富樫倫太郎のレビュー一覧
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たった7名で構成されているSRO(Special Research Office for Extensive Investigations)。
警視長1名、警視正2名、警視1名、警部1名、そして会計などを扱う事務職2名。
アンバランスな人員が配置されている部署だ。
それぞれが裏事情をかかえている。
ある者は出世と引き換えにスパイ行為を強要されている。
ある者は自らスパイ行為を引き受けている。
ある者は不祥事を起こして隔離されるようの移動させられた。
ある者は監視対象として新設部署に押し込められた。
互いに反発しあい、不協和音を奏でながら「ドクター」と呼ばれる連続殺人犯を追っていく。
白骨となって発見された遺体は、治療痕が残る歯は抜かれ指は切断されている。
そして、なぜか石灰が遺体にはかけられていた。
わずかな手がかりをもとに、徐々に真犯人に迫っていくSRO。
序盤ではあれほどバラバラだったメンバーが、いつの間にか「ドクター逮捕」に向かってひとつになっていく。
広域捜査をする権利を獲得し、県警や所轄に縛られず自由に捜査できる。
そして、SROに対する確固たる後ろ盾の存在。
これらによって初めて可能になったSROの捜査は、犯罪を食い止めるために動き出す。
ラストに訪れる犯人との対峙は緊張感あふれるものだった。
シリアルキラーというのはこんな人なんだろうか?と、妙なリアル感とともに怖さを感じた。
警察内部の内紛や足の引っ張り合いなども描かれ、犯罪を捜査する・・・そのことの難しさも伝わってきた。
はたして次の作品ではどんな事件に遭遇するのか。
楽しみである。 -
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シリーズ第4段。
今作の事件とその解決は、まあ、置いておくとして・・・。
※法務省役員と医療少年院医官の言動、フリージャーナリストの振る舞い・・・と、(作中の)現実とのギャップは、筆者から現代社会への痛烈な皮肉か?
注:十分に楽しめるエンタテイメントだった。
シリーズ全体の物語の行方に、心を奪われ始めてる。
近藤房子の行方。
坊屋刑事の決心。
心に傷を受けたメンバーの未来。
「黒い羊」を飼っていると自覚した針谷の行く末は?
既刊の残りはたしか、「Ⅴ」と「〇(ゼロ)」だけだったような記憶が・・・。
果たしてどこまで続くのやら。
★4つ、8ポイント。
2016.11.21.古。 -
Posted by ブクログ
1巻よりこっちのほうが面白かったー!!1巻はちょっと身体的な痛みの描写のところぞっとしちゃったからなあ。精神的なもののほうが読める。面白いな〜歪み具合を書くのが上手いというか……シリアルキラーとかサイコパス?定義がよく分かってないけど、そういうキャラクターを出すとき、歪み具合をどうやって現実の日常で隠してるかの描写がいちばん肝だと思う。現実離れしたらその怖さも半減しちゃうし。前回といい今回といい犯人の描写が上手いので、他で気になるところは割と慣れて……いくけど文庫書き下ろしだからなのか誤字っぽいところが1巻にも2巻にもあってちょっと残念。
あとはSROが一向にイメージアップしないのが皮肉でリアルでいいなーと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ富樫綸太郎による広域捜査専門集団の活躍を描くシリーズ第6弾。
タイトルにあるように、本作は多重人格の登場人物が存在する。その人格も当初はA、Bなど記号で、やがてその特徴を表した呼び名で、最終的には判明している人物の名前で呼び表され、読み進めるにしたがってその人物の詳細が露わになる構造となっている。
SROのメンバーの周りの人間関係もさらに複雑化する。新九郎と花子がいい雰囲気になってきたかと思いきや、そこに割り込んだ人物に花子の気持ちが傾いていったり、麗子を心配する人物と少しいい雰囲気になったかと思うと1人に戻った麗子からは彼の存在はなかったかのごとく軽いものになったり。
本シリーズがどこまで続いていくのかわからないが、こうも複雑化しすぎるとシリーズが中途半端に途切れてしまう懸念を抱いてしまう。もちろん、物語の中では時間が1年と経っていないため、あまりアッサリとまとまったらおかしいだろうが、あまりに登場人物たちが幸せそうでないのが気にかかる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ富樫綸太郎による広域捜査専門集団の活躍を描くシリーズ第5弾。
本作でついに近藤房子との対決にようやく一区切りがつく。そこにいたるまでの房子とSROの面々との駆け引きが実に面白い。
副室長の麗子は房子に襲われた時の記憶からPTSDに近い症状を発症しており、時折精神的に耐えられなくなる。木戸沙織は房子に襲われた時の衝撃からなかなか立ち直れない。さらに尾形の家庭の事情も深刻さを増しており、SROはある意味満身創痍の状況で房子と対峙せざるをえない。
そんな中、坊屋久美子がSROに異動してきて、一課との摩擦は増えるがSROとしては戦力ダウンをある程度補え、しかも目の付け所の良い坊屋の獲得で房子の捜査にも少しずつ進展が見られるようになる。
本作を通して、やはり房子は尋常ではない人物で、そのコレクションの異常性や殺人に至る精神の動きも描かれており、しかも小気味良いテンポで物語が進んでいくので、ついつい読む手を休めることなく読み進めてしまう。
とくに、第1弾以降、ずっと追いかけてきた房子との対決となるので、否が応でも先を読まずにはいられない。
本作のラストにはさらに衝撃の事件が起こり、次作への期待をもたせて終わるあたりもニクい。ただ、そろそろ前作を読まなくても話が理解できる、読み切り型にしてもらえないかなあと、やや思うところもある。