中脇初枝のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
〈婦女は脳漿乏しく、嫁して夫に従うもの〉という暴論が罷り通る時代に、女性参政権を勝ち取ろうと声を上げ続けた楠瀬喜多の生涯を描いた大変な労作。いま当たり前のように誰もが享受している政治に参加する権利が、どれだけの声(封殺されたものも含めて)と血の闘いの上に成り立っているものであるか、読んでいて改めて思い知らされる。と同時に、令和になってもジェンダーギャップ指数の低い日本にとって、これは全く過去の話という訳でもなく、地続きの現在の闘いの姿でもあるのだ。自由と万民平等という同じ志の許に、互いをひとりの人間として捉え共に進む板垣退助との関係性は、誰一人として零れることの無い社会を目指す上で必要な形だろう。吹き荒れる逆風に総身を晒しながら、それさえも力にしてより高く舞い上がる勇敢な鳶たちの啼き声が胸に響く物語だ。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ生まれてすぐに捨てられ、高卒まで乳児院や児童養護施設、児童相談所ですごし、准看護師として11年勤務している主人公。
その主人公が、新しく入った師長(救急看護認定看護師と手術看護認定看護師を取得している)によって考え方がかわり、成長していく物語だった。
主人公が働く病院には、色々なスタッフや患者がいた。(診察時間より30分おくれて出勤する医者、道具のわたしかたが気に入らないと、すぐ道具をなげつける医者、手術中 しれっと看護師の臀部をさわるなどのセクハラをし、誤診で患者を死なせる院長、毎日見舞いにくる娘を自分が死ぬ直前まで罵倒し、娘をうつ病にさせる高齢者の患者など)実際の医療現場は、メディアに報道されるくらいだから、もっと ひどいんだろうなと思った。
主人公の今後が知りたいと思った。
医療従事者の免許を持っているが、わけあって医療従事者として働いていない僕は この本をよみながら、懐かしいなと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこういった原作がワンクールのアニメ化になってもいいと思うのだがなぁ。。(映画だと端折られるから難しい)
戦争の話やイメージはあるけれど 戦後どうだったかというのは割と知らない
昔
江戸川乱歩の「芋虫」を読んだときは設定に驚いたが当時はそういった人は勿論いただろうし
ちばてつや氏や赤塚不二夫氏による満州引き上げについて既読であったが 7割が亡くなったというのは凄まじい
また 関東学院 大岡川 黄金町など身近な地名での空襲
修学旅行が広島 沖縄とそれぞれ歴史を調べたけれど 自分の住む場所が戦時中どうだったかこそ知りたかったかも
また在日韓国人の歴史についても無知であった
中国や日本にいる間に祖国が二分され 帰国したのが北朝鮮側とは。。
満州へも北朝鮮へも 先陣切った人が止めても向かってしまうというのは 本当に情報は大切だけれど 当時はどうやって情報を入手できるかが困難で。。
フィクションだけれど 彼女達が家族に恵まれて良かった
こどもってある意味残酷でもあるけれど 反対に差別なく同じヒトとして接することも出来るのだなぁ と改めて -
Posted by ブクログ
珠子、茉莉、美子、
戦時中の満州で出逢った3人の少女。
一時の出逢いの後、それぞれの地で戦争に翻弄され、それぞれの道を歩む。
***ネタばれ***
満州で中国残留孤児となり、それまでの記憶をほとんどなくしてしまった珠子。
横浜に戻り、空襲で両親を亡くして戦争孤児となった茉莉。
朝鮮で生まれ満州を経て日本に渡り、在日朝鮮人となった美子。
3人の歩む道に、胸を張って前を向く姿に、
一時も目が離せない。
ただの戦争小説じゃない。
あの先の大戦をあらゆる角度から描き、戦争に翻弄された3人の少女が、戦後、どのような人生を辿ったのかまで描かれていて、彼女たちの人生を通して、生きるとはどういうことかを考えさせられました。
解説でも書かれていますが、著者である中脇初枝さんが膨大な量の取材をし、たくさんの資料を読み込んでこの素晴らしい作品を書かれたことに、大変感銘を受けました。
今、ロシアがまた同じ事をしています。
この作品に描かれているみたいに、多くの人が凄惨な体験をされ、犠牲となっています。
なのに、何もできない自分が虚しく、誰も止めれないことに恐怖を覚え、未来に対する不安がましてやまない毎日ですが、この小説を読んだことで、前を向く勇気、人生に立ち向かう勇気をもらったように思います。自分ができる事は、このような作品を通じて事実から目を背けず、未来に伝えて行くこと。そうやって前を向いて歩いていきたいです。