小林司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりにホームズを読み返して、やっぱり面白い!
ホームズとワトソンの出会いのシーンのホームズの描写、ワトソンによるホームズの観察、まだ手探りな2人の交流の様子などは、『緋色の習作(緋色の研究)』でしか味わえない感覚があると思う。だからシリーズの他のどれを何度読んでも、ホームズ1作目は新鮮に感じるんだろうな。
河出文庫版ははじめて読んだけれど、すごく読みやすかった。新潮文庫版のような格式ばった古風な言い回しもヴィクトリアンな雰囲気があって好きだけど、これは平易な言い回しでも作品のイメージが崩れないように気を配っているのが感じられて、物語がすらすら入ってきた。 -
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ネタバレシャーロックホームズシリーズの2作目の作品。
1作目と比べるとホームズの人となりが多少違って見えた。
1作目では文芸などの知識はないと表記されていたが、当時の文学作品を引用する場面があった上、変装や料理が得意な描写もあり万能人間のように描かれていた。
その反面、冒頭からコカインを使用しており、解き明かす謎がないと廃人然になる情緒不安定な姿も描かれている。
内容としては1作目の作品同様見事な推理の上、犯人を追い詰める場面では緊張感溢れる水上チェイスを繰り広げている。
推理と冒険が混同したようなドキドキワクワクする作品となっている。
個人的には最後に描かれているワトソンが結婚するとホームズに報告し -
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ミステリ史上に輝く古典名作です。
世界でもっとも有名な探偵、シャーロック・ホームズのデビュー作で、オーギュスト・デュパンから始まる探偵小説という分野を一躍有名・人気ジャンルにした作品でもあります。
初めてであった相手の職業を一目見ただけであてることのできる優れた観察眼と推理力、音楽やスポーツ・医学などの様々な分野にまたがる深い知識、警察をはるかにしのぐ事件への洞察に、助手(相棒)のワトスンとの軽快な駆け引き。
1887年に発表されてから130年以上が経過していますが、「シャーロキアン」と呼ばれる熱烈なファンがいるその人気ぶりにも納得です。
「初の探偵小説」であったポーの「モルグ街の殺人」に -
購入済み
面白かった
恐怖の谷の話は初めてでした。すらすら読めて面白かったです。他の2作は全体的にジェレミー・ブレット主演のテレビシリーズをコミカライズした印象ですが、良かったです。
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Posted by ブクログ
「見たまえ、ワトスン、カンバーバッチ氏が結婚すると新聞の私事広告欄に出ているよ」
「ああ、君の役をやった俳優さんだね」
「僕は新聞広告欄はすべて見ているからね。しかしこの『事件簿』には電話が登場するんだよ。日ごろ役に立たないと言っているホームズ全集の注釈だがね、今回はなかなか役に立ったね。ロンドンに最初に電話が敷かれたのは1876年のことだそうだ」
「すると君と出会う前からロンドンにはもう電話はあったわけだ」
「ドイル氏が自分の便箋に電話番号を入れたのが1908年のことだそうだから、電話が一般にどれだけ普及したかということとはギャップがあるのだろうがね」
「僕らの場合、遠距離の連絡はもっぱら電 -
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人気ドラマだったら、映画版が3本作られ、テレビ・シリーズが3シーズン。それでいったん途切れて、ときどきスペシャル番組が単発で放映されたのをまとめたのが本書というところ。その間に4つめの映画版、すなわち『恐怖の谷』が製作されているわけだが。
ほぼ毎月連載された『冒険』『回想』『帰還』所収の短編と違って、本書の短編は趣向が凝らされているといっていいだろう。「ウィステリア荘」「ブルース−パティントン設計図」はもっとも長い短編に属する。
これまでホームズはワトスンを置いて捜査に行ってしまい、夜遅くに帰ってきても何も言わず、推理が組み立てられてから披露するといった展開が多かったが、ここでは捜査の過 -
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英語は「リターン」だから『シャーロック・ホームズの帰還』でいいのだが、死にかかったんじゃないかというと『生還』と言って喜びたいし、いやいったんは完全に殺されてしまったんだから『復活』というのもむべなるかな。ウルトラマン派なら『帰ってきたシャーロック・ホームズ』、ゴジラ派なら『シャーロック・ホームズの逆襲』、なんとでも訳すべし。
たといホームズがモリアーティ教授とともにライヘンバッハの滝に落ちようとも、その場を目撃する者とてなく、死体も確認されていないとあっては「復活」、いやさ「帰還」させるのは簡単と「空き家の冒険」。かくて、ドイルのシャーロック・ホームズ謀殺の嫌疑は晴れたが、そのかわりに彼 -
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「ねえ、ワトスン、ここがどこかわかるかい」
「いや、どこなんだ」
「極東の一小国のようだよ」
「極東といったら、支那かね」
「支那を小国とは言わないだろう。大国としてのふるまいをいまだ知らないようではあるがね。ほら、ぼくらの喋っているのは日本語だろう。日本語が公用語なのは、日本国しかないよ。しかもぼくらの時代から100年以上も先だ」
「100年だって。それはどういうことなんだ」
「ここはネットのサイトだからね。ネットというものができるのは100年もあとなんだ」
「何のことかよくわからないが」
「君は常々、ぼくの捜査記録を発表してくれているじゃないか。そのおかげで、たくさんのパスティッシュが生ま -
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コナン・ドイルは自身の本領を歴史小説とみて、ホームズ譚が受けるのを嫌がったというのは有名な話だ。『緋色の習作』も『四つのサイン』も犯人が復讐を誓う動機となった昔話が長々と語られるが、それが歴史小説家の矜恃なのであろう。しかしシャーロック・ホームズというキャラクターが生きるのはもっと直截なストーリーテリングなのであって、2つの長編のあと、ドイルがホームズもの短編を連載したのが、ホームズ人気に火をつけたのは当然のことと言える。
そうしてまとめられたのが『シャーロック・ホームズの冒険』である。「ボヘミアの醜聞」「赤毛連盟」「まだらの紐」「ぶな屋敷」など名高い作品が並ぶ1ダース。日本語の「冒険」は