中脇初枝のレビュー一覧
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新聞の書評で知った本。
数年経ってるから、どんな本でしたっけ?と思いながら読み始めた。
面白い。とても。
1回目読んで、すぐにまた再読。
人名が変わるから、登場人物のそれぞれの関わりや生まれ等を意識的に読む。
武士の中でも士格と軽格で著しい差があり、町方も含め、社会の上下構造と日々の暮らし、人との付き合いにまで影響を及ぼす大きさ。
士格が故に苦しんだ、猪之助、板垣退助。
学校で学ぶ歴史は、やはり勝者の歴史なのだと実感する。知らなかったことが多い。
それは維新後の政治の世界もだけど、女性の参政権、傍聴権も。権利や自由が、なぜこの字を使われるようになったか。本来の意味であれば、権理であり、 -
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素晴らしい作品だ。
本書は、戦時中の満州で、全く異なる境涯の3人の女の子たちが出会うところから始まる物語。
戦争の過酷さ、無慈悲さが彼女たちを翻弄する。
しかし、それでも本作は、生きる希望の物語だ。
高知の貧村から、「分村」政策により開拓移民として家族と共に満州に渡った珠子。
皇民化政策により日本の教育を受け、満州に移住した美子。
横浜の裕福な貿易商の家庭に生まれ、ほんの少し満州を視察旅行しただけの茉莉。
この3人が一緒にいたのは、少女の頃の本当にいっときだけ。
だが、その時の記憶が、彼女たちのその後の過酷な人生を生きていくともづなとなる。
本書には、幾度となく「記憶」が出てくる。
私 -
Posted by ブクログ
ひろみさんの一代記。ひろみさんは中国で生まれ育った。満州で高校生活を迎えたが、そのうち学徒勤労動員で工場で働き始める。和紙を貼り合わせたり、グリセリンで煮たりして、あとから思えば風船爆弾を作っていたのだった。知らされなかったが、最近兵器のペストなどを乗せたこともあったようだ。この辺りは気象連隊が七三一部隊に研修に出されたあたりで語られている。
ひろみさんは隣の家の李さんのおうちと仲が良かったし、父は完全に中国語を話せて中国人を尊重していたからいい関係が築けていた。やがて日本に帰り、中国残留孤児のお世話をしながら、孫のあかりちゃんに伝えることがたくさんあるのだった。 -
匿名
ネタバレ 購入済み山も海もない地平線が広がる平地の続く旧満州帝国(中国東北部)で育ったひろみは、「ふるさと」を聞いて歌ったとしても、「ふるさと」の情景がぴんと来ない。五族協和と唱えながらも、そこで暮らす中国人を満人と呼ぶことに違和感を持たない。肉体労働や雑役をする人たちは日本人ではなく満人であるのが当たり前。
女学校で、将校さんから指示されて大きな紙で何かを作らされていても、それが何かわからなくても、「軍事機密」と言われれば疑問を持つことも封じてしまう。
うっすらと何かの兵器なのだと思っていても。
終戦、というか敗戦で、関東軍はさっさと引き揚げてしまい、満州に残された人は、「満人」と呼ばれていた中国人からどれ -
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ネタバレ映画から入って、原作を読みたくて買った本
今取ろうとしてる資格を目指すきっかけのひとつになった作品
特に印象に残ってるのは虐待の疑いがある男の子と先生の話だった
映画でも原作でも最後先生が男の子のために行動したのかが分からず、読んだ後自分の中で考える余地がある話だった
でも、私はあの先生は男の子のために介入したと信じてる
全て読んだあとに「きみはいい子」というタイトルに涙が出てきた
世の中の虐待を受けている子どもや受けてきた大人、障害のある子どもや大人はみんなちゃんと「いい子」
この作品を読んだことで、虐待は悪で、虐待をする親が全て悪い、なぜこんなことをするのかという以前までの自分の考えが大き -
Posted by ブクログ
現代(いま)を生きる者、全員必読。現代を生きる私達が、当たり前に享受しているものは全て、これまで生きてきた人達が作り上げてきてくれたものなのだという、それこそ当たり前のことをようやく理解しました。選挙権があることを『義務』だと思っていました。その選挙権を得る為に、必死に闘ってくれた人達がいる。『義務』ではなく『権利』だった。後世のために何かをしたいなど思ったこともなかった。そんな大それたことをできると思っていなかった。そんな私でも、身近な人からでもいい、今を生きる人の役に立つことで後世を生きる人達にとってより良い国に、世界になってほしいと心から思いました。そのひとつが選挙ですね。自分たちの国の
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Posted by ブクログ
親からの虐待やネグレクト被害にあっている子どもがいて、その状況やそれが起きる背景について描かれている。苦しい内容。赤の他人が出来ることって何だろうか。児童相談所に通報してあとはお任せするとか短絡的なことでもなくて、ここに登場する大人たちのそっと見守る目が絶望の中のひとすじの希望に感じる。それがいいとか悪いとかって事でもなくて。
名も無きどこかの誰かによって見守られている。ひとりぼっちにしない。今苦しんでいる子の周りにもそんな優しい世界があるといいなと祈らずにはいられない。一方で、現実はもっと残酷なはずとも思う。これは祈りの物語なのかもしれない。
静かに深い良い文章だった。