鳥羽亮のレビュー一覧
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鳥羽さんの新シリーズ「隠目付江戸日記」の1~駿河国江崎藩七万石で目付組頭を務めた甲源一刀流の遣い手・海野(かいの)洋之介は妻に先立たれて,家督を息子に譲り,釣宿・舟政に居候になっていて,未亡人のみつとは愛人関係にあり,6歳の仙太は遊び仲間だ。辻斬りが出たと聞いて野次馬として出かけると,斬られたのは江崎藩の目付であり,鮮やかに頚もとを切り裂く手口に慄然となる。目付組頭・谷部と目が合い,改めて大目付・岡崎から隠目付としての働きを求められる。国許の次席家老・栗塚が江戸勤番の年寄・柴田を介して,廻船問屋・鳴海屋と共謀して,藩の蔵元を任せ,高利の借金をして,賄を受けていることが発覚し始め,目付や勘定方が
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剣客同心鬼隼人の第3作〜商家に押し込みが入り,昔暴れ回った向井党の生き残りが怪しい。かつて捕縛に当たった同心が謎の剣客に斬られている。その太刀筋は顔面切り。額から顎まで切って,次の相手も狙える技だ。隠密同心の長月隼人には切り捨てても構わないと許しがでるが,盗賊から喧嘩を吹っ掛けられているようで,手掛かりはあまりない。糸を辿るとねぐらは判ったが,謎の剣士はどうやら取り潰しになった御家人らしい。自害した許嫁の墓の前で隼人は顔面斬りの間合いを読み切って冥途に送る〜新作かと思ったら6年前の書き下ろしだった。立ち合いなんて様々なバリエーションを考えられないだろうに
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決め手が大体は同じで,ドラマ水戸黄門のような成り行き〜元岡っ引きの孫六の娘にようやく赤ん坊ができ,婿の又七も商売に身が入るようになったが,天秤棒の当たった相手は,浪人者に斬るように命じる。這々の体で逃げ帰った又七が付け狙われるようになったのは,浪人者の名前と顔を知ったからだった。材木屋の集金帰りの番頭が辻斬りの被害に遭う事件が2件起こり,犯人は金貸しとその用心棒らしいと知れてくる。そして華町の昔の道場仲間も相手に与している〜籠手が得意な相手に真っ向から攻め勝つ・・・というパターンは私が途切れ途切れにシリーズを読んでいるからだろうか。孫六の宝とは孫のことだと直ぐ知れる。「やむを得ない,斬るしかあ
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華町源九郎江戸暦〜鏡新明智流の遣い手,華町源九郎は家督を息子に譲り,自由気ままな長屋暮らし。ある日,なにやら訳ありの迷い子を長屋に連れてくる。聞けば,旗本の妾腹の子で,追っ手から身を隠しているらしい。五千石のお家騒動に巻き込まれてしまった源九郎に襲いかかる謎の凶刃・・・。老いを感じ始めた中年武士の矜持をしみじみと描く書き下ろし長編小説第一弾〜裏表紙に書いてある儘を書いてみたが,充分だろうか。まず,水死体が上がる・・って所から書かないといけないんじゃないの。子どもの手を引いている総髪の者が菅井で,斬り掛かっているのが源九郎か。居合いの名手と研ぎ師・茂次と元岡っ引き・孫六,長屋の女房・お熊って,主
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はぐれ長屋の用心棒の11〜両国広小路で居合いの大道芸を行っている菅井の技を熱心に見物していた子連れの武士は羽州の出身で,身の寄せ場がないというのではぐれ長屋に連れてきたが,兄の敵を追って姪の志乃と上布したという。奥羽・里江藩は石高7万石だが木材などで内証は豊かだと聞き込んだ。藩の財政を牛耳る城代家老が大商人に特権を売り,庶民生活は困窮を極めている。志乃の父は郡奉行をしていたが,内紛に巻き込まれ,一刀流を遣う悪家老派に殺害された。元御家人の源九郎や元岡っ引きの孫六や研ぎ師の茂次,砂絵師の三太郎が協力する中,反家老は計75両の礼金を用意し助勢を請うが,長屋の連中は内紛に巻き込まれない程度の介入を模