Posted by ブクログ
2017年03月14日
黒い羊とはなにか?
いい人間を演じている・・・仮面「ペルソナ」をつけて生活をしているが、実は「シャドー」と呼ばれる悪い部分を隠しているだけに過ぎない。
表面的には白と白の両親からは白しか生まれないはずが、黒の因子を隠しているだけなら黒の因子を持つ・・・黒い羊が生まれることもある。
同じ両親から生まれ...続きを読むたのに、一人は優等生、一人は劣等生という場合。
優等生は白の因子を受け継ぎ、劣等生は黒の因子を引き継いでいるという考え方。
シリアルキラーにもいろいろなパターンがあるのだと知った。
房子のようにモンスター化し隠蔽工作をする型もあれば、今回の犯人のように淡々と自分の欲求のままに殺人を繰り返す型もある。
アメリカなどではいわゆるシリアルキラーの事件として有名なものもあるが、なぜか日本ではあまり例がない。
動機として明確なものが見えてしまう場合が多いからだろう。
もっとも、本当の動機なんて一般人からしたらわからない。警察が「これが動機だ!」と発表すればそれが事実となるのだから。
事件化していないシリアルキラーがいたとしても不思議ではない。
自分たちがやってきた対処法が正しいと信じ、成功したいと思う気持ちはわかる。
だが、冷静に考えれば積み重ねた事実が「失敗」だったと告げている。
己に厳しい現実をなかなか受け入れられないのは、官僚でも精神学の専門家でもどうやら同じらしい。
山根たちによって徐々に追い詰められる犯人。
際立つ異常性が何よりも表れたのが「ちょっとだけ待ってもらえませんか。すぐに済みますから」というラストのセリフだろう。
待つわけがない。待つと思うほうがおかしい。
それでも犯人は笑顔でそう言い放つ。
SROの行動はけっして派手ではない。
針谷の射殺場面を除けばいたって地味な捜査ばかりだ。
それでも、読んでいるうちに引き込まれてしまう。
房子の幻影に脅えならが、犯人を殺してしまった過去に脅えながら、それでも警察官として事件に向かっていく。
SROのメンバーのバランスもいい。
次巻では再び房子との対決が描かれる。
「キラークィーン」となった房子とどう対峙するのか。
楽しみだ。