を育てたわね」
という藤堂師長の言葉。
病院が舞台であるため人の死が随所に描かれており、都度感情移入しがちになってはいたが、この言葉を読んだとき、公共の場で読んでいたにも関わらずドッと涙があふれ出た。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ多元焦点の物語で、主に虐待をしたりされたりする人たちの目線に立って書かれた本。
結構ショッキングな内容が多々あったため、正直読み進めるのが難しい時もあった。
やっぱり一貫しているなと思ったのは、虐待をしてしまう人々は何らかの暗い過去を持ってる人が大半だということ。例えば、親から虐待をされてた人、無視されてた、怒られまくったなど。それを繰り返してしまうのは、その環境しか知らないから、無意識のうちに親からの教育方法を受け継いじゃってるのかな。あと自分の子供が幼い頃の自分と重なることで、腹立たしくなることがあるのかもね。私は小さい頃、親に叩かれながらちゃんとしたのにお前はその程度もできない人間なのかと比較するような。
そして虐待をやめるのはやっぱり、してる人の辛い気持ちに寄り添うことだと思う。はなちゃんママのようにピアサポートであやねちゃんママは肩の緊張がほぐれたような感じがした。あやねちゃんママのように虐待することへの抵抗と反射的に手が出てしまう葛藤に悩んでる人も一定数いる。
そんな人たちの苦しさや虐待され続けてる人たちへの支援に携わる様々な専門職の人の支援方法について詳しく知りたいと思った。
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Posted by ブクログ
空襲で破壊された家々や鉄路も、怯えながら篭った防空壕も戦争が終わればやがて修復と埋め戻しによって以前の姿へと戻されてゆく。それは人々がそこで生活を続けていく以上必要なことではあります。けれど同時に、ほんの少し前まで生傷であったものが、ある日を境にただの痕跡として淡々と処理されるものに変わってしまう戦後という時間に対して、私はどうしても言葉ではうまく表せない蟠りを抱えてしまう。そしてその時間の流れの中で何より悲しく苦しいのは、街がどれほど直され整えられても、戦時下の空気という真に無意味な暴力に毟られ、抉られ、踏み潰されて空けられた心の空洞へは誰も責任を取ってくれず、戻してもくれないということです。終わりを迎えても本当には終わらない戦争をいま新しく始めない為のアクションをこの先も国には選択し続けて欲しいし、私という個人のレベルでも声をあげていきたい。たとえそれが小さくても。