中脇初枝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
空襲で破壊された家々や鉄路も、怯えながら篭った防空壕も戦争が終わればやがて修復と埋め戻しによって以前の姿へと戻されてゆく。それは人々がそこで生活を続けていく以上必要なことではあります。けれど同時に、ほんの少し前まで生傷であったものが、ある日を境にただの痕跡として淡々と処理されるものに変わってしまう戦後という時間に対して、私はどうしても言葉ではうまく表せない蟠りを抱えてしまう。そしてその時間の流れの中で何より悲しく苦しいのは、街がどれほど直され整えられても、戦時下の空気という真に無意味な暴力に毟られ、抉られ、踏み潰されて空けられた心の空洞へは誰も責任を取ってくれず、戻してもくれないということです。終わりを迎えても本当には終わらない戦争をいま新しく始めない為のアクションをこの先も国には選択し続けて欲しいし、私という個人のレベルでも声をあげていきたい。たとえそれが小さくても。
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Posted by ブクログ
〈婦女は脳漿乏しく、嫁して夫に従うもの〉という暴論が罷り通る時代に、女性参政権を勝ち取ろうと声を上げ続けた楠瀬喜多の生涯を描いた大変な労作。いま当たり前のように誰もが享受している政治に参加する権利が、どれだけの声(封殺されたものも含めて)と血の闘いの上に成り立っているものであるか、読んでいて改めて思い知らされる。と同時に、令和になってもジェンダーギャップ指数の低い日本にとって、これは全く過去の話という訳でもなく、地続きの現在の闘いの姿でもあるのだ。自由と万民平等という同じ志の許に、互いをひとりの人間として捉え共に進む板垣退助との関係性は、誰一人として零れることの無い社会を目指す上で必要な形だろう。吹き荒れる逆風に総身を晒しながら、それさえも力にしてより高く舞い上がる勇敢な鳶たちの啼き声が胸に響く物語だ。